コミュニティ・カレッジ

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コミュニティ・カレッジ(Community College)は、教育機関の種別のひとつである。国によって定義は様々であり、アメリカイギリスカナダオーストラリアフィリピンインドマレーシアなどに存在している。

コミュニティという表現にあるように、その地域の住民、税金を払って住んでいる人たちへの高等教育生涯教育継続教育の場として設立された場合が多い。

アメリカ合衆国とカナダのコミュニティカレッジ[編集]

米国で最初のコミュニティカレッジである公立Joliet Junior Collegeイリノイ州ジョリエット、1901年設立)
米国で最古のコミュニティカレッジであるFullerton Collegeカリフォルニア州フラートン、1913年設立)

アメリカ、カナダでは一般に Community College と呼ばれる2年制大学であり、4年制大学(University) がよりアカデミックな学問を学ぶのに対し、コミュニティカレッジでは実践的なスキル、すなわち職業技術を身につけることを主な教育とする。コミュニティカレッジに在籍する学生数はアメリカは約700万人、カナダは約300万人いる。学校数ではアメリカは約1200校、カナダは約170校あり、ほとんどは公立と州立であるが、うち私立(アメリカ)は約90校、カナダはBC州などに私立もある。多くが公立の教育機関のため、教育の質や学費に大きな差はないが、専門分野の強さで特色が分かれる。

2年制の高等教育機関である事から、日本においては短期大学に近い制度として紹介されることも多いが、その役目は大きく異なるので実態にあっていない。

日本における教育制度においては「市民大学講座」と比較される場合があるが、市民大学講座制度があくまで講座であり教育施設ではないのに対し、米国コミュニティ・カレッジは法的に教育施設として位置づけられている。

アメリカにおいてコミュニティカレッジは、が提供する高等教育であることからコミュニティカレッジシステム(Community College System)とも呼ばれ、他にジュニアカレッジ(Junior Colleges)、シティカレッジ(City College)、テクニカルカレッジ(Technical College)などとも呼ばれている。中等教育修了者を対象にした二年制の高等教育または第3期の教育ISCED-4または5)にあたり、職業学位といわれる職業証明書のサーティフィケート、卒業証書のディプロマ、学位のアソシエイトなど証明を付与する公立の教育機関を指す[1]。また並立して、継続教育(continuing education)や成人教育も提供する所が多い。

4年制大学への編入学を前提としたアカデミックコース、4年制大学の1・2年次の進学を予定する予備コース(プレパレーションプログラム)、専門的な知識・技術・能力を育成する職業教育プログラム、短期大学士の学位取得プログラムなど対応範囲が広くありカリキュラムが充実している。カリフォルニア州のコミュニティカレッジでは自動車、工業、医療技術分野に限り学士課程の設置が認められるようになった[2]

コミュニティカレッジ卒業後、一部の学生は4年制リベラル・アーツ・カレッジユニバーシティに編入し、2-3年間学んで学士号を取得する者もいる。

キャンパスについては、カレッジといえば小規模であると捉えられてしまうことがあるが実際は、総合大学と比べて遜色のない大規模校から中規模校がアメリカやカナダには数多く存在する。例えばフロリダ州のマイアミ・デイド・カレッジでは学生数は約16万人おり、テキサス州のヒューストン・コミュニティ・カレッジは約11万人、ニューヨーク州のラガーディアコミュニティ・カレッジは約1.7万人、カナダのブリティッシュコロンビア州にあるバンクーバー・コミュニティ・カレッジは約2.6万人と、大都市にあるコミュニティカレッジほど学生数は多い。

アメリカのコミュニティカレッジの2年での卒業率はわずか13%[3][4]と難しく、大学への編入率は全米平均25%となっている[4]。当時のオバマ大統領は2015年1月8日に、ホワイトハウスのfacebook上にシェアした動画で、誰でも志願すれば大学教育を受けられるコミュニティカレッジの授業料無償化計画(America’s College Promise)を発表した[4]。しかし、2022年2月7日ジル・バイデン大統領夫人は全米でのコミュニティカレッジ無償化計画の条項が議会に通らなかったことを公で認めた。だが、米国約20州で資格のある学生を対象にコミュニティカレッジなどの学費を免除する措置は現在も続いている。

コミュニティカレッジのアメリカ人の在籍者数、海外からの留学生は共に2009年から減少傾向にあったが、最近では、海外からの留学生受け入れを拡大するカレッジが増え、地域住民に留まらず、留学生を受け入れるための環境整備やプロモーションを積極的にするカレッジが目立っている[5]。その効果として、ここ数年の間で留学生が増加傾向になっている[5]

イギリス[編集]

イギリス(スコットランドを除く)では、コミュニティカレッジは地元の児童青年(11-18歳)以外にも教育を提供している教育機関を指す[6]。教育内容はスポーツだけでなく、全国職業資格(NVQ)の取得、成人向けの読み書きや、ライフスタイル教育なども行う。

16歳で中等教育を卒業した生徒は、多くはシックスフォームカレッジにて一般教育修了上級レベル(Aレベル)を取得する。その後はカレッジ、継続教育、大学などに進学する。

オーストラリア[編集]

オーストラリアにおいてはコミュニティカレッジという名前は使われておらず、同様の教育機関は技術・継続教育(Technical and Further Education)、TAFE(テイフ)と呼ばれる。運営は殆どの場合、州・準州レベルにてなされている。

脚注[編集]

  1. ^ ISCED MAPPINGS - United States”. UNESCO. 2015年11月2日閲覧。
  2. ^ コミュニティカレッジが学士号授与へ(カリフォルニア州)”. qaupdates.niad.ac.jp. 2022年3月20日閲覧。
  3. ^ Community College Review”. journals.sagepub.com. 2022年3月17日閲覧。
  4. ^ a b c 米国における高等教育の現状”. ワシントン研究連絡センター. p. 8. 2022年3月17日閲覧。
  5. ^ a b コミュニティカレッジ留学(アメリカ・カナダ)/留学なら毎日留学ナビ”. ryugaku.myedu.jp. 2022年3月18日閲覧。
  6. ^ Cambridge Dictionary”. dictionary.cambridge.org. 2015年8月27日閲覧。

関連項目[編集]