狩猟

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イノシシ狩りを描いた絵画

狩猟(しゅりょう)とは、野生動物特に鳥類哺乳類を捕獲する人間の行為のことである。ハンティング (Hunting)ともいう。

漁労採集活動と並んで、人間社会の最初期から存在する生業とされている。

概要

狩猟の最も本来的な目的は、食料や物資といった人間の個別集団の生活に不可欠な必需品を野生動物から獲得することにある。その目的となる食料や物資の典型例は、皮革油脂羽毛である。その行われる地域も世界の各地で行われてきた。

狩猟の歴史は古く、農耕牧畜が普及しない時代から今日に至るまで行われている。時代が下るにつれ牧畜業が発達した地域においては、食糧を得る目的での狩猟は減少した。

生活の必需品を得る目的に代わって、特に近代産業資本主義が興隆し貨幣経済が発達してからは、商品価値の高い資材の獲得を目的に大規模な狩猟が行われてきた。その狩猟の目的となった資材には、象牙アザラシヒョウ毛皮といったものが含まれている。このため、狩猟によって特定の種が絶滅したり生息数が激減するなどの生態系への深刻な影響が顕在化してきた。これに応じて、狩猟が行われる地域の法規や、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)が整備され、狩猟には一定の制限が加えられたり禁止されている場合がある。ただし、密猟も後を絶たず実効性が上がらないとの指摘もある。

害獣駆除としての狩猟

狩猟は、人間の生活環境にとって不都合な影響を及ぼす動物を排除する、すなわち駆除するためにも行われてきた。これには主に3つのケースがある。

  • 直接的に人間や住居を襲う動物を撃退し生命の安全を確保すること
  • 飼育している動物や栽培している植物を捕食する動物を駆除し、生活資源を保全すること
  • 従来は存在しなかった外来種が侵入するなど、生態系が乱されることを防止するため、または乱されてしまった生態系を原状に回復させるため、その外来種の動物等を選択的に駆除すること


特殊な例として、人間が特定の動物種の個体数を意図的に増加・減少させてしまった結果、その生態系のバランスが崩れ、それを修正するために別の動物種を狩猟するという形態がある。この形態であっても、捕獲した鳥獣が副次的に資材を得るために用いられる場合がある。

スポーツハンティング

チェコにあるリヒテンシュタイン家剥製のコレクション

狩猟の中にはスポーツハンティングまたはゲームハンティングと呼ばれる形態も含まれている。これらは、人間が、自然の中で鳥獣を狩る為の自らの知識や判断力を試すために、または、猟犬や猟友との連携を楽しむ事ために行われ、狩猟の行為それ自体または狩猟を通じた他人との交流が目的化されたものである。狩猟本来の目的は薄れ、いわば娯楽趣味の行為として狩猟が行われるのである。このような狩猟ではスポーツマンシップに則ることが求められており、そのような狩猟行為はスポーツハンティングと呼ばれている。

スポーツハンティングは、古い時代では貴族・王族といった特権階級や富裕層の間で行われ、また武士のような戦士階級の軍事演習としても行われた。近現代においては許認可を受けた一般市民にもスポーツハンティングを行う者が存在している。

現代の日本における鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律では、捕獲した鳥獣については、それ自体および残滓の放置が禁じられ、持ち帰る事が義務付けられている。捕獲した鳥獣は、食用にする以外にも剥製にして観賞用とされることも多い。

植民地主義とスポーツハンティング

アフリカ大陸に入植する西洋人が増えるにつれ、現地で行われる狩猟は野蛮なものであるとして峻別されるようになり、スポーツハンティングのための猟獣保護区を設置するために現地の住人の狩猟は強制的に禁止され、植民地政府によって立ち退きが行われた。

オーストラリア人による人間のスポーツハンティング

サフル大陸(オーストラリア大陸)では、1788年よりイギリスによる植民地化がはじまるにつれ、動物のみならず、原住民であるアボリジニをスポーツハンティングするようになる。

1803年にはタスマニアへの植民が始まってからは[1]、同じくタスマニア島のアボリジニに対するスポーツハンティングが行われ、さらには、組織的なアボリジニー襲撃隊も編成され[2]、島を一列で縦断し島民をすべて虐殺した。

このようなアボリジニへのスポーツハンティングの背景には、アボリ二ジニを人類以前の類人猿とみなす人種差別的な当時の考え方があった。

なお、1828年には開拓地に入り込むアボリジニを、イギリス人兵士が自由に捕獲・狩猟・殺害する権利を与える法律が施行された。

集団による狩猟

アフリカ熱帯雨林に暮らす人々や、日本における銃を用いた大型獣の狩猟などは、集団によって行われる。日本のシカやイノシシ猟を例にとると、グループの中で獲物を追い立てる役と、獲物の逃げ道沿いに待ち伏せをして銃を構えている役とに別れて狩猟する。熊を狩るときも集団を組むのは基本である。特にヒグマは一人で狩るのは無謀である。なぜなら、ヒグマは狩られることが分かっているため、待ち伏せをして襲撃してくる為、一人で狩るのは自殺行為に近いからである。

このように集団で捕った獲物は、狩猟の参加者あるいは村落全体で配分されるという事例が日本の他に、サン人ムブティ族などアフリカにおいてもみられる。

狩猟による環境への影響

銃弾による水鳥の鉛汚染
現代の狩猟で鳥類を捕獲する場合は、主に散弾銃を用いて行う。この実包の中にはでできた散弾が多数封入されている。鳥類には、習性として砂のうに小さな土石の粒を蓄える種がある。そのような鳥は、直接狩猟の対象とされない場合であっても、狩猟による間接的な影響を被っている。つまり、そのような種類の鳥が土や小石等と一緒に、水辺に放出された鉛散弾を摂取することによって、鳥の体内に鉛がたまってしまい、鉛中毒となって死に至ることがある。なお、陸鳥が鉛散弾を摂取して中毒となった例は報告されていない。
対応として、散弾の素材として鉛以外の金属を用いた散弾実包が製造されている。その場合の散弾としては、スチール・ビスマス・錫・タングステンポリマー等が用いられる。日本国内でも一部地域においては、使用が許される散弾が鉛以外の材質を用いたものに制限されている。しかし既に水辺に放出された鉛散弾が深く沈下するまでには数十年かかるため、水鳥鉛中毒の発生は今後も継続し、その数も徐々にしか減少しないと考えられている。
銃弾によるワシ類の鉛汚染
北海道のエゾシカ猟に代表される鹿猟では、散弾銃にスラッグ弾を込めたもの、あるいはライフル銃が用いられる。この鉛でできた実包で鹿を撃ち、被弾部位を含む残滓を放置すると、ワシ類やカラスなどがそれを食べる。この際、ワシ類でも被弾部位にちらばった細かい鉛弾が砂のうに蓄えられ、水鳥の鉛中毒と同じように鉛中毒が引き起こされる。
対応として、鉛以外の金属(銅、タングステンポリマー等)を用いたスラッグ弾あるいはライフル弾の実包が製造されている。北海道では鉛弾の利用は全面的に禁止されており、宮城県などの地域でも使用禁止が広がってきている。北海道では、平成10年度に回収されたワシの死体のうち約80%が鉛中毒だったが、平成17年度にはその比率が10%未満に減少している。完全に0にならない理由として、違法な狩猟者の存在や、既に半矢で体内に鉛弾を有している個体の存在が挙げられている。
個体数のバランス崩壊
生態系は、よく知られる食物連鎖のほか、未解明のものも含めて極めて複雑なメカニズムによって各種生物の個体数や生息地域のバランスが保たれている。しかしこのメカニズムに人為的な介入が加えられると、バランスが大きく崩壊する場合がある。狩猟鳥獣の生態数は、狩猟者が狩猟期間終了後に提出する種別毎の捕獲数や捕獲場所の情報も含めて調査されており、著しく減少した場合は、一時的に捕獲禁止規制が実施され、生態数の回復が図られる。しかし実際には狩猟圧よりも生息環境の悪化が捕獲数減少を引き起こしているという意見もある。キジやヤマドリなどはメスの捕獲が禁止されており、基本的に生殖上の余剰オスを狩猟する形になっている。これを調査するために猟期初期のオス・メス別の出会い数調査も行われている。その比率はおおむね 1:1 となっており、これは現在の捕獲数が余剰オスの範囲であることを意味し、捕獲禁止は意味がないとの意見もある。

日本国内における狩猟

日本国内では自然保護、動物愛護、住民の安全性の確保の必要性から、狩猟に使う道具、期間、場所が厳しく制限されており各猟方に応じた狩猟免許を取得したうえで狩猟者登録をして行う。職業として狩猟を行う人々を東北地方ではマタギといい、独特の習俗があった。

歴史

狩猟活動は日本列島においては旧石器時代縄文時代には植物採集や漁労活動と同様に主要な生業で、特にシカイノシシを主要な狩猟獣とした生業が営まれていた。しかし、弥生時代稲作農耕が始まると北海道を除いて狩猟活動の重要性が低くなっていったと考えられている。

奈良時代には仏教の受容により殺生・肉食が忌避されるに至ったと考えられているが、古代においても『延喜式』では地方に対して鹿皮や猪脂など狩猟獣の動物資源が賦課されており、狩猟活動は継続されていたと考えられている。

中世・近世における狩猟は山間部の猟師たちの間で行われ、狩猟は木材生産・製材や鉱山経営、炭焼きなど山の諸生業のひとつとして行われていた。また狩猟は動物資源の利用だけでなく畑作物への獣害への対策としても行われた。[3]

戦国期に鉄砲が伝来すると、狩猟用具として用いられるようになるが、江戸時代には鉄砲の所持制限や殺生忌避のため狩猟には規制が存在したが、近代以降には狩猟規制がゆるくなり狩猟獣の個体数が減少し、一方で山村の過疎化なども影響して獣害の増加と相反する現象が起こっている。

かつての日本の猟政

かつての日本の猟政は農林省畜産局狩猟課の所管であり、地方では道府県の狩猟係で取り扱われた。

樺太においては樺太狩猟取締規則があり、甲種免状の手数料が10円、乙種免状の手数料が15円、狩猟鳥獣の種目のなかに麝香鹿や馴鹿などがある点で内地とは異なる。

朝鮮には朝鮮狩猟規則があり、甲種免状の手数料は7円、乙種免状の手数料は20円、特別免状の手数料は70円で、これは薬用材料の採取のために牝シカやクマなどを捕獲する者に下付される。 朝鮮では狩猟鳥獣の種目のなかに獐、豺、豹、虎などが挙げられている点が異なる。

台湾においては台湾銃猟取締規則があり、免許料は営業のための銃猟者は10円、その他は20円で、保護鳥の種目のなかには白眉、秋鳥、加令、黄鶯などがある点が異なる。

関東州では関東州銃猟取締規則があり、免許料は銃猟を職業とする者は2円、その他は15円で、狩猟鳥獣のなかには山雞、沙雞、鴇、魚狗、戴勝などがあるのが特徴である。

南洋群島においては南洋群島狩猟取締規則があり、免許料は台湾と同じで、狩猟鳥獣の種目のなかには豚(ただし野生のもの)、雞(ただし野生のもの)、オサ鳥、サスガ鳥、ボースン鳥などがある。

このように各風土に応じて特別の法令によって取締がおこなわれているが、猟政においては繁殖も重要であり、内地の各地に猟区のほかに禁猟区、銃猟禁止区域、捕獲禁止区域などが設置され、乱獲が防がれる。

禁猟区には特殊鳥獣の保護を目的とするもの、森林の保存を目的とするもの、候鳥の渡来を目的とするもの、風致の保護を目的とするもの、寺社の尊厳の維持を目的とするもの、危険の防止を目的とするもの、猟区の設置の予備を目的とするもの、野火および害虫の予防を目的とするもの、鳥類の人工繁殖を目的とするものなどがある。

銃猟禁止区域も禁猟区とほぼおなじ目的であるが、べつに軍事的に要塞地帯であるためなど特別の理由が示されるものがある。

捕獲禁止区域は鳥獣の繁殖と種族の保存が目的で、以上のものはあらかじめ定められた範囲と期間で施行される。 また他方では道府県の市町村に猟友会の設置を勧誘し、狩猟道徳の向上のたすけとし、東京には大日本聯合猟友会が置かれてこれらを統一する。

宮内省の御猟にかんする所管事務は主猟寮が配されて独立した猟政が敷かれ、京都府下雲ヶ畑、静岡県天城、栃木県日光、福島県矢吹などの猟場がなかば来日する外国の貴賓の接待のために維持され、大正12年に官制改革のとき主猟寮が廃され、たんに主猟課として式部職の1課に併合され、以上の猟場は廃され、埼玉、千葉に御猟場が存置されている。

狩猟にかんする旧規定内容その他

狩猟鳥獣(その種類は主務大臣が定める)以外の鳥獣は捕獲することができない(狩猟法1条)。 狩猟鳥獣の雛および鳥類の卵は主務大臣が定めるものを除いて捕獲または採取することができない(2条)。 狩猟鳥獣は狩猟免許を受けなければ主務大臣が定める銃器、網、黐縄、擌、鉤または罠を使用して捕獲することができない。 (ただし囲障のある邸宅地域内において銃器を使用しないで捕獲する場合を除く)。

狩猟免許は甲、乙の2種があり、免許状を下付する。 甲種は銃器の使用以外の方法で狩猟をなす者に、乙種は銃器を使用して狩猟をなす者に下付する。 狩猟免状の有効期間は10月15日から翌年4月15日までで、北海道においては9月15日から翌年4月15日までである。 狩猟免状の有効期間内でなければ狩猟をなすことはできない(5条)。 狩猟法または狩猟法にもとづいて発せられる命令に違反し罰金に処せられた者は1年を経過しなければ狩猟免許を受けることはできない。 未成年者、白癡者、瘋癲者も乙種狩猟免許を受けることはできない。 主務大臣または地方長官は鳥獣の保護繁殖のため、または土地所有者の出願その他の事由により必要と認める場合、10年以内の期間を定め禁猟区を設けることができる。 地方長官は危険予防のためその他必要を認めるときは銃猟禁止区域を設けることができる(9、10条)。 御猟場、禁猟区、公道、公園、社寺境内および墓地においては鳥獣を捕獲することができないが、学術研究または有害鳥獣駆除のためその他特別の事由により主務大臣または地方長官の許可を受けた場合、鳥獣を捕獲しまたは鳥類の卵を採取することができる。 国、道府県または市町村の命令の定めるところにより猟区を設定することができる。 爆発物、劇薬、毒薬、据銃または危険な罠もしくは陥穽を使用して鳥獣を捕獲することはできない。 日出前もしくは日没後、市街その他人家稠密の場所もしくは衆人群衆の場所においてまたは銃丸の達する虞のある人畜、建物、汽車、電車もしくは艦船にむかって銃猟をなすことはできない。 狩猟免許を受けた者または学術研究その他特別の理由により特に教化を受けた者が鳥獣を捕獲しまたは鳥類の卵を採取しようとするときは、狩猟免状または許可証を携帯しなければならない。 警察官吏、憲兵、森林官吏または市町村長は以上の規定により携帯するべき狩猟免状もしくは許可証または捕獲した鳥獣もしくは採取した鳥類の卵を検査することができる。

狩猟鳥獣は以下のとおり(狩猟法施行規則)。 アホウドリ、ウ、ゴイサギ、アオサギ、ワシ、クマタカ、ハヤブサ、ミサゴ、キジ、ヤマドリ、ウズラ、エゾヤマドリ、コジュケイ、テッケイ、カモ、アイサ、ガン、クイナ、バン、ダイゼン、ムナグチ、チドリ、シギ、ハト、ヒヨドリ、ツグミ(トラツグミおよびクロツグミを除く)、シロハラ、マミチャジナイ、カラス(ホシガラスを除く)、カケス(ルリカケスを除く)、シメ、イカル、イスカ、マシコ、アトリ、ヒワ、カワラヒワ、ウソ、スズメ、ニュウナイスズメ、ホホジロ、ミヤマホホジロ、アオジ、クロジ、カシラダカ、ノジコ、獣類各種(ただしカモシカ、牡イタチ、カワウソ、アマミノクロウサギを除く)。

繁殖期の関係でキジ、ヤマドリの猟期は11月1日から翌年2月末日まで、アナグマ、牝イタチ、キツネ、シカ、タヌキ、テン、ムササビ、リスの猟期は12月1日から翌年2月末日までに限られ、コジュケイ、テッケイおよび牝シカは特に農林大臣が指定した場所にかぎり捕獲することができる。

狩猟法施行規則によって定められた猟具は、以下のとおり。

銃器 装薬銃その他ガス力によって弾丸を発射する銃器、散弾を使用し得べき空気銃、刳抜銃身の空気銃および引抜銃身の空気銃。

網 むそう網、霞網その他の張網、突網および投網。

黐縄 流し黐および張黐縄。

擌 高擌および千本擌。

鉤 流し鉤。

罠 括罠、箱罠、箱落としおよび虎鋏。

これ以外の方法で鳥獣を捕獲することは地方長官の権能で許否されるが、張網のなかには霞網のほかに張切網、谷切網、兎網、兎網、かぶせ網などがあり、擌のなかには藁擌、けら擌などがあり、鉤には流し鉤のほかに置鉤があり、罠のなかにはべつに盥罠、ぶつかぶせ罠などがあり上述各猟具のいずれにも属さないものに、ぶっぱらい、黐竿、鎗、鷹などがある。

猟区

国、道府県、郡または市町村は命令に定められるところにより猟区を設定することができるという規定(狩猟法14条)によって設定される。

1 日光国営猟区は、男体山麓の9440町歩で、存続期間は大正15年から20年間で、開猟日は毎年12月1日から翌年2月末日までの毎週土曜日および日曜日で、その連続する2日間を1承認期間とし、1人の狩猟承認料は30円、1承認期間の入猟者は40人まで、棲息獣の主なるものは鹿、猪、熊であり、鹿は1人1頭以上、捕獲することはできず、使用猟具は12番以下の小口猟銃にかぎられる。

2 矢吹国営猟区は福島県西白河郡矢吹、3500町歩余、存続期間は大正15年11月から昭和16年10月まで、開猟日は毎年11月から翌年2月末日までの毎週日曜日、1人1日の承認料は15円、1日の入猟者は12人まで、棲息鳥獣の主なるものはキジ、ヤマドリ、シギ、カモ、ハト、ウズラ、ウサギなどで、このうちキジ、ヤマドリは1人の捕獲数は7羽、カモは3羽に限定され、キジ、ヤマドリの雛鳥は捕獲することはできず、使用猟具は12番以下の小口径単発銃または二連銃にかぎられる。

日光国営猟区および矢吹国営猟区は宮内省御猟場の廃止とともに農林省に移管された。

3 県営猟区は山梨県の八ヶ岳猟区、宮城県の松島猟区などがあり、その他はおおむね市町村の経営で、狩猟に関する制限は猟犬の使用を禁止または制限するところがあり、連発銃の携帯を禁じるところがあり、猟笛の使用を禁じるところ、予備銃の携帯を禁じるところ、媒鳥の使用を禁じるところなどその地方の状況で制限は異なり、承認料はおおむね2円以上15円までの範囲である。

4 なお元雲ヶ畑御猟場に設定された京都府愛宕郡雲ヶ畑猟区および葛野郡小野郷猟区は猪、鹿猟を専門として趣を異にし、雲ヶ畑猟区の開猟日は12月1日2日および12月第1第2土曜日日曜日、翌年1月から2月末日までの毎週土曜日日曜日で、承認料は開猟2日間1人25円で、捕獲獣類の員数は猪、鹿は7名以下の猟隊に対して合計3頭、9名以下の猟隊に対しては合計4頭、10名以下の猟隊に対しては合計6頭、14名以上の猟隊に対しては合計7頭で、2歳以下の猪児は捕獲を禁じられている。小野郷猟区は雲ヶ畑猟区と規程はほぼ同じで、開猟日は土曜日日曜日月曜日の3日間、1人3日間の承認料は12円で、猟区管理者の配給した以外の労子を使役することは許されない。

日本の現状

日本においては、スポーツとしての狩猟をタブーとする国民性があり、欧米に比べて、有害鳥獣の最小限の個体調整にも否定的である。 マスコミや教育分野においても、銃が少年犯罪の低年齢化を招くという意見が根強い。(2007年12月に起きたルネサンス佐世保散弾銃乱射事件によってこの傾向は深まった。)

一方、北海道などエゾシカ・ヒグマに代表される「野生動物による農作物被害」は深刻な事実であり、ライフル銃の所持条件の緩和や薬の使用、狩猟期間の延長といった鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律規制緩和が強く求められている。 またハンター養成のため、北海道の西興部村などは、指導者付きで若者などに狩猟体験ツアーを行っている。(但し、このツアーは銃器を使用できるものではない)伊豆半島においてはニホンジカによる食害が深刻な問題であり、半島全体で推定2万頭生息する個体を5000頭以下まで減少させる事が望ましいとされている現状が存在する。本州においては特定外来生物、離島においてはノイヌノネコによる固有種への脅威は依然深刻であるともされている。

以上のような状況にあって、国の統一的見解はまだ存在せず、猟銃の所持許可および狩猟は、有害鳥獣の被害が深刻な自治体では緩く、都市部では殆ど認めない傾向にある。

現状として、日本の狩猟人口は年々高齢化し、かつ減少しつつある。1979年に45万人だった狩猟人口は1995年には25万人、2007年時点で16万人程度である。 日本で許可されている銃は約30万丁である。

これは国際的には低い登録率であり、日本同様厳しい銃規制を持つ狩猟国イギリスでは日本の半分の人口にも関わらず、500万丁の銃が許可されている。 

日本国内で狩猟許可されている鳥獣

鳥類28種
ゴイサギマガモカルガモコガモヨシガモヒドリガモオナガガモハシビロガモホシハジロキンクロハジロスズガモクロガモエゾライチョウヤマドリコシジロヤマドリを除く)、キジコジュケイバンヤマシギタシギキジバトヒヨドリニュウナイスズメスズメムクドリミヤマガラスハシボソガラスハシブトガラスカワウ(平成19年度より追加)
獣類20種
タヌキキツネノイヌノネコテンツシマテンを除く)、ニホンイタチ(オスに限る)、チョウセンイタチ(オスに限る)、ミンクアナグマアライグマヒグマツキノワグマハクビシンイノシシニホンジカタイワンリスシマリスヌートリアユキウサギノウサギ

日本国内で許可されている法定猟具

むそう網、はり網、つき網、なげ網
わな
くくりわな、はこわな、囲いわな(天井を持たないはこわな)、はこおとし(さん木を備えるもの)、筒型イタチ捕獲器
銃器
猟銃散弾銃ライフル銃)、空気銃
その他
スリングショット - 正確には法定猟具にも禁止猟具にも該当しておらず、使用による罰則規定も存在しないという状況である。

日本の法律で禁止されている狩猟道具

  • 輪の直径が12cmを超えるくくりわな
  • イノシシなどの大型獣を吊り上げられるほど強力な吊り上げ式くくりわな
  • とらばさみ(法改正に伴い、2007年4月16日から使用不可)
  • つりばり
  • とりもち(もちなわはごなど。現状ではわなを用いての鳥猟自体が禁止されているため)
  • かすみ網(単純所持自体が検挙対象となる厳しい規制が敷かれている)
  • 戸板落とし(さん木を備えない圧殺目的のはこおとしも含まれる)
  • 絞殺を目的とした構造の筒型イタチ捕獲器(絞殺を防ぐストッパーの装着が義務付けられている)
  • 12ゲージ以上の大口径散弾銃(北海道でのトド猟に限定して10ゲージが許可されている)
  • 口径10.5mm以上の小銃(威力が大きすぎるため、所持自体が原則禁止)
  • 口径5.9mm以下の小銃(例えば.223口径など。威力が低く半矢になる可能性が高いため射撃競技用としてのみ許可される)
  • 空気散弾銃
  • 準空気銃
  • 弓矢
  • 爆薬
  • 毒薬
  • キジ笛
  • 音響機器
  • 危険な罠
  • 危険な落とし穴
  • 犬に咬み付かせて捕ること
    • 禁止されているのは「犬に咬みつかせることのみにより捕獲等する方法又は犬に咬みつかせて狩猟鳥獣の動きを止め若しくは鈍らせ、法定猟具以外の方法により捕獲 等すること」であり、犬以外の動物に捕らせる事は禁止されていない(補足すると、銃猟免許を所持した者が、猟銃を携えた状態で、猟期中に、狩猟鳥獣を、「犬に咬み付かせて捕ること」は禁止されていない。本来、免許を所有しないで行える狩猟行為を禁止するために出てきた禁止事項?)。例えば、鷹狩りに関して、それを違法とする法的根拠は存在しない。

自由猟具

法定猟具でもなく使用を禁止されてもいない道具を「自由猟具」と呼ぶ。例えば鷹狩は法律上では鷹を自由猟具として使用する狩猟となる。スリングショットも法令に書かれていないので、スリングショットを利用した狩猟も国内で可能である。ただし、狩猟に関する法令には違反しなくても、自治体によってはスリングショットの所持自体が禁止されている場合もあるので注意が必要である。

厳密には「素手で捕まえる」「石を投げる」などの行為も自由猟具による狩猟と見なされる。当然、素手でも期間や数などの法規を守らなければ違法行為である。

世界各国の狩猟人口

脚注

  1. ^ 「世界差別問題叢書 5 増補 アボリジニー」明石書店1993年
  2. ^ 「世界差別問題叢書 5 増補 アボリジニー」明石書店1993年、p42
  3. ^ 松井章「狩猟と家畜」 上原真人・白石太一郎・吉川真司・吉村武彦編『暮らしと生業 ひと・もの・こと 2』岩波書店 2005年 162頁

関連項目

外部リンク

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