アナグマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
アナグマ
アナグマ
アナグマ Meles meles
保全状況評価[a 1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: イタチ科 Mustelidae
亜科 : アナグマ亜科 Melinae
: アナグマ属 Meles
Boddaert, 1785
: アナグマ M. meles
学名
Meles meles (Linnaeus, 1758)
和名
アナグマ
英名
Eurasian badger
European badger
Old World badger

Meles meles range map.JPG

アナグマ(穴熊、Meles meles)は、動物界脊索動物門哺乳綱ネコ目(食肉目)イタチ科アナグマ属に分類される動物。本種のみでアナグマ属を構成する。

目次

分布 [編集]

ユーラシア大陸中緯度地方以北

M. m. anakuma ニホンアナグマ
日本本州四国九州[1][2]

形態 [編集]

体長52-90センチメートル[2]。尾長11.5-20センチメートル[2]体重10-16キログラム[2]。尾は短く、体長の1/4以下[2]。背面の毛衣は灰色(体毛は黒いが、基部や先端が白い)[2]。胸部や四肢の毛衣は濃褐色[1]

歯列は門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上下6-8本、大臼歯が上顎2本、下顎4本で計34-38本[2]。前肢の爪は湾曲し発達する[1][2]

M. m. anakuma ニホンアナグマ
体長44-61センチメートル[2]。尾長11.6-14.1センチメートル[2]。体重12-13キログラム[2]。小臼歯が上下6本[2]

分類 [編集]

ニホンアナグマを独立種とする説もある[2]

生態 [編集]

森林などに生息する[1][2]。50-100メートルに達する複数の入口がある巣穴を、主に斜面に掘り生活する[2]夜行性で、昼間は巣穴の中で休む[2]。寒冷地に生息する個体群は冬季になると巣穴の中で冬ごもりを行う(ヨーロッパ北部5か月、ロシア東部7か月)[2]

食性は雑食で、昆虫ミミズカエル爬虫類鳥類、小型哺乳類、果実キノコなどを食べる[2]

繁殖形態は胎生。受精卵の着床が遅延する期間は10か月で、遅延期間を除いた妊娠期間は6-8週間[2]。2-5月に1回に2-6頭(主に3-4頭)の幼獣を産む[2]。授乳期間は2か月半[2]。16年2か月の飼育例がある[2]

人間との関係 [編集]

体毛が筆や絨毯の原料として利用されることもある[2]

狩猟の対象とされることもある[1]。日本では鳥獣保護法における狩猟対象だが、狩猟数は減少している[1]

ヨーロッパでは中世から、捕獲したアナグマを人工の巣穴に入れて犬と闘わせる「アナグマいじめ」(Badger-baiting)というブラッド・スポーツが行われていた。イギリスアイルランドではエアデール・テリアベドリントン・テリアブルー・ポールフォックス・テリアグレン・オブ・イマール・テリアシーリハム・テリアブルテリアスタッフォードシャー・ブル・テリアウェルシュ・テリアアイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリアケリー・ブルー・テリアなどが、北ヨーロッパではダックスフントバセットハウンドなどが、南ヨーロッパではポデンゴ・ポルトゥゲスなどがアナグマ犬として用いられた。

1968年までは、アイリッシュ・ケンネル・クラブはアナグマ犬の素質を認定するチャスタス・モール(Teastas Mor)という試験を行っていた。天然のアナグマの巣穴に犬を送り込み、5分以内にアナグマと組み付く(アナグマに噛み付いて放さない)ことができれば合格とされた。アイリッシュ・テリア、ウィートン・テリア、ケリー・ブルー・テリアがアイリッシュ・ケンネル・クラブのテリア部門でチャンピオンになるにはチャスタス・モールに合格した認証が不可欠であった。

イギリスでは、アナグマいじめは1835年に、犬を使って巣穴に追いつめたアナグマを掘り出すバジャー・ディギング(badger digging)は1973年に、強力な光源と猟犬と銃を用いて夜間にアナグマを狩るランピング(lamping)は2004年の狩猟法によって違法となった。1992年のアナグマ保護法により、ナチュラル・イングランドからの許可を得ずにアナグマを殺すことは違法とされている。にもかかわらず、これら全てが未だに行われており、1990年の調査では毎年9000頭のアナグマがバジャー・ディギングの犠牲になっていると推定されている。しかし、アナグマの最大の人為的死因は交通事故である。

イギリスとアイルランドでは、アナグマがウシ型結核菌Mycobacterium bovis)を媒介することが知られている。これらの国では主に牛の畜産業者が中心となってアナグマの駆除を推進しており、アナグマ保護団体との摩擦を生んでいる。アナグマの駆除は1970年代から行われており、ウシ型結核予防に対するアナグマ駆除の有効性についての研究も行われているが、未だ結論は出ていない[3][4][5]

畜産業者を除けば、イギリスではアナグマはおおむね好感を持たれており、アナグマの保護を目的とした団体が多数存在する。アナグマ保護団体を統括するのがバジャー・トラストである[6]

日本では本種とタヌキムジナという名称で混同されていた(例えばたぬき・むじな事件)。近年は開発による生息地や獲物の減少により生息数は減少している。

画像 [編集]

参考文献 [編集]

  1. ^ a b c d e f 阿部永監修、阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎吾・米田政明 『日本の哺乳類【改訂2版】』 東海大学出版会、2008年、87頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、42-43頁。
  3. ^ The Department of Agriculture & Food (Ireland). Disease Eradication Schemes - Bovine Tuberculosis and Brucellosis. Retrieved on 8 May 2006.
  4. ^ Cassidy, Martin. Badgers targeted over bovine TB. BBC News 2 December, 2004. Retrieved on 8 May 2006.
  5. ^ National Federation of Badger Groups (Ireland). Cattle blamed for massive increase in bovine TB. Retrieved on 8 May 2006.
  6. ^ The Badger Trust Home Page

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]

  1. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • Kranz, A., Tikhonov, A., Conroy, J., Cavallini, P., Herrero, J., Stubbe, M., Maran, T., Fernandes, M., Abramov, A. & Wozencraft, C. 2008. Meles meles. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.