法学部

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法学部(ほうがくぶ)は、大学学部の一つで、法学を研究・教授の対象とする。また法学部政治学科のように法学部内で政治学を研究・教授の対象とするところもある。

概説

法学部の歴史は古く、中世ヨーロッパにまで遡る。日本では大学制度が発足した当時から設置された代表的な学部であり、学位制度の成立とともに法学士称号が授与されるようになった。なお、近年、学士号が称号から学位に昇格したのにともない、授与する学位は学科名に合わせて、法学科や法律学科などでは学士(法学)、政治学科では学士(政治学)、行政学科等では学士(行政学)といったような名称で授与されるようになった。近年の学位名称は学科の種類や名称の多様化にともない少しずつ種類も増加しつつある。卒業論文を必修科目としない大学が多いことが法学部の特色のひとつである。

日本では、法曹になるための司法試験に合格することが難しいこともあり、諸外国(ドイツ・イギリス等)に比べ、法学部を卒業しても法曹資格を有しないまま一般社会で活躍する者が多く、法学部卒業生は公務員や民間企業など幅広い分野で活躍している。また、昔から公務員試験資格試験に強いと言われてきた。司法試験を受験する学生の中には新司法試験が導入されるまでは司法試験合格のために大学に通いながら、司法試験受験予備校にも通うダブルスクールを行う学生が存在した。ただし、最近では新司法試験が導入され、学部生でも受験可能な旧司法試験の終了に伴い、法科大学院入学を念頭に置く者も増加している。

法学部におけるカリキュラム

各大学によって、必修科目、選択必修、選択科目は異なる(その扱いの違いが大学のカラーとして現れる)がおおむね次のような科目が設けられている。

一般教養科目(選択科目)

科目名の後に付くⅠ・ⅡやA・B表記等は大学・科目によって異なる。 政治系科目や経済系科目が一般教養科目に置かれている場合もある。 法学系科目も国際法や世界各国の法(英米法など)を学ぶ科目や経済法分野の科目は選択科目の場合が多い。

  • 倫理学
  • 国語表現(国語表現法)
  • 心理学
  • 歴史学
  • 比較文化論

など

法学系科目

  • 法学ないし法学入門
  • 憲法(総論・基本的人権)
  • 憲法(統治機構)
  • 行政法(総論)
  • 行政法(作用法総論)
  • 行政法(救済法)
  • 民法(民法総則)
  • 民法(物権法)
  • 民法(債権総論)
  • 民法(債権各論)
  • 民法(親族・相続)
  • 商法(総則・商行為)
  • 商法(会社法)
  • 商法(手形法・小切手法)
  • 商法(保険法・海商法)
  • 民事訴訟法(民事訴訟法)
  • 民事訴訟法(民事執行法・民事保全法)
  • 民事訴訟法(倒産法)
  • 刑法(総論)
  • 刑法(各論)
  • 経済刑法
  • 刑事訴訟法
  • 刑事政策
  • 労働法
  • 信託法
  • 金融商品取引法(旧証券取引法)
  • 知的財産法
  • 租税法(税法)
  • 経済法
  • 消費者法
  • 社会保障法
  • 公法原論
  • 私法原論
  • 国際法(総論)
  • 国際組織法
  • 国際人道法
  • 国際人権法
  • 国際経済法
  • 国際私法
  • 国際民事訴訟法
  • 国際取引法
  • 英米法
  • フランス法
  • ドイツ法
  • 中国法
  • アジア法
  • ロシア・旧ソ連法
  • イスラーム法
  • 比較法原論
  • 日本法制史
  • 西洋法制史
  • 東洋法制史
  • ローマ法
  • 国法学
  • 法哲学(法理学)
  • 法社会学
  • 法と経済学
  • 法医学
  • 現代情報法
  • 教育法

政治系科目

  • 政治学入門
  • 日本政治論
  • 日本政治史
  • ヨーロッパ政治史
  • 行政学
  • 地方自治論
  • 現代政治理論
  • 政治学原論
  • 政治過程論
  • 政治行動論
  • 国際政治学
  • 国際政治経済学
  • 安全保障論
  • 政治学史
  • 政治哲学
  • 西洋政治思想史
  • 日本政治思想史
  • 比較政治学
  • アメリカ政治
  • アジア政治
  • 社会主義諸国における政治
  • 発展途上国における政治
  • 先進国における政治
  • 統計学
  • 宗教文化論

経済系科目

  • 経済原論(マルクス経済学)
  • 近代経済学
  • 金融論
  • 労働経済
  • 会計学
  • 経営管理

演習

  • 演習

卒業論文

  • 卒業論文 - 課されないケースが多い。

大学院

法学部を設立母体とする大学院としては、法科大学院専門職大学院)、公共政策大学院、法学研究科、政治学研究科などがある。

法学部を持つ日本の大学

日本の大学で最古の歴史を持つ法学部は東京大学法学部である[1]

また、日本の大学における法学教育は明治期の法律学校を基盤として発展したものが多く、法律学校がその後大学に発展した例も多い。 日本最古の法律学校は、後に東京大学法学部へ吸収された「司法省法学校」であり、欧米留学からの帰国者、司法省法学校や東京大学法学部の出身者・関係者を中心として私立の法律学校が複数設立された。法典論争後、有力な私立法律学校は専門学校令による専門学校を経て、大正期に大学令による大学へと発展した。

国立

※「法学部」という名称を有する学部を設置している大学(括弧内は2010年度の募集人員・志願者数、14大学)。すべて法科大学院を設置している。

  • 新潟大学(135・514)
  • 名古屋大学(100・281)
  • 京都大学(320・876)
  • 大阪大学(250・900)
  • 神戸大学(180・898)
  • 岡山大学(184・683)
  • 広島大学(140・497)
  • 香川大学(110・421)
  • 九州大学(199・648)
  • 熊本大学(190・671)
  • ※上記以外で法科大学院を設置している国立大学(10大学)の法学を主として教授する学部課程。

    ※法律・政治学を専攻できるその他の大学(15大学)。

    公立

    ※「法学部」という名称を有する学部を設置している大学(括弧内は2010年度の募集人員・志願者数、2大学)。

    ※上記以外で法科大学院を設置している大学(1大学)。

    私立

    ※「法学部」という名称を有する学部を設置している大学(77大学)。なお、2011年度より京都女子大学が(女子大学で初の)法学部を設置。

    北海道・東北

    関東

    中部

    近畿

    中国・四国

    九州・沖縄

    ※上記「法学部」以外の法学系学部を設置している大学(5大学)。

    法科大学院を持つ日本の大学 

    法科大学院を持つ日本の大学については、同項目の該当節を参照。

    脚注

    1. ^ 詳細については、法律学校 (旧制)を参照のこと。