ドロップキック

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エディ・ファトゥにドロップキックを仕掛けるジェフ・ハーディー

ドロップキック (Dropkick) はプロレス技の一種。蹴り技および飛び技に分類される。

掛け方

空中に舞い上がるランス・ケイド。受け手はシェルトン・ベンジャミン

対戦相手目掛けてジャンプし両足を揃えて足裏で蹴る。

技を出すタイミングの例
  • 立っている相手に対し、その場で飛び上がって蹴りつける。
  • 立っている相手に向かって走り、勢いをつけて蹴りつける。
  • 走ってくる相手に対し、カウンターの形で当てる。
  • コーナートップから飛びかかってくる相手を迎撃する。
  • コーナートップに登ろうとしている相手を蹴り落とす。
  • エプロンサイドに立った相手をロープ越しに蹴る。

種類

正面飛び式
仰向けに飛び上がり、ヒット後はそのまま後ろ受け身をとる。ドロップキックの原型といえる形であり、力道山の時代はこれが主流であった。
スクリュー式
正面飛び式を改良したもので、捻り式とも言う。両足で相手を蹴り付けた後、空中でうつ伏せになるように体勢を変え、前受け身をとる。着地から素早く立ち上がり連発で放つことが可能。現在はこの形が主流になっている。
一回転式
相手にキックを当てた後、後方に一回転して前受け身を取る。ジュニアヘビー級の選手に使い手が多く、跳躍力と身軽さをアピールするのに絶好の技。旋回式とも呼ばれる。
低空式
立っている相手の下半身や、四つんばいになっている相手の顔面を狙うドロップキック。元祖は渕正信だが、この技を有名にしたのは武藤敬司である。彼の得意とする足殺しや、そこからの足4の字固めシャイニング・ウィザードに持っていくまでのつなぎ技となっている。
串刺し式
コーナーにもたれかかっている相手に走って勢いをつけて放つ。
三十二文人間ロケット砲
ジャイアント馬場の繰り出すスクリュー式のドロップキック。全盛期でも一年に一度くらいしか披露しなかったが、1968年6月27日に行われたインターナショナル・ヘビー級選手権ボボ・ブラジル戦では三連発を見舞わせ、フォール勝ちでタイトルを奪回した(一つの試合で複数回放ったのはこの時のみ)。名称は馬場のカウンターキックを十六文キックと呼ぶところから来ている。また、ジャイアント馬場は全日本プロレス中継の解説時、ドロップキックという言葉は使わず「飛び蹴り」と表現していた。
カンガルーキック
背後から羽交い絞めを繰り出してきた相手などに対し、体を前転させながらジャンプし、両足を揃えて蹴る変型の正面飛びドロップキック。派生技にチャパリータASARIのコーナーに振った相手に対しロンダートで近づいた後、カンガルーキックを見舞うロンダート・カンガルーキックがある。また、アントニオ猪木アンドレ・ザ・ジャイアントにサーフボードストレッチで捕えられた際、この技で脱出する場面が度々見られた。

ミサイルキック

コーナートップからのドロップキックはミサイルキック(英語ではMissile dropkick)と呼ばれる。

1948年にアントニオ・ロッカが開発して披露しているが、日本では国際プロレスに来日したエドワード・カーペンティアが初公開(週刊プロレスビデオ増刊号のレトロ編1に収録されている)、さらに1975年全日本プロレスに来日したリッキー・ギブソン(ロックンロール・エクスプレスロバート・ギブソンの実兄)が公開し、話題となった[1]テネシー地区で彼のライバルだったココ・B・ウェアも得意としている。日本ではこの技をギブスンに受けたジャンボ鶴田ウルトラCドロップキックジャンボ・ミサイルキックの名称で若手時代の切り札にしていた。ダイナマイト・キッドジョニー・スミスは着地した後にヘッド・スプリングの要領ですっと立ち上がるスタイルで人気だった。高野拳磁は2メートルの巨体からこの技を繰り出し、「人間バズーカ」の異名をとった。また、森嶋猛のものは「スカッド・ミサイル」と呼ばれ、この技を喰らった丸藤正道が、その威力の凄まじさから実在のミサイル兵器をイメージして命名した。

種類

スワンダイブ式
トップロープの反動を利用して飛び上がった後、相手めがけて放つドロップキック。大谷晋二郎が使い手として知られる。
急降下式
コーナーポストから膝などの下半身を狙って蹴る低空ミサイルキック。武藤敬司の得意技。武藤はセカンドロープから放つ場合もある。
長滞空式
相手にヒットするまでの滞空時間が長いミサイルキック。吉野正人丸藤正道が得意としている。

派生技

ライダーキック
仮面ライダー』のライダーキックから着想された、片足でのミサイルキック。DDTプロレスリング格闘探偵団バトラーツリアルジャパンプロレスなどにレギュラー参戦している、仮面シューター・スーパーライダー(修斗ウェルター級初代王者・渡部優一)が得意技にしていた。ザ・グレート・サスケはこの技をリング外に向けて放っていたが、受け身に失敗して負傷して以来、封印している。他にもアキバプロレスにて「仮面ライダーの主役オーディションを七回受けた」と語った美月凛音など、何人かの使い手がいる。
福岡晶が使用していた同名の技は、相手の後頭部へ放つ前方一回宙返り式ミサイルキックである。紫雷イオが福岡から直接指導を受けて、この技を受け継いでいる。
コーナー・トゥー・コーナー・ドロップキック
相手をコーナーに宙づり状態にして固定、自分は反対側のコーナーにたち、主に相手の頭部を狙って放つミサイルキック。元祖はロブ・ヴァン・ダムの「ヴァン・ターミネーター」でCIMAは「トカレフ」の名称で使用。非レスラーであるシェイン・マクマホンも使用している。丸藤正道は「fromコーナーtoコーナー」の名称でスワンダイブ式で使用している。

名手

1930年代に活躍したアメリカのレスラー、ジョー・サボルディが元祖である。

その後はペドロ・モラレスパット・オコーナーアントニオ・ロッカなどがドロップキック三人男として名手と呼ばれていた。

日本では遠藤幸吉吉村道明が名手として名をあげ、ジュニア時代の藤波辰爾も連発式で繰り出していた。木戸修も、かつては名手として評価されていた一人である。

三沢光晴は一回転式ドロップキックをヘビー級で本格的に使った第一人者である。現在では田口隆祐がこだわりを持って使っていることで知られ、この技のみで獣神サンダー・ライガーを秒殺したことがある。

女子では豊田真奈美が正面飛び式を得意としており、相手が起き上がったところで間髪入れずに打ち込んで2度3度とぶっとばし、2ndコーナー(ときにはトップコーナー)からのミサイルキックへと繋ぐムーブメントをみせていた。また相手に組み付かれ、上に投げられた反動を利用して至近距離からの一撃も披露している。ともにアイスリボン所属で豊田よりお墨付きを受けている藤本つかさつくしのタッグは「ドロップキッカーズ」と呼ばれている。

現役の外国人選手ではAJスタイルズハードコア・ホーリーマーク・ジンドラックWWEのトップとして活躍するエッジランディ・オートンなどが使い手。

脚注

  1. ^ 『全日本プロレス 来日外国人選手 PERFECTカタログ』P56(2002年、日本スポーツ出版社

関連項目