シャドルー

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シャドルー (Shadaloo) は、カプコン対戦型格闘ゲームストリートファイター』シリーズに登場する架空組織

概要

兵器売買、麻薬取引、誘拐から要人暗殺まで、あらゆる悪に手を染める秘密結社で、本拠地をタイに置く。初出は『ストリートファイターII』(以下『ストII』と表記)。本作のボスであるベガはシャドルーの総帥であり、彼を含めた4人の格闘家を四天王と呼ぶ。ただし四天王は基本的に戦闘要員であり、実務はその下の戦闘員たちが行っているようである。政府や地方議会といった行政機関をも牛耳っており、米軍とも癒着している。ロゴの特徴は翼の付いた髑髏で、ベガの帽子の徽章にも使用されている。

組織の構成員は以下の手段で補充される。

ごく稀に自ら志願する者(バーディー)もいるが、総帥であるベガの目に留まらない限りは狭き門といえる。ただし『ストリートファイターZERO』(以下『ZERO』と表記)のダンのエンディングで彼をスカウトするなど、ベガの格闘家に対する興味は気まぐれであるかのような描写もある。

また、末端の戦闘員とは別に、ベガの直属であるベガ親衛隊が存在する。作中に登場する親衛隊はすべて女性であり、それぞれが高い戦闘能力を有している。先述の人物ではキャミィ、ユーリ、ユーニ、ディカープリが親衛隊にあたり、13名(現存12名+キャミィ)存在している。

『ストII』の舞台となる格闘大会も戦闘員確保や敵対者抹殺のためにシャドルーが主催したものである。

空中要塞や涅槃仏を模した巨大ロボット、骸骨を模した人工衛星を所有するなど、一国に匹敵する規模の科学力、軍事力を持つ。主な資金源は麻薬であり、世界各国に巨大な麻薬シンジケートを築いている。麻薬の中には幻覚作用の他に、洗脳効果や肉体強化のような副作用を持つ物まである。

バルログやバイソンなど腕利きのファイターたちはシャドルーの運営する賭博試合に参加しており、『ストII』シリーズにおけるアメリカステージ(バイソン面)やスペインステージはその舞台会場である。

『COMPLETE FILE STREET FIGHTER II』付録ポスターの記載によると、世界各地でシャドルーの下級隊員および幹部がストリートファイトで大敗を喫しているという情報を聞いた四天王が、若きエリートたちを絶海の孤島に集め、悪のユートピア「シャドルーひみつ基地」を建設している。ここで修練を積んだメンバーは科学者やコックにいたるまで一流の格闘家で、一般社会に紛れ込んで活動している。

『ZERO』ではまだシャドルーの秘密基地は完成しておらず、ベガが世界征服のための人材探しを行っている最中だった。そのためベガのホームステージはタイではなくアメリカとなっている[1]

『ZERO2'』のキャミィのエンディングでは「M計画」という名前が語られたが詳細は不明。

ストリートファイターIV』(以下『ストIV』と表記)では壊滅したとされていて、アニメーション内でリュウケン春麗ガイル、キャミィの5人に一斉に襲い掛かられ、追い詰められたベガが基地もろとも自爆したことが直接的な原因と語られた[2]が、ベガは代替ボディを媒介に復活し、シャドルー残党を率いて再び表舞台に姿を現すことになる。

ストリートファイターIII』ではベガとともに健在とされているが[3]、一方で『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』の春麗のストーリー中ですでに春麗の手(脚)によって壊滅させられているとも言われている。またシャドルーの活動はギルの組織により、ベガさえ気づかない大きな力によって利用されたり、コントロールされている[3]

ストリートファイターV』(以下『ストV』と表記)ではシャドルーが最も力を持っており、本拠地の屋上には飛行場があり最新型の飛行機や戦車などが置かれ、巨大な球体型の人工衛星の様な兵器も確認でき、「計画が最終段階に入った」とも話し、遂に世界征服が実現する段階までに至っている。キャミィのストーリーモードではDollsが「チェインズ計画」の一部と語られたが詳細は不明。

知名度

「秘密結社」と銘打たれてはいるが、特にコネクションを持たないバーディーのような悪人でも存在を知っており、アンダーグラウンドな世界では相応に認知されている。インターポール(春麗)やアメリカ軍ナッシュ、ガイル)内部でもその存在は周知であり、重要な犯罪組織としてマークされている。『ストII』でのキャミィのバックストーリーではシャドルーの実態を知る者はほとんどいないとされ、英国の特殊工作部隊にはイギリス国内のみをターゲットにした取るに足らない弱小組織と認識されている。民間人(さくらなど)はその存在について(シャドルー自体かなり大規模に活動しているにもかかわらず)まったく知らないが、『ZERO3』のかりんのエンディングや『NAMCO x CAPCOM』ではニュースでも報道され、一般人にも知られている。

関連組織

S.I.N社

初出は『ストIV』。正式名称は「Shadaloo.Intimidation.Network社」。シャドルーの兵器開発部門を担当する軍事企業で、シャドルーの関連組織の1つ。CEOは『ストIV』のボスキャラクター・セス。ロゴの特徴は格子状に分割された球体=地球と、その中央に描かれた大きな瞳。

近年目覚しい発展を遂げた新興企業とされるが、銃器で武装した黒服の集団を擁し、犯罪組織などとの接触も見られるなど黒い噂が絶えない。『ストIV』における世界格闘大会を主催したのもこの企業であり、ゲーム内でもステージの背景に同社のロゴが入ったミサイル戦闘機が描かれている。自社製品としては前述した大型兵器以外に、戦闘補助スーツなどの特殊な武装や、既存の兵器とはまったく異なる新世代の兵器の製造も行っているようである。また、『ストIV』の新キャラクターであるクリムゾン・ヴァイパーCIAの内偵でこの企業に所属しており、社内では幹部候補の1人とされる。

本編ではセスの計画により、格闘家のデータ収集や試作兵器のテストなどを目的に世界格闘大会を開催するが、研究施設へ着いた格闘家によってセスは撃破され、春麗たちがS.I.Nの内部情報を持ち帰り内容を暴露したことで壊滅に追い込まれた。また、その際にS.I.Nの研究を危険視したキャミィによって一部のデータは消去されているが、バイソンが実験体の1人である少年を、バルログが消去前の完全なデータを回収している。

リビング・インキュベータ計画
『ZERO3』において消滅したベガの代替ボディのため、『IV』以前に計画された事業。アベルやセスは当計画で産出された人為的に同じ遺伝子を植え付けられた人造人間であり、セスに関しては同型機が本人も含め27体存在する。また、「インキュベータ」とは「孵卵器、保育器」などのことを指す。
第1弾として、丹田エンジンを入れる器となる人造人間をクローン受精卵の状態から一定の肉体年齢まで培養する。その後、第2段階で生殖器や排泄孔の除去など「器」としての肉体改造手術を施したうえで丹田エンジンを装着し、セスのような姿の人造人間が完成する。この段階へ入る直前にアベルはナッシュにより救出された(それが『IV』の物語が始まる5年前の話である)ため、異形の姿とならずに済んだ。
BLECE
正式名称は「Boiling Liquid Expanding Cell Explosion」。直訳すると「沸騰液 膨張細胞爆発」。
S.I.N社の新製品。ゲーム内ではわずかにその名前と装置が登場するのみで、具体的な原理や性能は語られなかったが、オリジナルアニメーション『〜新たなる絆〜』で大まかな解説が行われた。
簡単にいえば、生物が持つ生体エネルギー「」を操作できる装置。装置から発せられる特殊な人工の「気」を浴びせ、対象の肉体に様々な変化を起こさせることが目的である。
基本となるのは殺傷兵器としての使い方で、装置から発せられる「気」を対象の細胞に共振させ、細胞内のミトコンドリアを急激に活性化させることで、生物を内部から爆発させるというもの。この機能に対してセスは、生物のみを死傷させることができるために「史上もっとも安全でクリーンな兵器」と呼んだ。また、将来的には対象者の持つ気を増幅させることで身体能力の飛躍的な強化も可能になり、素質を持たない者でも擬似的に殺意の波動に目覚めた状態にできるとされる。同作品内では小型化も検討されており、これらの特性を利用することで様々な兵器として利用できると語られた。そのため、「気」の扱いに長けている多くの格闘家を拉致して人体実験を行う様子なども描かれ、実験の最終段階として殺意の波動を持つリュウを狙った。

所属メンバー

四天王

  • ベガ - シャドルーの総帥。側近であるサガット、バルログ、バイソンに対して「立場上は自分と同格」だとしているが、彼らのことは全く信頼していない。
  • サガット - 側近の1人。あくまでもリュウと再び闘うチャンスを得るために側近になっただけなので、最終的にはベガと決裂し、『ストIV』シリーズではシャドルーから抜けている。
  • バルログ - 側近の1人。あくまでも私欲(美の追求)のためだけに所属しているので、協力的とはいえない。しかし、漫画やアニメなどではベガに忠実な人物として描かれることが多い。
  • マイク・バイソン - 側近の1人。組織の金が目当てなので、ベガへの忠誠心は皆無に等しい。『ZERO3』では彼のみ正規にシャドルーの幹部になっている。
  • ファン - 『ストV』にてサガットの後任として新たに加わった側近の1人。シャドルー四天王のNo.2を自称している。サガットたちとは違い、ベガへの忠誠心は厚い[4]

ベガ親衛隊(Dolls)

  • キャミィ - 元は「キラービー」のコードネームを持つシャドルーの戦闘員。また、『ZERO3』ではベガの遺伝子を持つクローンだったという事実が判明。『ストII』シリーズと『ストIV』シリーズでは所属が英軍特殊部隊デルタレッドになっている。

以下の12名は各国のに由来するコードネームを持つ。また、ユーリ、ユーニ、ディカープリ以外のメンバーの能力は設定上でのみ紹介されている。

  • エネーロ - コードネームはスペイン語の1月に由来する。ピンク色のドレッドヘアをツインテールにしている。『ZERO3』では姿を見せない。
  • フェヴリエ - コードネームはフランス語の2月に由来する。ピンク色のショートヘアの少女で、銃火器の扱いに優れている[5]
  • メルツ - コードネームはドイツ語の3月に由来する。紫色のボブカットの少女。
  • アプリーレ - 彼女はコードネームが本名から採られている(意味はイタリア語の4月)。肉親にマッジオ(意味はイタリア語の5月)という弟がいて、ローズに彼女の捜索を依頼している。ピンク色のセミロングヘアの少女で、医療担当[5]
  • サツキ - コードネームは旧暦の日本語読みの5月に由来する。日本刀の使い手。
  • ユーニ - コードネームはドイツ語の6月に由来する。豪鬼の格闘データをもとに訓練を行ったといわれている。
  • ユーリ - コードネームはドイツ語の7月に由来する。足技を得意とする。サンダー・ホークの恋人ジュリアと同一人物。
  • サンタム - コードネームはベトナム語の8月に由来する。黒人のような姿をしている。槍を使い、ゴールデンライオンタマリンを飼っている。
  • ジウユー - コードネームは中国語の9月に由来する。ヌンチャクの使い手。
  • ヤンユー - コードネームは中国語の10月に由来する。棒術の使い手。『ZERO3』では姿を見せない。
  • ノウェンベル - コードネームはラテン語の11月に由来する。インディアンのような風貌で、両手に斧を持って戦う。
  • ディカープリ - コードネームはロシア語の12月に由来する。外見は仮面を被ったキャミィのような姿をしている。

『ストV』ではDollsが「チェインズ計画」の一部と語られている。

正規メンバー

  • バーディー - ベガに代わってシャドルーの総帥になるという野望のために構成員となるが、ベガには全く相手にされていない。『ZERO』と『ZERO2』のエンディングでシャドルーに入り、『ZERO3』ではシャドルーの一員として登場する。『ストV』では新幹部であるファンとそりが合わなかった事から、シャドルーを抜けている[6]
  • 科学者(本名不明) - 劇場版アニメ『ストリートファイターII MOVIE』に登場するベガお抱えの科学者で、頭頂部が禿げ上がった初老の小男。『ZERO2』のベガのエンディングにも姿を見せる。モニターサイボーグを開発した張本人で、旧式のサイボーグが測定したリュウの潜在格闘能力を見て驚愕する。
  • サイボーグ - シャドルーが開発したサイボーグ。劇場版アニメ『ストリートファイターII MOVIE』では偵察用のモニターサイボーグが登場するうえ、そのゲーム版ではモニターサイボーグに装甲を施して戦闘能力を付加したバトルサイボーグが登場する。

シャドルーと関係するキャラクター

S.I.N社の関係者

  • セス - シャドルーの下部組織であるS.I.N社の責任者。ベガの代替ボディとなる予定の人造人間でもある。
  • ハン・ジュリ - セス直属の部下である暗殺者。ベガは自分を追及していた検察官だったジュリの父を殺し、彼女の左目を潰して義眼「風水エンジン」を装填させた。ただし、ジュリはセスはおろかベガに対しても忠誠心は持っていない。
  • クリムゾン・ヴァイパー - 表向きはS.I.N社の社員だが、その正体はCIAの潜入捜査官。
  • アベル - 自分の失われた記憶に関わっているシャドルーを追跡している格闘家。後にS.I.N社の計画によって生み出された人造人間であることが判明する。

シャドルーの敵対者

  • リュウ - 格闘家としての潜在能力をベガに見込まれて狙われる。非人道的なシャドルーのやり方に強く憤るほか、リュウ自身も洗脳対象にされることがある。
  • ケン - 劇場版『ストリートファイターII MOVIE』や『ZERO3』では洗脳されてリュウと戦わされる。『SVC CHAOS』では能力も強化された「洗脳されたケン」が登場。
  • 春麗 - 父親は麻薬捜査官でシャドルーがその失踪に深く関わっており、春麗がインターポールに入るきっかけを作った。
  • ガイル - ベガに親友のナッシュを殺され、復讐に燃える。
  • ナッシュ - 軍との癒着を秘密裏に捜査する。『ZERO』や『ZERO2』ではエンディングで襲われ、生死不明となる。『ZERO3』のエンディングではベガの撃破に成功するも、ガイルのエンディングにおいて、ベガ撃破の際に基地の爆破に巻き込まれて生死不明となる。『IV』では当作の5年前に救出したアベルを、知人の傭兵隊長に託して行方不明になる。『ストV』ではシャドルーではない別の組織に改造手術を施され全身が継ぎ接ぎ状態で蘇生するが肉体が死んだことに変わりはなく、残された時間でベガを倒すと、怒りと復讐心を糧に春麗やガイルと共に行動を始める。『VS.シリーズ』ではシャドルーに囚われ、改造人間シャドウにもされてしまった(『MARVEL VS. CAPCOM』まで。『MARVEL VS CAPCOM2』では元のナッシュに戻っている)。
  • ブランカ - 母親と生き別れになった飛行機事故はシャドルーによるテロが原因。
  • ダルシム - 愛象コダルの親をバイソンに殺害された。また、シャドルー製の麻薬で故郷の人々が汚染されたこともある。
  • サンダー・ホーク - 父親をベガに殺され、部族の聖地を追われている。恋人のジュリアもさらわれた。
  • 豪鬼 - 『スーパーストリートファイターIIX』のボス戦で乱入し、ベガを「瞬獄殺」で倒す。
  • ローズ - ベガを倒す使命を持つ占い師。『ZERO3』以降の作品では、かつてはベガの弟子だったと設定された。
  • かりん - ベガが神月財閥に度重なる脅迫を行っていたことが『ZERO3』のエンディングにて判明。その報復措置として、シャドルー基地はキラー衛星「まんじゅしゃげ」によって根こそぎ吹き飛ばされる。

その他

  • アドン - ベガが目をつけているムエタイ戦士(特に面構えが気に入ってる)。なにかとアドンをスカウトしようとするが、アドンはまったく気にかけていない。
  • プルム・プルナ - 祖父がシャドルーの関係者で、その縁でプルム自身も次期シャドルー幹部候補として目をつけられている(当の本人は知らない)。プルムの性格ゆえにいい人事とはいえず、本人のエンディングでもそのことについて突っ込まれている。また、父バルバはサイクロイドの開発者である。
  • サドラー - OVA『ストリートファイターZERO - THE ANIMATION -』に登場するプロフェッサー。生物学者として名高く、シャドルーから資金が渡っている。世界中の格闘家を集めて研究を行い、殺意の波動の力を手に入れて世界を牛耳ろうとしている。部下の大男ロザノフの身体には、今までに採取した全格闘家のデータを取り込ませている。

他のメディアでのシャドルー

ハリウッド実写映画『ストリートファイター』(1994年)
設定が変更され、東南アジアにある某軍事国家の名前(首都はシャドルーシティ)という設定になっており、幹部はバルログ(日本版のバイソン)と入れ替わりにザンギエフディージェイがメンバーに加わっている。サガットとベガ(日本版のバルログ)は戦闘集団シャドルー・ギャングに所属していて、バイソン将軍(日本版のベガ)とは協力関係にある。また、この作品では基地警備を担当するバイソン軍の兵士団が存在し、この設定を基にしてゲーム『ストリートファイター ザ・ムービー』ではこの戦闘員たち(ブレード、カイバー、アーケイン、F7)が単独のキャラクターとして参戦していた。ブレードの正体は、『マッスルボマー』のアメリカ版『Saturday Night Slam Masters』に登場したガンロック(日本版でのラッキー・コルトに当たる人物)とされている。
ハリウッド実写映画『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』(2009年)
設定が変更され、影で暗躍するバンコクの投資会社の名前という設定になっており、幹部としてサガットと入れ替わりにカンタナという女性メンバーが加わっている。

脚注

  1. ^ ゲーメストムックVol.16『ストリートファイターZERO』より。
  2. ^ 『オリジナルアニメーション feat.Cヴァイパー』より。
  3. ^ a b ゲーメストムック『ストリートファイターIII ファンブック』のオフィシャル回答より。
  4. ^ CAPCOM:STREET FIGHTER V 公式サイト”. カプコン (2015年12月7日). 2015年12月8日閲覧。
  5. ^ a b 『ストリートファイター ザ・コミック vol.2』より。
  6. ^ CAPCOM:STREET FIGHTER V 公式サイト”. カプコン (2015年12月11日). 2015年12月11日閲覧。