アレックス・ジョーンズ
アレックス・ジョーンズ(Alexander Emerick Jones、1974年2月11日 - )は、アメリカテキサス州オースティン在住のラジオ番組のホスト、俳優、映画製作者。トークラジオ番組The Alex Jones Showは全米100以上AM・FM局で放送され、YouTubeでのTheAlexJonesChannelは現在5億以上のビューワー数を誇る人気チャンネルである。
活動
新世界秩序(New World Order)論、アメリカ同時多発テロ事件陰謀説、優生学者による人口削減計画、及び様々な陰謀説を唱える。
1995年、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件に明らかに米国政府が関与していることを糾弾した(オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件陰謀説)。以後、国内テロリズムの歴史と、それを口実に銃規制や警察国家の強化をはかる連邦政府の共謀関係を研究する。
1998年、当時テキサス州知事であったジョージ・W・ブッシュ支持者の集会の最前列に紛れ込み、ブッシュの演説中、「連銀とCFRを廃止すべきじゃないですか、知事?それがこの国を破壊している真の現実ですよ。アメリカのために立ち上がらないのですか、知事?」と質問を投げかけたが、ブッシュは黙って何も答えずアレックスは警備員にその場から連行された。
2000年、サンフランシスコ近辺で年に一度、エリート達が集まり奇怪な儀式を行っていることが陰謀論者の間で長年話題になっていた秘密結社ボヘミアン・グローブの内部に潜入し儀式の隠し撮りに初めて成功した。映像では巨大なフクロウの像の前で奇妙な叫び声の音響を流しながら何かを燃やしている場面を映しているが、アレックスによるとフクロウの像はモレクを象徴しており、儀式はモレク崇拝者による子供を焼き殺すカナン式の生贄殺人(人身御供)であるとした。
また2001年9月11日の同時多発テロの2ヶ月前に、自身のラジオで米国の軍産複合体がオサマ・ビン・ラディンとアルカイダを利用して自作自演のテロを起こすことを警告し、議員に"政府がテロを計画していることを我々は知っている"と電話で伝えるようリスナーに呼びかけたことが予言的な発言として話題になる。アレックスは、ホワイトハウスに通じていたインテリジェンス人脈(ブッシュはテキサス出身であり、アドバイザーや側近にテキサス出身の人物が多かった)から入手した資料や様々な地政学者への取材、アメリカがこれまで行ってきた偽旗作戦の研究から、事前の予測は容易であったという。
2006年6月、カナダのオタワで開かれた欧米有力者の非公開ミーティングビルダーバーグ会議を撮影・取材するためにオタワに向かうところ、カナダの空港で警察に取り押さえられ、パスポートや撮影機器などを没収された。2007年9月11日にはニューヨーク市マンハッタンで9-11真相究明運動(9/11 Truth Movement)の街頭デモに参加中、警察に無許可でメガフォンを使ったとして逮捕される。
2011年10月、ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)運動に対して、アレックスは当初、この運動を「アメリカ国民がついに目覚めた」と支持していたが、後に、ジョージ・ソロスが資金提供を行っていること、アル・ゴアやミハイル・ゴルバチョフなどの大物グローバリストが運動への支持を表明し始めると、この運動は社会主義者が組織した「統御された反対派 (Controlled Opposition)」であり、アメリカ版のカラー革命を起こそうとしているとして運動に批判的になった。アレックスは悪の根源は連邦準備制度と「六つの巨大銀行 (Six Mega-Banks)」(ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレー、シティグループ)であるとして、「Occupy The Fed (連銀を占拠せよ)」運動を立ち上げ、ダラス連邦準備銀行前で抗議デモを行い、私有銀行による独占的な通貨発行権の廃止を訴えた。
略歴
テキサス州・ダラスで歯科医の家庭に生まれる。1996年、KJFK-FMでリスナー参加型のラジオ番組The Final Editionのホストとして活動を開始。1998年に『America Destroyed By Design』をリリースし映画デビューする。1999年にはオースティンの地方紙The Austin ChronicleのアンケートでのBest Austin Talk Radio Host(ベスト・オースティン・トークラジオ・ホスト)に選ばれるが、その年の終わりに彼の主張などが広告主に番組を売りづらくしているとの理由でKJFK局から解雇される。 2000年にテキサス州下院議員選挙に「インサイダーの中の監視人になるため」に共和党候補として立候補、しかし投票日前に選挙活動から撤退した。
主張
アメリカの主流メディアはアレックスは「右派系陰謀論者」であると描写している。アレックスは、そもそも右翼対左翼のパラダイム自体、支配者が人民を分断統治するために産み出した虚構の対立であり、時代遅れの政治的スペクトルであると批判している。実際に、これまで歴史上現れた政治体制は、右翼の全体主義(ファシズム)も左翼の全体主義(共産主義)も、同様に独裁的な専制が行われ、大量虐殺を行った。アレックスによると、支配層は一方でナチスなどのファシズムを支援し、左翼は反ファシズムで大同団結する(e.g.人民戦線)。その一方で支配層はボルシェビキなどの共産主義も支援し、右翼は反共主義で大同団結する、この統治はキャロル・クィグリーが著書『悲劇と希望 (Tragedy and Hope)』で描いている統治法であり、アレックスはこれを「完全支配 (Full spectrum dominance)」と呼んでおり、これを超克し集団主義(Collectivism)の右翼/左翼の偽のパラダイムから脱しなければならないとする。
アメリカ合衆国憲法、中でも権利章典(Bill of Rights)を最重視しており、特に近年の銃規制の流れにたいしては修正第2条(人民の武装権)擁護の立場から断固として反対している。アレックスは歴史的に専制国家が治安維持を口実に人民の非武装化を進め中央政府が暴力装置を独占することで、ジョン・ロックらが説いたところの自然権としての革命権を無効化し、暴虐政治や大量殺戮を可能にしたことを第一の理由に挙げる。
NAFTA、北米連合(NAU)構想、また北米通貨連合とその統一通貨としてのアメロ構想に国家主権の立場から断固として反対している。アレックスはこれらの地域ブロック化は将来的に欧州連合(EU)やアフリカ連合(AU)と合体しグローバリスト支配層による世界統一政府を作るための裏口であるとしている。現にEU大統領のヘルマン・ファン・ロンパイは初任演説で「世界統治(Global Governance)」に言及しており、アレックスは自身の番組で欧州懐疑主義者の欧州議会議員らに多数インタビューを行い、EUの潜在的な危険性について警告している。
2009年3月には全米がまだオバマ大統領就任に沸くなかで映画『The Obama Deception (オバマの詐欺)』を公開。オバマ期待論の全てを一蹴し、民主党と共和党は争っているように見えて真に重要な問題(軍産複合体や連邦準備制度の是非など)についてのスタンスは全く一致しており、そのためアメリカの政治制度は中身が同じ二つの政党による二党独裁政治であり、支配層は大統領など外見しか違わないパペットを定期的に取り替えることで国民の目が真の支配層に届かないよう騙し続けていると批判する。『The Obama Deception』はYouTubeで無料公開されており、2012年3月現在で1000万以上の再生回数を記録している。
ヨーロッパ王族やアメリカの知識人、特に環境保護・持続可能性・生物多様性といったお題目を唱える科学者やエコロジストに優生学思想がまだ脈々と受け継がれていることを強く批判している。ヒトラーやナチスの思想に最も影響を与えたのが社会ダーウィニズムや人種主義を信奉していた当時のアメリカのリベラル派知識人であったことを指摘し、またナチスのホロコーストがあまりに露骨であったため、現在は水道水へのフッ素添加や、遺伝子組み換え作物、人工甘味料などによる人口の強制不妊化、人工的なエイズウイルスなどの拡散、国連主導の強制避妊や一人っ子政策推進などより洗練され見えにくい形で人口削減が行われていると指摘。 その証拠ドキュメントの一つとして、オバマ政権の科学技術補佐官で優生学者のジョン・ホールドレンによる1000ページ以上にわたる著作『エコサイエンス (Ecoscience: Population, Resources, Environment)』を挙げている。これは1978年に生物学のPh.D(博士課程)以上の学生や教授向けに書かれた専門書であり、ワクチンや水道水への薬物混入による人口の大量断種や強制避妊の方法が詳細に書かれている。アレックスはあまりに衝撃的な内容なうえ既に絶版になっているので自身のサイトInfowars.comにその全文を公開した。
その他
俳優のチャーリー・シーン、ヘヴィメタルバンドメガデスのデイヴ・ムステインとは友人であり、番組で何度もインタビューを行っている。
番組の主なゲスト
- バズ・オルドリン - NASAの宇宙飛行士、歴史上初めて人類を月面に到達させたアポロ11号の搭乗員。
- ジョセフ・スティグリッツ - 経済学者、ノーベル経済学賞受賞者。元世界銀行副総裁として、IMFや世銀が途上国の国有資産を民営化させることを目的に、初めから返却不可能を見込んで資金貸しを行っていることを暴露し波紋を呼んだ。
- ノーム・チョムスキー - 言語学者、思想家。 マサチューセッツ工科大学教授。合意の形成 (Manufacturing Consent)において1920年代のリベラル派知識人、特にウォルター・リップマンに焦点を当て、いかに支配エリートが行動主義心理学など最先端の科学を用いて大衆の行動を統御し、それを正当化していたかを分析し、様々な合意形成の手法をPropaganda model (プロパガンダ・モデル)として体系化した。
- パット・ブキャナン - 政治解説者。ニクソン政権、フォード政権、レーガン政権において大統領のシニアアドバイザーを務めた。
- ロン・ポール - 共和党大統領候補者、「連銀を廃止せよ」運動(End The Fed)の提唱者。
- デニス・クシニッチ - 民主党下院議員、ジョージ・W・ブッシュ大統領の弾劾決議案を米連邦議会下院に提出した。
- ラルフ・ネーダー - 元緑の党公認大統領候補者、アメリカの二大政党独裁制を批判。
- ゲーリー・ジョンソン - 元ニューメキシコ州知事。リバタリアン党から2012年大統領選挙出馬予定。
- 藤田幸久 - 参議院議員、9-11事件の第7ビルの不可解な崩壊や、FBIの重要指名手配犯リストのオサマ・ビン・ラディンの容疑欄に同時多発テロの記載ながないことなどを国会で追及した。
- ジェシー・ベンチュラ - 元ミネソタ州知事、9-11内部犯行説を支持。
- アンドレアス・フォン・ビューロー - ドイツ社会民主党元連邦議会議員。ヘルムート・シュミット政権で国防省政務次官(1976年-1980年)、研究科学大臣(1980-1982)を務めた。9-11ハイジャック犯とCIAの関わりを指摘した著書CIAと9-11事件は論争を巻き起こした。9-11内部犯行説を支持。
- マイケル・ミーチャー - イギリス労働党議員。元ブレア内閣のナンバー3で環境大臣を務めたオールド・レイバーの有力者だったが2003年にイギリスのイラク戦争参戦に激しく抗議したため解任される。9-11内部犯行説を支持。
- デイビッド・アイク - イギリスの著述家、9.11内部犯行説を支持。
- ハミード・グル - 元パキスタン軍統合情報局(ISI)局長。オサマ・ビン・ラディンと個人的な交友を持っており、彼が既に何年も前に死んでいたこと、オバマ政権のビン・ラディン殺害オペレーションが完全なプロパガンダであることを主張した。9-11内部犯行説を支持。
- スティーブ・ピチェニック - 元アメリカ国務省職員。オサマ・ビン・ラディンがマルファン症候群という持病を持っており9-11事件の前にCIAの医師による治療をドバイの病院で受けていたこと、2001年の暮れには既に死んでいたことを明らかにした。9-11内部犯行説を支持。
- ナイジェル・ファラージ - 英国独立党党首。英国における反EU運動の先駆者。
- ラッセル・ミーンズ - ラコタスー族の活動家でインディアン権利団体アメリカインディアン運動(AIM)のスポークスマン。
- マックス・カイザー - 金融ジャーナリスト。「銀を買ってJPモルガンを潰そう」運動(Crash JP Morgan Buy Silver)の提唱者。
- ピーター・シフ - 経済評論家。ユーロ・パシフィック・キャピタル社社長。オーストリア学派支持者で金本位制への回帰を唱える。
- デヴィッド・リンチ - 映画監督。
- チャールトン・ヘストン - 俳優、全米ライフル協会(NRA)会長。
- チャック・ノリス - 武道家、俳優。
- ラッセル・ブランド - コメディアン、俳優。
- ゴア・ヴィダル - 文学者。
- マシュー・ベラミー - イギリスのロックバンドMUSEのボーカル。
- ビリー・コーガン - オルタナティブ・ロックバンドスマッシング・パンプキンズのボーカル。
- テッド・ニュージェント - ギタリスト。全米ライフル協会会員。
作品
映画
年 | タイトル |
---|---|
1998 | America: Destroyed by Design |
1999 | Police State 2000 |
1999 | Are You Practicing Communism? |
2000 | America Wake Up or Waco |
2000 | The Best of Alex Jones |
2000 | Dark Secrets Inside Bohemian Grove |
2000 | Police State II: The Takeover |
2001 | Comprehensive Annual Financial Reports: Exposed |
2001 | 911 The Road to Tyranny: Special Emergency Release |
2002 | 911 The Road to Tyranny |
2002 | The Masters of Terror: Exposed |
2003 | Matrix of Evil |
2003 | Police State 3: Total Enslavement |
2004 | American Dictators: Documenting the Staged Election of 2004 |
2005 | Martial Law 9-11: Rise of the Police State |
2005 | The Order of Death |
2006 | TerrorStorm: A History of Government-Sponsored Terrorism |
2007 | Endgame: Blueprint for Global Enslavement |
2007 | Endgame 1.5 |
2007 | TerrorStorm: A History of Government-Sponsored Terrorism - Second Edition |
2007 | Loose Change: Final Cut by Dylan Avery |
2008 | The 9/11 Chronicles: Part 1, Truth Rising |
2008 | Fabled Enemies by Jason Bermas |
2009 | DVD Arsenal: The Alex Jones Show Vols. 1—3 |
2009 | The Obama Deception |
2009 | Fall of the Republic: Vol. 1, The Presidency of Barack H. Obama |
2009 | Reflections and Warnings: An Interview with Aaron Russo |
2010 | Police State IV: The Rise Of FEMA |
2010 | Invisible Empire: A New World Order Defined by Jason Bermas |
2010 | The Fall of America and the Western World by Brian Kraft |
2012 | New World Order: Blueprint of Madmen |
著作
2002 | 9-11: Descent Into Tyranny |
関連項目
外部リンク
- Alex Jones' InfoWars.com
- Alex Jones' PrisonPlanet.com
- Alex Jones' PrisonPlanet.tv
- The Alex Jones Show (Genesis Communications Network)
- Alex Jones - IMDb