ごま油

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焙煎して絞ったごま油
ごま油
100 gあたりの栄養価
エネルギー 3,699 kJ (884 kcal)
0 g
糖類 0 g
食物繊維 0 g
100 g
飽和脂肪酸 14.2 g
一価不飽和 39.7 g
多価不飽和 41.7 g
0 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
0 µg
(0%)
0 µg
0 µg
チアミン (B1)
(0%)
0 mg
リボフラビン (B2)
(0%)
0 mg
ナイアシン (B3)
(0%)
0 mg
パントテン酸 (B5)
(0%)
0 mg
ビタミンB6
(0%)
0 mg
葉酸 (B9)
(0%)
0 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(0%)
0.2 mg
ビタミンC
(0%)
0 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(9%)
1.4 mg
ビタミンK
(13%)
13.6 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
0 mg
カリウム
(0%)
0 mg
カルシウム
(0%)
0 mg
マグネシウム
(0%)
0 mg
リン
(0%)
0 mg
鉄分
(0%)
0 mg
亜鉛
(0%)
0 mg
セレン
(0%)
0 µg
他の成分
水分 0 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
皮をむいた白ゴマの種子

ごま油(ごまあぶら、ごまゆ、胡麻油)はゴマ(胡麻)の種子に圧搾等の加工をして作られる食用油の一種。

種類

日本では、通常、ごまを焙煎してから加工した、茶褐色の独自の香味を持つものを指す。焙煎の強弱でさまざまな種類がある。中華料理に主に使われるごま油は、200℃以上の温度で焙煎を行ったごまを搾油したもの。韓国料理でも同様に焙煎してから搾油したものが主流。透明な太白油(たいはくゆ)は、ほとんど生のまま原料のごまを搾ったもので、ごま油特有の香ばしい風味はしないが、ごま特有の旨みを有する。

黒ゴマを搾った赤銅色のものを黒絞り(くろしぼり)、白ゴマを用いた淡黄色のものを白絞り(しらしぼり)と呼び、後者の方が高級品とされている。両者とも食用に供する他、後者はヘアケア、ボディーケアなどにも用いる。

搾油の方法で、伝統的な加圧による圧搾油と、溶媒抽出油に分けられる。溶媒抽出のほうが、歩留まりよく油脂を取ることができるが、ごまはもともと油分が多いので、加熱してから圧搾する方法でも比較的効率よくとることができ、椿油えごま油などように、溶媒抽出品が多い訳ではない。

歴史

ゴマは、油脂をとるのに使われた最初の植物のひとつである。インダス文明ですでに主要な油用植物として栽培されていた。南インドのドラヴィダ語族言語では「エンネ」「エンナ」「エンナイ」などと称することが多く、語源はゴマを意味する「エル」と、油を意味する「ネイ」であったと考えられる。

紀元前2500年ごろにはメソポタミア文明でも導入され、アッカド人シュメール人に「エルル(ellu)」と呼ばれた。

日本においては、現在の京都府大山崎町周辺でエゴマから油をとったのが、搾油の最初であるとされるが、代替原料のひとつとしてごま油も作られていた。中世に菜種油が登場するまで大山崎油座に独占権が認められ、灯火用などとして重要な日用原料であった。

成分、効能

ごま油はC18不飽和脂肪酸であるオレイン酸リノレン酸が主成分。脂肪酸の比率は以下の通り[1]

脂肪酸 数値表現 最小率 最大率
パルミチン酸 C16:0 7.0 % 12.0 %
パルミトレイン酸 C16:1 微量 0.5 %
ステアリン酸 C18:0 3.5 % 6.0 %
オレイン酸 C18:1 35.0 % 50.0 %
リノール酸 C18:2 35.0 % 50.0 %
α-リノレン酸 C18:3 微量 1.0 %
エイコサン酸 C20:1 微量 1.0 %
ごま油(100g中)の主な脂肪酸の種類[2]
項目 分量(g)
脂肪 100
飽和脂肪酸 14.2
16:0(パルミチン酸 8.9
18:0(ステアリン酸 4.8
一価不飽和脂肪酸 39.7
18:1(オレイン酸 39.3
多価不飽和脂肪酸 41.7
18:2(リノール酸 41.3

酸化されにくい成分を含むため、発煙する温度が大豆油などよりも高い。

ごま油が近年注目される要因として、ごま油に特徴的に含まれるゴマリグナンがあげられる。ゴマリグナンにはセサミンセサミノールをはじめとして主なもので6種類程度ある。ゴマリグナンの中のセサミンは、肝臓活性酸素を取り除いてくれるので肝臓を守り、機能を高める。またアルコールが分解される途中でつくられる毒素・アセトアルデヒドの生成もおさえるので、ごまを食べると悪酔いや二日酔いを防ぐ効果がある。しかしながら、ごま油も食用油である以上成分の殆どは油脂であり、カロリーが高いため、油脂のかたちで摂りすぎると肥満の原因にもなる。

用途

食用

てんぷらなどの揚げ油、炒め油として使用されるほか、料理の仕上げに薫り付けとして加えられることもある。

中華料理では「芝麻油」(ジーマヨウ、zhīmayóu)、「麻油」(マーヨウ、máyóu)、「香油」(シアンヨウ、xiāngyóu)と称し、薫り付けとして加えられることがよくある。また、ラー油を作る原料としても使われる。1968年に発売されたインスタントラーメンの「出前一丁」にはごまラー油が添付され、日本で認知度が高まった。

韓国ではチャムギルム(참기름)、チンユ(진유。真油)と称し、加熱してから絞ったものが主である。炒め物やあえ物に使う他、を混ぜて、フェ。膾、鱠)は)と呼ばれる刺身の内、生レバー(生肝)や貝類ユムシなどに合うたれとしても用いる。

南インド料理でも中華料理や和食と同様にゴマ油が使われるが、焙煎していないため、香りはほとんどしない。

ボディー用

白絞りのごま油は香りが薄いため、頭髪油としても用いる。インドアーユルヴェーダではアビアンガ(オイルマッサージ)に使用される。化粧品などの溶媒として使われる例もある。

その他

近代までは、燃料(灯油)、防水、保存、薬用、洗浄など多くの用途があったが、現在は石油や他の油脂に代替されている。

文化

  • 中国には「芝麻油」(ごま油)と題する民謡が西北地方にあり、のちに毛沢東をたたえる替え歌「東方紅」に変えられて、有名になった。

脚注

  1. ^ Fatty acids found in sesame oil”. Essential oils. 2006年10月7日閲覧。
  2. ^ http://ndb.nal.usda.gov/

関連項目