NHK番組改変問題

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NHK番組改変問題(エヌエイチケイ ばんぐみかいへんもんだい)とは、NHKが2001年1月30日に放送したETV2001(→ETV特集)シリーズ「戦争をどう裁くか」の第2夜「問われる戦時性暴力」で、民衆法廷(模擬法廷)である女性国際戦犯法廷に関する番組を放送したことに関するもの。

番組の内容や放送までの経緯について、放送前の段階から問題点が指摘されたり、放送後に裁判が起こされるなどの動きがあった(裁判ではNHKを訴えたVAWW-NETジャパンの敗訴が確定)。

BPO放送倫理検証委員会は、2009年4月28日、この番組について意見書を発表し、「NHKの予算等について日常的に政治家と接している部門の職員が、とりわけそれら政治家が関心を抱いているテーマの番組の制作に関与すべきではない」ことを指摘している。(BPO放送倫理検証委員会・委員会決定

目次

[編集] 番組改変問題

2001年1月27日、維新政党・新風日本世論の会大日本愛国党がNHKに押しかけ、女性国際戦犯法廷は「反日・偏向」の政治集会だとして、放送中止を求める抗議行動を行った(街宣車による抗議あり)。

2001年1月28日、秦郁彦が取材を受ける(秦は番組内で「法廷」の様々な問題を指摘して批判を行う)。

2001年1月30日、番組放送。

2001年2月2日、中川昭一が伊藤律子・番組制作局長に会い、この番組について『実は内部で色々と番組を今検討している最中です』との報告を受ける[1]

2001年2月6日、VAWW-NETジャパンが番組内容について公開質問状をNHKに渡す。「主催団体名や肝心の判決内容が一切紹介されなかったばかりか、法廷に対する不正確な誹謗や批判が一方的に放送された」と主張。

2001年2月26日号の週刊新潮が『NHKが困惑する特番「戦争をどう裁くか」騒動』なる記事を掲載。記事中で放送時間が第2回だけ40分になったことや直前の右翼の抗議行動、秦への急な取材、伊藤律子・番組制作局長が自民の大物議員に呼び出され釘を刺されたという噂などを取り上げ、「もしNHKが “外圧”に屈して番組内容を差し替えたとしたら、公共放送として大変な汚点だ」と批判。

NHKが当初の企画通りに放送しなかったとしてVAWW-NETジャパンはNHKを訴えた。NHKは外注先(孫請けサイド)の制作に問題があるとも主張し、外注先会社はNHK制作者から提示された企画だとしてここでも争いがあった。

2004年末の周辺状況。NHK番組制作局の紅白など何件かの予算使い込み問題から視聴料不払い運動が生じて大きな問題になっていた。海外放送や衛星放送などへの拡大路線を取っていた会長・海老沢勝二(報道局出身)は翌春での任期切れを前に退任の噂もあった。

2005年1月12日、朝日新聞は、中川昭一と時の内閣官房副長官安倍晋三からこの番組の編集についてNHK上層部に圧力があったのではないかとする報道を行った。

2005年1月13日、NHKのコンプライアンス推進委員会へ「政治介入をうけた」というNHK番組制作局の長井暁チーフプロデューサー(当時)から内部告発があった。それによれば、安倍・中川が番組内容を知り、「公正中立な立場でするべきだ」と求め、やりとりの中で「出来ないならやめてしまえ」という発言もあったという。これに対しNHKは調査を行い、「NHKの幹部が中川氏に面会したのは放送前ではなく放送の3日後であることが確認され、さらに安倍氏についても放送の前日ごろに面会していたが、それによって番組の内容が変更されたことはなかった。この番組については内容を公平で公正なものにするために安倍氏に面会する数日前からすでに追加のインタビュー取材をするなど自主的な判断で編集を行なった」と述べている。同日、長井はNHKトップの海老沢会長がすべてを承知でありその責任が重大だと主張した[2]

数日後、任期切れの近い海老沢は退任の意向を示し技術系出身の新会長の下で従来の拡大路線を継続することを発表。

安倍は、2005年1月中旬に各社の報道番組に出演し、NHKの番組に政治的な圧力をかけたとする朝日新聞の報道を否定し、放送法に基づいていればいいという話であったと述べた。また、女性国際戦犯法廷の検事として北朝鮮の代表者が2人入っていることと、その2人が北朝鮮の工作員(=スパイ)と認定されて日本政府がペルソナ・ノン・グラータとして以降査証の発行を止められているとして、北朝鮮の工作活動が女性国際戦犯法廷に対してされていたとする見方を示した[3]

NHKは「朝日新聞虚偽報道問題」と題して、看板番組のニュース7で連日10分以上にわたって朝日新聞を非難する放送を行った。内容は朝日新聞の記事の全面否定と、NHKより朝日新聞社への公開質問状の紹介、安倍と中川の記者会見などをあわせて編集するものであった。NHKが自己の立場を論じるために、ゴールデンタイムのニュース番組を使用するのは極めて異例の事であった。

一方で、朝日新聞社も系列局テレビ朝日の番組で自社役員も出演する「報道ステーション」などで反撃し、事態はVAWW-NETジャパンとNHKの間の係争でありながら、NHKと朝日新聞という日本を代表する報道機関同士の全面対決という異様な様相を呈した。朝日新聞社が後援している日本ラグビーフットボール選手権大会では、NHKの中継に対する混乱が生じた。

この時のNHK側の報道を指揮をしたのは、海老沢と関係が深いといわれた元報道局長・諸星衛理事であった。なお、朝日新聞の抗議を受けて後日「虚偽」の文字は外している。

また、朝日新聞紙上で「NHK幹部」と目された松尾武・元放送総局長が「自分が取材を受けた幹部」と名乗り出て、朝日の記事を全面否定する記者会見を行った。仮に朝日が「録音テープ」を出していれば、NHKには致命傷となる可能性もあり、朝日の対応に世間の耳目が集まる事となったが、朝日新聞社から「録音テープ」が出されることは無かった。これにより、朝日新聞の主張は裏づけを欠いているとの見方が大勢を占める一方で、これは後述の事情から朝日がテープを提出できないと読んだNHKの作戦であるとする意見も存在する。

2005年7月に、朝日新聞は上記報道の検証記事を掲載したが、主張の裏づけとなる新事実を欠くものであった。これに対し、NHKや産経新聞は、この番組の編集について政治家からの圧力がNHK上層部にあったとする今までの報道には根拠がないので、朝日新聞は明白な根拠を示すべきであるとした。また、読売新聞も「説得力に乏しい朝日の『検証』」と題した社説で朝日を批判した他、毎日新聞日本経済新聞の社説などでも、朝日新聞は検証が十分ではないと指摘された。さらに、週刊新潮などの週刊誌も朝日新聞を批判する記事を掲載した。

同時期、NHKスペシャルを担当するプロデューサーディレクターなど番組制作局やスペシャル番組センターの有志が「自民党と一体化した海老沢会長体制下では、必要以上に政治家の言葉を受け止め、改変を行った」とNHK自らによる事実解明の申し入れを上層部におこなった[4]。しかし、NHKは裁判で係争中の問題であると黙殺している。NHKは政権与党の自民党に国会での予算認可権を事実上握られている[5]ために、政治に対して必要以上におもねる体制の歪みがあるという見方が教養番組の編集者サイドには存在し、この申し入れはそうした側の声を反映した物であった(当時の組合も、番組制作の編集の自由は侵すべからざる権利であるとHPで主張した。)。NHKでは記者系が政権協調、ディレクター系が政権批判という伝統的な路線対立があるため、こうしたちぐはぐなことが起きたが、結果的には経営を握っていた記者閥がこの問題の主導権を握ることとなった。

2005年9月30日、朝日新聞がNHK番組改変疑惑の信憑性の検証を委託した第三者機関「『NHK報道』委員会」が「(記者が疑惑を)真実と信じた相当の理由はあるにせよ、取材が十分であったとは言えない。」[6]という見解を出す。これを受けて朝日新聞は取材の不十分さを認めた。一方で記事の訂正や、謝罪はなかった[7]

この件に対しては、例えば以下のような見解が見られる。

  • 議員が圧力をかけたとされる日以前から編集作業が行われていたのは、女性国際戦犯法廷の報道をめぐるNHK裁判などからも明白であり、圧力をかけたとする主張に根拠はないとする見解。
  • 内部告発については、告発者本人が直接両議員から聞いていないことを認めていることから、伝聞であり告発に根拠がないとする見解。
  • この番組の編集について政治家からの圧力がNHK上層部にあったとするのは「朝日新聞の虚偽報道」ではないかとする見解。
  • 朝日新聞の報道によれば発言自体は本人も認めている。時系列上、面会日は放送後であるが、放送後に「やめてしまえ」と言う意味はないので、実際には放送前に圧力をかけたとする見解。
  • 法廷主催者が番組改変疑惑を報じた朝日新聞の元記者であること、番組改変疑惑を報じた本田雅和記者と主催者は交流がたいへんに深かったこと、VAWW-NETジャパンの発起人であり、「女性国際戦犯法廷」運営委員の一人であった池田恵理子が番組の製作下請けであるNHKエンタープライズ21のプロデューサーであること(DJは孫請け)、「女性国際戦犯法廷」の検事として関わった北朝鮮代表者が安倍晋三によって工作員であると指摘されたこと、NHK側が面会した国会議員が与野党議員に渡る中、番組改編疑惑として取り上げた対象が対北朝鮮強硬派である安倍、中川の二人だけであることなどから、朝日新聞、VAWW-NETジャパン、北朝鮮の連携による北朝鮮強硬派議員の失脚を狙ったものではないかとする見解。
  • 「従軍慰安婦」問題に当事者である北朝鮮の人間が検事としてかかわるのは当然であり、そのことをもって北朝鮮主導の工作とするのは不当であるという見解[8]
  • 「従軍慰安婦」の強制連行は虚偽であるとの立場から、偏向報道を正常化させるために介入したのは正しいとの見解。この見解は圧力を認めた上で正当な行為としているが、実際には圧力を否定しつつこの見解を取る者もいる。
  • 「従軍慰安婦」の強制連行は虚偽であるとの立場から、政治家による圧力は無かったものの、VAWW-NETジャパンの主張と異なり、「右翼」に限らず多く寄せられた抗議により、偏向報道がある程度正常化れたという見解。
  • 朝日新聞、VAWW-NETジャパン、北朝鮮の連携による工作を争点とする見解。
  • NHKと政治家との関係、報道の自由を争点とする見解。

2006年5月16日の朝日ニュースター『ニュースの深層』に出演した中川昭一は、「朝日新聞は裏づけをしっかりしてから、記事にして欲しい。圧力はかけていないという事実関係を私は証明しているのに、訂正も反論もないまま記者は一切出て来ず、逃げ回っている。そして朝日新聞社は社を挙げてそれを守っている。」と批判した。

2007年1月29日のNHK制作の報道番組「ニュースウオッチ9」での高裁判決の放送内容について、原告側は放送倫理・番組向上機構(BPO)に対し公平・公正な取扱いを欠いたことによる放送倫理違反だと申し立てた。BPOは2008年、「本件放送が公平・公正を欠き、放送倫理違反があった」として申し立て人が「公平・公正を欠いた放送によって、著しい不利益を被ったものと判断する」「謝罪まで認める必要もないと判断する」との見解を示した[9]。一方で、BPOの放送倫理検証委員会は2009年1月9日の定例会で「改変経過がNHKの自立性に疑問を持たせ、放送倫理上問題があるという認識で一致した」(川端和治・委員会委員長)として「審議」(放送倫理を高め、番組の質を向上させるため、取材、制作のあり方や番組内容などに関する問題について調査し見解を公表する)に入る旨決定した[10]

[編集] 影響

[編集] NHKへの影響

  • 不祥事続きのNHKにあって、この件は「政治家の圧力を受けて右に偏って番組を曲げた」、「一部の職員の暴走により左に偏った番組をつくった」など、それぞれの立場からNHKの番組の中立性への疑いが生じ、不満が高まるきっかけとなっている。
  • この問題の少し前、2004年の終わり頃から、番組制作局の使い込みによってNHKの受信料の不払い運動が大きくなる様子を見せていた。またこれにはNHKの存在が大きい上になお拡大路線を取り、そのために視聴料を払うことへの疑問も含まれていた。 しかし、この問題で朝日を信じる立場からの批判の方法としてNHKの受信料の不払い・受信契約解除などを主張する者がインターネット上で増えていたため、この問題が不払いの主たる原因で始まりのように思いこむ者も多い。
  • これ以後、NHKが番組の偏向性を批判されるとき、放送法に関わる「中立」と「編集の自由」という言葉をめぐる発言がされるようになった。

[編集] 朝日新聞社への影響

朝日新聞社が番組改変の証拠とされる「録音テープ」を未だ出さない状況で、社内関係者がその内容を魚住昭にリークしたとし、魚住は講談社の月刊誌『月刊現代』9月号で圧力はあったと結論づけ、安倍を批判した。これに対し安倍は「重要な発言がカットされ、都合のいい部分だけを抜き出している」と反論。同時に「資料の信憑性も含めて決定的証拠とはいえない。ただ、私の承諾を得ずに取材が録音された可能性は高まった」と述べた。自民党は無断記録や取材資料の流出について「あたかも取材のやりとりを記録した取材資料があるということを世間に強調したかっただけの『やらせ』ではないか」と指摘し、抗議として8月1日、公式以外の取材を「すべて自粛していただく」として、事実上の取材拒否を表明した[11]。「報道・表現の危機を考える弁護士の会」は自民党の取材拒否に抗議取り消しを求める声明を出した[12]。ただし、自民党は実際の筆者である魚住は無視した。さらに、第44回総選挙では「朝日読者には自民党支持者が少ない」という理由で、党としては史上初めて朝日への選挙広告を取り止めた[13]

録音テープについては、当初は状況的に存在する可能性があるとされたが、朝日は現在に至るまで出していない。このため、テープの存在自体を怪しむ主張もある。しかし、これには以下の経緯があり、テープの存在を肯定する主張もある。

2004年、朝日の辰濃哲郎記者が取材でMDに無断録音し、さらに「事実関係を確認するために」取材先の関係者に録音の入ったMDを渡した。結果、録音内容のコピーが取材相手の複数の職場関係者に怪文書とともに渡った為に、朝日は「取材相手との信頼関係をそこね、取材源の秘匿の原則に触れる」として辰濃を退社処分にした。その後、朝日は取材時の録音には事前に相手の内諾を得る事とする内規を定めたが、今回の取材テープが存在すればそれは無断録音にあたるため、出せば内規違反かつ取材相手を裏切ったと批判材料にされる。そのため、訴訟にならない限り、出そうにも出せない状況にあるといわれている。
この根拠不明の事柄について、魚住への情報流出が「取材協力者を裏切った」(大島信一・『正論』編集長)などと批判や[14]、原壽雄や魚住などは「真実を追求するためにやむを得ず隠し撮りせざるを得ない場合があると擁護の論も出た[15]

なお、番組改変の記事を執筆した本田雅和記者は、2006年4月1日付けで会員制読者サービス部門のアスパラクラブ運営センターに異動された。取材の現場から遠ざける処置であり、事実上の左遷であるされる[16] 朝日新聞社は、2005年9月30日の第三者機関「『NHK報道』委員会」見解を受け、改めて「原則として無断録音はしない」と表明した。しかし2010年現在、テープの存否については明らかにしていない。

[編集] 放送法との関わり

問題にされる「中立」「編集の自由」の語に該当するのは、第一条(目的)と三条(番組編集の通則)である。 

原則。法律の目的(一章の一条)として、『放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。』

通則。具体的な編集(三条)について、「法的権限のない者に従う必要がない」、と保護する一方でまた義務(または必要)として、「政治的に公平」、「事実を曲げない」、「対立問題については、論点をできるだけ多角的にとらえて見せる」、と明記している。

(詳細は「放送法」の「原則(目的)と通則(編集)」の節、または下記外部リンクの「放送法」を参照)

[編集] 番組内容に関する裁判

最高裁判所判例
事件名 損害賠償請求事件
事件番号 平成19年(受)第808号~第813号
2008年(平成20年)6月12日
判例集 民集第62巻6号1656頁
裁判要旨
1.放送事業者又は制作業者から素材収集のための取材を受けた取材対象者が、取材担当者の言動等によって、当該取材で得られた素材が一定の内容、方法により放送に使用されるものと期待し、あるいは信頼したとしても、その期待や信頼は原則として法的保護の対象とはならないが、当該取材に応ずることにより必然的に取材対象者に格段の負担が生ずる場合において、取材担当者が、そのことを認識した上で、取材対象者に対し、取材で得た素材について、必ず一定の内容、方法により番組中で取り上げる旨説明し、その説明が客観的に見ても取材対象者に取材に応ずるという意思決定をさせる原因となるようなものであったときは、当初の説明から変更することがやむを得ない事由がある場合を除いて、不法行為責任が生じる余地がある。
2.放送事業者や制作業者と取材対象者との間に番組内容について説明する旨の合意が存するとか、取材担当者が取材対象者に番組内容を説明することを約束したというような特段の事情がない限り、放送事業者や制作業者に番組の編集の段階で本件番組の趣旨、内容が変更されたことを原告に説明すべき法的な説明義務が認められる余地はない。
第一小法廷
裁判長 横尾和子
陪席裁判官 甲斐中辰夫 泉徳治 才口千晴 涌井紀夫
意見
多数意見 甲斐中辰夫、泉徳治、才口千晴、涌井紀夫(以上4名1.について)2.については全員一致
意見 横尾和子(1.について)
反対意見 なし
参照法条
憲法21条、放送法1条、3条、3条の2第1項、3条の3第1項、民法709条、415条
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NHKが放送した番組内容に関し、女性国際戦犯法廷の主催者であるVAWW-NETジャパンが、取材時に製作会社であるドキュメンタリージャパン(以下DJ)と同意していた企画と異なったことから、「政治的圧力に屈して内容を改竄した」としてNHK・NHKエンタープライズ21(NEP21)・DJの三者を訴えた裁判。最高裁まで争われ、VAWW側の訴えはすべて退けられた[17]

[編集] 原告側主張

VAWW-NET側(主催者側)の主張では、制作会社との合意に反して審理の解説や判決言い渡しシーンを削除したり、日本大学教授であった秦郁彦のコメントを挿入するなど批判的な立場の意見も取り入れて編集され、放送時間も短縮された。この編集により構成が取材を受けたVAWW-NET側の期待にそぐわないものになったとしている。

[編集] 被告側主張

NHK側は、上記編集は全体的に番組のバランスを取るために行われたことであり、特に問題ないと主張している。

[編集] 裁判経過

  • 女性国際戦犯法廷の報道をめぐるNHK裁判(東京地裁2004年3月24日)
    一審では、「番組内容は当初の企画と相当乖離しており取材される側の信頼を侵害した」として、DJの責任を認容し、100万円の支払いを命じたが、「放送事業者には、取材素材を自由に編集して番組製作することが保障される」として、NHK・NEP21への請求は退けた事から、判決を不服としたVAWW-NETジャパンが控訴
  • 控訴審判決(東京高裁2007年1月29日)
    二審では「憲法で保障された編集の権限を濫用し、又は逸脱したもの」「放送番組編集の自由の範囲内のものであると主張することは到底できない」と認定。VAWW-NETの「期待権」に対する侵害・「説明義務」違反を認め、NHK、NEP21、DJの共同不法行為として3者に200万円の賠償を命じた。NHKは、判決を不服として上告した。
  • 上告審判決(最高裁2008年6月12日
    上告審では、最高裁判所第1小法廷(横尾和子裁判長)において高裁判決を破棄し、原告の請求を退ける逆転判決を言い渡した。最高裁は本判決においてVAWW-NETの当番組に対する「期待権」は保護されないとの見解を示し、原告敗訴が確定した。

[編集] 裁判後の各者の反応

[編集] 原告の反応

原告のVAWW-NETは「政治家の圧力・介入を正面から取り上げない不当判決だ」「司法の公平、公正性に大変失望した。一部政治家の意向に沿うようにゆがめて放送していいのか(西野瑠美子共同代表)」「判決は具体的な事実を離れて一般論に終始している。NHKを勝たせようという結論が先にあったのではないか(飯田正剛弁護団長)」と最高裁判決を批判した[18]

[編集] 被告の反応

[編集] NHKの反応

NHK広報部は「どのような内容の放送をするかは放送事業者の自律的判断にゆだねられており、正当な判断と受けとめている。最高裁は『編集の自由』は軽々に制限されてはならないという認識を示したものと考える」とコメント[19]

[編集] 政治家の反応

自民党の中川昭一は「私と安倍晋三前首相が『事前に番組に圧力をかけた』と朝日新聞で報じられたことが捏造だと確認されたが、(朝日新聞からは)私たちに謝罪はなく名誉は毀損されたままだ。問題はまだ決着していない」と述べた[20]。また、安倍晋三は「最高裁判決は政治的圧力を加えたことを明確に否定した東京高裁判決を踏襲しており、(政治家介入があったとする)朝日新聞の報道が捏造であったことを再度確認できた」とコメントした[18]

[編集] 報道関係の反応

朝日新聞は広報部を通じて「訴訟の当事者ではなく、判決も番組改変と政治家とのかかわりについて具体的に判断していないので、コメントする立場にない」との見解を示している[18]。読売新聞は、最高裁が期待権の法的保護の要件を厳格に評価したことについて、妥当な判決だと評価している[21]。産経新聞は、この判決について『「政治の介入」判断せず』として、高裁判決が「NHK幹部が政治家の意図を忖度した」と指摘した点について、「最高裁がこの問題をどう判断するかも焦点だったが、争点の判断に必要なかったために判決ではまったく触れられなかった」と伝えた[22]

[編集] 関連文献

[編集] 脚注

  1. ^ フジテレビ報道2001[いつ?]
  2. ^ “NHK番組改変問題 「会長了承していた」と告発者会見”. 朝日新聞. (2005年1月13日) 
  3. ^ 但し、当該人物がどのような理由で工作員とされたのか、またどの官庁が認定したのかは明らかにされなかった。
  4. ^ 共同通信2005年7月25日付「政治との距離を提言 改編問題でNHK職員有志
  5. ^ 国営放送#日本の現状を参照。
  6. ^ 「NHK報道」委員会の見解より引用。
  7. ^ 「NHK報道」委員会の見解と各委員の意見(朝日新聞社)(2005.09.30)
  8. ^ 「女性国際戦犯法廷」には、北朝鮮から4人、韓国から8人が検事として参加している。
  9. ^ 第36号 高裁判決報道の公平・公正問題(放送倫理・番組向上機構)
  10. ^ BPOの「ETV2001」改変事件「審議入り」決定について=放送を語る会日本ジャーナリスト会議ブログ「Dairy JCJ」2009年1月20日
  11. ^ 2005.08.01 ニュース(自民党)
  12. ^ LLFP 報道・表現の危機を考える弁護士の会
  13. ^ 「朝日広告をやめブログ記者まで集めた自民の広報戦略」蔦信彦 (MSN-Mainichi INTERACTIVE 一筆入魂 2005年10月27日、「財界」2005.11.01号より) 但し、全ての広告を中止したわけではない。
  14. ^正論』2005年?[いつ?]10月号
  15. ^』2005年?[いつ?]12月号
  16. ^ 本田は2007年4月より記者活動に復帰している。
  17. ^ NHK番組改編訴訟、市民団体の「期待権」認めず 最高裁 - 2008年6月13日日経新聞
  18. ^ a b c [リンク切れ]NHK特番問題:取材対象者逆転敗訴 「政治圧力」判断せず--最高裁判決 2008年6月13日付け 毎日新聞
  19. ^ NHK番組改変訴訟 取材現場は「当然の判決」2008年6月12日産経新聞
  20. ^ [リンク切れ]2008年6月13日産経新聞
  21. ^ [リンク切れ]「期待権」退けた妥当な判決 2008年6月13日付 読売新聞
  22. ^ 「「政治家の介入」最高裁判断せず NHK改変訴訟」事件です‐裁判ニュース-イザ!(2008.06.13)

[編集] 外部リンク

[編集] 関連項目

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