Hearts of Iron

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Hearts of Iron
ジャンル 歴史シミュレーションゲーム
開発元 パラドックスインタラクティブ
パラドックスデベロップメントスタジオ
BL-Logic (AOD)
Darkest Hour Team (DH)
IRSHAPPA ID (IC)
発売元 パラドックスインタラクティブ(英語版)
サイバーフロント(日本語版)
主な製作者 ヨハン・アンダーソン
1作目 Hearts of Iron
2002年
最新作 Hearts of Iron III: Their Finest Hour
2012年9月26日)
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Hearts of Iron(ハーツオブアイアン、略称:HoI)は、スウェーデンのゲーム会社パラドックスインタラクティブが発売している第二次世界大戦をテーマとする歴史シミュレーションゲーム戦略ウォー・シミュレーションゲームのシリーズ。Windows版およびMacintosh版が存在する。

プレイヤーは、第二次世界大戦当時存在していた国(独立勢力)の中から一つを選び、枢軸連合共産の3つの陣営のいずれかに加わるか、または中立を保ちながら、大戦に勝ち残っていく事を目的とする。

戦闘単位は師団飛行隊規模、作戦の指示は、軍団艦隊航空団規模で行う。ゲームシステムは1時間単位で進むセミリアルタイム方式で、各要素は世界地図上で全世界同時解決される。

システム[編集]

工業力と資源[編集]

当時の国家総力戦の時代背景にしたがい、Industrial Capacity(工業力、IC)と資源の確保が内政の中心的課題となっている。ユニットの生産や改良は全てICを振り分けて行うようになっており、本ゲーム内では工業力=国力といっても過言ではない。工業力と資源はプロヴィンス(≒地域または州)に割り振られている。

但し、国家が工業力と資源を100%利用できるのは国家の固有の領土とみなされる本国プロヴィンスだけである。それ以外のプロヴィンスでは資源の産出量が少なく工場の稼動効率が悪く、守備隊を置かないとパルチザンが発生する。そのため、HoIでの領土の拡大は見た目ほどのメリットがない。他国が自国の本国プロヴィンスを領有している場合は、宣戦布告の大義名分とすることができる。首尾よくこの戦争で勝利し、領土を奪還できれば大幅な国力増加が見込める。ゲーム的にも本国プロヴィンスを全て回収することは、わかりやすい目標となっている。とくに中国共産党は最初は弱小勢力であるが、現在の中国の支配地域ほぼ全域が本国プロヴィンスとなっていて非常にやりがいのある国の一つとなっている。

PARADOX社製の他のシリーズと比べての特徴[編集]

ゲーム期間が1936年から1948年[1]と極めて短く、ゲームのほぼ全期間中戦争が続くため、Europa UniversalisVictoria等の他のシリーズと比べて、戦争戦闘に特化したシステムとなっている。戦闘システムの複雑化(開始時刻を指定しての集中攻撃や戦略爆撃によるインフラ破壊など)に加え、たとえば、HoIでは勝利ポイントVP)と呼ばれるポイントのあるプロヴィンスだけを占領すれば国の併合が行える(他作品では国(特に大国)の併合には非常に手間がかかる)ようになっており、戦争のペースが加速されている。また占領中の領土からも工業力や資源を取得できるようになっている。

同盟・陣営[編集]

プレイヤーおよびAIの担当する各国家は、軍事同盟を締結することができる。この同盟は全て攻守同盟であり、同盟を結んだ国のいずれかが戦争状態になれば他の同盟国も必ず参戦しなければならない[2]。同盟はゲームの主役となる三大同盟(HOI3では“陣営”)とそれ以外の小同盟とに分けられる。ゲームでは史実に基いた外交関係が設定されており、独自の同盟関係も築けるため、多種多様なプレイが行える。

第二次世界大戦のイデオロギー対立の要素がゲームデザインに加えられており、国の政体ファシズム(=右派・独裁)、民主主義共産主義(=左派・独裁)の3つに大分類される。それぞれ三大同盟の枢軸・連合・共産に対応している。

HoI2シリーズにおけるイデオロギーと政体の関係
枢軸
三大同盟の一つ。ファシズム国家による同盟で、盟主はドイツ。対連合戦、対共産戦の時期が異なるため、日本は枢軸に加盟しない。
連合
三大同盟の一つ。民主主義国家による同盟で、盟主はイギリス。民主主義の国は世論や政策の影響で、同盟や宣戦布告に制約がつくため対応が後手に回りやすい。また、英仏は平時に工業力マイナス補正がつき戦争準備を整える余裕が少ないことも特徴である。共産主義陣営を独立した大同盟として扱うため、ソ連は連合に加盟しない。
共産
三大同盟の一つ。共産主義国家による同盟で、盟主はソビエト連邦HoI2: Doomsdayでは、枢軸消滅後にアメリカ合衆国と第三次世界大戦を戦う核戦争シナリオ "Doomsday" がある。

勝利条件[編集]

自国の所属する同盟の勝利ポイント(VP)を、ゲーム終了時に一位にすることである。勝利ポイントは、支配しているプロヴィンスに設定されている値の合計であり、それ以外の方法では手に入らない。自由度が高いゲームであることから、独自の目標を設定するプレイヤーも多い。

Hearts of Iron III Semper Fi以降ではゲーム開始時に陣営の盟主国が勝利条件を設定できるようになっており、それを達成することで勝利する。勝利した後もゲームは継続できる。

登場国家[編集]

プレイヤーは登場する国の一つを選びプレイする。HoI2では、175ヶ国以上の中から1国を選んでプレイすることができる、と謳われている。その多くはゲーム中に定められた条件を満たしたときにのみ登場する国であるが、それでもキャンペーンシナリオでは数十の国を選択可能である[3]。登場する国は、史実での実態や地位、政治的対立に関わらず国として扱われるため、政治問題となることもある(→Hearts of Iron#政治的問題への対応)。

シナリオは史実に基づいて設定されており、国によってはゲーム終了までプレイすることが難しかったり、HoIの中心的要素である戦争がほとんど不可能であったりする。こうした事から、普通にプレイされる国は一部であるが、逆に、このような国で最後まで生き残ることを目的としたプレイの仕方もある。

シナリオ開始時にはその時の情勢に応じた国しか存在しないが、シナリオを進めるにつれ、チェコスロバキアの解体によるスロバキアの独立、ヴィシー政権の発足(HoIでのヴィシー政権は、フランスとは別の国として扱われる)、東西ドイツの誕生など歴史に沿って新しい国が登場していく。その他、異なる時代の国家(アメリカ連合国オスマン帝国など)、架空の国家(スカンディナヴィアクルディスタンなど)なども存在しプレイヤーの手腕によっては登場可能である。

好戦性[編集]

好戦性とは国際社会での評判をあらわす国家のパラメータである。高いほど挑発的とみなされ、国家間の友好関係に悪影響を与える(EUシリーズやVictoria等でBBR(バッドボーイレート)とよばれていたものとほぼ同じものである)。大義名分のない宣戦布告を行ったり、敵国を併合すると大きく上昇する。これが高い国への宣戦布告は、低い国よりも各種ペナルティが少なくなる。民主主義の国は対象国の好戦性が高くないと宣戦布告できない(必要な好戦性の値は政策による)。

ゲーム中、ドイツの国家元首のヒトラーは戦時に自国の好戦性を上げ、平和時に自国の好戦性を下げる能力が与えられており、これによりアメリカの参戦をゲーム上で表す事に成功している。

HoI3では中立度に変更されており、他国の脅威度をスパイによって高めることにより、自国の中立度が低くなる。 他国の脅威度が自国の中立度を上回ると宣戦布告が可能になる。

新国家の独立[編集]

ある決められた地域を支配していると新国家として独立させることができる。占領状態では通常、資源や工業力は一部しか利用できない上、パルチザンが発生する危険性がある(独裁国家ほど危険性が高い)が、独立した新国家にとっては本国プロヴィンスであるため100%利用でき、パルチザンも発生しなくなる。新国家が領土要求する地域(=新国家の本国プロヴィンス)の内、自国の本国プロヴィンスでない支配地域が新国家に与えられる(この制限により、日本が朝鮮半島を独立させたり、ソ連が自発的に連邦を解散したりすることはできない)。

独立直後の政権は傀儡政権であり、宗主国はその資源を独占できる(資源を上納させることができる。但し資源が足りない場合は逆に援助してやらなければならない)が、軍備や内政などは新国家に委ねられプレイヤーは指示できない。また、新国家の独立により自国の好戦性が低下する。傀儡政権を解体すると、さらに好戦性が低下する。但し、独立させた場合は自国民の不満度が上昇する。イギリスやフランスなど、開始当初から多数の植民地を獲得している国家では、独立を認めすぎるとイベントが発生し著しく不満度が上昇する。

ゲーム中に滅亡した国家の復活も可能である。ポーランドのようにシナリオ開始時と、滅亡後に再登場したときに本国プロヴィンスが異なる国も存在する(これは、ヤルタ会談による領土変更の再現である)。

シリーズ作[編集]

いずれの作品も、英語版はパラドックス社、日本語版はサイバーフロント社から発売されている。いずれもパッケージでの販売であり、英語版にないアップグレード版が存在するタイトルもある。なお、有志による英語版の日本語化MODがこれとは別に存在する。

Hearts of Iron[編集]

2002年に発売。日本語版は2008年7月4日に発売。日本語版は、当初2003年9月にメディアクエストから発売される予定であったが、日本語化が困難な箇所があるとしてキャンセルされた経緯(#政治的問題への対応参照)があり、続編のHOI2よりも数年後に発売されるという逆転現象が起こった。

Hearts of Iron II[編集]

2005年1月に発売。日本語版は2005年12月に発売。技術研究システムの改良、空戦海戦の簡略化、外交活動の増強、その他多くの軍事システム改良がなされた。

Hearts of Iron II: Doomsday[編集]

2006年4月4日に発売。日本語版は2006年8月4日に発売。Hearts of Iron IIの拡張パック。拡張パックと銘打たれているが、単体でプレイすることができるため、実質的にはHoI2の改良版といえる。

ゲーム期間が1953年まで延長されており、冷戦第三次世界大戦がテーマとなっている。システム面でも、諜報戦などの機能追加や、ICの自動割り当てなどの改良がなされている。追加キャンペーンシナリオのDoomsdayは、第二次世界大戦終結直後の1945年10月に、米ソ対立から第三次世界大戦が勃発したとする架空のシナリオである。モスクワへの核攻撃から始まるこのシナリオでは、米ソの総力戦が繰り広げられることになる。

Hearts of Iron II: Doomsday - "Armageddon"[編集]

Hearts of Iron II Doomsdayのブースターパック。2007年3月29日に発売。日本語版は2007年9月7日に発売。「欧州ソヴィエト」「オーストララシア」等の架空の少数の地域大国が世界を分割し、史実とは全く違った歴史の中を歩んできた国々を1936年からプレイできる新作シナリオ(Armageddon、The Abyss)が2本同梱されている。これらは各国家の強さが均一化されているため、マルチプレイを主眼に置いたシナリオである。

その他の大きな変更点として、ゲーム終了年度が可変となり、最大1964年まで延長された他、海戦・空戦のバランスが改善され、占領した国家の研究機関を引継げる等の新要素が盛り込まれた。

Arsenal of Democracy[編集]

Mod製作者が設立したBL-Logic社が、ベースにパラドックス社からHearts of Iron IIのソースコードの提供を受けて開発した作品。MODではなく、単体でプレイすることができる。AIの改良、シナリオの追加など、HoI2をベースに大幅に改良が加えられている。2010年2月23日に発売。日本語版は2010年6月25日に発売。

Darkest Hour: A Hearts of Iron Game[編集]

Arsenal of Democracy同様、Hearts of Iron IIをベースに開発された作品。MODではなく、単体でプレイすることができる。AIの改良のほか、諜報や外交のシステムに変更が加えられている。ダウンロード版のみで2011年4月5日に発売。

Iron Cross[編集]

IRSHAPPA IDが開発したHearts of Iron II、Arsenal of Democracy、Darkest Hourに対応した拡張パック。プロヴィンス・イベント・技術数が大幅に増加している。2010年10月7日に発売。日本語版はArsenal of Democracyのみ対応しており、2011年6月24日に発売された。

Hearts of Iron III[編集]

2009年8月7日に発売。日本語版は2009年12月18日に発売。ゲームエンジンがEU3由来のクラウゼヴィッツエンジンへと一新されており、グラフィックの3D化が図られている。

アナウンスで明らかにされた新作の方向性は「前作の伝統を引き継ぐ一方で、ベテランプレーヤーに楽しんでもらえる多数の新機軸とシステムに注力する。それらには10000以上に区切られた巨大なマップ[4]も含まれる。」とされている。前作とは異なり歴史的イベントがほとんど無く、AIも史実には従わない(永世中立国スイスが連合入り、フランスマジノ線からドイツ領内に進入など)為、前作以上に史実に囚われないプレイが可能。

システムも大幅に変化しており、たとえば軍事はプロヴィンス数が約4倍になった上、軍隊の最小単位が旅団、輸送艦による上陸が沿岸部ならどこでも可能になるなど、戦略性が増している。貿易システムも変更され、物々交換は共産主義国家しかできなくなった。技術開発も戦艦のエンジンや歩兵用のグレネードなど、開発項目が細かくなっている。外交も簡単には宣戦布告ができず、スパイの重要度が増している。その他にも亡命政府など新システムが追加されている。 だが、補給システムの改変によりシベリアが実質突破不可能などの問題もおきている。

Hearts of Iron III: Semper Fi[編集]

Hearts of Iron IIIの拡張パック。2010年6月6日に発売。日本語版は2010年10月1日に発売。1940年シナリオやイベントの追加、システムの改善が図られている。

Hearts of Iron III: For the Motherland[編集]

Hearts of Iron IIIの拡張パック第2段。2011年6月28日に発売。日本語版は2011年10月7日に発売。局地的な戦闘シナリオの追加やバランス調整、さらなるシステムの改善が図られている。また、本作よりマルチスレッドに対応となっている。

Hearts of Iron III: Their Finest Hour[編集]

Hearts of Iron IIIの拡張パック第3段。2012年9月26日に発売。日本語版は2013年2月1日に発売。主な変更点としては、戦闘シナリオ「冬戦争」「スペイン内戦」の追加、「カスタムゲームモード」やマップモードツール「作戦計画モード」の追加といったシステムの改善、国ごとに違う「精鋭部隊ユニット」や上陸作戦用艦艇の追加、などが挙げられている。

Mod[編集]

Hearts of Ironシリーズでは、ゲーム内容を設定するデータベースセーブデータのほとんどがテキストファイルもしくはCSVファイルで用意され、ゲーム中で使用される画像もBMPファイルやTGAファイルで用意されている。したがって、Modによる改造などを非常に手軽に行うことができ、有志により様々なModが作られている。

政治的問題への対応[編集]

当時のドイツ国旗はハーケンクロイツであるが、ドイツでは公的な使用が禁止されているために、ゲーム内では帝政期および1933年~1935年に使用された三色旗が用いられている。

また、民族浄化や非戦闘員への戦略爆撃生物兵器化学兵器は本ゲーム内では取り扱わず、ホロコーストに関するイベントなどは無い。公式フォーラムにおいてもこれらの話題を挙げることは禁止されている。

中華人民共和国では、本シリーズは販売禁止となっている。ゲーム内での当時の中国の状況(満州チベット新疆などが独立した勢力として扱われ、台湾を日本が領有していること)がこの理由として挙げられている[5]。これに対してパラドックスは「我々はゲーム会社であり特定の政治的意図は持っておらず、そのため研究家や資料に当たるなど歴史の正確さには注意を払っている。」と反論している[6]

日本では、1作目の日本語版が2003年ハーツ オブ アイアン ~戦火の獅子達~ 日本語版というタイトルでメディアクエストより発売される予定であったが、後に「英語版の一部に弊社のゲームソフト作成基準上、日本語化が困難な部分があるため」との理由で発売が中止されている。詳細は発表されていないが、日本の「戦犯」や皇室の表現に関する部分が理由ではないかと推測されている(菊タブー[7][8]。後にサイバーフロントより発売された日本語版のシリーズでは、この問題を回避するためか、英語版においてHirohitoと設定されている日本の国家元首が自然人ですらない大本営(これには批判も多々あり開発者の苦肉の策であると考えられている)に変更されている。

兵科アイコン[編集]

各兵科ごとのアイコンは基本兵科記号 (北大西洋条約機構)が使用される。但し、一部オリジナルアイコンもある。

脚注[編集]

  1. ^ プレイ年代は後述するように作品により若干異なる。
  2. ^ HOI3では、特定の条件(枢軸陣営による限定戦争)で参戦しなくても良い場合がある。
  3. ^ 選択不可能な国でプレイするには、ゲーム中に登場させて操作国を切り替える、シナリオを自作する(MOD)などの工夫が必要となる。
  4. ^ 前作HoI2のプロヴィンス数は陸上・海上をあわせて2600個に過ぎないので、約4倍細かく分割されることになる。
  5. ^ 中国政府、輸入オンラインゲームの検閲を強化」、[WIRED.jp]、2004年6月5日。
  6. ^ "Paradox comments on Hearts of Iron being banned in China"、パラドックスインタラクティブ、2004年6月2日。
  7. ^ メディアクエスト、「Hearts of Iron」の発売を中止-理由は「ゲームに日本語化が困難な部分」-”. GAME Watch (2003年8月11日). 2006年3月20日閲覧。
  8. ^ 「ハーツ オブ アイアン」が発売中止に”. 4Gamer.net (2003年8月11日). 2006年3月20日閲覧。

外部リンク[編集]