BMP-T

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BMP-T
2012 Eurosatory Tank.JPG
「第2次国際フォーラム"工学技術2012"」にて展示されたBMP-T
基礎データ
全長 6.96m
全幅 3.46m
全高 2.10m
重量 47t
乗員数 5名
装甲・武装
主武装 2A42 30mm機関砲x2
9M120対戦車ミサイル 連装発射機x2
副武装 PKT 7.62mm機関銃x1
AGS-17/30 30mm自動擲弾銃x2
機動力
速度 65km/h
エンジン V-92S2
ディーゼル
1,000hp
行動距離 550km
出力重量比 21.3hp/t
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BMP-Tロシア語: БМПТ(БоеваяМашинаПоддержкиТанков)は、ロシア装甲戦闘車両である。

BMP-T」とは「BoyevayaMashinaPodderzhki-Tankov(英語に翻訳すると"Tank Support Fighting Vehicle")の頭文字をとったもので、ロシア語で「戦車支援戦闘車」の意味である。

概要[編集]

BMP-Tは、第一次チェチェン紛争の戦訓から、戦車に随伴して敵歩兵による対戦車攻撃から戦車を援護するための車両として開発され、旧式化に伴って予備兵器とされたT-72の車体を流用して砲塔を換装し、幾つかの装備を追加したものである。

機関砲及び機銃による制圧射撃の他、自動擲弾銃を用いた近接制圧によって敵歩兵を掃討し、堅固な建造物や掩蔽陣地に立て篭もる敵に対しては誘導ミサイルによる長距離からの正確な攻撃を可能としている。なお、車体内に歩兵を収容する能力はなく、「装甲兵員輸送車」もしくは「歩兵戦闘車」としての運用は不可能である。

ロシア連邦軍では機甲部隊にT-90と混成して装備する主力戦闘車両の一つとして2005年から配備を開始した。

当初、ロシアも批准している「ヨーロッパ通常戦力条約」により、BMP-Tの予定数調達は不可能とされたが、ロシア国防省は「BMP-Tは戦車でも兵員輸送車でもなく、条約締結の時点で存在しなかった新カテゴリの兵器なので、同条約には規定されず、報告の義務も保有数の制限も無い」として予定通りの数を装備することを公言していた。しかし、ロシア連邦軍の機甲装備に対する方針の変化と予算面の問題から、2010年をもって調達は終了した。

その後、砲塔や車体の設計に改正を加えた同コンセプトの後継車両が開発されており、"BMPT-72 Terminator2"の名称で発表されている。

運用[編集]

BMP-Tは、戦車2輌に対して本車1両の単位で運用され、主に市街戦において戦車を援護する。5名の乗員には充実した周辺視察装置が与えられており、従来の装甲戦闘車両の弱点である「死角からの歩兵による近接対戦車攻撃」に対応する能力に優れている。夜間暗視能力のある視察装置によって、昼夜の区別なく周辺警戒が可能である。

本来は戦車を援護して対戦車攻撃に対して迅速に反撃するための車両であったが、搭載兵装の取れる射角の広さから歩兵支援車両として市街戦における対人掃討戦闘に活用され、第二次チェチェン紛争においては対ゲリラ戦闘車両として重用された。

構造[編集]

BMP-Tは、T-72の車体をT-90に準じて改装したものに完全新設計の砲塔を組み合わせた車両で、砲塔は兵装と視察/照準装置のみが車体上に配置されており、砲塔内に搭乗する乗員2名はターレットリング下の車体内部分に搭乗している。乗員は砲塔内右側に車長、左側に砲手、車体前部中央に操縦士が位置し、他に車体前部左右、操縦士の両脇に各1名の観測手兼射手が搭乗しており、周囲の視察と車体に装備された兵装の操作を行う。いずれの乗員に対しても周辺視察能力を高めるために多数の外部視察装置が備えられており、各乗員席には最低1基の夜間暗視装置能力を持つ視察装備が備えられている。

ロシアの開発した戦闘車両としては異例の、高度な火器管制装置を備えており、高い行進間射撃能力を持つ。兵器ショーや公開演習でのデモンストレーション走行では、砲塔を一定の方向に向けたまま360度の超信地旋回を行うという高度な機動を実証している。

武装[編集]

砲塔正面より

砲塔中央部にはオーバーヘッド式に2A42 30mm機関砲を連装式に装備し、機関砲収納部の上部には1基のPKT 7.62mm機関銃が副武装として装備される。砲塔側面左右にそれぞれ1基の9M120"Ataka(ロシア語Атака(Attack、攻撃の意)"対戦車ミサイル[1]の連装発射機が装備されており、いずれの兵装も大きな仰伏角を取ることができる。9M120 対戦車ミサイルは、HEAT弾頭型(9M120-1)の他にサーモバリック弾頭型(9M-133F-1)も使用可能で、本車の場合は対戦車戦闘用としてよりは対人戦闘を主体とした運用を念頭において装備されている。

車体中央部の左右に配置された装甲箱内にはAGS-30もしくはAGS-17 30mm自動擲弾銃が装備されており、これは限定的ながら上下左右に可働させることができるようにマウントされている。砲塔後部右側には360度全周旋回可能な複合視察/照準装置(複合サイト)が装備されており、周囲を捜索すると共に兵装の照準とミサイルの誘導を行える。砲塔の前部左側にも前方固定式に同様の複合サイトが備えられている。

この他、砲塔基部左右には煙幕弾発射装置があり、前方から2-3-1基の発射筒が配置されている。

砲塔基部右側の煙幕弾発射筒
9M120 ミサイルの発射筒(右側)


車体[編集]

鋤型地雷処理装置を装着したBMP-T
「Russian Expo Arms 2009」で展示された車両

車体前面には増加装甲が装着されている他、車体側面にはT-72T-90のようなゴム製ではなく装甲板のサイドスカートを装着しており、側面中央部は砲塔基部を防護するために一段高い装甲板が装備されている。この他、車体後面にはHEAT弾防御用のスリット状増加装甲を装着している。また、車体前面及び側面/砲塔前面には爆発反応装甲を追加装着することが可能であるとの資料もある。照準用レーザー光線の検知装置を砲塔及び車体の各所に備える他、砲塔中央部側面には煙幕弾多連装発射機が装備されている。車体及び砲塔は完全な与圧式NBC防護装置を備え、NBC汚染環境下でも行動可能である。

車体は観測手席が設けられた他には基本的にT-90と同一であり、固有の乗員以外に兵員を搭載させる能力は持っていない。乗員と予備弾薬以外の積載スペースはなく、銃眼などの装備もないため、兵員輸送車両としての使用は設計段階から考慮されていない。

左側面後方より
左側サイドスカートの排気口付近はスリット装甲となっている
後面
スリット装甲が装備されている


関連項目[編集]

外部リンク[編集]