漢和辞典

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漢和辞典(かんわじてん)は、漢字漢語熟語)の意味日本語で解説した辞典のこと。同種の辞典として漢字辞典(かんじじてん)・漢語辞典(かんごじてん)などがあり、本項ではこれらについても言及する。

概説[編集]

漢和大字典(三省堂・1903年)

多くの漢和辞典は、漢字を部首及び音訓によって分類し、部首の画数順に配列し、同一部首に属する漢字は、部首を除いた画数の順に配列する部首配列によっている(いわゆる康熙字典順)。また、多くの漢和辞典では、熟語は1文字目の漢字の項目に列記するが、2文字目の漢字の五十音順に配列するのが現在では主流である。

しかし、漢字を五十音順に配列する『字通』(平凡社)や、漢字・熟語をすべて五十音順に配列する『五十音引き漢和辞典』(三省堂)のように異なった配列を採用する漢和辞典もある。また、日本初の漢和辞典である『漢和大字典』(三省堂・1903年)は熟語を末尾の漢字の項目に記載している。

もともと中国に、漢字を部首によって分類して記載する書物があり、これを「字書」と呼ぶ。日本でも、これに倣って平安時代の『篆隷万象名義』『新撰字鏡』をはじめとする漢字字書が作られた。これらの「字書」が基本的に熟語を収録しないのに対し、現代日本の漢和辞典は熟語を収録する点や音訓索引を備えている点が異なっている。

漢和辞典は「漢文読解を主な目的とした辞典」と「現代日本語の漢字・漢語の理解を主な目的とした辞典」の2つに大別される。前者は用例に漢文を多用し、訓読文や現代語訳を載せることが多い。後者は漢文をあまり載せず、明治以降に作られた和製漢語も数多く収録している。購入層は前者が主に高校生・大学生・一般向け、後者が主に小学生・中学生向けとなっているが、漢文読解を特に必要としない一般人が後者を購入することも多い。

収録字数はまちまちだが、小学生向けのものは基本的に常用漢字や人名用漢字を網羅した2000字~3000字程度で、学習しやすいように漢字の成り立ちや豆知識を豊富な図版で解説したものが多い。また、漢字の学習が主であるため、漢和辞典ではなく漢字辞典と題する傾向にある。中学生以上向けのものでは6000字~10000字程度で、表外漢字も豊富に収録されている。一般向けの漢文読解を主な目的とした辞典では1万字以上を収録しているのが普通である。

近年の漢字をめぐる状況の変化により、収録字数は増加の一途をたどっている。1990年代からパソコンワープロで扱える第1・第2水準漢字(約6000字)を網羅する辞典が増え、補助漢字を網羅した辞典も登場した。2000年代には表外漢字字体表2000年)の制定や人名用漢字の大幅増加(2004年)、第3・第4水準漢字の制定(2000年制定、2004年改定)などがあり、全体的に収録字数が大幅に増加した。2010年には常用漢字の改定があり、これも小中学生向けの収録字数の増加に大きく寄与した。

漢和辞典の構成[編集]

見出し字の親字[編集]

見出しとなる文字は「親字(おやじ)」といい、字体は伝統的な字体である「所謂康煕字典体」に拠っているが、常用漢字や広く通用する字体が伝統的なものと異なる場合はそちらが優先されて記載される。その場合、伝統的字体は「旧字体」として併記される。異体字は「俗字」「略体字」「古字」など細分化して示されているものや、「甲骨文字」「金文」「篆書体」など複数の古書体を併記するものもある。

常用漢字や人名用漢字は文字色や括弧の種類などで他の漢字と区別されることが多い。教育漢字についても他の常用漢字から区別して表示している漢和辞典もある。また、国字については記号等で示されることが多い。

親字の配列[編集]

漢和辞典の親字は部首画数順に配列される。例えば漢字の「水」や「氷」という字は「水」という部首に属する。まず、部首の「水」は画数が4画であり漢和辞典全体では4画目に配列される。次いで部首ごとに部首内画数(部首に更に加えられる画数)に従って漢字が配列されている。漢字の「水」は部首「水」の字形そのままであるから、部首内画数は0であり「水」部の0画目(先頭)に配列される。また、「氷」の字の部首内画数は左上の点の1画が部首に付け加えられた形であるから、部首内画数は1であり「水」部の1画目に配列される。

親字での解説[編集]

親字では次のような解説が置かれる。

  • 総画数 - 表示しない辞書もある。
  • 部首内画数 - 検索の際に用いるため通常表示される。
  • 音訓 - 親字ごとに通用されている「字音」「字訓」が記される。常用漢字では常用音訓が表示される。漢音呉音唐音などの区別も示されることがある。また、辞典によっては人名用の読みを記載したものも見られる。
  • 字義 - 文字の持つ意味
  • 字源 - 漢字の成り立ち
  • 筆順 - 常用漢字や人名用漢字については筆順が掲げられることが多い。
  • 熟語

主として、上付きの熟語が意味と用例を交えて紹介される。対して、下付きの熟語を記載している例は少ない。常用漢字に対しては双方、記載している例が多い。

  • 文字コード - 文字コードを示す漢和辞典もある。
    • Unicode
    • JISコード - コンピュータではいまでこそ「手書き認識」「部品検索」などで容易に難しい漢字を入力できるようになったが、ワープロ専用機が多く普及していた頃には、難しい漢字の入力方法はJISコードを直接入力するしかなく、「漢字を部首で引き、JISコードを調べる」ことに特化し、JISコードと音訓以外の解説を一切省略した「ワープロ辞典」の類も多く出版された。
  • その他 - 文字ごとに「ピンイン」「四声」「」「故事成句」「難読地名」や「名付け」などといった追加情報を併記しているものも多い。

漢和辞典の特殊性[編集]

漢和辞典の特殊性として「字源解説」の多様さが挙げられる。かつては中国の古典である『説文解字』の字源説をそのまま踏襲しているものが多かったが、最近ではより合理的と思われる説が採用されるようになっている。説文解字の分類法「六書」に基づいた字源解説がなされているところは各辞典に共通するところだが、多くの漢字について、研究者によって字源の解釈に差異があり、同じ漢字の字源解説が辞書によって全く違う、という事象も見られる。字源解釈の差異によって画数にも違いが生じ、同じ漢字がある辞典では11画、別の辞書では12画、といったケースもある。また、漢和辞典によっては字源について殆ど載せていないものもある。

漢和辞典のもう一つの特色に「電子化の難しさ」がある。辞書類は高価な百科事典の類も含めて多くが電子化されてきたが、この分野だけは電子化について停頓気味であり、『漢字源』(学研)『字通』(平凡社)など数えるほどしかない。その主な理由に、

  • 漢和辞典に用いられる文字の数が膨大であること。必要な文字は親字のみに限らず、形声文字の音符など、親字として収録されていない文字でも必要なものがある。
  • いわゆる康熙字典体以外の字(異体字、書写体など)において、実物に忠実な字形をフォントで再現することが困難であること(例:本能寺の「能」の字[1]

が挙げられる。しかし、Unicode(ISO/IEC 10646を含む)では国際協調により未登録の漢字(正字)は積極的に登録[2]されており、それら新規に登録された漢字のフォントも開発されはじめていることから、技術的な問題は解消されつつある。

主要な漢和辞典[編集]

日本の出版社の漢和辞典

ここでは、一般向け漢和辞典と中学生以降を対象とする中学生~一般向け(ここでは、端書きに中学生向けと記載されているものを指す)辞典を列記する。この中には現在、絶版になっているものも含む。一般書店では小型版が主流である。また、古くは四段組、単色刷のものも多かったが、現在は三段組、二色刷のものが主流となっている。その他、2000年以降のものは文字コードが記載されているものが多い。

三省堂[編集]

最も漢和辞典の類が多く、改訂も盛んに行っている。

新明解漢和辞典
同社を代表する漢和辞典の一つ。1974年に『新明解漢和辞典』初版刊行以降、1990年の第4版まで刊行。2012年に『新明解現代漢和辞典』が刊行された後も併売されている。後述する『全訳漢辞海』と比較すると国語を重視しており、日常生活向けとなっている。机上版、大字版もある。また、現在は絶版となっているが、更に前身である『明解漢和辞典』が刊行されていた。
新明解現代漢和辞典
2012年1月に『新明解漢和辞典』の後継として刊行。『新明解漢和辞典』に比べて親字数が縮小されたがJIS第1水準~第4水準の漢字は網羅されており、総ページ数は逆に300ページほど増加している。『新明解漢和辞典』の特徴だった部首配列は『全訳漢辞海』同様に伝統的なものに戻されている。国語重視・日常生活向けの方針は継承されている。大字版もある。
三省堂漢和辞典
  • 長澤規矩也【編著】 親字7,500 (中学生~一般向け)小型
『例解新漢和辞典』の前身。1971年に初版を刊行。中学向けのスタンダードとして販売された。四段組。
例解新漢和辞典 
  • 山田俊雄・戸川芳郎・影山輝國【編著】 親字7,000 熟語35,300  小型(中学生~一般向け)
三省堂漢和辞典の後継、1998年に初版、2012年に第四版刊行。伝統的な部首配列を採用している。「漢字に親しむ」というコラムが設けられている。
全訳漢辞海 
  • 戸川芳郎【監修】・佐藤進・濱口富士雄【編】 親字12,500 熟語80,000 
2000年に初版刊行、2013年4月現在第三版。漢文読解に特化し、熟語の殆どに出典を明記するなど専門家から高い評価を得る。『新明解漢和辞典』と異なり伝統的な部首配列を採用している。従来の小型版のほか、机上版、大字版も刊行された。
五十音引き漢和辞典 
  • 沖森卓也・三省堂編修所【編】 親字6,300 熟語30,000 小型
新漢和中辞典 長澤規矩也【編著】
大明解漢和辞典

角川書店[編集]

辞典における古参出版社の一つで、創業者の角川源義は漢文学に造詣が深く、俳句とともに同氏が力を入れていた分野でもあった。2000年代に入ってからは改訂を行っていないものの、ロングセラーが多い。発行は角川学芸出版が行っている。

角川大字源
角川漢和中辞典
  • 貝塚茂樹【編】 親字8,000 熟語80,000 中型 
中辞典の先駆となった辞典の一つ。1959年刊行。
角川新字源
1968年に初版刊行、漢文学習の定番辞書の一つとして知られている。1994年に改訂版刊行以後は改訂は止まっているものの、増刷を繰り返しており、未だ同社漢和辞典の主力である。
角川最新漢和辞典
1975年に初版刊行。中学生向け~日常生活向けを重視した内容で、改訂版からはワープロ普及を睨み業界に先駆けJISコードを記載した。1996年に改訂新版刊行。
角川必携漢和辞典
  • 小川環樹【編】 親字8,000 熟語45,000 小型(高校生~一般向け)
1996年刊行。『新字源』より親しみやすい漢和辞典というコンセプトで制作されるとともに、高校教科書を基礎資料として、親字や収録熟語を厳選している。
角川現代漢字語辞典 -五十音引き-
2001年発行。パソコン普及にならってコード記載を表記し、JIS規格1~4までを全て網羅する。

大修館書店[編集]

語学関係に強みを持つ出版社で、『大漢和辞典』で著名。また、『明鏡国語辞典』など革新的な辞典を刊行することが多い。

大漢和辞典
  • 諸橋轍次【編】 親字48,000 熟語530,000 大型(全20巻)
広漢和辞典
新漢和辞典
  • 諸橋轍次・鎌田正・渡辺末吾・米山寅太郎 親字9,000 熟語40,000 小型~大型
大漢和辞典から生まれた漢和辞典で、1987年刊行。2002年には大型版も刊行された。
新漢語林
  • 鎌田正・米山寅太郎【著】 親字14,313 熟語50,000 小型
1987年に『漢語林』として発行、改訂版を経て2004年に『新漢語林』を発行。2011年に改訂。漢文読解の専門書として定評を得ている。
大修館漢語新辞典
  • 鎌田正・米山寅太郎【著】 親字12,200 熟語45,000 小型
2001年刊行。『漢語林』と同じ著者が手掛け、漢文学習を主眼とする点は同じだが、前者と比較すると中高生~一般向けをターゲットに置いており、コラムや図版などを充実させている。
大修館現代漢和辞典
1996年初版刊行。日常向けと漢文学習用の、両面の性格を持つ。五十音順で記載された熟語索引が特色。

学研教育出版[編集]

三省堂と並ぶ古参の一つ。改訂を盛んに行っている。

漢字源 
1998年に初版刊行、2002年に改訂新版、2010年に改訂第五版まで刊行するなど頻繁に改訂を行っている。類書で最多の収録字数を誇る。
新漢和大字典 
  • 藤堂明保・加納喜光【編】 親字20,000 熟語120,000 中型。
学研現代標準漢和辞典 
  • 藤堂明保・加納喜光【編】 親字7,550 熟語25,000 (中学生~一般向け)小型
前身は中学生をターゲットにした『ジュニアアンカー漢和辞典』で、収録字数3,700字にて1995年に刊行された。2001年に中学向けから幅を伸ばして、収録字数をほぼ倍加し初版刊行、2011年に改訂第2版刊行。見出しやレイアウトは漢字源に類似しているが、二色刷やイラストを多用するなどして、親しみやすくしている。

小学館[編集]

小学生向けに強みを持つ一方で、『新選漢和辞典』などを発行するパイオニアでもある。

新選漢和辞典
  • 小林信明【編】 親字15,400 熟語64,000 小型
1963年初版刊行と歴史が古く、一般向け小型漢和辞典のロングセラー。以後、改訂を繰り返しており。第六版刊行後には二色刷版も刊行され、第七版後は人名用漢字対応版も刊行された。2011年に第八版を刊行。第七版までは中国の簡体字約1,300字を併記していた。
現代漢語例解辞典
  • 林大【監修】 親字9,700 熟語50,000 小型
新選漢和と比較して、受験などの学習目的に編纂されている。1992年に初版刊行。その後、二色刷を行い、2000年に改訂二版を刊行。部首における配置や字義で熟語を分類するなど、個性的なレイアウトを持つ。
ポケットブログレッシブ漢字辞典 
現在も販売されている、数少ないポケット判漢和辞典。

旺文社[編集]

受験、学習用に強みを持つが、専門的な辞典も多数刊行。

旺文社漢和辞典
  • 赤塚忠 親字9,000 熟語48,000 小型
『漢字典』の前身。1964年に初版刊行し、1990年に第四版刊行。二色刷採用により見やすさなどからロングセラーとなり、現在も重版を行っている。四段組。
漢字典
競合他社の専門的小型漢和辞典に対抗するため、1999年に初版刊行。2006年に改訂し、2011年に新装版を刊行。同社の定番漢和辞典となっている。漢文読解に注力しているが、日常向けの側面も持つ。
漢和中辞典
  • 赤塚忠 阿部吉雄【編】 親字11,000 熟語62,000 中型
1977年刊行。専ら漢文学習を目的とした専門的な中辞典。
旺文社標準漢和辞典
  • 遠藤哲夫・小和田 顯・大島 晃【編】 親字6,000 熟語40,000 (中学生~一般向け)

1968年に初版刊行、中学向けの草分け的存在。2011年に刊行された第六版で大幅に親字数を増加させた。

ベネッセコーポレーション[編集]

福武漢和辞典
  • 石川忠久・小和田顕・遠藤哲夫 【編】 親字8,000 熟語50,000 
1990年に刊行。現在は絶版(同社HPからは出版情報確認できず)。四段組。
ベネッセ新修漢和辞典 
1991年に初版刊行。中高生の学習向けで、漢検にも対応。五味太郎がイラストを担当している。

岩波書店[編集]

新漢語辞典
  • 山口明穂・竹田晃【編】 親字11,800 熟語36,000 小型。
1985年に刊行された『漢語辞典』を前身とする。1994年に初版刊行。2000年に第二版刊行。同社の辞典編集部が編纂に関わっており、熟語は漢文より国語を重視した内容となっている。

講談社[編集]

新大字典
同社を代表する漢和辞典。1993年に「大字典」から戦後初めて全面改訂される。
講談社漢和辞典 -五十音引き-
五十音引き漢和辞典のパイオニア。また、類書で最大の収録字数を持つ。

清水書院[編集]

実用目的の漢和辞典を刊行している。

新漢和辞典
  • 山岸徳平【編】 親字4,200 熟語30,000 文庫版
文庫サイズで、携帯、卓上用。実用目的に編纂されており、解字は省略されている。1988年に初版刊行。
要解漢和新辞典
  • 石川忠久・三谷栄一【編】 親字5,000 熟語40,000 小型
実用目的に編纂されており、解字は省略されている。1985年に初版刊行し、机上版も発行されるなど1997年には第五版まで刊行されたが、現在絶版(同社HPから確認できず)。

平凡社[編集]

白川静の著作が知られる。

字通 
  • 白川静【著】 親字9,500 熟語220,000 大型。
白川静の集大成と評される。収載熟語数もさながら、解字に定評。
字統 
字訓
  • 白川静【著】 親字1,880 大型 

新潮社[編集]

新潮日本語漢字辞典 
  • 新潮社【編】 親字15,375 熟語47,000 大型
国語、日常語に重視。熟語の用例を近現代文学などから採用するなど、国語辞典としての色も濃い異色作。

明治書院[編集]

新釈漢和辞典
  • 吉田賢抗【著】 親字6,600 熟語36,000 小型(新書判)
1969年に初版発行、2000年に改訂第12版発行とこまめに改訂を繰り返しており、漢文読解に一定の評価を得ている。著者の吉田は同社で、『新釈漢文大系』シリーズも著述している。

集英社[編集]

新修漢和広辞典 
1987年刊行。日常、実務、学習用。携帯用のため三六判となっており、外函は最初から付いていない。

日本漢字能力検定協会[編集]

漢検漢字辞典
  • 宇野精一【監修】・日本漢字教育振興会【編】 親字6,300 熟語42,000
漢検受検対策として刊行された漢字辞典であり、漢文学的要素は皆無。一般向けでは珍しく、楷書体を採用。

博友社[編集]

新修漢和大字典 
1932年に初版が刊行され、以来150余回以上の増刷を繰り返してきた漢和辞典の名著。2000年に増補版を刊行し、旧字体を改めるなどの変更を行っているが、当時の活字印刷そのままのレイアウトである。尚、小柳は富山房が出版した『詳解漢和大辞典』の編集者の一人でもある。

富山房[編集]

詳解漢和大字典
歴史ある漢和辞典の一つで、1916年に刊行されて以来、1000回以上の増刷が行われた。現在は絶版となっているが、根強い支持者が多い。

など

小学生向け漢字辞典[編集]

小学生を対象に、小学校で履修する教育漢字と中学校で履修する常用漢字(狭義の意味で。広義での常用漢字は教育漢字を包含する)を部首別に漢字を分類し、個々の漢字に対して、字意、関連熟語、その他筆順や書き方の注意などを記載した辞書である。かつては、常用漢字1945字(当時)のみを収載したものが主流であったが、近年は常用漢字外の漢字(主に人名用漢字)を補完するものが主となっている。その他特色としては、新字体での配列を基本としており、部首索引において、艸部(6画→3画)、邑部(7画→3画)、阜部(8画→3画)などの配列が偏旁に合わせたものとなっている。

また、近年の特色としては小学生向け国語辞典とともに紙質の改善が挙げられ、独自の紙を開発したり、合成樹脂を採用したりすることが多くなった。これは、軽量化やページのめくりやすさと共に、深谷圭助が提唱した辞書引き学習法の普及にも関係しており、従来の製本や紙質では多量の付箋貼付に耐えられなかったため耐久性の強化も理由の一つである。その他、低学年でも読めるように総ルビが常識化しているほか、故事成語や同訓異字の使い分けなど、コラム、補足が充実している。

主な小学生向け漢字辞典
福武書店時代から同名タイトルで1985年に初版刊行。2013年現在第五版。コラムに注力しているほか、爪に部首見出しを記載するなど見やすさを追求。
  • 例解小学漢字辞典 林四郎 大村はま【監修】 三省堂 親字3000字(常用・人名・表外)
1977年に『学習漢字辞典』として刊行。1998年に現タイトルに改め、2013年現在第四版。字意ごとに熟語を分類。また、類書で唯一JISコード記載がある。
  • 例解学習漢字辞典 藤堂明保【著】 小学館 親字3000字(常用・人名・表外) (ドラえもんをタイアップしたバージョンもある)
1972年に初版刊行以来、2013年現在第七版を数える最古参の一つ。収録熟語の多さを売りとしており、第七版は25,000語を超える。また、類書に先駆け、柱部分に部首一覧を設けた。
  • 新レインボー小学漢字辞典 加納喜光【監修・編集】 学研 親字約3000字(常用・人名)
古くは『学研小学漢字辞典』として1980年に刊行。1996年に『レインボー小学漢字辞典』、更に改訂後は”新”を冠するようになり、2013年現在改訂第四版。前身から数えると改訂は7回以上に及ぶ。類書と比較するとイラストを多用、コラムにも注力している。また、類書に先駆けて、総ルビを行っている。
  • 旺文社小学漢字新辞典 尾上兼英【監修】 旺文社 親字3200字(常用・人名・表外)
1987年に初版刊行、2013年現在第四版。常用漢字外の漢字を積極的に採用するなど、類書最多の収録字数を売りとしている。
1987年に『くわしい小学漢和辞典(シグマベスト)』として刊行。1996年より現タイトルに改める。2013年現在第四版。類書で最も軽量かつ最小容積(頁数が少ないわけではない)。文字のなりたちに詳しいほか、常用漢字全てに画数表記(20画まで省略なし)がある。
  • 下村式小学学習漢字辞典 下村昇【著・編集】 偕成社 親字2136字(常用漢字のみ)

その他、くもん出版が教育漢字1006字のみを対象とした『小学漢字字典』を発行しているほか、光村図書出版教育同人社が学校教材として販売を行っており、光村版は一般書店にも販売ルートを持つ。

  • 小学漢字新辞典 甲斐睦朗 【監修】光村図書出版 親字2136字(巻末に人名用漢字一覧)
前身は『光村漢字学習辞典』で、1997年の刊行。小学校の国語学習と関連させ、重要な熟語は見出しを大きくしている。

また、かつては講談社からも『学習新漢字辞典』が定期的に発行されていたが、1998年11月を最後に改訂は行っておらず、2010年以降の改訂常用漢字表対応のものは存在しない(但し、2013年2月時点でも購入可能となっている)。その他、2003年に教材大手の日本標準が『小学漢字学習辞典』を、1985年には角川書店が『最新小学漢字辞典』を(1988年に改訂後、絶版。現在、同社は小学生向け辞書からは撤退している)、1975年まで誠文堂新光社が『小学生の漢字辞典』を刊行していたことがある。

また、これらは国語辞典と対になっており、セット販売を行っているものがある。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 文字コード標準体系検討専門委員会報告書3.5.4
  2. ^ 2008年12月1日制定のISO/IEC 10646:2003/Amd.5時点で75,394文字