ミクロの決死圏
| ミクロの決死圏 | |
|---|---|
| Fantastic Voyage | |
| 監督 | リチャード・フライシャー |
| 脚本 | ハリー・クライナー |
| 製作 | ソウル・デイヴィッド |
| 出演者 | スティーヴン・ボイド ラクエル・ウェルチ |
| 音楽 | レナード・ローゼンマン |
| 撮影 | アーネスト・ラズロ |
| 編集 | ウィリアム・B・マーフィー |
| 配給 | |
| 公開 | |
| 上映時間 | 100分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| AllRovi | |
| IMDb | |
『ミクロの決死圏』(ミクロのけっしけん、原題: Fantastic Voyage)は、1966年制作のアメリカ映画。
目次 |
[編集] あらすじ
物質の縮小技術が研究されていたが、縮小は1時間が限界でそれを越えると元に戻ってしまう。アメリカは、この限界を克服する技術を開発した東側の科学者を亡命させるが、敵側の襲撃を受け科学者は脳内出血を起こし意識不明となる。科学者の命を救うには、医療チームを乗せた潜航艇を縮小して体内に注入し、脳の内部から治療するしかない。はたして1時間のタイムリミット内で、チームは任務を遂行し体内から脱出できるのか。
[編集] 概要
冒険映画的な邦題に対し、原題の「幻想的な旅」に則って人体の内部表現は写実的というよりは、ファンタジータッチである。斬新な発想とSFプロット、スパイアクション仕立ての導入部、潜航艇内で何者かによる妨害工作が続きチーム内に敵のスパイがいるのではないかと互いに疑心暗鬼になる密室劇的要素、次々と起こる不測の事態の克服といったサスペンス要素から、肉体派女優として一世を風靡したラクエル・ウェルチの体にぴったりと貼り付くウェットスーツを着せるといった演出まで、幅広い要素を散りばめた作品である。
一方で、映画の最後に字幕で記されているとおり、将来の医療・科学の進歩を予想して当時研究されていた技術やアイデアを作品内に取り入れており、例えばレーザーによる縫合など、映画に登場したものとは方向性が大きく違うにせよ、後年に実現、発展した例も見受けられる。また、言うまでも無い事だが、「軍事作戦」としての「Operation(作戦)」と、「外科手術」としての「Operation(手術)」を掛けてあり、階段教室ならぬ、オペレーション・ルームから、軍医たちによるモニターのもと、この「作戦(手術)」は進行される。この技術が確立されると、「数個師団をポケットに入れて持ち運べる」とか、「微細手術」を行なうプローブとなる潜航艇の、「縮小手続き」の丁寧な描写に、西洋近代科学技術のもつ「スケール感(観)」が、象徴的に言及されており、この映画の「科学教育効果」にも大変高いものがある。
本作は人体内部の造形や、その中を潜航艇で航行する特撮で、アカデミー美術賞および視覚効果賞を受賞した。その他、撮影賞・音響賞・編集賞にもノミネートされている。
[編集] キャスト
| 役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |||
|---|---|---|---|---|---|
| テレビ朝日版1 | テレビ朝日版2・DVD | テレビ東京版 | テレビ版4 | ||
| グラント | スティーヴン・ボイド | 内海賢二 | 菅生隆之 | 広川太一郎 | 井上孝雄 |
| コーラ | ラクエル・ウェルチ | 武藤礼子 | 佐々木優子 | 鈴木弘子 | ? |
| カーター | エドモンド・オブライエン | 金井大 | 石田太郎 | 早野寿郎 | 島宇志夫 |
| マイケル | ドナルド・プレザンス | 島宇志夫 | 緒方賢一 | 宮内幸平 | 川辺久造 |
| デュヴァル | アーサー・ケネディ | ||||
| リード | アーサー・オコンネル | ||||
[編集] 小説
後に、この映画の脚本を元にアイザック・アシモフが小説化している。映画では説明されなかった「縮小されていない空気分子をミクロ世界に取り込んでも役に立たない」「体内に残された潜航艇が復元すれば結局台無し」といった疑問点もアシモフらしく巧く処理されている。1987年にはオリジナルの続編『ミクロの決死圏 2 - 目的地は脳(Fantastic Voyage II: Destination Brain)』を著している。
- アイザック・アシモフ 『ミクロの決死圏』 高橋泰邦訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1974-4。ISBN 9784150100230。
- アイザック・アシモフ 『ミクロの決死圏2 - 目的地は脳 - (上)』 浅倉久志訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1999-3-31。ISBN 9784150112653。
- アイザック・アシモフ 『ミクロの決死圏2 - 目的地は脳 - (下)』 浅倉久志訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1999-3-31。ISBN 9784150112660。
[編集] トリビア
- 日本で本作が紹介される際「サルバドール・ダリが美術を担当」と記述される場合が多いが、これは映画公開の前年・1965年に作成された同名のリトグラフ「Fantastic Voyage」と混同された事に伴う誤りであり、実際にはダリは映画には全く関わっていない。
- 製作された当時は、まだ電卓も発売されておらず、映画の中の科学者は計算尺で計算していた。
- 『鉄腕アトム』の連続TV放映が原作よりも先行しシナリオ切れを起こしていたため虫プロのスタッフが手塚が1948年に発表した『吸血魔団』という漫画をアニメ用にリライト、「細菌部隊」というタイトルで放映。『鉄腕アトム』の権利を買い上げて『アストロボーイ』を一括管理していたNBCに20世紀FOXがシリーズ中の1話を映画のシナリオにしたいと手紙で打診し、NBC側はそのエピソードのシナリオを手塚の連絡先も添えて20世紀FOXに送る。しかし20世紀FOXから何の連絡も無く、数年立ってから本作が公開された。また後年手塚は、『ワンダービート スクランブル』で、特殊艇を縮小して体内からの医療行為をおこなう話を企画監修している。手塚は自著『僕はマンガ家』でこの件に触れ「腹も立ったが、お互い様」と割り切っている。
- 『ウルトラセブン』では、少女の体内でミクロ大の怪獣と自らミクロ化したウルトラセブンが戦う話がある(「悪魔の住む花」。怪獣の名が偶然「ダリー」である)。体内のシーンで使われるセットなどは本作の影響を強く受けていると思われる。
- 映画『ガメラ対大魔獣ジャイガー』においても、ガメラの体内に潜入するシーンなどに、同様に影響が見られる。
- 藤子・F・不二雄は本作と全く同じ物語を構想していて、本作を観た時、先に発表しなかった事を大変悔しがったという。しかし、『ドラえもん』には、母親の大切なブローチを誤って飲み込んでしまった源静香の体内にのび太とドラえもんが、スモールライトで、乗った潜水艇ごと錠剤化して入ってゆくエピソードや、体内の不調を訴えたドラえもんの中に、のび太が潜入して問題を解決するエピソードがあり、いずれもパロディという形でそのアイデアを生かしている。
- アメリカでは1968年にアニメ化作品が放送されたが、潜航艇を縮小するというコンセプト以外は映画とは全く異なる内容になっている。日本でも1972年に「ミクロ決死隊」のタイトルで放送され、キャラクター名に「ミスター・ネンリキ」などの独自の翻訳が加えられた。
- 『キン肉マン』ではロボットと超人の特性を持つロボ超人ウォーズマンの体内に悪魔超人が侵入し、キン肉マンら正義超人が彼の体内で悪魔超人と戦うエピソードがある。原作者ゆでたまごは後年インタビューにて以前から好きだった本作と、同様に人間がコンピュータの中に入って冒険する映画『トロン』を見たことから、ウォーズマンの身体の中で戦うというアイデアを思いついたと話している。
- 『こち亀』には、両さんが魔法でミクロサイズにされた時、麗子にからかわれて怒り、麗子の服の中に潜り込もうとしながら「ミクロの決死圏だぞ」と言うエピソードがある。
- 「ミクロ化した潜航艇が人体に」というプロットで1987年には『インナースペース』が作られた。こちらも人体の様々な器官の描写に工夫が凝らされ、同年度のアカデミー視覚効果賞を受賞している。
[編集] リメイク
現在、ジェームズ・キャメロン製作・ローランド・エメリッヒの監督でリメイクの企画が進行中。公開時期は未定。
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