ホークラックス

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ホークラックス(Horcrux)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズに登場する架空の魔法用語である。6巻にて初登場。

[編集] 名称について

Horcruxは、フランス語の「dehors」(=英:outside、外)と、「crux」(英語:要点、ラテン語:責め苦)を由来とする造語である。したがって、魔術を用いた人物の重要な部分(=魂)を苦しみとともに外へ出す、という意味になる。

[編集] 概要


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


ホークラックスは、「分割した霊魂を隠した物」を指す。邦訳においては分霊箱(ぶんれいばこ)と訳されているが、「魂を隠した物」は物質でも生物でも、その形状を問わない。また、本来の肉体にも魂が残っている。

分霊箱に納められた魂の断片は、魂をこの世に繋ぎとめる役割を持ち、「完全な死」を防ぐ効果を持つ。本来の肉体と肉体に宿る魂が破壊されても、他の魂の断片を納めた分霊箱が存在する限り、その者が本当の意味で死んだことにはならない。ただし分割された魂が全て滅ぼされた状態で本体が肉体的な死を迎えると、魔法を講じた者は死滅する。

分霊箱を作った魔法使いが肉体を滅ぼされた場合でも、分霊箱が無事であれば、ゴーストとも生命体とも呼べないほど弱いのような存在となる。肉体を得るには、何らかの蘇生魔法を使う必要がある。また、肉体を滅ぼされ魂のみの存在となっても、分霊箱に保存された魂は消耗しない。

他者を殺害すると自分の魂が引き裂かれることを利用して魂を引き裂くため、分霊箱を作成する際には生け贄として他者を魔法で殺害する必要がある。殺害は直接的な方法(死の呪文の行使など)である必要はなく、間接的な方法、たとえばバジリスクに指示を出して殺害させるといった形でも分霊箱を作ることは可能である。また、作中のホラス・スラグホーンの発言から、引き裂いた魂を魔法器に保存するための呪文もあるようだが、作中では明らかにされていない。

他者の命を犧牲にして自らの命を補強するという特性から、最も邪悪な魔法と見なされ、その存在は一部の者しか知らない。加えて存在を知る者でも、この魔法の真の「意味」や具体的な方法を知る者となると極めて少なく、ホグワーツ魔法魔術学校ではホークラックスや分霊箱の名を口に出すことすら強く禁じられている。スラグホーンは過去に、ホグワーツの図書室で分霊箱に関して微塵でも記述がある本を探すだけでも骨だと語っており、実際、図書室を長年利用し本の配置などにも詳しいであろうハーマイオニー・グレンジャーでさえ、「魔法の中で最も邪悪な発明。人はそれを説きもせず語りもしない」という一文が記載された本を一冊見つけるのが限界だった。

分霊箱を複数個作ることもできるが、そうした場合の効果の変化については不明。なお、作中で分霊箱を使用したのはヴォルデモートのみだが、3つ以上に魂を引き裂いた人物は魔法界の歴史においても他に存在しないだろうとされる。ヴォルデモートが人間離れした容姿に変貌していったのは魂を引き裂いた結果であるとダンブルドアは推測している。しかし、少なくとも分霊箱を1つ作った時点ではヴォルデモートの容姿に変化はなかった。

分霊箱は強力な魔法特性を持った物でしか破壊できず、また破壊されると魂を分割した本人は気付くようだが、ヴォルデモートは魂を分割しすぎ、さらに長いこと放置していたせいか、作中破壊されたことに全く気づかなかった(映画版では逆に感知、さらに衰弱している)。

分割された魂を元に戻すには良心の呵責が必要であり、自らを滅ぼすほどの苦痛が伴う。7巻で、ハリーがヴォルデモートに後悔をするよう説得する場面が見られるが、ヴォルデモートは最終的にこれを拒否した。

また人の心を支配する力があり、魂が保存された物に執着心を持つとその人間は操られてしまう。作中では、「リドルの日記」にジニー・ウィーズリーが操られた。またアルバス・ダンブルドアも「ゴーントの指輪」をはめてしまい、致命傷を負っている。

[編集] ヴォルデモートの分霊箱

ヴォルデモートはより確実な安全のために複数回の分霊箱作成を行なっている。また7という数字が作品世界では一番強い魔法数字とされるため、6回の分割を経ることで、自身の肉体に残る1つの魂と6つの分霊箱の7つに自身の魂が分割されれば、より強力な存在になれるのではないかと考えた。そして1943年に16歳で1回目の分霊箱作成を行ない、その後も順次作成し、魂を6つに分割していった。

6つ目の品を得る前に1981年のハリー・ポッター襲撃で肉体を失っており、6回目の分霊箱作成を行なったのは仮の肉体を得た1994年夏の事である。その後、1995年夏に肉体も復活した。

ヴォルデモートは自分の名誉にふさわしく、魔法の歴史を持つ物を分霊箱として選んだ。

トム・マールヴォロ・リドルの日記
黒い表紙の薄くて小さい日記帳。中身は白紙で、一見すると普通の日記帳だが、16歳当時のリドルの記憶が保存されており、「秘密の部屋」の詳細が述べられている(つまりこの日記帳はリドルがサラザール・スリザリンの後継者であることを証明する品である)。その後6巻で実は分霊箱だったことが明らかになる。ヴォルデモートにとって、自分がスリザリンの継承者である事を示す重要な品でもあった。
リドルが学生時代にロンドンの書店で購入したもので、1943年6月、嘆きのマートルを生贄に分霊箱にされた。
ヴォルデモートがポッター家を襲撃する前にルシウス・マルフォイに預けたが、ルシウスはこの日記帳が重要なものであると知らず、私的な目的のため2巻でこの日記帳を使い「秘密の部屋」事件を引き起こす。その結果、ハリーにバジリスクの牙で日記帳を破壊されるという事態を招く。
マールヴォロ・ゴーントの指輪
蘇りの石が埋め込まれた金の指輪。ゴーント家に代々受け継がれてきたもので、後にマールヴォロから息子モーフィンに受け継がれた。ペベレル家所縁の品だが、マールヴォロ・ゴーントはこれをスリザリン所縁の品と考えていた。
自身の出自を突き止めたリドルが、ゴーント家を訪れた際にモーフィンから指輪を奪取。その後、トム・リドル・シニアを生贄に分霊箱にされた。
ヴォルデモートは、モーフィンがリドル一家殺人の罪でアズカバンに送られた後、指輪を無人のゴーント家に隠したが、6巻でダンブルドアがゴドリック・グリフィンドールの剣を使って破壊した。
サラザール・スリザリンのロケット
小さな緑の石でSの字が装飾された金のロケットで、スリザリン所縁の品。サラザールの末裔であるメローピー・ゴーントに受け継がれたが、生活に困窮してカラクタカス・バークへ売却、後にヘプジバ・スミスが購入した。
ヘプジバのコレクションのひとつと知ったリドルが、彼女を殺害しロケットを奪取。マグルの旅行者を生贄に分霊箱にされた。
ヴォルデモートはロケットを海岸沿いの岸壁にある洞窟に隠した。洞窟へは海からしか入れず、更に奥の地底湖へ入るには偽装された扉に血を塗りつけねばならず、湖中央の小島に専用の小舟で渡る必要がある。ロケットは小島に据えられた水盆の底に沈められており、水盆を満たす緑色(映画版では黒色)の毒液を飲み干さないと取り出せない。なお地底湖の底には、ロケットの奪取を妨害するための亡者が潜んでいる。
6巻でダンブルドアとハリーが奪取に赴いたが、その時には既にR.A.B(レギュラス・アークタルス・ブラック)によって偽物にすり替えられていた。本物のロケットはブラック邸にあったが誰にも気づかれておらず、5巻不死鳥の騎士団の団員がブラック邸の掃除を行った時に一旦は捨てられている。その後クリーチャーが盗み出し自身の部屋に隠したが、マンダンガス・フレッチャーによって再び盗まれ、更に賄賂としてドローレス・アンブリッジの手に渡った。
7巻でハリー達3人が魔法省に忍び込んでアンブリッジから取り戻した後、ロン・ウィーズリーがグリフィンドールの剣で破壊した。
尚、このロケットは、パーセルマウスでなければ開けることは不可能。
ヘルガ・ハッフルパフのカップ
穴熊が刻印された小さな金のカップで、ハッフルパフ所縁の品。ヘルガの末裔であるヘプジバ・スミスに受け継がれていた。
ヘプジバのコレクションのひとつと知ったリドルが、彼女を殺害しカップを奪取。ヘプジバを生贄に分霊箱にされた。
分霊箱にされた後はグリンゴッツ魔法銀行のレストレンジ家の金庫に保管されていたが、7巻でハリー達が奪取。「秘密の部屋」にてハーマイオニーがバジリスクの牙で破壊した。
ロウェナ・レイブンクローの髪飾り
「計り知れぬ英知こそ、われらが最大の宝なり」と刻まれた(恐らくは汚れで)黒ずんだティアラで、レイブンクロー所縁の品。ロウェナの娘であるヘレナが盗み、アルバニアの森に隠した。
リドルが学生時代にヘレナ(現「灰色のレディ」)から在り処を聞き出し、ホグワーツ卒業後にアルバニアを訪れて入手。アルバニアの農民を生贄に分霊箱にされた。
ホグワーツ魔法魔術学校の「必要の部屋」に隠されており、6巻でハリーが「上級魔法薬」を隠す時に気づかず触っている。7巻でハリー達とドラコ・マルフォイビンセント・クラッブグレゴリー・ゴイルが「必要の部屋」で交戦になった際、クラッブの使用した「悪霊の火」によって偶然破壊された。映画版ではハリーにバジリスクの牙で叩き壊された後、「悪霊の火」の中に放り投げられる形で破壊された。
ナギニ
ヴォルデモートが飼っている雌蛇。
ダンブルドアは、フランク・ブライスを生贄に分霊箱にされたと推察しているが、7巻発売後の作者インタビューによると、実際に生贄になったのはバーサ・ジョーキンズである。この1994年夏当時、ヴォルデモートは肉体がない状態であったが、ピーター・ペティグリューの協力でユニコーンの血とナギニの毒を使った魔法薬で作成した肉体に宿ることで仮の肉体を得ていた。
常にヴォルデモートの身近に置かれ、彼が分霊箱の破壊を知った後は球形のバリア状の魔法で守られた。7巻でヴォルデモートがネビル・ロングボトムを「組分け帽子」もろとも焼き殺そうとした際、ネビルがグリフィンドールの剣を「組分け帽子」から取り出し、守りが解かれていたナギニを切り殺した。
ヴォルデモートは6番目の分霊箱として扱っていたが、実は7番目に作られた分霊箱であり、作中で破壊された順番も7番目(=最後)である。

そしてもう1つ、意図せずに作ってしまった分霊箱が存在する。

ハリー・ポッター
1981年10月31日、ヴォルデモートが当時赤ん坊だったハリーに死の呪文を使った際、リリー・ポッターの愛による防御呪文で呪文を撥ね返された。この時、ヴォルデモート自身に残っていた魂の一部がハリーに引っかかり、ハリーは「ヴォルデモートが意図せずに作った分霊箱」となってしまった。
しかし4巻で、ヴォルデモートは自身の甦りにハリーの血を使ってしまう。このことでヴォルデモートはハリーの血に宿るリリーの防御呪文までも取り込んでしまい、結果としてハリーはヴォルデモートの肉体が生きている限り死ななくなった(つまりヴォルデモート自身が「ハリーの分霊箱と同様の存在」になったと言える)。
7巻でヴォルデモートがハリーに対して死の呪文を使ったが、上記の通りハリーの魂はヴォルデモート自身に守られているためハリーは死なず、ハリーに残っていたヴォルデモートの魂だけが破壊される結果となった。器の破壊なくして魂の欠片だけを破壊された、法則に外れた分霊箱である。
作中で判明した分霊箱が破壊できる物質に悪霊の火、バジリスクの牙、そしてバジリスクの毒を吸収したグリフィンドールの剣があるが、この分霊箱の破壊はそのどれにも該当しない方法で行われた。分霊箱を破壊したのは死の呪いによるものなのか、ニワトコの杖の力によるものなのか、ヴォルデモートの魔力によるものなのかは不明である。
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