カワサキ・750RS

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基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
エンジン Z2E型 746 cm3 
内径×行程 / 圧縮比 64 mm × 58 mm / 9.0:1
最高出力 69ps/9,000rpm
最大トルク 5.9kg-m/8,500rpm
      詳細情報
製造国
製造期間 1973年-1975年
タイプ ネイキッド
設計統括
デザイン
フレーム 鋼管ダブルクレードル
全長×全幅×全高 2200 mm × 865 mm × 1170 mm
ホイールベース
最低地上高
シート高
燃料供給装置 キャブレター
始動方式 セル式&キック式
潤滑方式
駆動方式 チェーン式
変速機
サスペンション テレスコピック式
スイングアーム式
キャスター / トレール
ブレーキ シングルディスクブレーキ
ドラムブレーキ
タイヤサイズ
最高速度
乗車定員 2人
燃料タンク容量
燃費
カラーバリエーション
本体価格
備考
先代
後継
姉妹車 / OEM
同クラスの車
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カワサキ・750RS(ななひゃくごじゅうアールエス)は、川崎重工業(現・カワサキモータース)が1973年から1975年にかけて製造・販売していた総排気量746ccのオートバイである。通称は型式名からZ2(ゼッツーと読む。関西では「ゼッツー」)もしくはやはり関西での通称だが(車名の750RSより)「アールエス」。

概要[編集]

カワサキは1972年に排気量903ccのZ1を発売し、欧米で高い人気を博し販売成績も好調であったが、日本国内では業界の自主規制(大型自動二輪参照)により750cc超のオートバイは販売できなかったため、750ccクラスの国内版モデルが必要であった。当初はZ1のエンジンをボアダウンして発売する予定だったが、結局ボアとストロークの両方を変更して排気量を750cc(正確には746cc)とし、1973年4月に750RS(型式Z2)として発売した。

なお、同車種を「Z750RS」とした記載がウェブ上や雑誌、小説等に散見されるが、下記の通りあくまで「750RS」であり、後継であるZ750FOURと呼称を混同したと思われる「Z750RS」というモデル名の車種はこのシリーズには存在しない。前者のRSはロードスター (roadster)を意味し、当時の同社の4ストロークモデルのシリーズ呼称である。

車両解説[編集]

ベース機種のZ1(903cc)のボア / ストロークは66×66mmのスクエアエンジンであり、当時ハーレーダビッドソン・ツーリングが1200ccだったこともあり1200cc程度まで技術的余裕を持たせていたが、ボアダウンによる750ccへの縮小は視野になかった。ストロークの変更は、クランクシャフトを完全新設計とせざるを得ず、時間と費用の点では非常に不利である。しかし、ボアダウンのみで750cc程度とすると、そのボア径はおよそ60mmとなり、これでは、給排気バルブがそのままでは干渉するため、シリンダーヘッドの新設計が必要となるのと、ロングストロークとなり「高出力車」のイメージにそぐわなくなるためボアの縮小はシリンダーヘッドがそのまま使える範囲にとどめ、併せてクランクを変更してストロークも縮小する方法を選択した。

Z2発売当時にはスターターモーターによるセルフスターターが普及していたが、バッテリーや充電系の信頼性への懸念から、キックスターターもあわせて装備されている。また、Z1、Z2用にデザインされたバックミラーは、車両本体の生産が終了した後も、用品市場では「Z2ミラー」(ゼッツーミラー)の名で長く親しまれている。

Z2の識別エピソード[編集]

•750RS(z2.z2A.z2A後期)、そして後継のZ750Four(A4.A5)も同様の形式「Z2」である。

  • 「A4およびA5は何の4型・5型であるのか?」という問いに整合性のとれる回答を出すには形式Z2の4型・5型であると認めるほかはなく、「Z750Four(A4.A5)はZ2ではない」との主張は誤り。
  • なお、これは「ゼッツーは750RSだけの愛称である」といったオーナー一人ひとりの個人的な分類を否定するものではない。
  • 丸型Zの最終モデルであるZ750Four(D1)では形式Z750Dであり、Z2ではなくなっている。

モデル一覧[編集]

750RS/Z2[編集]

  • Z2(1973年モデル:初期型) - 国内向けのカラーリングはキャンディトーンブラウン(通称火の玉)1種のみ。書籍等で「初期型のメーターは240km/h表示」との表記が良くあるがカタログに使われたプロトタイプが240km/hであったための誤解。生産車はすべて220km/h表示。
  • Z2A(1974年モデル) - カラーリング変更(日本国内向けのカラーリングはキャンディトーンイエロー(緑ベースに黄ライン)1種のみ)ヘッドガスケットの2pc化によりオイル漏れ対策、タコメータ内にテール、ストップランプの球切れ警告灯装備などほとんどの変更点はベースモデルであるZ1の74年モデルへの変更に準ずる。(燃料タンク容量の記載が変化したがこれはカタログデータ上のもので、実際の容量には変化はない)
  • Z2A後期型(1975年モデル) - 輸出用はZ1Bと呼ばれるがZ2に関してはZ2Bとは呼ばれないので便宜的にZ2A後期型として分類する。カラーリング変更(日本国内向けのカラーリングはキャンディトーンスーパーレッド(茶ベースに金ライン)とキャンディートーンスカイブルー(青ベースに金ライン)2種のみ)。シールチェーン採用に伴いDチェーン給油機構の廃止。

所有する著名人[編集]

関連車両[編集]