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=== 銃の各部 ===
=== 銃の各部 ===
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* 銃身(バレル) - 発射された銃弾が通る管状の部品。腔綫(ライフリング)が施される物が多い。また弾倉回転式(リボルバー)のものは、銃身とシリンダーの間には少しだけ隙間がある(鉛などの弾丸を使用したときに削れてしまい、全弾撃ち終る前にシリンダーが銃身との間の鉛のくずで動かなくなってしまうのを防ぐため。)この隙間を、シリンダーギャップと呼び、大きければ大きいほど銃口初速が低下する。
* 銃身(バレル) - 発射された銃弾が通る管状の部品。腔綫(ライフリング)が施される物が多い。また弾倉回転式(リボルバー)のものは、銃身とシリンダーの間には少しだけ隙間がある(鉛などの弾丸を使用したときに削れてしまい、全弾撃ち終る前にシリンダーが銃身との間の鉛のくずで動かなくなってしまうのを防ぐため。)この隙間を、シリンダーギャップと呼び、大きければ大きいほど銃口初速が低下する。
** 銃口(マズル) - 銃身の筒先で、銃弾が飛び出す部分。反動を軽減するために穴を空けたものを銃口制退器([[マズルブレーキ]])と呼び、発砲炎を消すため、または少なくさせるためのものを銃口消炎器([[フラッシュサプレッサー]])と呼ぶ。
** 銃口(マズル) - 銃身の筒先で、銃弾が飛び出す部分。反動を軽減するために穴を空けたものを銃口制退器([[マズルブレーキ]])と呼び、発砲炎を消すため、または少なくさせるためのものを銃口消炎器([[フラッシュサプレッサー]])と呼ぶ。
** 腔綫([[ライフリング]]) - 銃身の腔内に施される、螺旋状の溝。銃弾を回転させ、精度を増す作用を持つ([[ジャイロ効果]])。
** 腔綫([[ライフリング]]) - 銃身の腔内に施される、螺旋状の溝。銃弾を回転させ、精度を増す作用を持つ([[ジャイロ効果]])。
* 薬室(チェンバー) - 遊筒により運ばれた銃弾が詰められる部分で、銃身の後端にあたる。銃身よりも直径が大きく薬莢の厚さくらい広く作られている。この直径と薬莢の直径の差をチェーギャップという。弾倉回転式銃ではシリンダー内の実包が収まる部分を言う。
* 薬室(チェンバー、チャンバーなど) - 遊筒により運ばれた銃弾が詰められる部分で、銃身の後端にあたる。銃身よりも直径が大きく薬莢の厚さくらい広く作られている。この直径と薬莢の直径の差をチェンーギャップという。弾倉回転式銃ではシリンダー内の実包が収まる部分を言う。
* 遊筒([[ボルト (銃)|ボルト]]) - 薬室の後ろにある可動部品で、機械的構造や強力なスプリングで銃身後端や機関部と組合わさり高圧に耐える閉鎖機構を構成する。銃弾を装填したり、排出する機構を兼ねていることが多い。
* 遊筒([[ボルト (銃)|ボルト]]) - 薬室の後ろにある可動部品で、機械的構造や強力なスプリングで銃身後端や機関部と組合わさり高圧に耐える閉鎖機構を構成する。銃弾を装填したり、排出する機構を兼ねていることが多い。
* 照準具([[照準器|サイト]]) - 照準をつけるための部品。照準具のうち、銃の前方にあるものを照星(フロントサイト)、後方にあるものを照門(リアサイト)という。クレー射撃などに用いられる散弾銃には照門が存在せず、銃身上の平面部と射手の目がその代わりとなる。
* 照準具([[照準器|サイト]]) - 照準をつけるための部品。照準具のうち、銃の前方にあるものを照星(フロントサイト)、後方にあるものを照門(リアサイト)という。クレー射撃などに用いられる散弾銃には照門が存在せず、銃身上の平面部と射手の目がその代わりとなる。

2020年5月19日 (火) 03:00時点における版

17世紀スペインフリントロック拳銃
スミス&ウェッソン ミリタリー&ポリス
第一次世界大戦期のドイツピストル小銃
第二次世界大戦後戦後)にイスラエルから登場したサブマシンガンUZI(ウージー)
2011年、米国カリフォルニア州カーマラ・ハリス司法長官が、同州で個人によって違法に所持されていた銃を捜索・押収し、報道陣に公開された銃の数々。

(じゅう)とは、筒状の銃身からを発射する道具であり、より小型の物を指す。

概要

銃とは、火薬や様々な気体の圧力を用いて、弾丸と呼ばれる小型の飛翔体(en:projectile)を高速で発射する道具の総称。銃から高速で発射される金属弾は高い運動エネルギーを持ち、強い殺傷力や破壊力を持つので、狩猟の道具や武器として用いられる。

分類

銃の分類方法はいくつもある。

ひとつには実銃 / 遊戯銃 という分類もある。実銃は、本来の銃のことで、狩猟の道具や武器として実際に使われるもので本記事では実銃について説明する。遊戯銃にはエアソフトガンなどがある。遊戯銃については、この記事ではなく「遊戯銃」の記事を参照のこと。

火薬を用いるもの(火器)/ 空気を用いるもの空気銃(エアガン)という分類法もある。

火薬を用いるものは小型火器に分類され、火器以外の銃としては空気銃が代表的である。空気銃の強力なものは実際の狩猟につかわれるものがあり、兵士・警官の訓練にも用いられる。

漢字表現を用いる場合は「拳銃 / 小銃 / 機関銃...」などと分類することが一般的である。

また日常的には英語での分類用語に準じて「ピストル / ライフル / ショットガン / マシンガン ...」などと分類する方法も一般的である。→#銃の分類

なお、水中でを射出する銃を水中銃と言い、地上に用いる銃とは動作原理が大きく異なるが、実際に漁に用いられるものである。これの弾体はであり、射出速度は比較的遅いが、弾体が重く、運動エネルギーはそれなりに大きく、殺傷能力が十分高いので取扱要注意の代物である[注 1][注 2]

銃と砲の境界線

一般には、口径が20ミリ未満のものを銃と呼び、20ミリ以上のものをとして分類するが、この基準は運用組織によって異なる場合がある。例えばアメリカ軍および自衛隊では口径20ミリ以上、海上保安庁では同30ミリ以上を砲と呼んでいるが、旧陸軍では明治40年6月以降は口径11ミリを超えるものを砲、昭和11年1月以降はこの区分を廃止して銃か砲かは制式制定毎に決定、旧海軍では40ミリ以上の口径を砲と呼んだ。

「銃」という漢字は元来、の峰部分に設けられた柄を差し込むための穴を表し、転じて主に金属製の筒から弾丸を発射する武器を表すようになった。また現代中国語では、「槍」の字を用いる。

狭義では、一人で持ち運びができる銃のことを「銃器」と称することもある。

最近では非実体弾を射出する各種の武装・装備を銃と呼称する事も増えている(光線銃等)。その為に、前述の銃定義は広義では当てはまらない事も多い。

銃の歴史

元 (王朝)の火槍(1271-1368年)
柄が付いたハンドキャノン、
または、ハンドカルバリン
(1390-1400年)
火縄銃(15世紀)
上: ベーカーライフル、19世紀のライフル
上から2番目: M1903、20世紀初頭のボルトアクションライフル
上から3番目: M1ガーランド、半自動小銃
上から4番目: SIG SG550、アサルトライフル
上から5番目: ステアーAUGブルパップ方式アサルトライフル

はじめて銃器に近いものが発明されたのは中国であり、8世紀末から9世紀初頭ごろに、で開発された火槍ハンドキャノン英語版)がその嚆矢とされる。その後、銃は王朝の兵器廠において生産されるようになり、1279年南宋が滅亡するまでこの生産は続き、対戦などに使用された。この銃器の生産法はマドファとして西方のイスラム世界にも伝えられ、なかでもオスマン帝国は銃を多用した。1473年には銃を主兵器とするオスマン帝国のイェニチェリが、白羊朝軍を破っており、1514年にも同じくオスマン帝国のイェニチェリが、チャルディラーンの戦いにおいてサファヴィー朝クズルバシュ軍を破っている[1]。15世紀ごろにはヨーロッパでも銃が生産されるようになり、1542年には騎兵用の短銃がスペイン帝国領のドイツで開発され対仏戦に使用された。

1543年には、日本種子島ポルトガル商人によって火縄銃が伝えられる。その後40年程で日本は当時世界最大の銃保有国となる。また、銃はヨーロッパ世界やイスラム世界がその他の世界を征服するのに大きな力を発揮し、スペインアステカ帝国インカ帝国の征服、モロッコサアド朝ソンガイ帝国征服などの原動力となった。その後、三角貿易の時代にはヨーロッパ諸国のアフリカへの主要輸出品のひとつは銃となり、この銃を入手した西アフリカ海岸部の国々は内陸部の国々に奴隷狩りを仕掛け、これによって入手された奴隷が新大陸へと送られるようになった。1650年代 には銃が火縄式(マッチロック式)から火打ち式(フリントロック式)に移り変わった。

1775年アメリカ独立戦争でヤ-ゲル(:Jager、英語読みではジャガー)ライフル(施条式銃)が使用されたが、弾込めの大変さから19世紀までその使用は限定的だった。その後も銃の開発は進展していき、1806年スコットランド人のアレキサンダー・ジョン・フォーサイスが開発し、1822年にはアメリカ人のジョシュア・ショウが改良したパーカッションロックが普及する。1836年にはサミュエル・コルトがリボルバーを手動から連動式に改良。1858年にはスミス&ウェッソン社から金属薬莢式拳銃であるNo.1リボルバーが発売される。1866年にはオリバー・ウィンチェスターが、現行連発銃の元祖であるウィンチェスターライフルを開発。1893年にはドイツ人のヒューゴ・ボーチャードにより自動拳銃が開発された。1914年ごろにはボルトアクション式ライフルが普及する。1950年代に入ると自動式小銃が世界的に普及するようになり、1960年代には小口径弾を扱う自動小銃が登場した。


構造史

構造から見た銃の歴史は以下の通り。

9世紀 - 15世紀頃に使用された飛発と呼ばれる簡素な銃は、パイプの一端を閉じて握りを付け、側面に小さな穴を開けたハンドキャノン(:火槍)で、使用時は上面の孔から火の付いた棒を差しこんで充填した装薬に着火した。着火が面倒なため照準が合わせづらく、銃把(柄)を持つ形へ移行。その後、片手で扱えるように、火縄とS字型の引き金を持つ、サーペンタインロック式(蛇、:Serpentinelock)と呼ばれる手動式撃発装置を備える銃が開発された。

火縄銃として知られる銃はマッチロック式(英:Match lock)と呼ばれる着火方式の銃で、サーペンタインの手動式からの発展型で機械的な引き金火皿を備えていた。火皿は銃身の横に取り付けられており、小さなくぼみの底に火門(タッチホール、英:Touch hole)と呼ばれる点火孔があり、それが方向を90度変えて銃身とつながっている[注 3]。火皿には少量の点火薬が盛られており、引き金を引くと火のついた縄が火皿に倒れこむことで着火、すると火皿を通じて火門に盛られていた点火薬が導火線となり、銃身内部の装薬が爆発して弾が発射される。マッチロック式は生火を扱うので悪天候に弱く、また燃え続ける火縄の補充と管理に手間がかり、火縄の匂いや夜間での隠密性に問題があった。

また、これは火皿を持つ銃全般に言えるが、ハンドキャノンやサーペンタインなどのタッチホール式と違って装薬が直接点火されることがないため、瞬時に発砲せず、これらは酷い時には引き金を引いてから、発射までに数秒もの時間が空くタイムラグを持っているのが欠点であった[2]。加えて火皿に盛られた黒色火薬は火蓋などが付いていても密閉度が低く、外気に含まれる雨や雪、そして霧などの湿気に対して脆弱であった。

マッチロック式の欠点を克服するために、ホイールロック式(歯輪式、英:Wheel lock)が開発された。引き金を引くと黄鉄鉱片に押しつけた歯車状のやすりゼンマイの力で回転してこすれ合い、火花を発生させて火皿の点火薬に着火する。ホイールロックは構造が複雑なため信頼性に乏しく、また高価であったため、兵器としてはあまり普及せず[3]、貴族の決闘用などに用いられた。

その後に登場したのが瞬発式火縄銃の機構を改良して生まれたフリントロック式(燧発式、英:Flint lock)で、引き金を引くと、火打石が強力なばねの反発力で火蓋に取り付けられた鋼鉄製の火打ち金に倒れこみ、火花を発生すると同時に、火蓋が開いて火皿の点火薬に着火する。この方式は広く各国の軍隊に普及した[4]

日本においてこのフリントロック方式は全く普及しなかった。その理由として、品質のよい火打ち石=燧石(すいせき、フリント〈英:flint〉)が産出できなかったことと、それに伴い発射に充分な火花を得るためハンマーに当たる部分のバネを強くする必要があり、反動とぶれにより命中率が顕著に低下したことが挙げられる。また高温多湿で雨の多い日本では、フリントロック方式の方が生火を使うマッチロック方式より実用性に欠けたためと、当時、日本が江戸時代に突入し、「入り鉄砲に出女」に象徴される幕府の厳しい銃規制と、天下太平の世になってフリントロックのような、新型銃器を導入する必要性がなくなったせいでもある。

雷汞(らいこう)が発明されると、これを銃器の撃発に応用する試みが多くの人々によってなされたが、その決定版となったのがパーカッションロック式(雷管式、英:Percussion lock)である。銃身の後端から伸びた細いニップルと呼ばれる火門が開いた管の先端に、パーカッションキャップ(銃用雷管)と呼ばれる雷汞を詰めた雷管をはめ込み、引き金を引くとハンマーが落ちて雷管を叩き、雷汞が発火して発射薬に着火する仕組みである。火皿を経由しないのでと引き金を引くと遅発せずに発砲が可能で、銃口を除けば開口部がなくなったため、悪天候時に耐性が増し、発射が天候の状態に左右されなくなった。パーカッション式の普及によりアメリカでは連発火器としてペッパーボックスピストルが大流行し、その後、コルトの雷管式リボルバーは南北戦争と西部の開拓に広く使用された。

この19世紀頃にミニエー弾が発明され、その影響から銃身へ施条を施すのが一般化し、従来の滑腔銃に比べて命中率は格段に向上する。

銃がマズルローダー(前装式)からブリーチローダー(後装式)に変わると発射ガスの漏洩を防ぐために実包(金属薬莢)が考案され、これを元に実包式の連発銃が開発される。これは弾倉を備え、特定の動作で弾薬の再装填が可能な銃であり、その完成版と言えるのがモーゼルのボルトアクション方式である。

やがて無煙火薬の開発により、自動火器の信頼性が向上して単銃身から弾を連射する機関銃が誕生し、日露戦争第一次世界大戦などで猛威を振るった。自動拳銃サブマシンガンの開発も行われ、それら自動装填機構を小銃に応用して半自動小銃を開発する研究が進み、やがて第二次世界大戦時のアメリカで使用されたM1ガーランドが最初に大規模に使用された半自動小銃となった。

ナチス・ドイツではアサルトライフルStG44を開発した。これは反動を抑えるために拳銃弾と小銃弾の中間的な規格を持った短実包を使い、半自動小銃とサブマシンガンの両方の特性を持たせたセミ・フル兼用の自動火器である。ドイツの影響を受けた旧ソ連では同様な能力を持つAK-47が採用されたが、火力信奉のアメリカはM14のような、フル規格の小銃弾を用いるバトルライフルを使い続けた。しかしM14は発射時の強い反動故に、フルオート射撃時の命中率が低いものだった。これが原因でベトナム戦争においてM16など小口径・低反動の5.56mm弾を使用するアサルトライフルを主力に切り替えることになる。

現在、アサルトライフルが歩兵銃の主流となっている

銃の分類

銃は種々の基準によって分類することができるが、ここでは現代銃を中心に、形態による分類を示す。

拳銃(ハンドガン、短銃、ピストル)

ダブルアクションオンリーのS&W642

「#拳銃」の項も参照。

片手で持って携帯できる小型の銃。
回転式拳銃(リボルバー)
弾丸を環状に並べた回転弾倉(シリンダー)に収め、それが回転することで次弾が送りこまれる拳銃。機構が単純なため動作不良が起きにくく、操作が簡単で安全性も高いが、回転弾倉(シリンダー)の大きさに限界があるため一般的には6発までしか装填できないが、.22LRのような小口径の場合には10発装填できるものも存在する。また装填に時間がかかるのも欠点とされる。ただし、近年ではクリップあるいはスピードローダーと呼ばれる装填用部品(装填用機器)が改良され、装填速度は改善されたが、それでも自動式拳銃と比較すると大きな差がある。
自動式拳銃(オートマチック)
自衛隊で採用されている9mm拳銃ミネベアミツミ
多数の弾丸を詰めたマガジンを備え、発射の反動またはガス圧によって自動的に次弾が薬室に装填され、撃鉄が起こされる。リボルバーに比べて装弾数が多く、口径やマガジンの構造にもよるが、15発前後の弾を扱うことができる。マガジンは素早く交換できるため、持続的に発射できる。フルオートで発射できないものは、正確には半自動式拳銃と表現することになるが、近年のハンドガンでフルオート機構をもつものはほとんどない。フルオート機構をもつものはマシンピストルとも呼ばれる。
多銃身式拳銃(ペッパーボックスピストル
別個の弾倉を持たず、1発ずつが装填された銃身を複数束ねたもの。単発式から連発式の過渡期に一部見られたもので、現代ではほとんど存在しない。
単発式拳銃、またはデリンジャー
銃身が単裝、または連装の小型拳銃。発砲は銃身の本数分に限られる。実包式以前のスタンダードな形式だが、現在では護身用か競技用としての用途にしか使われない。

小銃(ライフル銃)

89式小銃
H&K MP5

「#小銃」の項も参照。

施条銃。長い銃身を備えた銃で、威力・精度ともに拳銃をはるかに凌駕する。ライフルとは本来、銃身内に施された腔線(ライフリング)を意味しており、これは螺旋状の浅い溝で、銃身内で加速される弾丸に回転運動を加え、弾軸の安定を図り直進性を高める目的で施されている。
手動式ライフル
ガス圧や反動などの外部動力を利用せず、全ての動作を手動で行うライフル。
スナイドル銃などの古典的な単発銃。連装で中折れ式のエレファントガン。スライドアクション式やリボルリングライフル。ウィンチェスターに代表されるレバーアクション式などがあるが、一番スタンダードなのはボルトアクション式ライフルで、代表的な物に1889年Gew88として採用されたドイツのモーゼル式が有名である。イギリスのメトフォード式、またスイスシュミット・ルビンのように直動式ボルトアクションのような変種もある。
アサルトライフル
一発撃つと次弾が自動的に装填されるセミオート、引き金を引き続ける限り次々に弾丸が発射され続けるフルオートの切り替えが可能なライフル。
FN FALやM14のような、フル規格な7.62x51mm NATO弾を用いる銃は、バトルライフルとして区別されることもある。しかし、これらはフルオートでは反動の制御が難く、主流は米軍M16、ソビエトが開発したAK-47自衛隊89式小銃など、反動が軽いライフル弾と拳銃弾の中間的サイズの短実包を用いる銃に移っている。また、フルオートでの弾薬消費が激しいことから、一回引き金を引くと自動的に三発または二発までしか発射できないバースト(制限点射)という機能を備えた銃も現在では多い。
アサルトライフルの概念は、第二次大戦中のドイツで開発されたStG44で確立され、現在では軍用小銃の多くを占める

騎兵銃(カービン銃)

元々は騎乗での使用を想定し、歩兵用小銃より短い銃身を備えた小銃のことである。ここから転じて、現在ではおおむね「小型のライフル」を意味する語となり、また短縮化したアサルトライフルの派生種はアサルトカービンなどとも呼ばれるが、現在では一概にカービンと略される。
米軍のM1カービンM4カービン、ドイツのカラビナー98など。

狙撃銃(スナイパーライフル)

レミントンM700
狙撃に特化した銃。テレスコピックサイトを装備し、一部の弾薬を使用するものは1000メートル先まで正確に狙撃する事が可能。
レミントンM700が有名であるが、これは特に狙撃銃として特別に設計された物でなく、元は狩猟用ライフルで同様に精度の高い銃身の追加、二脚架やスコープの設置で狙撃銃に仕上げられた銃も多い。一方、最初から狙撃銃として設計された銃もあり、軍用としてはドラグノフ狙撃銃が挙げられる。精密射撃が要求される競技用ライフルからの転用も多い。
過去から現在まで構造上セミオートマチック方式よりも精度で勝るボルトアクション方式が多く採用されてきたが、近年ではセミオートマチックでもボルトアクション並の精度を発揮できる狙撃銃も存在する。代表例としてはSR-25PSG-1等があげられる。
大口径狙撃銃は次項の「対戦車ライフル・対物ライフル」を参照。

対戦車ライフル・対物ライフル

戦車装甲車と言った防弾仕様車両などの戦闘車両のうち、比較的装甲の薄い部分へ狙撃を目的として開発された大口径の銃。イギリスのボーイズ対戦車ライフルや旧ソ連シモノフPTRS1941等がある。第二次世界大戦において戦車の防御力が急激な進化を遂げた事や、成形炸薬弾を撃ち出す無反動砲やロケット発射機が実用化されたため活躍の機会を失った。
近年になって、非装甲目標や防弾ガラス等に対する有効性や、弾丸の質量が大きい事による弾道の直進性が高いことが見直され、狙撃銃の一種としてアメリカのバレットM82など、これを対物ライフルとして採用する軍もある。名前からも判る通り、建前は目標が対物に限定され対人には使わないこととされているが、実際の戦場でこれが守られているとは限らない。

散弾銃(ショットガン)

レミントンM870
ライフリングのない滑腔銃身で有効射程は短いが、大口径で威力が大きいカートリッジを扱うことができる銃。
もとは小さい弾丸が多数入ったカートリッジで散弾を発射するものだったが、散弾と同じサイズのカートリッジを利用して様々な弾体を撃ち出せるようになった。
大きな1発の弾を撃ち出すスラッグ弾と呼ばれるカートリッジや、非殺傷目的のゴム弾など、様々なカートリッジが存在する。クレー射撃のようなスポーツ用や、狩猟用、警察用(暴徒鎮圧銃)や軍用などにわかれる。近年では近距離戦での有効性が認められ警察用と軍用で発展が著しく、フルオート/セミオートマチックで射撃できる物もある。基本的にライフルサイズであるが、拳銃サイズで使用できるものも存在する。スパス12M870などが有名。

機関銃(マシンガン)

ミニミ軽機関銃
連射を目的とした銃。機構によって反動利用のものとガス圧利用のものに大別される。
また多銃身のガトリングガンミトラィユーズノルデンフェルト式機銃コーヒーミル・ガンなどの手動式連射火器も機関銃に類別される場合がある。
重機関銃(ヘビーマシンガン)
固定陣地、車両搭載機関銃として、堅牢で持続発射ができる機関銃。ただし重いため、運搬には2-3人を要する。
米軍・自衛隊のブローニングM2重機関銃、ソ連のZPU-1重機関銃など、正確には口径14.5mmから12.7mmサイズの大口径弾を使う銃を指し、通常の小銃弾を使う重機関銃は中機関銃(ミドルマシンガン)として区別されることもある。マキシム機関銃や旧日本軍の九二式重機関銃などはこちらへ分類される。
軽機関銃(ライトマシンガン)
重機関銃の「重量があり素早く陣地転換できない」問題を解消するため軽量化を施した機関銃で、1人で運搬できるようにしたもの。堅牢性や持続発射能力などは重機関銃に劣る。ルイス軽機関銃ZB26RPD軽機関銃などがあるが、近年は汎用機関銃分隊支援火器にその地位が移行しつつある。
汎用機関銃
銃架を交換することで、重機関銃と軽機関銃両方の用途を併せ持たせた火器。ドイツのMG34が嚆矢とされる。ベルト給弾式のために銃手の他に、射撃にはなるべく弾薬ベルトを補佐して給弾を手伝う装填手が必要になる。威力重視のため、アサルトライフルの使用する小口径弾を使わず、フル規格の小銃弾を用いている。M60機関銃ラインメタルMG3PKM機関銃などがある。
分隊支援火器
軽機関銃から発展した銃で、装填手要らずで1人で完全に携帯・操作が可能な火器。やはり、射撃持続性は重機関銃には劣る。嚆矢は米軍のブローニングM1918。分隊と行動を共にする性質上、補給の観点から歩兵用の小口径弾と弾薬は共通である。現在ではミニミ軽機関銃RPK軽機関銃などがある。一般のライフルマンが扱うアサルトライフルと比較すると、あまり高くない射撃精度や交戦相手から見て目立ちやすいデザインなどの欠点があり、それらを克服するため最近はM27 IARなどのアサルトライフルとさほど変わらない見た目をしたものも登場している。
短機関銃(サブマシンガン)
拳銃弾などを発射する小型の機関銃。威力と射程に劣るが、小型軽量で素早い運用ができる。第一次世界大戦時下のドイツが、このメリットを塹壕戦に用い効果を上げた。世界各国はサブマシンガンを妥協の産物としメリットを見出せなかったが、冬戦争においてフィンランドのスオミ KP/-31が戦果を上げて以来は各軍で活躍し、アメリカのトンプソンやソビエトのPPSh-41等が知られる。1970年代以降はアサルトライフルのメカニズムを取り入れ、高性能の銃に発展している。
パーソナルディフェンスウェポン/PDW
ピストル弾を使用するサブマシンガンは近年の市街戦に最適だが、ボディアーマー(防弾チョッキ)の貫通が難しいという欠点があり、近年では装備の不十分な一端のテロリスト・非正規軍でも拳銃弾程度なら防げるバリスティックアーマーを着用しているケースが増えており、より貫通が困難となっているのでそれを克服するためにPDWという新しい概念が生まれた。広義には『ライフル弾のようにボディアーマーを貫通するには十分な貫通力、サブマシンガンの小型軽量さを兼ね備えた銃器』というコンセプトで、ピストル弾ではなく小銃弾をスケールダウンした新開発の弾丸を使用する傾向がある。本来は後方部隊の装備として開発されたが、在ペルー日本大使公邸占拠事件でFN社製のPDWが使用されたことを皮切りに多くの西側諸国の特殊部隊にてPDWが採用されている。使用する弾丸の種類が増えることは補給上好ましくないので現在では広い採用に至っておらず、特殊部隊や民間軍事会社の一部が採用しているにとどまっている。P90など。

擲弾銃(グレネードランチャー)

M79 グレネードランチャー
手榴弾程度の大口径榴弾を射出する銃。擲弾発射筒ともいう。
米軍M79 40mmグレネードランチャーなど(20mm以上の口径を持つ火器は「銃」でなく「砲」と称するのが普通だが、グレネードランチャーは例外的に砲でなく銃に分類される)。

システム・ウェポン

一部の部品交換により用途の変更が可能な銃。ストーナー63が有名。
弾丸を発射する機関部分を共通化し、分隊支援火器、小銃、カービン銃、狙撃銃などの役割を1つの銃器で担わせるコンセプト。さまざまな状況に対応できるため、次世代の軍用銃と言われている。

射撃競技用の銃

競技向きに改造された自動拳銃
射撃競技に用いるための銃。
拳銃、小銃、散弾銃、空気銃が存在する。公平性を保つため、種目ごとに口径や形状、重量等について詳細な規定がある。特に標的競技では、命中精度や競技での射撃に特化するため射手に合わせた多くの調整機能を持つ等、特徴的な外観をもつ。

儀仗用

実戦ではなく栄誉礼などの式典に用いるための銃。
現代の銃器は合金や合成樹脂などをつや消しの黒色に塗装した実用性の高い設計であるが、式典の際には見栄えが重視されるため、現用ライフル以外の専用銃器を用意する軍もある。イスラム圏や旧共産圏では、銃本体に彫金を施したり、金銀のメッキを塗布するなどの豪華な装飾も行われている。
多くの国では磨き抜かれた木製銃床の旧式銃を転用している場合が多い。退役したM1ガーランドのような弾倉や照準器等が突出せず木製部品が使われるライフルや、装飾が施されたマスケット銃など歴史的な銃器が好まれる。

訓練用

実戦ではなく訓練に用いるための銃。
操銃(銃の構え方)、捧げ銃銃剣術の指導など、発砲を伴わない訓練に実銃を使うのは機構を破損する危険があり配備コストもかかるため、「ラバーダック」と呼ばれるラバーガンのような形状を大まかに模した無可動実銃を使うことが多い。ラバーダックは実銃と区別するため全体が赤や青に塗装されている。銃剣術の訓練や銃剣道では木の棒の片側がライフルのストック形に加工された『木銃』が現代でも使われている。
射撃を伴う訓練であってもCQBなど暴発の危険が高まる訓練では、実銃の外観を再現したエアソフトガンを使う軍もある。自衛隊では東京マルイが製造した89式小銃型の電動ガンをCQB訓練用教材として利用している。


銃の基本操作

現代の銃器の基本的な操作と挙動は以下の通り。用語については次項を参照。

  1. 薬室に実包を装填する。
  2. 照準を合わす。銃を構え、付属の照準器、眼鏡等の照準具を用いるなどし、狙いを定める。
  3. 引金を引き、撃発。それによって撃鉄が落ち、撃針を押し出して、薬莢底部の雷管を叩く。
  4. 発射。薬莢内の火薬が急速に燃焼し、その燃焼ガスによって弾丸が押し出され、銃口から飛び出す。
  5. 弾着。弾の運動エネルギーにより、目標物を損傷、破壊する。

銃の整備

フィールドストリップ(=分解)してクリーニング中の自動式拳銃、ベレッタ84Fベレッタ92FベレッタPx4

銃というものは、定期的に(できることなら使用のたびに)整備して、つまり分解・掃除しては使う。最低限の分解・清掃は、ひとつひとつの銃の所有者自身が、使用の都度(使用前あるいは使用後に)行うべきだ、と考えられている。

銃は、火薬という化学薬品を内部で燃焼させるので、内部に汚れが次第に蓄積し、やがて動作不良を起こす可能性が高くなり、危険なのである。たかをくくって整備せずに使いつづけたりすると、弾丸の「つまり」を引き起こし撃てなくなったり、ひどい場合は暴発を引き起こし銃を撃つ人自身を傷つけてしまうことがある。

軍隊などでも、兵士に銃の訓練をする段階では、銃の撃ち方だけでなく整備のしかたも教えるようになっていることが一般的である。

一般人でも、自身で銃を分解・掃除することは可能で、欧米では銃の扱い方を教える教室などで、銃の撃ち方だけでなく整備方法も教えていることがある。また欧米ではそのためのマニュアル本が一般書店や図書館で入手可能で、整備用の道具類もガンショップなどで販売されており、詳細な写真や説明文を見て、ひとつひとつ手順どおりに進めてゆけば、大抵は、普通の素人でも整備できるようになっている。

(また一般論として言えば)銃が所持できる国には「ガンスミス」と呼ばれる銃の整備士がいる。整備士という名の通り一般的に銃の分解、掃除、改造、修理等を請け負う人のことで、ライセンス制になっている国から無許可で「ガンスミス」を名乗ることが許される国までさまざまである。整備が苦手だったり面倒に感じる人は、こうしたガンスミスに依頼するという方法がある。

銃の用語

銃でよく用いられる用語について記述する。

銃の各部

  • 銃身(バレル) - 発射された銃弾が通る管状の部品。腔綫(ライフリング)が施される物が多い。また弾倉回転式(リボルバー)のものは、銃身とシリンダーの間には少しだけ隙間がある(鉛などの弾丸を使用したときに削れてしまい、全弾撃ち終る前にシリンダーが銃身との間の鉛のくずで動かなくなってしまうのを防ぐため。)この隙間を、シリンダーギャップと呼び、大きければ大きいほど銃口初速が低下する。
    • 銃口(マズル) - 銃身の筒先で、銃弾が飛び出す部分。反動を軽減するために穴を空けたものを銃口制退器(マズルブレーキ)と呼び、発砲炎を消すため、または少なくさせるためのものを銃口消炎器(フラッシュサプレッサー)と呼ぶ。
    • 腔綫(ライフリング) - 銃身の腔内に施される、螺旋状の溝。銃弾を回転させ、精度を増す作用を持つ(ジャイロ効果)。
  • 薬室(チェンバー、チャンバーなど) - 遊筒により運ばれた銃弾が詰められる部分で、銃身の後端にあたる。銃身よりも直径が大きく薬莢の厚さくらい広く作られている。この直径と薬莢の直径の差をチェンバーギャップという。弾倉回転式銃ではシリンダー内の実包が収まる部分を言う。
  • 遊筒(ボルト) - 薬室の後ろにある可動部品で、機械的構造や強力なスプリングで銃身後端や機関部と組合わさり高圧に耐える閉鎖機構を構成する。銃弾を装填したり、排出する機構を兼ねていることが多い。
  • 照準具(サイト) - 照準をつけるための部品。照準具のうち、銃の前方にあるものを照星(フロントサイト)、後方にあるものを照門(リアサイト)という。クレー射撃などに用いられる散弾銃には照門が存在せず、銃身上の平面部と射手の目がその代わりとなる。
  • 二脚(バイポッド) - 銃を地面などにつけて支えるための脚で、二脚のもの。三脚のものは、トライポッドと呼ばれる。軽機関銃でよく用いられる。
  • 弾倉(マガジン) - 銃内部に銃弾を収める部品。一般的に箱状で交換ができる。この交換する動作を装弾というが、リロードと呼ぶ場合がある(本来は薬莢に雷管・火薬・弾頭などを再び込めなおし、実包にすること)。
  • 機関部(レシーバー)- 銃の本体部分。拳銃ではフレームとも呼ぶ。
  • 遊底 - 遊筒を支える部品。機関部と噛み合って前後に動く。遊筒と同義に使われることもある。自動拳銃などでスライドとも呼ばれる。
  • 銃床(ストック) - 銃を保持するときにつかう部分。前床部と後床部に分かれ、後床の事を一般に銃床と呼ぶ。
  • 銃把(グリップ) - 銃を支えるために、手で握る部分。
  • 引金(トリガー) - 銃弾を発射する際に指で操作する部品。一般的には指で後方へ引くが、機関銃では前方へ押し込むものもある。
    • 引鉄鉤板(トリガーバー) - 引金と逆鉤を連結し、逆鉤の固定を解放する部品。
    • ディスコネクター - 銃の状態に応じて引鉄鉤板と逆鉤の関係を離す部品。
    • 逆鉤(シア) - 撃鉄を発條(バネ、スプリング、撃鉄発條)の力がかかった状態で固定する部品。
    • 撃鉄(ハンマー) - 銃弾を撃ち出す際、発條の復元力により動き、撃針を叩くもの。古い銃では、雷管を直接叩くものもある。逆に小型自動拳銃などでは、撃鉄を用いずに撃針だけで撃発操作をおこなうものもある。
    • 撃針(ファイアリングピン) - 射撃の際、撃鉄などの力により、実際に薬莢、抽筒板の雷管を叩く針状に尖った部品。
  • 後床(銃床、ストック) - 銃床の底部で、一般に肩に当てる部分。
  • 発條(スプリング) - バネのこと。銃の内部では様々な発條が用いられる。
  • 安全装置(セーフティ) - 誤って弾丸が発射されないように発射機構を拘束する装置。多くの種類がある。

銃の方式

  • シングルショット(単発式) - 弾が一発のみこめられる銃。次の弾を撃つには装填操作をする。セミオートマチックで、一発だけ発砲する意味で用いられることもある。
  • リピーター(連発式) - 複数の弾薬を収める弾倉が存在し、弾倉から薬室へ弾薬を給弾する機構を一回の発射ごとに手動で操作するもの。ポンプアクション、レバーアクション、ボルトアクションなどがある。
    • リボルバー(回転式) - 回転するマガジンを持つ銃。回転式銃を連発式銃の一種とみなす慣習もある。
  • オートマチック(自動式) - 薬室への給弾または発射を自動的に行うもの。以下の二方式がある。
    • セミオートマチック(半自動式) - 弾の装填のみが自動。発射は一発ごとに引金を引く方式。
    • フルオートマチック(全自動式) - 弾の装填に加え、撃発が自動で、引金を引いているあいだ弾丸が連続発射する。その発射間隔を連射速度(サイクル)と呼ぶ。
    • バースト(制限点射) - オートマチックのうち、引き金を引くと、弾が一定の数発射されるもの。また、その射撃の仕方。
  • 単装銃 - バレルを一本だけをもつ銃。ただし、大半の銃はこれが普通のため、この語が用いられることはあまりない。
  • 連装銃 - バレルを複数もつ銃。単発式銃に実質的に連射機能を与えることができる。銃身の数がわかっている場合、「装」の字を省略して「二連銃」「三連銃」などと呼ぶことが多い。ガトリングなどもこの方式である。1砲身あたりの発射弾数が減るので、サイクルを上げても銃身が熱によって変形、または発射不能になりにくい特徴を持っている。
  • シングルアクションダブルアクション - 銃の射撃操作。各項及び拳銃を参照。

弾丸の射出方式

弾の用語

  • 口径 - 弾頭の直径。銃弾や、それを扱う銃の種類を示すために用いられる。アメリカではインチ、ヨーロッパではメートル法が主として使われる。
  • カートリッジ(実包) - 現代銃の多くで用いられる弾で、火薬を収めた薬莢と、その力によって飛ぶ弾頭などが一つにまとまったもの。
    • 弾頭 - カートリッジの先端部分で、これが飛翔して目標に向かう。
    • 薬莢 - カートリッジのうち、火薬が詰まった筒状の部分。底部は雷管。
      • プライマー(雷管) - カートリッジ底部中央の部品。撃発の際に撃針で叩かれる衝撃により、火花が飛び散り薬莢内部の発射薬を燃焼させる。.22・.22LR・.22マグナム等はリムがこれを兼用する(リムファイア)。
      • 装薬 - 薬莢の中に入っている発射薬のこと。プライマーの火花で着火し、急激な燃焼でガスを発生させてカートリッジ先端の弾頭を押し出す。
      • 抽筒板(リム) - 薬莢の底部横にある張り出し、若しくはカートリッジ後部に刻まれた溝より後ろの縁部分。撃ち終わった薬莢を薬室から引き出すためにエジェクター・エキストラクターが引っかかる部分。前者を「リムドカートリッジ」と呼び、現在ではリボルバー用のものが多い。後者を「リムレスカートリッジ」と呼び、ライフル弾や自動拳銃の弾薬に多く見られる。
      • ショルダー-使用する弾頭によってはない場合もある。NATO弾などはリムと弾頭の口径が異なる実包に多く見られる。カートリッジの直径が小さくなるところから小さくなりきったところまでのこと。このカートリッジを使用する主な理由は、火薬量を増やし、弾頭の初速を上げるためである。この構造を持つ弾薬を「ボトルネック」と呼び、ライフル弾には一般的な構造。拳銃弾でこの構造を持つものは少ないが、一部口径を除くマウザーシリーズ・トカレフTT-33FN Five-seveN南部式自動拳銃・GLOCK31/32/33の弾薬はボトルネック構造である。
  • 装填 - 実包を銃に込めること。連発銃に弾倉ないし弾帯を接続した場合、薬室を空にした状態を半装填、薬室に実包を送り込んだ状態を全装填と呼ぶ。

銃と社会

ミニエー銃で腕を撃たれた兵士。右腕がもげてしまっている。銃器の進化は戦場を凄惨なものへと変えてゆき、男たちが歴史書などで読んで無邪気に空想した、「騎士のように勇敢に戦い(敵に切りつけられても無事で)英雄になる」などというイメージとはかけ離れた、悲惨な結果を招く世界となった。銃の進化は、男たちの「自慢の肉体」も残酷に奪い、プライドも傷つけ、夢に見た未来も奪い、その親や兄弟姉妹や恋人や妻や子供たちもひどく苦しめてきた。

銃規制が緩い国の代表格にアメリカ合衆国が挙げられる。これは建国以来、市民が自衛するための武装権が基本的な権利として伝統的に受容されてきたからであり、地方に行くほど銃規制への反発が根強い。同国では、銃愛好者や銃器メーカーからなる圧力団体全米ライフル協会米国銃所有者協会が強力なロビー活動を展開している[5]。銃規制はによって異なるが、定められた条件を満たしていれば、未成年者でも銃を所持することができる。こうした考え方の一方で、発砲事件の多発から特に左派からは銃規制をすべきとの考えも根強く、しばしば銃規制が提唱されることがある[6][7]


日本と銃

日本では、銃砲刀剣類所持等取締法第二条において金属性の弾丸を火薬やガスで発射するものを銃砲と定義して、所持や使用を規制している[8](金属性に「性」の文字が使われており、必ずしも金属製の弾丸でなくともこれに含まれると解釈される)。

日本警察に採用されているH&K P2000

警察官自衛官海上保安官など、一部公務員に対する銃の貸与はあるが、これらは厳重に管理されており、使用についても慎重である。一般に対する銃規制も厳しく、狩猟やスポーツを目的とした銃の所持については、審査を伴う許可制[8]と古式銃に対しては美術品としての登録制が設けられている[9]

このため、現在の日本における銃問題は、これらの規制をかいくぐる形で行われる密輸や、遊戯銃の改造が主である。特に暴力団の手による密輸は後を絶たず、これらは銃が容易に手に入る国、例えばロシア中国東南アジア(たまに韓国、台湾、アメリカ、グアムなどから密輸することもある)などから流入することが多い。遊戯銃の改造については、ごく一部の銃愛好家が行う傾向にあるもので、プラスチック製の弾を撃ち出すエアソフトガンや、本来模型であるモデルガンを改造強化するなどして、殺傷力を生じさせるものである[10]

日本の銃器メーカー

ミロクM3700上下二連散弾銃

その他

  • 実銃の入手が難しい地域では、鑑賞用のモデルガンや遊技用のエアソフトガンが親しまれている。
    • プラスチック製の弾丸を発射する安全なエアソフトガンをもちいて撃ち合う遊び・スポーツがサバイバルゲームである。
    • かつては光線銃遊具ゲームとして、的当てや一種のサバイバルゲームのように用いていた。射出弾体には当初は可視光線、後には赤外線を用いていた。実体弾の安全な素材が増加した為に現在ではこの用途ではほとんど用いられていない。
  • 演劇の舞台やドラマ映画の撮影で使用される模造の銃をステージガンといい、特に実際の撃発を再現するプロップガンが知られている。プロップは「小道具」の意。
  • かつて漫画等では、銃を左右反転に描画することがしばしば行われていたが、これは漫画家が自分の利き手でないほうの手でエアガンやモデルガン等を握り、に映したものを描写することがあるためといわれている(他にも銃器メーカーのライセンス上の都合など)。漫画家も登場人物も右利きである場合が多く、指などの細かい描写を優先させるためには左手に持った銃を鏡で反転させれば楽に描ける。現在ではインターネット等を利用して銃を構えている実際の画像を入手しやすくなったため、このように描写されることは減少している。

脚注

注釈

  1. ^ また、何らかの物体を高速で射出する装置を比喩的に「銃」と呼ぶこともある。例:電子銃。なお、電子銃とはいっても工業的用語と軍事用語の二種類あり、通常は工業的にはブラウン管の電子ビーム発生部(発振器部)の事を指す。ブラウン管の実質の衰退に伴い、一般的な知名度が低くなっている用語でもある。
  2. ^ ネイルガン、また手持ち火器に類似した形状の高低速の射出工具に銃(ガン)の名を準えて命名した物があり模型や手芸の分野で用いられるグルーガン等がこれにあたる。逆にグリースガンという別名を持つ銃器がある。これは元来は工具の名称であった。
  3. ^ ただし、「90度変えて」火門とつながった方式は、日本では一般的であるが、日本以外の地域のものは、火門に直接火皿が繋がっている

出典

  1. ^ 学研「歴史群像グラフィック戦史シリーズ 戦略戦術兵器事典3 ヨーロッパ近代編」p98-99 1995年10月1日第1刷
  2. ^ 。『別冊Gun 素晴らしいGunの世界』201頁。
  3. ^ 学研「歴史群像グラフィック戦史シリーズ 戦略戦術兵器事典3 ヨーロッパ近代編」p13 1995年10月1日第1刷
  4. ^ 学研「歴史群像グラフィック戦史シリーズ 戦略戦術兵器事典3 ヨーロッパ近代編」p14 1995年10月1日第1刷
  5. ^ http://www.news24.jp/articles/2013/05/05/10228017.html 「全米ライフル協会、銃規制強化に改めて反対」日テレNEWS24 2013年5月5日
  6. ^ http://www.bbc.com/japanese/35239828 「オバマ米大統領、涙ながらに銃規制強化訴え」2016年01月6日 BBC NEWS japan 2016年3月25日閲覧
  7. ^ http://www.afpbb.com/articles/-/3072213 「オバマ氏、涙流し銃規制の必要性訴え 大統領権限行使を発表」2016年01月06日 AFPBB 2016年3月25日閲覧
  8. ^ a b 銃砲刀剣類所持等取締法 - e-Gov法令検索、2016年3月25日閲覧
  9. ^ http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/kenjyuha/koshiki.htm 「古式銃について」警視庁 2016年3月25日閲覧
  10. ^ http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/kenjyuha/modelgun.htm 「モデルガン、エアーソフトガンについて」警視庁 2016年3月25日閲覧

関連項目

外部リンク