挿弾子

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M1ガーランド小銃用エンブロック・クリップ(左)と、SKSカービン用ストリッパー・クリップ(右)

挿弾子: Clip)あるいはクリップとは、銃火器に複数個の弾薬を装填する際に用いる器具である。挿弾子を用いると、手で1発ずつ装填するよりも非常に素早く再装填が行える。形状や用途によって数種類に分類され、いずれも使い捨てを前提とした安価なプレス加工で成形されている。ただし、実際には頻繁に再使用されているという。

メリアム・ウェブスター社の百科事典では、挿弾子(Clip)を次のように定義している。

小銃の弾倉に装填するため複数の銃弾を保持する器具、あるいは薬室に銃弾を供給する弾倉そのもの。(a device to hold cartridges for charging the magazines of some rifles; also a magazine from which ammunition is fed into the chamber of a firearm.)

主な種類[編集]

ストリッパー型[編集]

ストリッパー・クリップ(stripper clip)または単にチャージャー(charger)と呼ばれるタイプの挿弾子は、装填時のみ使用し、これを使用しなくても発砲そのものは可能である。ボルト開放時にこれを装着し(多くの場合、機関部やボルトに挿弾子取付用の溝がある)、上から指で押しこむことによって弾薬が挿弾子から外れて(stripping)内部の弾倉へ送られるのである。

エンブロック型[編集]

エンブロック・クリップ(En bloc clip)と呼ばれるタイプの挿弾子は、銃弾と挿弾子を一括(En bloc)にして弾倉へ装填するものである。挿弾子自体は装填時ないし最終弾発砲後に排出される。エンブロック・クリップは2人の全く見ず知らずの銃器技師がほぼ同時に開発したと言われている。すなわち1890年式リー小銃の開発者ジェームズ・パリス・リー英語版と、M1885小銃の開発者フェルディナント・マンリッヒャー英語版の2人である。

ドイツのGew88小銃、フランスの1890年式ベルティエ小銃英語版、イタリアのM1870ベッテルリ英語版小銃やカルカノM1891小銃、オーストリア=ハンガリー帝国のマンリッヒャーM1895小銃、ハンガリーの35M小銃英語版、アメリカのM1895リー・ネイビー英語版M1ガーランドなどがエンブロック・クリップを使用する銃として知られている。

マンリッヒャー型のエンブロック・クリップは非対称の形状で単方向からの装填しか行えなかったが、Gew88やカルカノでは左右対称のものが採用されている。また後にジョン・ペダーセン英語版技師は逆方向での装填が可能なエンブロック・クリップを開発し、これはジョン・ガーランド技師がM1ガーランドで採用している[1]

ムーン/ハーフムーン型[編集]

ムーン・クリップ(moon clip)と呼ばれるタイプの挿弾子は、回転式拳銃用に開発されたものであり、円形ないし星形で多くは6発程度の銃弾を保持する。これを用いると回転式拳銃のシリンダに素早く装填することが可能であり、また薬莢の排出も全弾同時に行えるのである。ハーフムーン・クリップ(half-moon clip)として知られる半円型の挿弾子もある。ハーフムーン・クリップは多くは3発程度の銃弾を保持し、全弾装填の為にはクリップが2つ必要になる。こうした器具は、大抵の場合リムレスの自動拳銃用銃弾を用いる回転式拳銃によって使用された。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Hogg, Ian V.; Weeks, John S.: (2000) Military Small Arms of the 20th Century, 7th Edition; Krause Publications, ISBN 0-87341-824-7