ダブルアクション

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ストロークが長いため、中央部に設置されたダブルアクションのトリガー。(ワルサーP38)

ダブルアクション (double action) は、トリガー(引金)を引く事によりハンマー(撃鉄)が通常位置から撃発準備位置まで後退し、そのまま撃発される作動機構を指す。

概要[編集]

ダブルアクション (double action) は、トリガー(引金)を引く事によりハンマー(撃鉄)が通常位置から撃発準備位置まで後退し、そのまま撃発される作動機構を指す。

主に採用されるのは拳銃であり、それまでの拳銃はコルト・シングル・アクション・アーミーに代表される一発撃つ度にハンマーを起こさねばならなかったシングルアクションであった。 シングルアクション拳銃は一発撃つ度に、ハンマーを起こす→引き金を引くという二つの動作の必要があった。 また、拳銃を撃鉄を起こしたまま携行すると暴発の危険が伴うために、携帯時にハンマーを解除しておく必要があった。 この欠点を補い、安全に携行が出来て、引き金を引くだけで、ハンマーを起こす→引き金を引くという二つの動作がおき、即座に引き金を引くだけで射撃の出来る拳銃の機構として一般化した。 これは拳銃をホルスターから抜いてすぐに撃つ必要があるアメリカの西部開拓時代のガンマンや、乗馬したまま片手で射撃するのに適していたからである。

その後、自動拳銃においても携行時の安全性の兼ね合いや、不発時に即座に対応できるなどの理由により採用されている。

ダブルアクションは「トリガーを引いたら弾が発射されること」との誤認が多いが、トリガーが、倒れていた[1]ハンマーを途中まで引き起こした上でハンマーが叩く「ダブルの」機能を持つということを意味する。従って、初めに撃鉄が起こす必要のあるセミオート拳銃は含まない。(ex. ルガー)

採用される銃種[編集]

回転弾倉式拳銃(リボルバー)[編集]

ダブルアクション拳銃が発明されてから、リボルバーではダブルアクション拳銃が主流となる。

自動装填式拳銃(セルフローディング)[編集]

もともと、初めの一発に撃鉄を起こせば排莢まで自動であるセルフローディングにおいてはダブルアクション機構の採用は遅かったが、 安全性や突発事態時の対応などから採用されている。

特性[編集]

  • リボルバーにあっては、前記の機構に回転弾倉(シリンダー)を次弾の位置まで回転させる機能が付加され、ダブルアクションのトリガー操作で次弾を速やかに発射することが可能である。特に騎兵が馬上で扱うときや、突発的な打ち合いに対処できることからアメリカで必要性から発明された。
  • セルフローディングにあっては、初弾発射時の反動による遊底(スライド)の作動で撃鉄が通常位置から撃発準備位置まで自動的に戻されるため、シングルアクションのトリガー操作のみで速やかに次弾を発射できる。また、不発弾であった場合の再撃発に有効であるとされるほか、チャンバー(薬室)に弾が装填されている状態でハンマーを安全な通常位置などにしたまま速やかに発射できる利点がある。

実戦には有用な機構であるが、シングルアクションと比較するとトリガーストローク(撃発までのトリガーの引きしろ)が長く、かつトリガープル(トリガーを引ききるのに必要な力)が重くなる欠点がある。したがって、精密射撃には不向きである。

また、シングルアクション / ダブルアクション併用の銃は、あらかじめハンマーを引き起こしておくとシングルアクションと同じ状態になる(後述のダブルアクションオンリーを除く)。が、この運用方法は暴発を招くために推奨されないことが多い。

ダブルアクションオンリー[編集]

なお、一部の拳銃ではトリガープルの重さを逆に利用し、安全装置の代わりとしている。この場合は通常ハンマーが手動で引き起こせないような構造になっており、常にダブルアクションでの発射(double action only, DAO:ダブルアクションオンリー)となる。なお、安全性などの理由により、ダブルアクションオンリーではないリボルバー拳銃でもこの運用法は見られる。

補足[編集]

厳密に言えば、セルフローディング(自動式拳銃)の初弾はダブルアクション、2発目以降はシングルアクションとなるタイプは「コンベンショナル・ダブルアクション」(略称:CDA)と呼び、書籍でもこだわりや正確な表記を重視する者はこの表現を使用している。

脚注[編集]

  1. ^ 厳密に表現すれば撃発終了位置のこと。通常位置と撃発準備位置の相対的な表現として使われる通称。