マスケット銃

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南北戦争で使用されたマスケット

マスケット銃(マスケットじゅう、: Musket)は、銃身ライフリングが施されていない先込め式滑腔式歩兵銃である。このため、散弾も発射可能であった。

正確にはマスケットであり、この語だけで銃であることも意味しているが、この語が一般的でない日本では「銃」を付して呼ばれることが多い。中国では「鳥銃」という。

概要[編集]

マスケットの発射。三十年戦争当時の再現
アメリカ陸軍戦闘歩兵章

初期のマスケットは点火機構がマッチロック式(火縄式)だった。マスケットという名称が登場した当時は大型で股杖が必要な火縄銃を指していたが、やがてその種の銃が姿を消すと、先込め式銃全般を指す名称となった。ヨーロッパ史における初実戦はフス戦争であるといわれる。日本では火縄銃がマスケットに含まれないかのような説明がなされることがあるが、上述の通り、これは間違いである。

続いてホイールロック式のマスケットが作られたが、高価な割りに信頼性が低く、この方式はあまり広まらなかった。しかし、17世紀後半にフリントロック式の点火機構が発明されると、コスト低下や信頼性向上などの理由でこれが主流となった。

さらに紙製薬莢の発明で銃の射撃間隔が短縮され、フランス銃剣が発明されて槍の機能も兼ねるようになり、射撃時以外の防御力の高まったマスケットは軍隊の中心となった[1][2]。その後、19世紀中期には点火方式がより簡便確実なパーカッション・ロック式(雷管式)となった。

しかし滑腔式 (smoothbore) の銃身で球形の弾を発射するマスケットの命中精度は非常に悪かったため、長距離狙撃には向かず、軍隊では陣形を組み、敵へ向けて短距離で斉射する運用しかできなかった。

これを改善するためにライフリングを施したライフルド・マスケット(ライフル銃)の開発などが行われた結果、射程や命中精度に劣るマスケットは表舞台から消え、プリチェット弾を使用するミニエーライフルや、これを改良して元込め式にしたスナイドルライフルに取って代わられることとなった。

三銃士』などアレクサンドル・デュマ・ペールの小説で名高い銃士(ムスケテール、Mousquetaire)及び銃士隊は、本来このマスケットを支給された乗馬歩兵や乗馬歩兵部隊のことである。

アメリカ陸軍の功績章の一で、30日間連続して戦闘任務に従事した兵へ贈られるCIB(Combat Infantry Badge - 戦闘歩兵章)には、スプリングフィールド造兵廠で製造されていた最初の米国製マスケットM1795が意匠に取り入れられている。

登場作品[編集]

映画[編集]

グローリー
戦争と平和
パトリオット
バリー・リンドン
ラスト・オブ・モヒカン
ワーテルロー

ドラマ[編集]

マスケティアーズ/三銃士

アニメ[編集]

魔法少女まどか☆マギカ
魔法少女の巴マミが魔法で召喚したマスケット銃を扱う。
ラ・セーヌの星
シモーヌ(ラ・セーヌの星)と敵対するザラール率いるパリ警備隊やフランス王立軍の兵士スイス傭兵や悪漢などが装備。
単なる射撃のみならず、銃剣による白兵戦でも果敢にラ・セーヌの星へ挑むが、彼女の尋常ならぬ身のこなしと高い剣技を前に次々と返り討ちにされてしまう。

漫画[編集]

HELLSING
ミレニアムの「魔弾の射手」ことリップヴァーン・ウィンクル中尉がマスケット銃を扱う。発射した弾丸を自由自在に操る能力があり、作中ではCH-47 チヌークを2機、トーネード IDSを3機撃墜する大戦果を挙げている。
軍靴のバルツァー
バーゼルラント邦国の当初の標準装備。
トラファルガー
フランス軍狙撃手、マルソーが使用。敵旗艦上のネルソン提督を射殺する。
ブラック・ラグーン
ロベルタがEl Baile de la muerte編で使用。
ベルサイユのばら
オスカル配下のフランス衛兵隊などが装備している。バスティーユ牢獄襲撃戦ではオスカル自身もマスケットの狙撃を受けて落命する。

小説[編集]

甘城ブリリアントパーク
ヒロインの千斗いすずが、「シュタインベルガー」という名の本銃を魔法でスカートの中に常時携帯している。
シャーロック・ホームズの思い出
ゼロの使い魔
平民部隊の主力兵器や銃士隊の基本装備としてマスケット銃が用いられている。
戦争と平和
蓬萊学園シリーズ
蓬萊学園の学園銃士隊がマスケット銃を持つ。また、小説版には未登場だが、18世紀英国海軍そのままのヨット部も、海兵隊(斬り込み移乗部隊)がマスケットを装備する。
まおゆう魔王勇者
聖鍵遠征軍の農奴軍の装備としてマスケット銃が用いられている。
モヒカン族の最後
『竜退治』
ルナル・サーガ
ドワーフ族のうち、"炉と金属の神"デルバイの信徒が発明家としてマスケット銃を扱う。
レ・ミゼラブル
ロビンソン・クルーソー

ゲーム[編集]

エイジ オブ エンパイアIII
登場ユニットのうち、歩兵がマスケット銃を持つ。
グランド・セフト・オートV
「マスケット銃」の名称で登場する。リロードの描写が比較的正確だが、全武器中最長のリロード時間となっている。
『コサックスシリーズ』
AOEシリーズ』と同じ箱庭RTSで、中世-産業革命までのヨーロッパが舞台。歩兵育成所や大使館でマスケット銃兵を雇用できる。
シヴィライゼーションシリーズ』
『デビルフォースシリーズ』
After Devil Force〜狂王の後継者〜』ではクォーダ、ラウル両軍とも歩兵の基幹武器はマスケット銃である(パーカッション式と思われる)。銃剣も装備されている模様。陣形があり、横列陣形にすると射撃効率が上昇する。
メタルギアシリーズ
MSG4
「種子島」という名称で登場。屋外でそれなりの広さがある場合のみ、敵兵に命中した際に一定確率で神風が吹き荒れ、フルトン回収ができる。『MGSPW』に登場する物とは性能に差違がある。
MGSPW
『MGS4』と同じく「種子島」の名称で登場する。英語表記は「MUSKET」。『MGS4』とは違い、屋内でも敵兵に命中した際に一定確率で神風が吹き荒れ、フルトン回収ができる。分類はアサルトライフル
ライズ オブ ネイション 〜民族の興亡〜
登場文明のうち、中国の兵がマスケット銃を扱う。

音楽[編集]

ハロウィンと夜の物語
1曲目「星の綺麗な夜」で米墨戦争に参加した「移民の男」がマスケット銃を扱う。

脚注[編集]

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関連項目[編集]