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猟銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
散弾銃

猟銃(りょうじゅう)とは、狩猟に使用される銃器の総称。散弾銃ライフル銃などの銃器を指し、場合によっては空気銃なども指す。現代の日本で猟銃を所持するためには、銃砲刀剣類所持等取締法に基づいた都道府県公安委員会の許可を受けて銃砲所持許可証を取得する必要がある[1]。日本法では猟銃には、けん銃と小銃(自衛隊銃・軍用銃・海上保安庁の小銃)と警察の特殊銃と古式銃(銃砲刀剣類登録を受けた銃)は含まない。

日本の環境省は2021年9月10日、製の猟銃用銃弾を2025年から段階的に規制することを発表した。撃たれた狩猟動物の肉を食べるなどした鳥類の鉛中毒を防ぐ目的で[2]、2004年に先行して禁止した北海道が全国的な規制を求めてきた経緯があり、北海道内では製銃弾が使われるようになった[3]

猟銃規制の強化

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2023年5月長野県で警察官2名を含む4人の市民が銃殺された事件で犯人がハーフライフル銃を使用したことに鑑み、殺傷力が強い同銃が安易に犯罪に使用されることを懸念し警察庁は同銃の所持の条件の引き上げを盛り込んだ銃刀法の改正案を2024年の通常国会に上程することになった[4]。改正案は散弾銃を所有し10年間順法と認められた所有者に限りより強力なハーフライフル銃の所持を認めようとするものであり、合わせて人を殺傷する目的で猟銃を所持した場合の法定刑も引き上げるとしている。これらによって銃器犯罪を犯す可能性のある人物が強力な殺傷力を持つ銃を所有することを防ごうとするものである。この一方、規制の強化によって狩猟免許を取ろうとする志願者数が減少し、結果としてヒグマの駆除や捕獲が困難になる事も懸念されている[5]

猟銃使用規制緩和と無許可発砲事件の発生

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2025年9月1日鳥獣保護管理法が改正され、それまで禁止されていた市街地等での猟銃使用規制が緩和された[6]。 その一方北海道南区において、猟友会に所属しておらず、クマを駆除する資格のないハンターがゴルフ場(札幌カントリー倶楽部の「滝のカントリークラブ」)内で無許可でクマに対し猟銃を発砲し射殺した事件が発生している[7]。ハンターは射撃の前に熊よけスプレー英語版を使用するなどの予防的措置もとっておらず、狩猟免許を持つ中村憲昭弁護士によれば、今回のハンターの行動は、銃刀法にも違反する可能性があるとしている[8]。尤も現状日本ではまともな熊よけスプレーの国家規格もなく、熊よけスプレーと称して市販されているのはクマに対し有効性が低い対人グレードに過ぎない代物が多く、この場合却って怒らせるだけで危険であり[9]、熊よけスプレー(と称する物)を使用しなかったのは賢明だったと考え方もある。

脚注

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  1. ^ 猟銃』 - コトバンク
  2. ^ 「狩猟での鉛弾使用、2025年度以降規制へ…環境省」読売新聞オンライン(2021年9月10日配信)2021年9月14日閲覧
  3. ^ 環境省 鉛弾規制へ/30年度までに「野鳥の中毒ゼロ」道の取り組み先例『読売新聞』朝刊2021年9月12日(北海道面)
  4. ^ 「規制や罰則強化盛り込んだ銃刀法の改正案提出の方針 警察庁」『NHK News Web』2023-12-26
  5. ^ 銃規制強化で駆除対策に懸念 “道内事情に配慮を” 道が要望”. NHK NEWS WEB (2024年1月24日). 2024年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月9日閲覧。
  6. ^ 「クマ被害 市町村判断で猟銃使用可能に 市街地などで」『NHKニュース』2025年9月1日
  7. ^ 「猟友会に所属していないハンターが許可無くクマ1頭を駆除 札幌・南区のゴルフ場」『HBS北海道ニュース』2025年9月9日、2025年9月14日時点でのオリジナルよりアーカイブ。
  8. ^ 「ゴルフ場にクマ出没するも、クマ駆除の許可を得ていないハンターが発砲 狩猟免許持つ弁護士「銃刀法にも違反する可能性」指摘 札幌市郊外のゴルフ場」『HBC』2025年9月10日、2025年9月18日時点でのオリジナルよりアーカイブ。
  9. ^ https://www.jsdpa.com/data/bearspray00.pdf

関連項目

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