S・P・O・R・T・S

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S・P・O・R・T・S
THE SQUAREスタジオ・アルバム
リリース
録音 CBSソニー信濃町スタジオ、DMS、1985年10月 - 12月
ジャンル フュージョン電子音楽
レーベル CBSソニーレコード
プロデュース 伊藤八十八
THE SQUARE アルバム 年表
R・E・S・O・R・T
1985年
S・P・O・R・T・S
1986年
TRUTH
1987年
『S・P・O・R・T・S』収録のシングル
  1. DROP GOAL
    リリース: 1986年3月5日
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S・P・O・R・T・S』(スポーツ)は、THE SQUAREの11枚目のアルバムである。1986年3月5日にリリースされた。

概要[編集]

全面的なデジタル機材への移行の最中に制作されたため、本作では実験的なアプローチが主体となり、他のT-SQUAREの作品群とはかけ離れた異質な作風となっている。ファンの間でも意見が分かれる作品である。

スクェアの11枚目のアルバムであり、このアルバムから則竹裕之がドラマーとして参加している。またこのアルバムを最後にベーシストの田中豊雪がスクェアを脱退し、次作『TRUTH』から須藤満がベーシストとしてスクェアに加入することになる。また、シングルとして「DROP GOAL」が同時発売されている。

アナログ盤(LP、カセット)とデジタル盤(CD)では収録時間が異なる。当時CDが一般にも普及し始めた時期で、LPよりも収録できる時間が長い(価格面では少々割高であった)CDには後奏を長めに収録した曲を数曲入れるなどして差別化を図った。なお、現行のリマスター盤CDはアナログ盤をベースにリマスターしたものになっており、収録時間の差異はアナログ盤に準じている。

このアルバムが録音されていた頃に伊東たけしの2ndソロアルバム『L7』がリリースされており、音楽的にもそれまでのスクェア・サウンドとは異なり『L7』の影響を受けている(和泉によると「ADVENTURES」の路線から脱却したかったという)。アナログ機材からデジタル機材に移行する過渡期に制作された実験作であり、ポピュラー性という意味で完成度が高いとは言えない。アルバム全体として、前作と比較して展開に乏しく、ポップさが抑えられた、暗く怪しい雰囲気に包まれている。デビュー当時のフュージョンに回帰しているが、多くの曲でリバーブを完全に浮いて聴こえる程に深く掛けていたり、デジタルシーケンサーによる単調な自動演奏が延々と続くような曲まで収録するなど、楽曲構成に纏まりや抑揚が無く、デジタル機材に関する模索期にあったことが分かる作風となっている。そのような実験的な楽曲の中でも、「宝島」は後に語り継がれる定番曲となった。「LOVE IS IN MY SIGHT」「OVERHEAD KICK」「宝島」の3曲は、多くのテレビやラジオ番組でバックグラウンドミュージックとして使用された。この作品における実験によりデジタル機材に関する一連のノウハウを獲得したのか、次作の「TRUTH」は非常に高いクオリティを持つ大ヒット作となり、バンドとしての新たな方向性を確立するに至った。

アルバムタイトルどおり、スポーツにちなんだタイトルの曲が複数収録されている(「HIT AND RUN」「OVERHEAD KICK」「DROP GOAL」)。

伊東はこのアルバムにおいて、従来使用していたリリコンと同時に、伊東が特別に注文して製作された「Takecon-1」と呼ばれるウインドシンセサイザーを一部楽曲で使用している。なおリリコンは「LOVE ALL」と「雲路」で[1]、Takecon-1は「宝島」と「CAMEL LAND」で使用されている[1]。なお、リリコンの使用は次作の『TRUTH』までで、1988年発表の『YES,NO.』以降はリリコンに代わってAKAI EWIシリーズを使用している。

吹奏楽アレンジ[編集]

当該アルバムの収録曲の一つである「TAKARAJIMA」は、スクェアのオリジナルと共に、『宝島』として、真島俊夫編曲による吹奏楽アレンジが広く知られている。オリジナルでは和泉のピアノソロだった部分が、吹奏楽版ではアルトサックスのソロに書き換えられている。1987年発売の『ニュー・サウンズ・イン・ブラス 第15集』が初出で、この時のソリストは須川展也。1997年発売の『ニュー・サウンズ・スペシャル 25周年記念盤』ではゲストとして参加した伊東たけしをフィーチャーしている。演奏は共に東京佼成ウインドオーケストラ

同じくTHE SQUAREの楽曲の吹奏楽アレンジである「OMENS OF LOVE」と並んで、真島のアレンジャーとしての評価を確立させた楽曲であり、岩井直溥は「『オーメンズ・オブ・ラヴ』で、いわゆるシンフォニック・ポップスともいうべき彼ならではのアレンジを完成させ、『宝島』で大爆発する」「この2曲は、いまでも日本中で演奏されているロング・ヒット・スコアで、聞いたところによると、真島くんのオリジナル曲だと錯覚している若い人たちもいるらしい」ママ[2]と評している。

1987年に発売された「宝島」の吹奏楽譜は、発売から1カ月で売り切れるほどの人気だったといい[2]、2011年に「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズ発売元のEMIミュージック・ジャパンが実施した「あなたの思い出の曲」「好きな曲」人気投票では第1位に選ばれている[3]

真島は、吹奏楽譜発売から27年経過した2014年6月22日放送の『題名のない音楽会』にて、発売された楽譜のホルンパートの一部に誤りがあったことを公表している[4]

収録曲[編集]

  1. LOVE IS IN MY SIGHT安藤まさひろ作曲)
    作曲者の安藤は「今までのスクェア・サウンドを受け継いでいるもの」と語っている[1]
  2. LOVE ALL伊東たけし作曲)
    作曲者の伊東は「ビートを中心に、アドリブ・ソロの自由度が生きるようなコード進行ということを考えに入れてます」と語っている[1]
  3. HIT AND RUN(安藤まさひろ作曲)
    シングル「DROP GOAL」のB面に収録。詳しくはDROP GOALを参照。
  4. LEAVE ME ALONE和泉宏隆作曲)
    作曲者の和泉は「“ひとりでいること” (=Aloneness) と“孤独” (=Loneliness) との間には、大きな隔たりがあります。十年以上も前に、そんなことに思いを馳せて絞り出した曲です」と語っている[5]
  5. OVERHEAD KICK(田中豊雪作曲)
    作曲者の田中は「とにかくノリのいいロックン・ロール」と語っている[1]
  6. DROP GOAL(安藤まさひろ作曲)
    本作から12インチシングルとしてシングルカットされた楽曲。詳しくはDROP GOALを参照。
  7. TAKARAJIMA(『宝島』、和泉宏隆作曲)
    後に複数のアルバム(和泉のソロアルバムを含む)に収録されるなど、スクェアならびに和泉を代表する曲の一つ。
  8. CAMEL LAND(安藤まさひろ作曲)
    作曲者の安藤は「ちょっとスクリッティ・ポリッティあたりのクールな感じを出してみたいと思って書いた曲」と語っている[1]
  9. PASSAGE OF CLOUDS(雲路) (伊東たけし作曲)
    ラストナンバーは前2作同様バラードナンバーだが、本作は和泉ではなく伊東の作品。
    作曲者の伊東は「メロディ主体」と語っている[1]

チャート成績[編集]

参考文献[編集]

脚注[編集]

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注釈・出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g 『T-SQUARE 25TH ANNIVERSARY 1976-2001』、73頁。
  2. ^ a b 岩井直溥 自伝 第20回 NSBの定着まで - 吹奏楽マガジン Band Power 2008年12月15日
  3. ^ ニュー・サウンズ・イン・ブラス - ニュー・サウンズ・イン・ブラスの公式サイト。このページの人気投票最終ランキングのボタンをクリックすれば「あなたの思い出の曲」「好きな曲」人気投票のページを閲覧できる。
  4. ^ 6月22日の楽曲紹介”. 題名のない音楽会公式サイト. 2014年12月21日閲覧。
  5. ^ 『FORGOTTEN SAGA』、6頁。
  6. ^ 『T-SQUARE 25TH ANNIVERSARY 1976-2001』、94頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

CDのサイトでは『S・P・O・R・T・S』に収録されている全9曲の一部分を30秒間試聴できる。