DARPAモデル

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DARPAモデルとは、インターネットの持つべき通信機能を階層構造に分割したモデルである。

アプリケーション層、トランスポート層、インターネット層、ネットワーク層の4層で構成される。

DARPAモデルという呼称は、インターネットの研究開発を行っていたDARPAに由来する。元々は確固たる仕様や定義はなく、IPTCPUDPなどの仕様中に個々に、あるいは暗黙の前提として存在していたものだが、後からRFC 1122で1つにまとめられた。

インターネット・プロトコル・スイートの階層[編集]

2つのホストが2つのルータを経由してネットワーク接続する場合に、それぞれのホップで使用する階層毎に対応する階層同士で論理的に接続される概念図
任意のデータがUDPデータグラム中に、UDPデータグラムがIPパケット中にカプセル化される概念図

IP群はプロトコルとサービスをカプセル化する事によって抽象化する。 通常、より上位層のプロトコルはその目的の達成に役立てるために、より下位層のプロトコルを用いる。 これまでIETFはインターネット・プロトコル・スタックをRFC 1122で定義された4層から変更した事はない。 IETFは7層からなるOSI参照モデルに従うような試みはせず、また標準化過程(Standards Track)にあるプロトコル仕様やその他の構造上の文書をOSI参照モデルに対して参照する事もしない。

4. アプリケーション DNS, TFTP, TLS/SSL, FTP, Gopher, HTTP, IMAP, IRC, NNTP, POP3, SIP, SMTP, SNMP, SSH, TELNET, ECHO, RTP, PNRP, rlogin, ENRP
さまざまな理由でTCP上で稼動する BGPなどのルーティング・プロトコルも、アプリケーションまたはネットワーク層の一部と考えられる場合も有る。
3. トランスポート TCP, UDP, DCCP, SCTP, IL, RUDP
2. インターネット IP上で稼動するOSPFなどのルーティング・プロトコルも、経路選択を提供するため、ネットワーク層の一部であると考えられる事も有る。 ICMPIGMPはIP上で稼動し、また制御情報を提供するため、ネットワーク層の一部であると考えられる。
IP (IPv4, IPv6)
ARPRARPはIPの下、リンク層の上で動作するため、それらはどこか中間に属する。
1. ネットワーク・アクセス イーサネット, Wi-Fi, トークンリング, PPP, SLIP, FDDI, ATM, フレームリレー, SMDS

[1]. RFC 3439では、インターネット構造に関して第3章の序文に"Layering Considered Harmful (階層化の有害性)"と題された節が有り、「階層化」という考え方が概念的および構造的にさまざまな利点を持っているが、実装面では層単位で同じような最適化が繰り返し発生することによる無駄な処理により効率的な実装を阻害し、複雑化を招くことがあり、また低層部分のみに存在するデータにアクセスできない場面が発生するなど、インターネット・プロトコルの目指す「単純化」という原則に反することもあることが明記された。

DARPAモデルとOSI参照モデル[編集]

DARPAモデルにおける1つの層は、OSI参照モデルの1つまたは複数の層と対を成すという書籍・文献が多く見受けられるが、完全に一致するものではなく、これは大きな間違いである。

その対応付けは、インターネット・プロトコル・スイートのネットワーク・アクセス層物理層の上のデータリンク層へ、またインターネット層OSIネットワーク層へ割り当てられる事が多い。それらの教科書はRFC 1122やその他IETFの一次情報の意図と矛盾する二次情報である。

IETFは再三にわたりインターネット・プロトコルと構造の開発はOSIに準拠する事は意図しないという事を述べている。

脚注[編集]

  1. ^ R. Bush; D. Meyer (2002年12月). “Some Internet Architectural Guidelines and Philosophy”. Internet Engineering Task Force. 2007年11月20日閲覧。