1998年の台風

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1998年の台風
軌跡の地図
最初の台風発生 7月9日
最後の台風消滅 12月11日
最も強かった
台風
台風10号 – 900 hPa,
110 kt (10分間平均)
熱帯低気圧の総数 30
台風の総数 16
総死亡者数 924
総被害額 9.508 億ドル (1998 USD)
年別台風
1996, 1997, 1998, 1999, 2000

1998年台風太平洋北西部で発生した熱帯低気圧)のデータ。

台風1号が発生したのは7月9日であり、1951年の統計開始以降では最も遅い記録となった。これにより、台風が全く存在しない空白期間の長さも過去最長となった。なお、7月に入ってから台風1号が発生したのは、この年と1973年2016年の3回のみである。その後も台風の発生が少ない状態が一貫して継続していたため、台風1号のみならずこの年に発生した16号までの全ての番号の台風は、いずれも統計史上、それぞれ同じ番号を持つ他の年のどの台風よりも遅い日時に発生した。こうして年間の台風発生数はわずか16個に終わり、統計史上では当時最少記録であり、現在も2010年の14個に次いで2番目に少ない記録となっている。

この年に日本に接近した台風は8個・上陸した台風は4個あり、台風の総数が少ない割には日本に接近・上陸した台風が多かった。特に、9月に発生した5個の台風は全て、日本に接近あるいは上陸している[1]

台風の発生数[編集]

台風の年間発生数
発生数が多い年 発生数が少ない年
順位 発生数 順位 発生数
1 1967年 39 1 2010年 14
2 1994年 1971年 36 2 1998年 16
4 1966年 35 3 1969年 19
5 1964年 34 4 2011年 2003年 1977年 1975年
1973年 1954年 1951年
21
6 1989年 1974年 1965年 32
9 2013年 1992年 1988年 1972年
1958年
31

台風の日本接近数[編集]

台風の年間日本接近数(上陸数を含む)
接近数が多い年 接近数が少ない年
順位 接近数 順位 接近数
1 2004年 1966年 1960年 19 1 1973年 4
4 2012年 17 2 1995年 5
5 2018年 1955年 16 3 1977年 6
7 2019年 2000年 1997年 1994年
1965年 1961年 1958年
15 4 2010年 1983年 1979年 7
7 2017年 2009年 1998年 1969年
1964年 1951年
8

月別の台風発生数[編集]

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間
1 3 5 2 3 2 16

各熱帯低気圧の活動時期[編集]

「台風」に分類されている熱帯低気圧[編集]

台風1号(ニコール)[編集]

トロピカル・ストーム (JMA)
トロピカル・ストーム (SSHWS)
発生期間 7月9日 – 7月10日
ピーク時の強さ 35 kt (10分間平均) 
998 hPa

統計史上最も遅く発生した台風1号である。前年の台風28号が消滅してからこの台風が発生するまでの199日間は、台風が全く存在しない空白期間が続いていたが、この空白期間の長さは、統計史上1位タイの記録となった。

発生日時が(一年の中で)遅い台風第1号
順位 台風 国際名 発生日時
1 平成10年台風第1号 Nichole 1998年7月9日 15時
2 平成28年台風第1号 Nepartak 2016年7月3日 9時
3 昭和48年台風第1号 Wilda 1973年7月2日 3時
4 昭和58年台風第1号 Sarah 1983年6月25日 15時
5 昭和27年台風第1号 Charlotte 1952年6月10日 3時
6 昭和59年台風第1号 Vernon 1984年6月9日 15時
7 昭和39年台風第1号 Tess 1964年5月15日 15時
8 令和2年台風第1号 Vongfong 2020年5月12日 21時
9 平成13年台風第1号 Cimaron 2001年5月11日 9時
10 平成18年台風第1号 Chanchu 2006年5月9日 21時
台風空白期間の長さ
順位 台風A 台風Aの国際名 台風Aの消滅日時 台風B 台風Bの国際名 台風Bの発生日時 空白期間
1 平成27年台風第27号 Melor 2015年12月17日 9時 平成28年台風第1号 Nepartak 2016年7月3日 9時 199日 0時間
平成9年台風第28号 Paka 1997年12月22日 15時 平成10年台風第1号 Nichole 1998年7月9日 15時
3 昭和47年台風第31号 Violet 1972年12月16日 3時 昭和48年台風第1号 Wilda 1973年7月2日 3時 198日 0時間
4 昭和57年台風第25号 Roger 1982年12月10日 21時 昭和58年台風第1号 Sarah 1983年6月25日 15時 196日 18時間
5 平成22年台風第14号 Chaba 2010年10月31日 3時 平成23年台風第1号 Aere 2011年5月7日 21時 188日 18時間
6 昭和50年台風第1号 Lola 1975年1月28日 15時 昭和50年台風第2号 Mamie 1975年7月28日 3時 180日 12時間
7 昭和26年台風第20号 Amy 1951年12月17日 21時 昭和27年台風第1号 Charlotte 1952年6月10日 3時 175日 6時間
8 昭和58年台風第23号 Thelma 1983年12月18日 15時 昭和59年台風第1号 Vernon 1984年6月9日 15時 174日 0時間
9 平成11年台風第22号 Gloria 1999年11月16日 21時 平成12年台風第1号 Damrey 2000年5月7日 9時 172日 12時間
10 平成17年台風第23号 Bolaven 2005年11月20日 9時 平成18年台風第1号 Chanchu 2006年5月9日 21時 170日 12時間


台風2号(オットー)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー3 タイフーン (SSHWS)
発生期間 8月3日 – 8月5日
ピーク時の強さ 65 kt (10分間平均) 
970 hPa

台風2号としては、統計史上最も遅く発生した[2]。また、台風2号の発生が8月以降にまで遅れたのはこの年のみである[2]

台風3号(ペニー)[編集]

シビア・トロピカル・ストーム (JMA)
トロピカル・ストーム (SSHWS)
発生期間 8月9日 – 8月11日
ピーク時の強さ 50 kt (10分間平均) 
985 hPa

台風3号としては、統計史上最も遅く発生した[3]。また、台風3号の発生が8月以降にまでずれ込んだのはこの年のみである[3]

台風4号(レックス)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー4 タイフーン (SSHWS)
発生期間 8月25日 – 9月7日
ピーク時の強さ 75 kt (10分間平均) 
955 hPa

8月25日に沖縄近海で発生し、発達しながら日本の南海上を東進。28日頃からは向きを北寄りに変え、小笠原諸島に接近した。本州付近に停滞していた前線に向かって、台風からの湿った気流が流れ込んだため積乱雲が発達し、東日本および中日本の一部では豪雨となった。小笠原近海で台風の進行速度が遅くなったため、湿った気流の供給は長時間続くことになり、大雨が長引くこととなった。この大雨は31日ごろまで続き、9月1日以降は次第に日本列島から遠ざかり、弱まりながら7日に温帯低気圧に変わった。


台風5号(ステラ)[編集]

シビア・トロピカル・ストーム (JMA)
カテゴリー1 タイフーン (SSHWS)
発生期間 9月13日 – 9月16日
ピーク時の強さ 60 kt (10分間平均) 
965 hPa

9月14日に父島の南海上で発生し、勢力を強めながら北上。16日4時半頃に静岡県御前崎付近に上陸した。 その後は関東地方から東北地方へと縦断したのち、16日20時過ぎに北海道釧路市付近に再上陸し、21時に北海道東部で温帯低気圧へ変わった。

台風6号(トッド)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー4 スーパー タイフーン (SSHWS)
発生期間 9月16日 – 9月20日
ピーク時の強さ 75 kt (10分間平均) 
955 hPa

9月16日に南西諸島の南で発生。18日に南大東島の東海上で大型で強い勢力となり、その後は勢力を弱めながら北西に進んで、鹿児島県種子島の南海上へと進んだ。19日には東シナ海を西に進み、中国の長江下流付近に上陸した。この台風の影響で、死者2人、負傷者10人、半壊48棟、床上浸水120棟、床下浸水823棟の被害が発生している[4]

この台風は、台風6号としては統計史上最も遅い日時に発生[5]。また、台風6号の発生が9月以降にまで遅れたのはこの年のみである[5]

台風7号(ヴィッキー)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー2 タイフーン (SSHWS)
発生期間 9月17日 – 9月23日
ピーク時の強さ 75 kt (10分間平均) 
960 hPa

9月17日21時頃に南シナ海(ルソン島西海上)で発生。19日にフィリピンのルソン島に上陸。その後発達しながら南西諸島の東海上を北東方向に進み、22日13時過ぎに和歌山県御坊市付近に強い勢力で上陸した[6]。上陸直前の中心気圧は、最盛期勢力の960hPaであり、上陸後も勢力はあまり衰えなかった。その後は近畿地方を北上して富山湾から日本海沿岸を進み、22日22時過ぎに山形県鶴岡市付近に再上陸。そして東北地方北部を通り、23日9時頃に北海道の東海上で温帯低気圧に変わった[6]。この台風の上陸前日に紀伊半島に上陸した台風8号に続き、この台風も紀伊半島に上陸した。


台風8号(ワルド)[編集]

トロピカル・ストーム (JMA)
トロピカル・ストーム (SSHWS)
発生期間 9月13日 – 9月16日
ピーク時の強さ 45 kt (10分間平均) 
994 hPa

9月20日に沖ノ鳥島の北の海上で発生。北に進み、21日16時前に和歌山県田辺市付近に上陸した。その後は紀伊半島を北上し、21日21時に滋賀県北部付近で弱い熱帯低気圧に変わった[6]。熱帯低気圧は富山湾に進み、22日9時に北日本付近で消滅した[7]。なお、この台風上陸の翌日、先に発生した台風7号も紀伊半島に上陸した。

台風9号(ヤニー)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー1 タイフーン (SSHWS)
発生期間 9月28日 – 9月30日
ピーク時の強さ 65 kt (10分間平均) 
965 hPa

台風9号としては統計史上最も遅い日時に発生した。

台風10号(ゼブ)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー5 スーパー タイフーン (SSHWS)
発生期間 10月10日 – 10月18日
ピーク時の強さ 110 kt (10分間平均) 
900 hPa

10月11日3時頃にマリアナ諸島の海域で発生し、同日9時頃にカテゴリー5に達して21時頃にスーパータイフーン(PAGASA解析)となった。なお、米海軍解析でスーパータイフーンである台風の多くが、PAGASA解析でタイフーン止まりであり、PAGASAは米海軍よりスーパータイフーン昇格基準が厳しい。この台風は、数少ないPAGASA解析でのスーパータイフーンの1つである。さらに、この時刻に超大型で猛烈な台風となった。14日の3時頃に最盛期を迎え、中心気圧は900hPaまで下がった。フィリピンのルソン島に上陸後、台湾に接近して進路を北東に変え、17日16時30分頃に鹿児島県枕崎市付近に上陸。1951年以降7番目に遅い日本上陸で、最も遅い九州上陸となった。フィリピンに上陸したり、台湾に接近したりした影響で、上陸直前の勢力は975hPa・25m/s(当時の表現では「中型で並の強さ」)と衰えていて、暴風域は消滅していた。その後は70km/h から 100km/h程度の速い速度で日本を縦断していった。高知県宿毛市付近・ 岡山県玉野市付近にそれぞれ再上陸・再々上陸し、18日9時頃に 津軽半島沖で温帯低気圧となった。

台風11号(バブス)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー4 スーパー タイフーン (SSHWS)
発生期間 10月15日 – 10月27日
ピーク時の強さ 85 kt (10分間平均) 
940 hPa

台風11号としては統計史上最も遅い日時に発生した。また、10月以降に台風11号が発生したのは、この年のみである[8]

台風12号(チップ)[編集]

トロピカル・ストーム (JMA)
トロピカル・ストーム (SSHWS)
発生期間 11月12日 – 11月14日
ピーク時の強さ 40 kt (10分間平均) 
994 hPa

台風12号としては統計史上最も遅い日時に発生した。また、10月以降に台風12号が発生したのは、この年と1983年のみである。1983年は10月7日に発生しているため、この年はそれよりも1ヶ月以上遅かったことになり、11月における台風12号の発生は他に例がない[9]

台風13号(ドーン)[編集]

トロピカル・ストーム (JMA)
トロピカル・ストーム (SSHWS)
発生期間 11月19日 – 11月20日
ピーク時の強さ 35 kt (10分間平均) 
998 hPa

台風13号としては統計史上最も遅い日時に発生した[10]。また、11月以降に台風13号が発生したのはこの年のみである。

台風14号(エルビス)[編集]

トロピカル・ストーム (JMA)
トロピカル・ストーム (SSHWS)
発生期間 11月24日 – 11月26日
ピーク時の強さ 40 kt (10分間平均) 
992 hPa

台風14号としては統計史上最も遅い日時に発生した。また、11月以降に台風14号が発生したのはこの年のみである[11]

台風15号(フェイス)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー2 タイフーン (SSHWS)
発生期間 12月9日 – 12月14日
ピーク時の強さ 65 kt (10分間平均) 
970 hPa

台風15号としては統計史上最も遅い日時に発生した。また、11月以降に台風15号が発生したのはこの年のみである[12]

台風16号(ギル)[編集]

トロピカル・ストーム (JMA)
トロピカル・ストーム (SSHWS)
発生期間 12月9日 – 12月11日
ピーク時の強さ 40 kt (10分間平均) 
992 hPa


脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 気象庁|台風経路図1998年”. www.data.jma.go.jp. 2020年7月9日閲覧。
  2. ^ a b デジタル台風:台風リスト”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月6日閲覧。
  3. ^ a b デジタル台風:台風リスト”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月6日閲覧。
  4. ^ 平成30年台風第12号と類似した経路の過去の台風 - 水土砂防災研究部門”. web.archive.org (2019年6月7日). 2020年5月1日閲覧。
  5. ^ a b デジタル台風:台風リスト”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月7日閲覧。
  6. ^ a b c 台風第8・7号 平成10年(1998年) 9月20日~9月23日”. www.data.jma.go.jp. 2020年4月29日閲覧。
  7. ^ 平成30年台風第20号と類似した経路の過去の台風 - 水土砂防災研究部門”. web.archive.org (2019年6月7日). 2020年5月1日閲覧。
  8. ^ デジタル台風:台風リスト”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月8日閲覧。
  9. ^ デジタル台風:台風リスト”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月8日閲覧。
  10. ^ デジタル台風:台風リスト”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月8日閲覧。
  11. ^ デジタル台風:台風リスト”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月10日閲覧。
  12. ^ デジタル台風:台風リスト”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月12日閲覧。

外部リンク[編集]

  • ウィキメディア・コモンズには、1998年の台風に関するカテゴリがあります。