2019年の台風

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2019年の台風
軌跡の地図
最初の熱帯低気圧発生 2018年12月31日
最初の台風発生 1月1日
最も強かった
台風
台風2号 – 920 hPa,
105 kt (10分間平均)
熱帯低気圧の総数 4
台風の総数 2
タイフーンの総数 1
スーパータイフーンの総数 1
総死亡者数 17
総被害額 1.07 億ドル (2019 USD)
年別台風
2017, 2018, 2019, 2020, 2021

2019年台風太平洋北西部及び南シナ海で発生した熱帯低気圧)のデータ。データは基本的に日本の気象庁の情報に基づき、気象庁が熱帯低気圧としていない一部のものについては、合同台風警報センター (JTWC) のみに拠る。

2018年12月31日に発生した熱帯低気圧が年を跨いで存在した。その熱帯低気圧は1951年の統計開始以来初めて1月1日に台風となった[1]。しかし、一年で海水温が最も低く台風の発生が少ないのは2月であるため、2018年の台風シーズンの延長であると考えられる。その台風1号はその後、約21年(21年と2ヶ月)ぶりとなる越境サイクロンとなった[2][3]

各熱帯低気圧の活動時期[編集]

平成31年台風第2号

「台風」に分類されている熱帯低気圧[編集]

台風1号(パブーク)[編集]

トロピカル・ストーム (JMA)
トロピカル・ストーム (SSHS)
発生期間 1月1日 – 1月4日
ピーク時の強さ 45 kt (10分間平均) 
996 hPa

2018年12月30日頃に南シナ海で形成した低圧部に対し、合同台風警報センター(JTWC)は31日5時30分(協定世界時30日20時30分)に熱帯低気圧形成警報(TCFA)を発した。低圧部は31日15時に熱帯低気圧に発達し、JTWCは31日18時(協定世界時31日9時)に熱帯低気圧番号36Wを付番した。その後、36Wは年を跨いだ2019年1月1日15時に南シナ海の北緯6度20分、東経109度55分で台風となり[4]、アジア名パブークPabuk)と命名された。1月1日に台風が発生するのは1951年の統計開始以来、初めてである[1]。台風はやや発達しながら西に進み、タイランド湾を通過したのち、4日21時頃にタイ南部のクラ地峡に上陸した。その後、5日0時前に東経100度線を通過して気象庁の観測範囲外となったため、台風からサイクロンとなった。台風が東経100度線を通過してサイクロンになるのは1997年の台風26号以来約21年ぶりである[2][3][5][注 1]

なお、東経100度線を通過した直後の勢力はJTWCは最大風速50kt(約25m/s)、気象庁は最大風速23m/sと解析している。それに伴い、インド気象局(IMD)にて、最大風速45kt(約23m/s)のサイクロニック・ストームと解析されている[注 2]

IMDは、1月7日午前3時に、アンダマン諸島付近の北緯13度10分、東経92度で熱帯低気圧(デプレッション)に降格したとしている。(ただし、気象庁と分類が違い、ディープ・デプレッションという階級を飛ばしての衰退となっている。) なお、サイクロニック・ストーム・パブークとしての寿命は51時間であった。

台風2号(ウーティップ)[編集]

タイフーン (JMA)
カテゴリー5 スーパー タイフーン (SSHS)
発生期間 2月20日 – 2月28日
ピーク時の強さ 105 kt (10分間平均) 
920 hPa

2月16日頃にマーシャル諸島近海で形成が始まった低圧部に対し、合同台風警報センター(JTWC)は18日12時(協定世界時18日3時)に熱帯低気圧形成警報(TCFA)を発した。低圧部は19日3時に熱帯低気圧に発達し、JTWCは19日18時(協定世界時19日9時)に熱帯低気圧番号02Wを付番した。その後、02Wは20日3時にマーシャル諸島の北緯5度05分、東経155度05分で台風となり[6][7]、アジア名ウーティップWutip)と命名された。

台風は初めカロリン諸島近海を西北西に進みながら少しずつ発達し、23日には「非常に強い」勢力となった。その後23日15時から21時までの6時間で中心気圧が25hPa低下する急発達をし、マリアナ諸島近海で中心気圧925hPa・最大風速50m/sと2月としては中心気圧が最も低い台風となった[8]。その後台風は速度を落とし、24日には台風は一旦勢力を落としたものの、25日には台風は再発達し、25日15時には中心気圧915hPa・最大風速55m/sの「猛烈な」勢力となった。2月中に台風が猛烈な勢力となるのは最大風速のデータがある1977年以降では初めてであるうえ、前述したように1951年の統計開始以来では2月としては中心気圧が最も低い台風となった[9][10][11]。その後、台風は26日の夜から急激に弱まり、28日15時にフィリピンの東の北緯18度、東経135度で熱帯低気圧に変わった[12]

熱帯低気圧に弱まった直後、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)の熱帯低気圧監視エリアに進入したため、28日18時(フィリピン標準時28日17時)にPAGASAにてフィリピン名ベティBetty)と命名されている。

事後解析では、2月23日からの1回目のピーク時の勢力は920hPa・55m/sの「猛烈な」勢力に昇格したが、25日からの2回目のピーク時の勢力が935hPa・50m/sの「非常に強い」勢力に降格している[13]

気象庁が「台風」に分類しなかった熱帯低気圧[編集]

熱帯低気圧番号(○○W)は、合同台風警報センター(JTWC)が熱帯低気圧と認めたものに付与し、同機関をはじめ海外の各気象機関で用いられる。フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)がフィリピン名を命名している場合、フィリピン名も併記。また、熱帯低気圧番号がない場合も、気象庁が熱帯低気圧としたものを以下、単に「TD」と示す。

TD 01W(アマン)[編集]

トロピカル・デプレッション (JMA)
トロピカル・デプレッション (SSHS)
発生期間 1月5日 – 1月22日
ピーク時の強さ 30 kt (10分間平均) 
1004 hPa

合同台風警報センター(JTWC)は1月4日14時30分(協定世界時4日5時30分)に熱帯低気圧形成警報(TCFA)を発したマーシャル諸島の低圧部に対して、5日6時(協定世界時4日21時)に熱帯低気圧番号01Wを付番した。JTWCによると、01Wは6日21時(協定世界時6日12時)にマーシャル諸島近海で低圧部に降格した。一方、気象庁は14日頃にカロリン諸島で低圧部が形成し、19日15時にパラオ近海で熱帯低気圧に発達したと解析した。20日0時(フィリピン標準時19日23時)にフィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)はフィリピン名アマンAmang)と命名した。気象庁は、21日21時には24時間以内に台風に発達する可能性があるとして熱帯低気圧情報を発表したが、22日15時に取り消した。01Wは同日21時に天気図から消滅した。

TD 03W(チェデン)[編集]

トロピカル・デプレッション (JMA)
トロピカル・デプレッション (SSHS)
発生期間 3月14日 – 3月19日
ピーク時の強さ ≦30 kt (10分間平均) 
1006 hPa

3月14日の朝にカロリン諸島近海で形成した低圧部が、同日15時に熱帯低気圧に発達。合同台風警報センター(JTWC)は同日19時(協定世界時14日10時)に熱帯低気圧形成警報(TCFA)を発し、15日12時(協定世界時15日3時)に熱帯低気圧番号03Wを付番した。03Wは西進しながらフィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)の熱帯低気圧監視エリアに進入し、17日18時(フィリピン標準時17日17時)にフィリピン名チェデンChedeng)と命名された。03Wは19日の朝にはフィリピンのミンダナオ島に上陸し、同日15時に低圧部に降格した。

各台風・熱帯低気圧名[編集]

PAGASAの熱帯低気圧監視エリア

順番はアジア名「ダムレイ」が1とされている[14]。また、フィリピン名は熱帯低気圧が監視エリアに入ったとき、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)が命名するもの[15]


台風 順番 アジア名 アジア名読み 意味・由来 命名国・地域 フィリピン名 フィリピン名読み
1号(1901) 34 Pabuk パブーク 淡水魚の名前 ラオス - -
2号(1902) 35 Wutip ウーティップ ちょう(蝶) マカオ Betty ベティ
熱帯低気圧 フィリピン名 フィリピン名読み
01W Amang アマン
03W Chedeng チェデン

各熱帯低気圧の影響[編集]

台風・
熱帯低気圧
期間 大きさ
強さ
階級 最大風速 最低気圧 被害(接近)地域 被害額
(米ドル)
死者数(人) 出典
台風1号 1901 (Pabuk) 2018年12月31日〜1月4日 - TS 23m/s(45kt) 996hPa ナトゥナ諸島ベトナムマレーシアタイミャンマーアンダマン諸島 $1.01億 10 [16]
TS 50kt 985hPa
TD 01W (Amang) 1月5日〜1月22日 - TD 15m/s(30kt) 1004hPa パラオフィリピン $580万 7 -
TD 25kt 1003hPa
台風2号 1902 (Wutip, Betty) 2月18日〜3月2日 猛烈な TY 55m/s(105kt) 920hPa カロリン諸島マリアナ諸島グアム - -
STY 140kt 918hPa
TD 03W (Chedeng) 3月14日〜3月19日 - TD 不明 1006hPa カロリン諸島、パラオ、フィリピン - - -
TD 25kt 1001hPa
計4個 2018年12月31日〜 - - 55m/s(105kt) 920hPa - $1.07億 17 -
140kt 918hPa
  • 「期間」は熱帯低気圧として存命した期間を表す。台風が熱帯低気圧に変わった場合、熱低化から消滅までの期間も含む。
  • 「階級」「最大風速」「最低気圧」は、それぞれ上段が気象庁、下段がJTWCの解析によるデータである。ただし、JTWCのデータがない場合、気象庁のデータのみを表示している。
  • 「階級」について、上段は気象庁が示す国際分類で、最大風速(10分間平均)によってTD=トロピカル・デプレッション、TS=トロピカル・ストーム、STS=シビア・トロピカル・ストーム、TY=タイフーンに分類される。下段のJTWCの分類は、TS=トロピカル・ストーム、TY=タイフーン、STY=スーパータイフーンで、最大風速(1分間平均)によって分類される。
  • 「出典」のはそれぞれ気象庁HPで公開されている台風の経路図及び位置表のリンクである。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 一部の報道機関では22年ぶりとしているが、1997年の台風26号は同年11月に発生しているので、正式には21年と2ヶ月ぶりとなる。そのため、本記事では「約21年ぶり」と表記している。
  2. ^ IMDが解析する最大風速は3分間の平均値である。

出典[編集]

  1. ^ a b 年明け早くも台風1号「パブーク」発生”. 日本気象協会 (2019年1月1日). 2019年1月1日閲覧。
  2. ^ a b 台風1号 気象庁の監視域外へ出る 21年ぶりにサイクロンに”. ウェザーニュース (2019年1月5日). 2019年1月5日閲覧。
  3. ^ a b 台風1号 (パブーク) サイクロンへ”. 日本気象協会 (2019年1月5日). 2019年1月5日閲覧。
  4. ^ 平成31年 台風第1号に関する情報”. 気象庁 (2019年1月1日). 2019年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月1日閲覧。
  5. ^ 台風199726号(LINDA) 国立情報学研究所.2019年1月5日閲覧。
  6. ^ 平成31年 台風第2号に関する情報”. 気象庁 (2019年2月20日). 2019年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月20日閲覧。
  7. ^ 台風2号「ウーティップ」発生”. 日本気象協会 (2019年2月20日). 2019年2月20日閲覧。
  8. ^ 台風2号 2月としては中心気圧が最も低く”. 日本気象協会 (2019年2月23日). 2019年2月27日閲覧。
  9. ^ 台風2号 2月では初めて猛烈な勢力に”. 日本気象協会 (2019年2月25日). 2019年2月27日閲覧。
  10. ^ 台風2号猛烈な勢力に 2月中に猛烈な勢力は初”. ウェザーニュース (2019年2月25日). 2019年2月27日閲覧。
  11. ^ [1] デジタル台風 1951年以降2月に発生した台風を最低気圧昇順に並べたもの。
  12. ^ 台風2号 熱帯低気圧に変わりました”. 日本気象協会 (2019年2月28日). 2019年2月28日閲覧。
  13. ^ 2019年台風第2号 WUTIP 1902 位置表 (PDF)”. 気象庁. 2019年4月3日閲覧。
  14. ^ 台風の番号と名前”. 気象庁. 2018年1月1日閲覧。
  15. ^ LIST: PAGASA's names for tropical cyclones in 2019”. RAPPLER (2019年1月3日). 2019年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月1日閲覧。
  16. ^ 台風1号がタイを通過、5人死亡 リゾート地通過で損失 北海道新聞.2019年1月5日閲覧。

確定値[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]