1960年アメリカグランプリ

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アメリカ合衆国 1960年アメリカグランプリ
レース詳細
1960年F1世界選手権全10戦の第10戦
日程 1960年11月20日
正式名称 III United States Grand Prix
開催地 リバーサイド・インターナショナル・レースウェイ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 リバーサイド
コース 恒久的レース施設
コース長 5.271 km (3.275 mi)
レース距離 75周 395.325 km (245.643 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
気温:75.9 °F (24.4 °C)
風速:9.9マイル毎時 (15.9 km/h)[1]
ポールポジション
ドライバー ロータス-クライマックス
タイム 1:54.4
ファステストラップ
ドライバー オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス
タイム 1:56.3 (71周目)
決勝順位
優勝 ロータス-クライマックス
2位 ロータス-クライマックス
3位 クーパー-クライマックス

1960年アメリカグランプリ (1960 United States Grand Prix) は、1960年のF1世界選手権第10戦(最終戦)として、1960年11月20日リバーサイド・インターナショナル・レースウェイで開催された。

1954年以来続いた最大排気量2.5Lのエンジン規定は、本レースが最後となった。

レース概要[編集]

F1世界選手権におけるアメリカGPの開催は2回目で、舞台は前年セブリング・インターナショナル・レースウェイフロリダ州)からカリフォルニア州リバーサイド・インターナショナル・レースウェイに移された。

フェラーリは本レースを欠場したため[2]フィル・ヒルBRP(ヨーマン・クレジット・レーシングチーム)から、ヴォルフガング・フォン・トリップススクーデリア・セントロ・スッドから出場した。フランスGP以来の出場となった地元アメリカのスカラブはマシンの改良作業を行い本レースに臨んだ[3]

レースはジャック・ブラバムダン・ガーニーが好スタートを切り、ポールポジションスターリング・モスは3位に後退したが、1周目でガーニーを抜いて2位に上がり、5周目からトップを奪い返してからは独走で快勝した。序盤奮闘したガーニーはリタイアに終わり無得点でシーズンを終え、チームメイトのヨアキム・ボニエも中盤から終盤まで2位を走行していたが5位に終わり、BRMは年間を通して信頼性の低さを露呈した[4]。スカラブのチャック・デイも奮闘したが10位完走が精一杯で、創設者のランス・リヴェントロウはレースへの情熱を失いF1から去った[3]

本レースに訪れた観客の中には当時アメリカに留学中だった18歳の浮谷東次郎もいた[5]

本レースで披露されたシボレーミッドシップ研究開発のための実験車「CERV I」をモスが試走した[5][6]

エントリーリスト[編集]

チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン
イギリスの旗 クーパー・カー・カンパニー 2 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー T53 クライマックス FPF 2.5L L4
3 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン
4 イギリスの旗 ロン・フロックハート
イギリスの旗 R.R.C. ウォーカー・レーシングチーム 5 イギリスの旗 スターリング・モス ロータス 18 クライマックス FPF 2.5L L4
イギリスの旗 ヨーマン・クレジット・レーシングチーム 6 イギリスの旗 トニー・ブルックス クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4
7 ベルギーの旗 オリビエ・ジャンドビアン
8 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー
9 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル
イギリスの旗 チーム・ロータス 10 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス 18 クライマックス FPF 2.5L L4
11 イギリスの旗 ジョン・サーティース
12 イギリスの旗 ジム・クラーク
イギリスの旗 ハイ・エフィシエンシー・モータース 14 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4
イギリスの旗 オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 15 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ BRM P48 BRM P25 2.5L L4
16 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー
17 イギリスの旗 グラハム・ヒル
イタリアの旗 スクーデリア・セントロ・スッド 18 フランスの旗 モーリス・トランティニアン クーパー T51 マセラティ 250S 2.5L L4
19 イギリスの旗 イアン・バージェス
26 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス
アメリカ合衆国の旗 ジョー・ルービン 20 アメリカ合衆国の旗 ボブ・ドレーク マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6
イギリスの旗 J.B. ネイラー 21 イギリスの旗 ブライアン・ネイラー JBW 59 マセラティ 250S 2.5L L4
アメリカ合衆国の旗 モモ・コーポレーション 22 アメリカ合衆国の旗 ウォルト・ハンスゲン 1 ロータス 18 クライマックス FPF 2.5L L4
アメリカ合衆国の旗 リヴェントロウ・オートモビルズ・インク 23 アメリカ合衆国の旗 チャック・デイ スカラブ F1 スカラブ 2.5L L4
アメリカ合衆国の旗 ジム・ホール 24 アメリカ合衆国の旗 ジム・ホール ロータス 18 クライマックス FPF 2.5L L4
アメリカ合衆国の旗 フレッド・アームブラスター 25 アメリカ合衆国の旗 ピート・ラヴリー クーパー T45 フェラーリ Tipo107 2.5L L4
ソース:[7]
追記
  • タイヤは全車ダンロップ
  • ^1 - エントリーしたが出場せず

結果[編集]

予選[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム
1 5 イギリスの旗 スターリング・モス ロータス-クライマックス 1:54.4
2 2 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 1:55.0 + 0.6
3 16 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー BRM 1:55.2 + 0.8
4 15 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ BRM 1:55.6 + 1.2
5 12 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 1:55.7 + 1.3
6 11 イギリスの旗 ジョン・サーティース ロータス-クライマックス 1:55.8 + 1.4
7 10 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 1:57.0 + 2.6
8 7 ベルギーの旗 オリビエ・ジャンドビアン クーパー-クライマックス 1:57.2 + 2.8
9 6 イギリスの旗 トニー・ブルックス クーパー-クライマックス 1:57.3 + 2.9
10 3 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 1:57.4 + 3.0
11 17 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM 1:57.6 + 3.2
12 24 アメリカ合衆国の旗 ジム・ホール ロータス-クライマックス 1:58.2 + 3.8
13 9 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル クーパー-クライマックス 1:58.8 + 4.4
14 8 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー クーパー-クライマックス 1:59.0 + 4.6
15 14 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ クーパー-クライマックス 1:59.6 + 5.2
16 26 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス クーパー-マセラティ 2:01.4 + 7.0
17 21 イギリスの旗 ブライアン・ネイラー クーパー-マセラティ 2:02.2 + 7.8
18 23 アメリカ合衆国の旗 チャック・デイ スカラブ 2:02.6 + 8.2
19 18 フランスの旗 モーリス・トランティニアン クーパー-マセラティ 2:03.2 + 8.8
20 25 アメリカ合衆国の旗 ピート・ラヴリー クーパー-フェラーリ 2:03.4 + 9.0
21 4 イギリスの旗 ロン・フロックハート クーパー-クライマックス 2:04.4 + 10.0
22 20 アメリカ合衆国の旗 ボブ・ドレーク マセラティ 2:05.4 + 11.0
23 19 イギリスの旗 イアン・バージェス クーパー-マセラティ 2:06.6 + 12.2
ソース:[8]

決勝[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 5 イギリスの旗 スターリング・モス ロータス-クライマックス 75 2:28:52.2 1 8
2 10 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 75 + 38.0 7 6
3 3 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 75 + 52.0 10 4
4 2 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 74 + 1 Lap 2 3
5 15 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ BRM 74 + 1 Lap 4 2
6 9 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル クーパー-クライマックス 74 + 1 Lap 13 1
7 24 アメリカ合衆国の旗 ジム・ホール ロータス-クライマックス 73 + 1 Lap 12
8 14 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ クーパー-クライマックス 73 + 2 Laps 15
9 26 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス クーパー-マセラティ 72 + 3 Laps 16
10 23 アメリカ合衆国の旗 チャック・デイ スカラブ 70 + 5 Laps 18
11 25 アメリカ合衆国の旗 ピート・ラヴリー クーパー-フェラーリ 69 + 6 Laps 20
12 7 ベルギーの旗 オリビエ・ジャンドビアン クーパー-クライマックス 69 + 6 Laps 8
13 20 アメリカ合衆国の旗 ボブ・ドレーク マセラティ 68 + 7 Laps 22
14 8 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー クーパー-クライマックス 68 + 7 Laps 14
15 18 フランスの旗 モーリス・トランティニアン クーパー-マセラティ 66 + 9 Laps 19
16 12 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 61 + 14 Laps 5
Ret 17 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM 34 ギアボックス 11
Ret 19 イギリスの旗 イアン・バージェス クーパー-マセラティ 29 イグニッション 23
Ret 21 イギリスの旗 ブライアン・ネイラー クーパー-マセラティ 20 エンジン 17
Ret 16 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー BRM 18 コアプラグ 3
Ret 4 イギリスの旗 ロン・フロックハート クーパー-クライマックス 11 トランスミッション 21
Ret 6 イギリスの旗 トニー・ブルックス クーパー-クライマックス 6 スピンオフ 9
Ret 11 イギリスの旗 ジョン・サーティース ロータス-クライマックス 3 アクシデント 6
ソース:[9]
ラップリーダー[10]

ランキング[編集]

  • : トップ5のみ表示。ベスト6戦のみがカウントされる。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。

脚注[編集]

  1. ^ Weather information for the "1960 United States Grand Prix"”. The Old Farmers' Almanac. 2013年6月26日閲覧。
  2. ^ (林信次 1999, p. 100)
  3. ^ a b (林信次 1999, p. 101)
  4. ^ (林信次 1999, p. 99)
  5. ^ a b (林信次 1999, p. 103)
  6. ^ 次期コルベットのミッドシップ化に影響を与えたコンセプトカーたち”. Carnnyマガジン (2017年3月17日). 2018年3月21日閲覧。
  7. ^ USA 1960 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年3月21日閲覧。
  8. ^ USA 1960 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年3月20日閲覧。
  9. ^ 1960 United States Grand Prix”. formula1.com. 2014年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月20日閲覧。
  10. ^ USA 1960 - Laps led”. statsf1.com. 2018年3月19日閲覧。

参照文献[編集]

  • 林信次『F1全史 1956-1960』ニューズ出版、1999年。ISBN 4-938495-27-9 

外部リンク[編集]

前戦
1960年イタリアグランプリ
FIA F1世界選手権
1960年シーズン
前回開催
1959年アメリカグランプリ
アメリカ合衆国の旗 アメリカグランプリ 次回開催
1961年アメリカグランプリ