コンテンツにスキップ

1969年フランスグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フランス 1969年フランスグランプリ
レース詳細
1969年F1世界選手権全11戦の第5戦
シャレード・サーキット (1958-1988)
シャレード・サーキット (1958-1988)
日程 1969年7月6日
正式名称 LV Grand Prix de France
開催地 シャレード・サーキット
フランスの旗 フランス オーヴェルニュ地域圏 クレルモン=フェラン
コース 恒久的レース施設
コース長 8.055 km (5.005 mi)
レース距離 38周 306.090 km (190.196 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー マトラ-フォード
タイム 3:00.6
ファステストラップ
ドライバー イギリス ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード
タイム 3:02.7 (27周目)
決勝順位
優勝 マトラ-フォード
2位 マトラ-フォード
3位 ブラバム-フォード

1969年フランスグランプリ (1969 French Grand Prix) は、1969年のF1世界選手権第5戦として、1969年7月6日シャレード・サーキットで開催された。

わずか13台の参加にとどまったレースは38周で行われ、マトラジャッキー・スチュワートポール・トゥ・ウィンで優勝し、チームメイトのジャン=ピエール・ベルトワーズが2位、ブラバムジャッキー・イクスが3位となった。

背景

[編集]

クレルモン=フェランでのフランスGP開催は1965年以来4年ぶりで、その間はランスル・マンルーアンで開催された[1]

エントリー

[編集]

BRMは前戦オランダGPでのP139の悲惨なデビューに続き[1]、チーフエンジニアのトニー・ラッド英語版が更迭され[2]、本レースを欠場した。ジャック・ブラバムは本レース直前の6月30日シルバーストン・サーキットでテスト中に足首を骨折する事故を起こしたため欠場を余儀なくされた[1][3]ロータスは、エンジニア兼ドライバーのジョン・マイルズ四輪駆動車の63を用意した[1][4]

BRMの欠場により、フォード・コスワース・DFVエンジンを搭載しないマシンはフェラーリ1台のみとなり、さらにブラバムの欠場もあって参加台数はわずか13台にとどまった[1]

エントリーリスト

[編集]
チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
イギリスの旗 ゴールドリーフ・チーム・ロータス 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス 49B フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
14 イギリスの旗 ジョン・マイルズ 63
15 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント 49B
イギリスの旗 マトラ・インターナショナル 2 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ MS80 フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
7 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ
イギリスの旗 ロブ・ウォーカー/ジャック・ダーラッシャー・レーシングチーム 3 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス 49B フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
イギリスの旗 ブルース・マクラーレン・モーターレーシング 4 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン M7A フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
5 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン M7C
イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 6 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 312/69 フェラーリ 255C 3.0L V12 F
イギリスの旗 モーターレーシング・ディベロップメンツ・リミテッド 8 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム 1 ブラバム BT26A フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
11 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス
イギリスの旗 フランク・ウィリアムズ・レーシングカーズ 9 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム BT26A フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
イギリスの旗 アンティーク・オートモビルズ 10 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン M7B[4] フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
スイスの旗 シルビオ・モーザー・レーシングチーム 12 スイスの旗 シルビオ・モーザー ブラバム BT24 フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
ソース:[5]
追記
  • ^1 - ブラバムは負傷のため欠場[6]

予選

[編集]

マトラジャッキー・スチュワートが2番手のデニス・ハルムマクラーレン)に2秒近い差を付けてポールポジションを獲得した。スチュワートとハルムがフロントローを獲得し、ヨッヘン・リントロータス)とジャッキー・イクスブラバム)が2列目、母国グランプリのジャン=ピエール・ベルトワーズ(マトラ)と唯一の非DFV搭載車を駆るクリス・エイモンフェラーリ)が3列目を占めた。前年度王者のグラハム・ヒルは8番手に終わり、7番手のブルース・マクラーレンとともに4列目に甘んじた[1]

予選結果

[編集]
順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 2 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード 3:00.6 - 1
2 4 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 3:02.4 +1.8 2
3 15 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス-フォード 3:02.5 +1.9 3
4 11 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス ブラバム-フォード 3:02.6 +2.0 4
5 7 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ-フォード 3:02.9 +2.3 5
6 6 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 3:04.2 +3.6 6
7 5 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 3:05.5 +4.9 7
8 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス-フォード 3:05.9 +5.3 8
9 3 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス-フォード 3:06.3 +5.7 9
10 10 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン-フォード 3:08.3 +7.7 10
11 9 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム-フォード 3:09.9 +9.3 11
12 14 イギリスの旗 ジョン・マイルズ ロータス-フォード 3:12.8 +12.2 12
13 12 スイスの旗 シルビオ・モーザー ブラバム-フォード 3:14.6 +14.0 13
ソース:[7][8]

決勝

[編集]

ジャッキー・スチュワートが終始トップを走り、今季4勝目を挙げた[1]。また、ファステストラップも記録し、自身初のグランドスラム[注 1]も達成した[9]デニス・ハルムはスチュワートを追ったが、13周目にフロントロールバーが壊れてピットインしなければならなかった。これでジャッキー・イクスが2位に浮上したが、レースの大部分でジャン=ピエール・ベルトワーズからのプレッシャーにさらされた。イクスが最終ラップでミスを犯し、2台目のマトラを駆るベルトワーズが2位に浮上し、地元フランスの観客の前でマトラが初の1-2フィニッシュを達成した[1]

スペインGPの事故から復帰後も体調が不完全であった[10]ヨッヘン・リントは4位を走行していたが、曲がりくねったコースにより体調不良を引き起こし、同様の問題を抱えていたブルース・マクラーレンに抜かれた直後にリタイアした。マクラーレンは最後まで走りきり、彼のマシン(マクラーレン・M7B)を走らせるプライベーターのビック・エルフォード英語版をわずかに上回り4位でフィニッシュした。精彩を欠いたグラハム・ヒルは6位入賞が精一杯だった[1]。唯一の非DFV搭載車となったフェラーリクリス・エイモンは、エンジンのピストンが壊れてリタイアした[11]

レース結果

[編集]
順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 2 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード 38 1:56:47.4 1 9
2 7 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ-フォード 38 +57.1 5 6
3 11 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス ブラバム-フォード 38 +57.3 4 4
4 5 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 37 +1 Lap 7 3
5 10 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン-フォード 37 +1 Lap 10 2
6 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス-フォード 37 +1 Lap 8 1
7 12 スイスの旗 シルビオ・モーザー ブラバム-フォード 36 +2 Laps 13
8 4 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 35 +3 Laps 2
9 3 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス-フォード 34 +4 Laps 9
Ret 6 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 30 エンジン 6
Ret 15 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス-フォード 22 体調不良 3
Ret 9 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム-フォード 21 シャシー 11
Ret 14 イギリスの旗 ジョン・マイルズ ロータス-フォード 1 燃料ポンプ 12
ソース:[12]
ファステストラップ[13]
ラップリーダー[14]
太字は最多ラップリーダー

第5戦終了時点のランキング

[編集]
  • : トップ5のみ表示。前半6戦のうちベスト5戦及び後半5戦のうちベスト4戦がカウントされる。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 1つのレースでポールポジション、ファステストラップ、優勝、全周回トップを達成すること。詳細は当該項目を参照。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i French GP, 1969”. grandprix.com. 2019年11月18日閲覧。
  2. ^ (林信次 1995, p. 91)
  3. ^ (林信次 1995, p. 83)
  4. ^ a b (林信次 1995, p. 90)
  5. ^ France 1969 - Race entrants”. STATS F1. 2019年11月15日閲覧。
  6. ^ France 1969 - Result”. STATS F1. 2019年11月15日閲覧。
  7. ^ France 1969 - Qualifications”. STATS F1. 2019年11月15日閲覧。
  8. ^ France 1969 - Starting grid”. STATS F1. 2019年11月15日閲覧。
  9. ^ The 7 Drivers With The Most F1 Grand Slams”. wtf1 (2017年6月2日). 2019年11月18日閲覧。
  10. ^ (林信次 1995, p. 80)
  11. ^ (アラン・ヘンリー 1989, p. 247)
  12. ^ 1969 French Grand Prix”. formula1.com. 9 January 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。22 December 2015閲覧。
  13. ^ France 1969 - Best laps”. STATS F1. 2019年11月18日閲覧。
  14. ^ France 1969 - Laps led”. STATS F1. 2019年11月18日閲覧。
  15. ^ a b France 1969 - Championship”. STATS F1. 15 March 2019閲覧。

参照文献

[編集]
  • Wikipedia英語版 - en:1969 French Grand Prix(2019年3月15日 11:58:13(UTC))
  • Lang, Mike (1982). Grand Prix! Vol 2. Haynes Publishing Group. pp. 96–97. ISBN 0-85429-321-3 
  • 林信次『F1全史 1966-1970 [3リッターF1の開幕/ホンダ挑戦期の終わり]』ニューズ出版、1995年。ISBN 4-938495-06-6 
  • アラン・ヘンリー『チーム・フェラーリの全て』早川麻百合+島江政弘(訳)、CBS・ソニー出版、1989年12月。ISBN 4-7897-0491-2 

外部リンク

[編集]
前戦
1969年オランダグランプリ
FIA F1世界選手権
1969年シーズン
次戦
1969年イギリスグランプリ
前回開催
1968年フランスグランプリ
フランスの旗 フランスグランプリ 次回開催
1970年フランスグランプリ