「ヘリウム」の版間の差分
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'''ヘリウム''' ([[ラテン語|新ラテン語]]<ref>[http://www.encyclo.co.uk/webster/H/28 WEBSTER'S DICTIONARY, 1913]</ref>: {{lang|la|''helium''}}, {{lang-en-short|helium}} {{IPA-en|ˈhiːliəm|}})は、[[原子番号]] |
'''ヘリウム''' ([[ラテン語|新ラテン語]]<ref>[http://www.encyclo.co.uk/webster/H/28 WEBSTER'S DICTIONARY, 1913]</ref>: {{lang|la|''helium''}}, {{lang-en-short|helium}} {{IPA-en|ˈhiːliəm|}})は、[[原子番号]]2の[[元素]]である。[[元素記号]]は'''He'''。[[原子量]]は4.00260。 |
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== 名称 == |
== 名称 == |
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[[ノーマン・ロッキャー]]と[[エドワード・フランクランド]]が名づけた。「ヘリウム」とは、[[ギリシア語]]で[[太陽]] |
[[ノーマン・ロッキャー]]と[[エドワード・フランクランド]]が名づけた。「ヘリウム」とは、[[ギリシア語]]で[[太陽]]({{lang|el|ἥλιος}})を意味する。当時、太陽を構成する元素だと考えられたためである<ref>[https://web.archive.org/web/20090921141210/http://balloonprofessional.co.uk/decoration_balloons/balloon-helium-gas/ Sir Norman Lockyer - discovery of the element that he named helium](2009年9月21日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])" ''Balloon Professional Magazine'', 07 Aug 2009.</ref><ref>{{cite web| title=Helium|publisher = Oxford English Dictionary| year = 2008| url = http://dictionary.oed.com/cgi/entry/50104457?| accessdate = 2008-07-20}}</ref><ref>{{cite book|author=Thomson, W.|year=1872|publisher=Rep. Brit. Assoc. xcix|title=Frankland and Lockyer find the yellow prominences to give a very decided bright line not far from D, but hitherto not identified with any terrestrial flame. It seems to indicate a new substance, which they propose to call Helium}}</ref>。 |
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== 特徴 == |
== 特徴 == |
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無色、無臭、無味、無毒([[酸欠]]を除く)で |
無色、無臭、無味、無毒([[酸欠]]を除く)でもっとも軽い[[貴ガス]]元素である。すべての元素の中でもっとも[[沸点]]が低く、加圧下でしか[[固体]]にならない。ヘリウムは不活性の[[単原子分子|単原子ガス]]として存在する。また、存在量は[[水素]]に次いで宇宙で2番目に多い。ヘリウムは[[地球]]の[[大気]]の0.0005パーセントを占め、[[鉱物]]や[[ミネラルウォーター]]の中にも溶け込んでいる。[[天然ガス]]とともにごく微量に産出し、[[気球]]や小型[[飛行船]]の{{仮リンク|浮揚ガス|en|lifting gas}}として用いられたり、[[液体ヘリウム]]を[[超伝導]]用の低温素材としたり、大深度へ潜る際の呼吸ガスとして用いられている。 |
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[[標準状態]]において、ヘリウムは[[単原子分子|単原子ガス]]として存在する。ヘリウムを固化するには非常に特殊な条件下に置かなければならない。元素の中で[[沸点]]が |
[[標準状態]]において、ヘリウムは[[単原子分子|単原子ガス]]として存在する。ヘリウムを固化するには非常に特殊な条件下に置かなければならない。元素の中で[[沸点]]がもっとも低く、標準圧力下では温度を下げて[[絶対零度]]になっても[[不確定性原理]]のため液体のままであり、固化するにはさらに高い圧力をかける必要がある。[[臨界温度]]は5.19[[ケルビン|K]]と非常に低い。固体ヘリウムは[[ヘリウム3]]と[[ヘリウムの同位体#ヘリウム4|ヘリウム4]]で必要な圧力が異なり、圧力を調節して体積の30パーセントをコントロールすることができる。ヘリウムは[[比熱容量]]が非常に高く、密度の高い蒸気となり、部屋の温度が上昇すると素早く膨張する。 |
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固体ヘリウムは |
固体ヘリウムは1.5K、2.5 - 3.5[[メガ|M]][[パスカル (単位)|Pa]] という非常に低い温度と高い圧力の下でしか存在できない。この程度の温度以上になると、[[相転移]]を起こしてしまう。これ以下の温度ではそれぞれ立方体型の分子を作っている。 |
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ヘリウム4の2つの液体状態、ヘリウムIとヘリウムIIは、[[量子力学]]の研究([[超流動]]現象)において重要で、物質が[[超伝導]]を帯びるような[[絶対零度]]に近い超低温で発現する。 |
ヘリウム4の2つの液体状態、ヘリウムIとヘリウムIIは、[[量子力学]]の研究([[超流動]]現象)において重要で、物質が[[超伝導]]を帯びるような[[絶対零度]]に近い超低温で発現する。 |
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== 用途 == |
== 用途 == |
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以下に挙げるような |
以下に挙げるようなさまざまな用途に使用されている<ref>牧村博之、山本澈誠、[https://doi.org/10.2116/bunsekikagaku.21.1540 希ガスの取り扱い] 分析化学 Vol.21 (1972) No.11 P1540-1551, {{DOI|10.2116/bunsekikagaku.21.1540}}</ref>。 |
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* ヘリウムガス |
* ヘリウムガス |
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:: ヘリウムは[[水素]]の |
:: ヘリウムは[[水素]]の92.64パーセントもの浮揚力があり、燃えないため、水素よりも安全なガスとして[[風船]]などの浮揚用ガスとして利用され、広告用バルーンや天体観測用気球、軍事用偵察気球などに使用されている。また、ヘリウム中では[[音速]]が空気中よりずっと速い(純粋ヘリウム中では秒速約1,000メートル)ため<ref group="注">共鳴の起こる波長([[喉頭腔]]の大きさに依存)を一定とすると、周波数はその媒質を伝わる波の速さに比例する。[[周波数#定義]]を参照。</ref>、ヘリウムを吸入してから発声すると、甲高い音色の奇妙な声が出る([[ドナルドダック#ドナルドダック効果|ドナルドダック効果]])。これに着目して、いわゆるパーティグッズとしても利用される。このような市販の「変声」用ガスには、酸欠などになるのを防ぐために酸素が20パーセントほど含まれているが、風船用ガスとの誤用による事故<ref name="nikkansports">[https://archive.is/20150208011029/http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cpettp01502050009.html 12歳アイドル、テレ朝収録中に倒れ搬送](2015年2月8日時点の[[archive.is|アーカイブ]]) [[日刊スポーツ]]芸能ニュース - [[朝日新聞]]デジタル&M 2015年2月5日</ref>や吸い過ぎによって嘔吐や意識を失う事故がたびたび発生<ref name="nikkansports"/><ref group="注">2015年1月には12歳の児童がテレビ番組の収録中にこのガスを一気に吸引したことによって意識不明となり、このようなケースでは日本で初めて「脳空気塞栓症」と診断された事故が起きている(後に回復した)。[[テレビ朝日#不祥事・事件・トラブル]]、[[児童労働#児童労働の例]]、[[3B juniorの星くず商事]]も参照されたい。</ref>しており、その大半は12歳以下の子どもによるものである<ref>[https://archive.is/20150208011000/http://www.yomiuri.co.jp/national/20150206-OYT1T50115.html ヘリウム事故、注意呼びかけ…12歳以下に集中](2015年2月8日時点の[[archive.is|アーカイブ]]) [[読売新聞]](YOMIURI ONLINE) 2015年2月6日</ref>。ヘリウムに薬理作用はないが、酸素を混合していないガスの吸引による自殺に使用された例も報告されている<ref>乗峯絵理、宮田勝文、石澤不二雄 ほか、[https://doi.org/10.3408/jafst.18.65 血中ヘリウムの分析] 日本法科学技術学会誌 Vol.18 (2013) No.1 p.65-70, {{DOI|10.3408/jafst.18.65}}</ref>。 |
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* 低温工学 |
* 低温工学 |
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::ヘリウムは沸点、融点ともに |
::ヘリウムは沸点、融点ともにもっとも低い元素である。液体ヘリウムはほかの超低温物質よりも低温となり、[[超伝導]]や[[低温学]]など、[[絶対零度]]に近い環境での研究が必要な分野で冷媒として使用されている。また、[[3He-4He希釈冷凍法|ヘリウム3とヘリウム4を使った希釈冷凍法]]がある。 |
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* 労働産業 |
* 労働産業 |
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::ヘリウムと[[酸素]] |
::ヘリウムと[[酸素]]などとの[[混合ガス]]は[[テクニカルダイビング]]など、大深度潜水用の呼吸ガスとして用いられる<ref>[https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00374/contents/007.htm 海洋科学技術研修テキスト 飽和潜水 日本財団図書館(電子図書館)]</ref><ref>[https://doi.org/10.5100/jje.29.Supplement_156 リウム混合ガス深々度短時間潜水減圧法の開発と大深度潜函作業減圧法への応用] 人間工学 Vol.29 (1993) No.Supplement P156-157</ref>。ヘリウムは[[窒素]]よりも[[麻酔]]作用が少ないため、[[窒素中毒]]などの中毒症状を起こしにくい。さらにヘリウムは粘度が低いため、高圧下でも呼吸抵抗が小さく、身体からの排泄速度が速い<ref name="ahs1983.3.227">檜木暢雄, G.IMBERT, M.HUG0N、[https://doi.org/10.2114/ahs1983.3.227 高圧ヘリウム・酸素環境に於ける呼吸放熱] The Annals of physiological anthropology Vol.3 (1984) No.3 P227-236, {{DOI|10.2114/ahs1983.3.227}}</ref>とされている。しかし特定の条件下では気泡が生じやすく、いったん血管内に気泡が生じた場合は消失しにくいとの報告がある<ref>野寺誠、荒木隆一郎、後藤與四之 ほか、[https://doi.org/10.11227/seikisho1966.32.3_S43 7絶対気圧10分間のヘリウム酸素圧曝露による血管内気泡の出現] 日本生気象学会雑誌 Vol.32 (1995) No.3 PS43, {{DOI|10.11227/seikisho1966.32.3_S43}}</ref>。欠点として熱伝導率が高いため、体温調節が難しくなり[[低体温症]]になる危険がある<ref>楢木暢雄、富安和徳、[https://doi.org/10.2114/ahs1983.4.147 31barまでの高圧ヘリウム環境における呼吸放熱による深部体温の低下] The Annals of physiological anthropology Vol.4 (1985) No.2 P147-152, {{DOI|10.2114/ahs1983.4.147}}</ref>こと、また空気と比較してはるかに高価であることがある。ヘリウムと酸素の混合ガスである'''ヘリオックス'''と、ヘリウム、酸素、窒素を混合した'''トライミックス'''がある。 |
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* 医療 |
* 医療 |
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:: 液体に溶けやすく人体に無害と言う特性もあり、血管内で素早く膨らませたり縮めたりすることで心臓の機能を補助する |
:: 液体に溶けやすく人体に無害と言う特性もあり、血管内で素早く膨らませたり縮めたりすることで心臓の機能を補助する[[IABP]]のバルーンに吹き込む気体として採用されている。 |
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:: 液体ヘリウムは |
:: 液体ヘリウムは[[核磁気共鳴分光法|NMR]]や[[核磁気共鳴画像法|MRI]]の測定装置で[[超伝導電磁石]]の冷却に使われている。 |
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* その他 |
* その他 |
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: [[ガスクロマトグラフィー]]などのキャリヤーガスとしても使用される。 |
: [[ガスクロマトグラフィー]]などのキャリヤーガスとしても使用される。 |
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: 液体ヘリウムはロケットの噴射口を守る冷却剤、[[ケイ素|シリコン]]や[[ゲルマニウム]]結晶の保護材、あるいは[[原子炉]]の[[冷却材]]、[[超音速]][[風洞]]実験での充満ガス、タンデム[[加速器]]の超伝導ブースター<ref>{{PDFlink|[http://www.pasj.jp/web_publish/pasj9/proceedings/PDF/WEPS/WEPS009.pdf Present status of JAEA-Tokai tandem accelerator and booster 原子力機構-東海タンデム加速器の現状] 第9回日本加速器学会年会発表資料}}</ref>などに用いられている。 |
: 液体ヘリウムはロケットの噴射口を守る冷却剤、[[ケイ素|シリコン]]や[[ゲルマニウム]]結晶の保護材、あるいは[[原子炉]]の[[冷却材]]、[[超音速]][[風洞]]実験での充満ガス、タンデム[[加速器]]の超伝導ブースター<ref>{{PDFlink|[http://www.pasj.jp/web_publish/pasj9/proceedings/PDF/WEPS/WEPS009.pdf Present status of JAEA-Tokai tandem accelerator and booster 原子力機構-東海タンデム加速器の現状] 第9回日本加速器学会年会発表資料}}</ref>などに用いられている。 |
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: ヘリウムの[[同位体]]の |
: ヘリウムの[[同位体]]のひとつであるヘリウム3は[[核融合エネルギー|核融合発電]]の燃料としての利用が考えられている。しかし、現在熱核融合炉で想定されている温度の領域では、[[トリチウム]]燃料の場合に比べて核融合反応が起こりにくいうえ、地球上で天然に採取することはほとんど不可能である。{{要出典範囲|[[太陽]]から噴出した[[太陽風]]が[[月面]]に堆積したものを採取する、[[木星]]などの[[木星型惑星]]で採取するなどの方法が検討されている|date=2015年2月}}。 |
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: ヘリウムは分子が小さく、きわめて微小な孔にも浸入可能であるため(ヘリウムを詰めた風船が時間が経つと小さくしぼみ、浮力が落ちるのはこのためである)、配管のリーク(漏れ)を高精度で[[非破壊検査]]するのに用いられることがある(配管に気体のヘリウムを流してヘリウムリークディテクタで漏れを検知する)。前述の特徴のほか、化学的に安定で人畜に無害、また大気中にほとんど存在しないため誤検出の心配がないなど、この用途には理想的な物質であるとされている。しかしわずかな隙間にも侵入するため、潜水艦や減圧室などヘリウムの混合ガスを使用する状態において、防水として設計された時計などの隙間にも侵入し、圧力変化によって腕時計のガラスを吹き飛ばしてしまうことがある。このため、一部のダイバーズ・ウォッチにはヘリウム・エスケープ・バルブが |
: ヘリウムは分子が小さく、きわめて微小な孔にも浸入可能であるため(ヘリウムを詰めた風船が時間が経つと小さくしぼみ、浮力が落ちるのはこのためである)、配管のリーク(漏れ)を高精度で[[非破壊検査]]するのに用いられることがある(配管に気体のヘリウムを流してヘリウムリークディテクタで漏れを検知する)。前述の特徴のほか、化学的に安定で人畜に無害、また大気中にほとんど存在しないため誤検出の心配がないなど、この用途には理想的な物質であるとされている。しかしわずかな隙間にも侵入するため、潜水艦や減圧室などヘリウムの混合ガスを使用する状態において、防水として設計された時計などの隙間にも侵入し、圧力変化によって腕時計のガラスを吹き飛ばしてしまうことがある。このため、一部のダイバーズ・ウォッチにはヘリウム・エスケープ・バルブがついており、この機構で内部のヘリウムを自動的に外へ逃がすことができる。水素に次いで軽い気体であるため、ポンプなどを使って移動させるときに少ないエネルギーで素早く移動させることができる。 |
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== 歴史 == |
== 歴史 == |
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=== 発見 === |
=== 発見 === |
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ヘリウム原子の存在を示す最初の証拠は、[[1868年]][[8月18日]]に[[太陽]]の[[彩層]]部分を[[分光法|分光]][[スペクトル]]観測した際の波長587.49ナノメートルの黄色い輝線だった。これを発見したのは、[[インド]]の[[グントゥール]]で[[皆既日食]]を観察していた[[フランス]]人天文学者の[[ピエール・ジャンサン]]だった<ref name="frnch">{{cite journal|title = French astronomers in India during the 17th - 19th centuries |journal = Journal of the British Astronomical Association|volume =101|issue = 2|pages = 95–100|url = http://articles.adsabs.harvard.edu//full/1991JBAA..101...95K/0000100.000.html|author = Kochhar, R. K. |accessdate=2008-07-27|year=1991}}</ref>。彼は当初、この線は[[ナトリウム]]を示すと考えたが、同年[[10月20日]]に[[イギリス]]人天文学者[[ノーマン・ロッキャー]]がやはり太陽光を分析して黄線を観測し、ナトリウムの[[フラウンホーファー線]]記号 |
ヘリウム原子の存在を示す最初の証拠は、[[1868年]][[8月18日]]に[[太陽]]の[[彩層]]部分を[[分光法|分光]][[スペクトル]]観測した際の波長587.49ナノメートルの黄色い輝線だった。これを発見したのは、[[インド]]の[[グントゥール]]で[[皆既日食]]を観察していた[[フランス]]人天文学者の[[ピエール・ジャンサン]]だった<ref name="frnch">{{cite journal|title = French astronomers in India during the 17th - 19th centuries |journal = Journal of the British Astronomical Association|volume =101|issue = 2|pages = 95–100|url = http://articles.adsabs.harvard.edu//full/1991JBAA..101...95K/0000100.000.html|author = Kochhar, R. K. |accessdate=2008-07-27|year=1991}}</ref>。彼は当初、この線は[[ナトリウム]]を示すと考えたが、同年[[10月20日]]に[[イギリス]]人天文学者[[ノーマン・ロッキャー]]がやはり太陽光を分析して黄線を観測し、ナトリウムの[[フラウンホーファー線]]記号D{{sub|1}}やD{{sub|2}}に近かったことから、D{{sub|3}}と名づけた<ref name=enc>{{cite book |title= The Encyclopedia of the Chemical Elements |pages =256–268 |author = Clifford A. Hampel |location=New York |isbn = 0442155980 |year = 1968 |publisher =Van Nostrand Reinhold}}</ref>。 |
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[[ファイル:Helium spectrum.jpg|left|200px|thumb|ヘリウムの[[スペクトル]]]] |
[[ファイル:Helium spectrum.jpg|left|200px|thumb|ヘリウムの[[スペクトル]]]] |
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[[1882年]]、[[イタリア]]の物理学者{{仮リンク|ルイージ・パルミエーリ|en|Luigi Palmieri}}は、[[ヴェスヴィオ]]山の[[溶岩]]を分析していた際に、[[スペクトル]] |
[[1882年]]、[[イタリア]]の物理学者{{仮リンク|ルイージ・パルミエーリ|en|Luigi Palmieri}}は、[[ヴェスヴィオ]]山の[[溶岩]]を分析していた際に、[[スペクトル]]D{{sub|3}}線を見つけた。これが[[地球]]上で初めてヘリウムの存在を示唆する証拠となった<ref>{{cite book|title=Recent Advances in Physical and Inorganic Chemistry|author=Stewart, Alfred Walter|page=201|url=http://books.google.com/books?id=pIqhPFfDMXwC&pg=PA201|publisher=BiblioBazaar, LLC|year=2008|isbn=0554805138}}</ref>。 |
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[[1895年]][[3月26日]]、[[イギリス]]の[[化学者]][[ウィリアム・ラムゼー]]卿が{{仮リンク|クレーベ石|en|cleveite}}(10 |
[[1895年]][[3月26日]]、[[イギリス]]の[[化学者]][[ウィリアム・ラムゼー]]卿が{{仮リンク|クレーベ石|en|cleveite}}(10パーセント以上の[[希土類元素]]を含む閃ウラン鉱)と[[無機酸]]を反応させる実験を通じてヘリウムの分離に成功し、地球上で初めて生成した。ラムゼーは[[アルゴン]]を探していたが、[[硫酸]]で発生させたガスから窒素や[[酸素]]を取り除いた残りをスペクトル分光して調べたところ、太陽光と同じD<sub>3</sub>線を発見した<ref name=enc/><ref>{{cite journal|title = On a Gas Showing the Spectrum of Helium, the Reputed Cause of D3 , One of the Lines in the Coronal Spectrum. Preliminary Note|author = [[William Ramsay|Ramsay, William]]|journal = Proceedings of the Royal Society of London|volume = 58|pages = 65–67|year = 1895|doi = 10.1098/rspl.1895.0006}}</ref><ref>{{cite journal|title = Helium, a Gaseous Constituent of Certain Minerals. Part I|author = Ramsay, William|journal = Proceedings of the Royal Society of London|volume = 58|pages = 80–89|year = 1895|doi = 10.1098/rspl.1895.0010}}</ref><ref>{{cite journal|title = Helium, a Gaseous Constituent of Certain Minerals. Part II--|author = Ramsay, William|journal = Proceedings of the Royal Society of London|volume = 59|pages = 325–330|year = 1895|doi = 10.1098/rspl.1895.0097}}</ref>。そしてこれが、ロッキャーや[[ウィリアム・クルックス]]が名づけた「ヘリウム」であると同定した。実は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の地球科学者{{仮リンク|ウィリアム・フランシス・ヒレブランド|en|William Francis Hillebrand}}がラムゼーに先立ち[[閃ウラン鉱]]標本の試験を行っている際に変わったスペクトルを見つけていたが、彼はこれを[[窒素]]のスペクトルと思い込んでいた。ヒレブランドはラムゼーに祝辞の手紙を送っている<ref>{{cite book|author=[[Pat Munday|Munday, Pat]]|year=1999|title=Biographical entry for W.F. Hillebrand (1853–1925), geochemist and U.S. Bureau of Standards administrator in [[American National Biography]]|editor=John A. Garraty and Mark C. Carnes|volume=10-11|publisher=Oxford University Press|pages= 808–9; 227–8}}</ref>。 |
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原子量を計測できる程度の量は、[[スウェーデン]][[ウプサラ]]市で[[ペール・テオドール・クレーベ]]と{{仮リンク|アブラハム・ラングレ|en|Abraham Langlet}}が抽出に成功した<ref>{{de icon}} {{cite journal|title = Das Atomgewicht des Heliums|author = Langlet, N. A.|journal = Zeitschrift für anorganische Chemie|volume = 10|issue = 1| pages = 289–292|year = 1895|doi =10.1002/zaac.18950100130|language= German}}</ref><ref>{{cite book| chapter= Bibliography of Helium Literature|author =Weaver, E.R.| title=Industrial & Engineering Chemistry|year=1919}}</ref>。 |
原子量を計測できる程度の量は、[[スウェーデン]][[ウプサラ]]市で[[ペール・テオドール・クレーベ]]と{{仮リンク|アブラハム・ラングレ|en|Abraham Langlet}}が抽出に成功した<ref>{{de icon}} {{cite journal|title = Das Atomgewicht des Heliums|author = Langlet, N. A.|journal = Zeitschrift für anorganische Chemie|volume = 10|issue = 1| pages = 289–292|year = 1895|doi =10.1002/zaac.18950100130|language= German}}</ref><ref>{{cite book| chapter= Bibliography of Helium Literature|author =Weaver, E.R.| title=Industrial & Engineering Chemistry|year=1919}}</ref>。 |
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[[1907年]]([[1903年]] |
[[1907年]]([[1903年]]との説もある)に[[アーネスト・ラザフォード]]とトーマス・ロイズは、新しく見つかったガスをガラス管に詰めてスペクトルを調べようとした際に、粒子が薄いガラス壁を通り抜けることを見つけ、[[アルファ粒子]]がヘリウムの原子核であることを突き止めた。[[1908年]]には[[オランダ]]の[[ヘイケ・カメルリング・オネス]]がガスを1[[ケルビン|K]]以下まで冷却し、液化に初めて成功した<ref>{{cite journal |title = Little cup of Helium, big Science |author = van Delft, Dirk |journal = Physics today |url = http://www-lorentz.leidenuniv.nl/history/cold/VanDelftHKO_PT.pdf |format=PDF|pages = 36–42 |year = 2008 |accessdate = 2008-07-20 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080625064354/http://www-lorentz.leidenuniv.nl/history/cold/VanDelftHKO_PT.pdf |archivedate=2008年6月25日}}</ref>。彼はさらに温度を下げて固体を得ようとしたが、常圧のヘリウムは[[三重点]]を持たないため、これには失敗した。しかし、[[1926年]]に、オネスの教えを受けた[[ウィレム・ヘンドリック・ケーソン]]が1平方センチメートルのヘリウム固体化に初めて成功した<ref>{{cite news|title = Coldest Cold| publisher = Time Inc.| date = 1929-06-10| url = http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,751945,00.html| accessdate = 2008-07-27}}</ref>。 |
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[[1938年]]、[[ロシア]]の[[ピョートル・カピッツァ]]は[[絶対零度]]近くまで冷却した[[ヘリウム4]]がほとんど粘性を持っていないことを発見し、これは[[超流動]]と呼ばれた<ref>{{cite journal |title = Viscosity of Liquid Helium below the λ-Point |author = [[Pyotr Leonidovich Kapitsa|Kapitza, P.]] |journal =Nature|volume = 141 |pages = 74 |doi = 10.1038/141074a0 |year = 1938}}</ref>。[[1972年]]には、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ダグラス・D・オシェロフ]]、[[デビッド・リー (物理学者)|デビッド・リー]]、[[ロバート・リチャードソン (物理学者)|ロバート・リチャードソン]]によって、絶対零度に近い温度域で[[ヘリウム3]]でも同じ現象が発見された<ref>{{cite journal |title = Evidence for a New Phase of Solid He<sup>3</sup> |author = Osheroff, D. D.; Richardson, R. C.; Lee, D. M. |journal = Phys. Rev. Lett. |volume = 28 |issue = 14 |pages = 885–888 |doi = 10.1103/PhysRevLett.28.885 |year = 1972}}</ref>。 |
[[1938年]]、[[ロシア]]の[[ピョートル・カピッツァ]]は[[絶対零度]]近くまで冷却した[[ヘリウム4]]がほとんど粘性を持っていないことを発見し、これは[[超流動]]と呼ばれた<ref>{{cite journal |title = Viscosity of Liquid Helium below the λ-Point |author = [[Pyotr Leonidovich Kapitsa|Kapitza, P.]] |journal =Nature|volume = 141 |pages = 74 |doi = 10.1038/141074a0 |year = 1938}}</ref>。[[1972年]]には、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ダグラス・D・オシェロフ]]、[[デビッド・リー (物理学者)|デビッド・リー]]、[[ロバート・リチャードソン (物理学者)|ロバート・リチャードソン]]によって、絶対零度に近い温度域で[[ヘリウム3]]でも同じ現象が発見された<ref>{{cite journal |title = Evidence for a New Phase of Solid He<sup>3</sup> |author = Osheroff, D. D.; Richardson, R. C.; Lee, D. M. |journal = Phys. Rev. Lett. |volume = 28 |issue = 14 |pages = 885–888 |doi = 10.1103/PhysRevLett.28.885 |year = 1972}}</ref>。 |
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=== 産出と利用 === |
=== 産出と利用 === |
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[[1903年]]、アメリカ・[[カンザス州]]{{仮リンク|デクスター (カンザス州)|label=デクスター|en|Dexter, Kansas}}で石油掘削の[[ボーリング]]が行われたところ、不燃性のガスが湧き出た。カンザス在住の地質学者{{仮リンク|エラスムス・ハワース|en|Erasmus Haworth}}がこれを収集し、[[ローレンス市 (カンザス州)|ローレンス市]]の[[カンザス大学]]で[[化学者]]{{仮リンク|ハミルトン・キャディ|en|Hamilton Cady}}とデイヴィッド・マクファーランドの協力を得て成分解析を行った。その結果、ガスは質量比で窒素 |
[[1903年]]、アメリカ・[[カンザス州]]{{仮リンク|デクスター (カンザス州)|label=デクスター|en|Dexter, Kansas}}で石油掘削の[[ボーリング]]が行われたところ、不燃性のガスが湧き出た。カンザス在住の地質学者{{仮リンク|エラスムス・ハワース|en|Erasmus Haworth}}がこれを収集し、[[ローレンス市 (カンザス州)|ローレンス市]]の[[カンザス大学]]で[[化学者]]{{仮リンク|ハミルトン・キャディ|en|Hamilton Cady}}とデイヴィッド・マクファーランドの協力を得て成分解析を行った。その結果、ガスは質量比で窒素72パーセント、[[メタン]]15パーセント([[酸素]]がなかったため燃焼しなかった)、[[水素]]1パーセントと、残り12パーセントの成分は解明できなかった<ref>{{cite journal |author = McFarland, D. F. |title = Composition of Gas from a Well at Dexter, Kan |volume = 19|pages = 60–62 |url = http://www.jstor.org/stable/3624173 |year = 1903 |accessdate=2008-07-22 |journal = Transactions of the Kansas Academy of Science |doi = 10.2307/3624173}}</ref>。さらに解析を進めた結果、キャディとマクファーランドは、1.84パーセントはヘリウムであることを突き止めた<ref>{{cite web|publisher=[[American Chemical Society]]|year=2004|url=http://acswebcontent.acs.org/landmarks/landmarks/helium/helium.html|title=The Discovery of Helium in Natural Gas|accessdate=2008-07-20|deadlinkdate= 2017年4月 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20060520213956/http://acswebcontent.acs.org/landmarks/landmarks/helium/helium.html |archivedate=2006-05-20}}</ref><ref>{{cite journal |author = Cady, H.P. |coauthors = McFarland, D. F.|title = Helium in Natural Gas |journal = Science |volume = 24 |issue = 611|pages = 344 |doi = 10.1126/science.24.611.344 |year = 1906 |pmid = 17772798}}</ref>。これによって、地球全体では希少であるヘリウムがアメリカの[[グレートプレーンズ]]地下に大量に存在しており、天然ガスの副産物として入手可能だということが判明した<ref>{{cite journal |author = Cady, H.P.; McFarland, D. F.|title = Helium in Kansas Natural Gas |journal = Transactions of the Kansas Academy of Science |volume = 20 |pages = 80–81 |url = http://mc1litvip.jstor.org/stable/3624645 |year = 1906|accessdate=2008-07-20 |doi = 10.2307/3624645 |archiveurl=https://archive.is/20120527005227/http://mc1litvip.jstor.org/stable/3624645 |archivedate=2012年5月27日}}</ref>。 |
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ただし化石燃料とは生成の経緯が異なり、長い年月をかけて[[ウラン]]と[[トリウム]]が[[放射性崩壊]]することによりヘリウムができる。アメリカの |
ただし化石燃料とは生成の経緯が異なり、長い年月をかけて[[ウラン]]と[[トリウム]]が[[放射性崩壊]]することによりヘリウムができる。アメリカのおもなヘリウム含有ガス田は、ほとんどがカンザス州、オクラホマ州、テキサス州西部の地域にある<ref name="Russia">{{cite web|url= http://www.rotobo.or.jp/publication/RTNL/2007No.3.pdf|language=日本語|title=ロシアのヘリウム生産の現状と展望|publisher=日露技術ニュース|author=小川亮|accessdate=2010-06-05}}</ref>。 |
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この発見によって、アメリカ合衆国は一大ヘリウム供給国となった。[[第一次世界大戦]]時、{{仮リンク|リチャード・スレルホール卿|en|Richard Threlfall}}の助言を受けて、[[アメリカ海軍]]は3基の実験的な小規模ヘリウム製造設備に投資 |
この発見によって、アメリカ合衆国は一大ヘリウム供給国となった。[[第一次世界大戦]]時、{{仮リンク|リチャード・スレルホール卿|en|Richard Threlfall}}の助言を受けて、[[アメリカ海軍]]は3基の実験的な小規模ヘリウム製造設備に投資した。これは、空気よりも軽く不燃性のガスを[[阻塞気球]]に使う目的があった。これ以前、ヘリウムガスは通算で1平方メートルも得られていなかったが、この計画で生産されたガスは純度92パーセントで5,700平方メートルにのぼり<ref name=enc/>、[[1921年]][[12月1日]]に処女航行を行った世界初のヘリウム飛行船C-7(アメリカ海軍)にも使われた<ref>{{cite book |editor=Emme, Eugene M. comp. |title=Aeronautics and Astronautics: An American Chronology of Science and Technology in the Exploration of Space, 1915–1960 |year=1961 |pages=11–19 |chapter=Aeronautics and Astronautics Chronology, 1920–1924 |chapterurl=http://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/Timeline/1920-24.html |publisher=[[NASA]] |location=Washington, D.C. |accessdate=2008-07-20}}</ref>。 |
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[[ファイル:Helium monument time capsule in amarillo texas usa.jpg|thumb|200px|[[:en:Don_Harrington_Discovery_Center#Helium Centennial Time Columns Monument|ヘリウムモニュメント]]。1968年、ヘリウム発見100周年を記念してテキサス州アマリロに造られた。]] |
[[ファイル:Helium monument time capsule in amarillo texas usa.jpg|thumb|200px|[[:en:Don_Harrington_Discovery_Center#Helium Centennial Time Columns Monument|ヘリウムモニュメント]]。1968年、ヘリウム発見100周年を記念してテキサス州アマリロに造られた。]] |
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第一次世界大戦中、抽出方法は低温によるガスの液化法からそれほど改良されなかったが、生産は続けられた。当初は飛行船などの浮揚ガス需要が中心だったが、[[第二次世界大戦]]中にはそれに加え[[アーク溶接]]用の需要が拡大した。{{仮リンク|ヘリウム質量分析計|en|helium mass spectrometer}}も[[原子爆弾]]を製造する[[マンハッタン計画]]で用いられた<ref>{{cite book|chapter=Leak Detection|author=Hilleret, N.|publisher=[[CERN]]|title=CERN Accelerator School, vacuum technology: proceedings: Scanticon Conference Centre, Snekersten, Denmark, 28 May – 3 June 1999 |editor=S. Turner |location=Geneva, Switzerland|url=http://doc.cern.ch/yellowrep/1999/99-05/p203.pdf |format=PDF| year=1999 |pages=203–212 |quote=At the origin of the helium leak detection method was the Manhattan Project and the unprecedented leak-tightness requirements needed by the uranium enrichment plants. The required sensitivity needed for the leak checking led to the choice of a mass spectrometer designed by Dr. A.O.C. Nier tuned on the helium mass.}}</ref>。 |
第一次世界大戦中、抽出方法は低温によるガスの液化法からそれほど改良されなかったが、生産は続けられた。当初は飛行船などの浮揚ガス需要が中心だったが、[[第二次世界大戦]]中にはそれに加え[[アーク溶接]]用の需要が拡大した。{{仮リンク|ヘリウム質量分析計|en|helium mass spectrometer}}も[[原子爆弾]]を製造する[[マンハッタン計画]]で用いられた<ref>{{cite book|chapter=Leak Detection|author=Hilleret, N.|publisher=[[CERN]]|title=CERN Accelerator School, vacuum technology: proceedings: Scanticon Conference Centre, Snekersten, Denmark, 28 May – 3 June 1999 |editor=S. Turner |location=Geneva, Switzerland|url=http://doc.cern.ch/yellowrep/1999/99-05/p203.pdf |format=PDF| year=1999 |pages=203–212 |quote=At the origin of the helium leak detection method was the Manhattan Project and the unprecedented leak-tightness requirements needed by the uranium enrichment plants. The required sensitivity needed for the leak checking led to the choice of a mass spectrometer designed by Dr. A.O.C. Nier tuned on the helium mass.}}</ref>。 |
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[[1925年]]、[[テキサス州]][[アマリロ (テキサス州)|アマリロ]]で[[アメリカ合衆国連邦政府]]は「{{仮リンク|ヘリウム国家備蓄|en|National Helium Reserve}}」を開始した。これは、民間の商用や戦時の軍用目的の飛行船へ供給体制を備えることを目的とした「連邦によるヘリウムの[[国家戦略]]的[[備蓄]]」である<ref name=enc/>。アメリカ軍は[[ドイツ]]へのヘリウム輸出を制限したが、これが水素を用いざるをえなくなった[[LZ 129 (飛行船)|ヒンデンブルク号]]の[[ヒンデンブルク号爆発事故|爆発事故]]の遠因となった。大戦後にヘリウム需要は縮小したが、[[1950年代]]に入ると、[[宇宙開発競争]]や[[冷戦]]を背景とした[[ロケットエンジンの推進剤]]用などへ酸素や水素の冷却用として、ヘリウムの用途は広がった。[[1965年]]、アメリカのヘリウム消費量は戦時中の最大量の8倍にもなった<ref>{{cite journal| author = Williamson, John G.| title = Energy for Kansas| journal = Transactions of the Kansas Academy of Science| volume = 71| issue = 4| pages = 432–438| publisher = Kansas Academy of Science|year =1968| url = http://www.jstor.org/pss/3627447| accessdate = 2008-07-27}}</ref>。「ヘリウム条例1960修正条項 |
[[1925年]]、[[テキサス州]][[アマリロ (テキサス州)|アマリロ]]で[[アメリカ合衆国連邦政府]]は「{{仮リンク|ヘリウム国家備蓄|en|National Helium Reserve}}」を開始した。これは、民間の商用や戦時の軍用目的の飛行船へ供給体制を備えることを目的とした「連邦によるヘリウムの[[国家戦略]]的[[備蓄]]」である<ref name=enc/>。アメリカ軍は[[ドイツ]]へのヘリウム輸出を制限したが、これが水素を用いざるをえなくなった[[LZ 129 (飛行船)|ヒンデンブルク号]]の[[ヒンデンブルク号爆発事故|爆発事故]]の遠因となった。大戦後にヘリウム需要は縮小したが、[[1950年代]]に入ると、[[宇宙開発競争]]や[[冷戦]]を背景とした[[ロケットエンジンの推進剤]]用などへ酸素や水素の冷却用として、ヘリウムの用途は広がった。[[1965年]]、アメリカのヘリウム消費量は戦時中の最大量の8倍にもなった<ref>{{cite journal| author = Williamson, John G.| title = Energy for Kansas| journal = Transactions of the Kansas Academy of Science| volume = 71| issue = 4| pages = 432–438| publisher = Kansas Academy of Science|year =1968| url = http://www.jstor.org/pss/3627447| accessdate = 2008-07-27}}</ref>。「ヘリウム条例1960修正条項(Public Law 86–777)」発布後、{{仮リンク|アメリカ合衆国鉱山局|en|United States Bureau of Mines}}(USBM)は、[[カンザス州]]{{仮リンク|ブシュトン市|en|Bushton, Kansas}}にある複数の民間所有ガス精製工場から天然ガス中のヘリウム回収を始め、これを延長684キロのパイプラインで[[テキサス州]][[アマリロ (テキサス州)|アマリロ]]近郊のクリフサイドにある国家備蓄基地へ集約した<ref name="Russia" />。これらのヘリウム-窒素混合ガスはクリフサイド周辺のガス田に再注入され、純度向上と貯蔵を両立させた<ref>{{cite journal|journal = Federal Register|date = 2005-10-06|volume = 70|issue = 193|pages = 58464|url = http://edocket.access.gpo.gov/2005/pdf/05-20084.pdf|format=PDF| title = Conservation Helium Sale |accessdate=2008-07-20}}</ref>。 |
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[[1995年]]段階で、アメリカのヘリウム備蓄量は |
[[1995年]]段階で、アメリカのヘリウム備蓄量は10億平方メートル<ref name="Russia" />(14億ドル相当)に達し、翌年に[[アメリカ合衆国議会|議会]]は貯蔵増の停止と<ref name="stwertka">Stwertka, Albert (1998). ''Guide to the Elements: Revised Edition''. New York; Oxford University Press, p. 24. ISBN 0-19-512708-0</ref>、「ヘリウム民営化条例1996(Public Law 104–273)」を採決して、[[2005年]]までに備蓄ヘリウムをすべて販売することを[[アメリカ合衆国内務省|内務省]]に命じた<ref name="Russia" /><ref>{{cite web| url = http://www.nap.edu/openbook/0309070384/html/index.html|title = Executive Summary |publisher = nap.edu |accessdate=2008-07-20}}</ref>。ただし、備蓄分の売り切りは[[2015年]]と予想される<ref name="Russia" />。 |
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[[1930年]]から[[1945年]]にかけて生産され、飛行船に使われたヘリウムの純度は |
[[1930年]]から[[1945年]]にかけて生産され、飛行船に使われたヘリウムの純度は98.3パーセントであった。1945年には純度99.9パーセントのヘリウムが溶接用に少々製造された。[[1949年]]までにヘリウムはグレードA(99.95パーセント)まで商用生産が実現した<ref>{{cite book|publisher=Bureau of Mines / Minerals yearbook 1949|year=1951|author=Mullins, P.V.; Goodling, R. M.| title = Helium|pages = 599–602 |url = http://digicoll.library.wisc.edu/cgi-bin/EcoNatRes/EcoNatRes-idx?type=div&did=ECONATRES.MINYB1949.PVMULLINS&isize=text|accessdate=2008-07-20}}</ref>。 |
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[[ファイル:Schachtzeichen Flaschenreihe01.jpg|thumb|工業用ヘリウムの需要は急増している。]] |
[[ファイル:Schachtzeichen Flaschenreihe01.jpg|thumb|工業用ヘリウムの需要は急増している。]] |
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長い間、アメリカは全世界の商用ヘリウム生産量 |
長い間、アメリカは全世界の商用ヘリウム生産量90パーセント以上を担ってきた。そのほかには[[カナダ]]、[[ポーランド]]、[[ロシア]]などでも生産された。[[1990年代]]中ごろ、[[アルジェリア]]の{{仮リンク|アルゼウ|en|Arzew}}にて、全ヨーロッパの需要量をまかなう1,700万平方メートルの新工場が稼動を開始した。[[2000年]]までにアメリカのヘリウム総需要は年間1,500万キロまで増加したが<ref>{{cite web|url=http://minerals.usgs.gov/ds/2005/140/helium-use.pdf|format=PDF| title= Helium End User Statistic|publisher = U.S. Geological Survey|accessdate=2008-07-20}}</ref>、[[2004年]]から[[2006年]]にかけて[[カタール]]のラス・ラファンとアルジェリアの[[スキクダ]]でそれぞれ新工場の建設が行われた。[[2007年]]段階で、ラス・ラファンは稼動率50パーセント、スキクダは未稼働の状態にある。しかし、アルジェリアはスキクダでの生産が始まれば、世界2位の供給国となる<ref name="wwsupply">{{cite journal |
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|title=Challenges to the Worldwide Supply of Helium in the Next Decade |author=Smith, E.M.; Goodwin, T.W.; Schillinger, J. |journal=Advances in Cryogenic Engineering |volume=49 A |issue=710 |pages=119–138 |
|title=Challenges to the Worldwide Supply of Helium in the Next Decade |author=Smith, E.M.; Goodwin, T.W.; Schillinger, J. |journal=Advances in Cryogenic Engineering |volume=49 A |issue=710 |pages=119–138 |
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|year=2003 |doi=10.1063/1.1774674 |format=PDF |accessdate=2008-07-20 |url=https://www.airproducts.com/NR/rdonlyres/E44F8293-1CEE-4D80-86EA-F9815927BE7E/0/ChallengestoHeliumSupply111003.pdf|deadlinkdate= 2017年4月}}</ref>。その一方で、世界的なヘリウム需要は価格とともに上昇し<ref name="Kaplan2007">{{Cite news|last=Kaplan |first=Karen H. |date=June 2007 |title=Helium shortage hampers research and industry|periodical=[[Physics Today]] |publisher=[[American Institute of Physics]]|volume=60 |issue=6 |pages=31–32|accessdate=2008-07-20|url=http://physicstoday.scitation.org/doi/10.1063/1.2754594 |
|year=2003 |doi=10.1063/1.1774674 |format=PDF |accessdate=2008-07-20 |url=https://www.airproducts.com/NR/rdonlyres/E44F8293-1CEE-4D80-86EA-F9815927BE7E/0/ChallengestoHeliumSupply111003.pdf|deadlinkdate= 2017年4月}}</ref>。その一方で、世界的なヘリウム需要は価格とともに上昇し<ref name="Kaplan2007">{{Cite news|last=Kaplan |first=Karen H. |date=June 2007 |title=Helium shortage hampers research and industry|periodical=[[Physics Today]] |publisher=[[American Institute of Physics]]|volume=60 |issue=6 |pages=31–32|accessdate=2008-07-20|url=http://physicstoday.scitation.org/doi/10.1063/1.2754594 |
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[[2013年]]12月、[[カタール]]の[[ラスガス]]が世界最大級の年産3,680万立方メートルの生産設備を稼動させた<ref>{{Cite web|date=2013-12-11 |url=http://www.rasgas.com/media/press_he2inauguration.html|title=Qatar’s Helium 2 Plant Officially Inaugurated|publisher=RasGas|accessdate=2014-11-12}}</ref>。 |
[[2013年]]12月、[[カタール]]の[[ラスガス]]が世界最大級の年産3,680万立方メートルの生産設備を稼動させた<ref>{{Cite web|date=2013-12-11 |url=http://www.rasgas.com/media/press_he2inauguration.html|title=Qatar’s Helium 2 Plant Officially Inaugurated|publisher=RasGas|accessdate=2014-11-12}}</ref>。 |
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日本は全量を輸入に頼っているが、[[財務省]]の貿易統計では近年の日本の輸入量は年間2,000トン前後。2012年、2013年にはアメリカの生産減で品不足となったが、これを補うために[[カタール]]ほかからの輸入が増えている。2013年は全輸入量1,902トン中、米国からが1,747トン |
日本は全量を輸入に頼っているが、[[財務省]]の貿易統計では近年の日本の輸入量は年間2,000トン前後。2012年、2013年にはアメリカの生産減で品不足となったが、これを補うために[[カタール]]ほかからの輸入が増えている。2013年は全輸入量1,902トン中、米国からが1,747トン(シェア91.8パーセント)、カタールからが121トン(6.4パーセント)、その他からが34トン(2.8パーセント)であったが、2014年に入りカタールのシェアが急増している<ref>化学工業日報社、「ヘリウム輸入米国品のシェア低下」『化学工業日報』2014年11月12日p1、東京、化学工業日報社。</ref>。 |
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[[2016年]] [[タンザニア]]で大規模なヘリウムガス田が発見されたと報道された<ref>[http://www.cnn.co.jp/business/35085040.html タンザニアに「世界級」のヘリウム田、供給不足を解消も] 2016.06.29 Wed posted at 12:09 JST, CNN.co.jp</ref><ref>[http://www.sciencenewsline.com/news/2016062801070012.html Huge Helium Discovery 'Safeguards Future Supply for MRI Scanners'] BusinessNewsline 2016.6.28</ref>。 |
[[2016年]] [[タンザニア]]で大規模なヘリウムガス田が発見されたと報道された<ref>[http://www.cnn.co.jp/business/35085040.html タンザニアに「世界級」のヘリウム田、供給不足を解消も] 2016.06.29 Wed posted at 12:09 JST, CNN.co.jp</ref><ref>[http://www.sciencenewsline.com/news/2016062801070012.html Huge Helium Discovery 'Safeguards Future Supply for MRI Scanners'] BusinessNewsline 2016.6.28</ref>。 |
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ファイル:Container 【 4??? 】 UNION HERIUM---No,1 【 Pictures taken in Japan 】.jpg|国際海上での『ヘリウムガス』輸送用に、『[[ユニオンヘリウム]]』が所有している40[[ft]]型、[[タンクコンテナ]]。<br />※[[コンテナ]]個々の[[コンテナ#構造区分コード]]不明。<br />【 [[兵庫県]]・[[神戸ポートアイランド]]にて】 |
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ファイル:Container 【 42TG 】 BOCU 008442(1)---No,3 【 Pictures taken in Japan 】.jpg|国際海上での『ヘリウム』輸送用に、アメリカ 『[[リンデグループ|LINDE LLC]]』 が所有している40ft型、タンクコンテナ。<br />※コンテナ個々の構造区分コード(42TG)使用。<br />【兵庫県・神戸ポート・アイランドにて】 |
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ファイル:Container 【 4278 】 ALGU 061070(8)---No,1 【 Pictures taken in Japan 】.jpg|国際海上での『ヘリウムガス』輸送用に、『[[日本エア・リキード]]』が所有している40ft型、タンクコンテナ。<br />※コンテナタイプコード(FXX 4278)使用。<br />【兵庫県・神戸ポートアイランドにて】 |
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ファイル:Container 【 4??? 】 TNCU 011020(7)---No,3 【 Pictures taken in Japan 】.jpg|国際海上での『ヘリウムガス』輸送用に、『[[太陽日酸]]』が所有している40ft型、タンクコンテナ。<br />※コンテナ個々の構造区分コード不明。<br />【 [[東京都]]・[[大井埠頭]]にて 】 |
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天然に存在するヘリウムの[[同位体]]には、[[陽子]]2つと[[中性子]]1つからなる[[ヘリウム3]]と、陽子2つと中性子2つからなる[[ヘリウム4]]の2種類がある。ヘリウム3は、地球の大気中においてはヘリウム4に対して100万分の1の量しか存在しないため<ref>Emsley, John. ''Nature's Building Blocks: An A-Z Guide to the Elements''. Oxford: Oxford University Press, 2001. Page 178. ISBN 0-19-850340-7</ref>、原子炉で生成されたものが利用される。原子炉内で[[リチウム6]]に中性子を照射すると[[三重水素]]とヘリウム4ができ、この三重水素が[[ベータ崩壊]](半減期12.5年)してヘリウム3となる。そのほか、人工的に作られた同位体としては、ヘリウム6、ヘリウム8、ヘリウム10などがある。 |
天然に存在するヘリウムの[[同位体]]には、[[陽子]]2つと[[中性子]]1つからなる[[ヘリウム3]]と、陽子2つと中性子2つからなる[[ヘリウム4]]の2種類がある。ヘリウム3は、地球の大気中においてはヘリウム4に対して100万分の1の量しか存在しないため<ref>Emsley, John. ''Nature's Building Blocks: An A-Z Guide to the Elements''. Oxford: Oxford University Press, 2001. Page 178. ISBN 0-19-850340-7</ref>、原子炉で生成されたものが利用される。原子炉内で[[リチウム6]]に中性子を照射すると[[三重水素]]とヘリウム4ができ、この三重水素が[[ベータ崩壊]](半減期12.5年)してヘリウム3となる。そのほか、人工的に作られた同位体としては、ヘリウム6、ヘリウム8、ヘリウム10などがある。 |
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ヘリウムの同位体を用いた地球化学的な応用は大きく分けて2つある。まず、ヘリウム3を[[トレーサー]]として用い、地球物質の循環を探ることである。もうひとつは岩石中に天然に存在する放射性同位体である[[ウラン]]や[[トリウム]]の[[アルファ崩壊]]に |
ヘリウムの同位体を用いた地球化学的な応用は大きく分けて2つある。まず、ヘリウム3を[[トレーサー]]として用い、地球物質の循環を探ることである。もうひとつは岩石中に天然に存在する放射性同位体である[[ウラン]]や[[トリウム]]の[[アルファ崩壊]]にともなって放出されるヘリウム4の蓄積量から、その岩石の生成年代を求めること(U, Th/He [[放射年代測定]])である。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2019年8月30日 (金) 15:27時点における版
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外見 | |||||||||||||||||||||||||
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無色の気体 高電圧をかけると紫色に発光 ヘリウムのスペクトル | |||||||||||||||||||||||||
一般特性 | |||||||||||||||||||||||||
名称, 記号, 番号 | ヘリウム, He, 2 | ||||||||||||||||||||||||
分類 | 貴ガス | ||||||||||||||||||||||||
族, 周期, ブロック | 18, 1, s | ||||||||||||||||||||||||
原子量 | 4.002602(2) | ||||||||||||||||||||||||
電子配置 | 1s2 | ||||||||||||||||||||||||
電子殻 | 2(画像) | ||||||||||||||||||||||||
物理特性 | |||||||||||||||||||||||||
相 | 気体 | ||||||||||||||||||||||||
密度 | (0 °C, 101.325 kPa) 0.1786 g/L | ||||||||||||||||||||||||
融点での液体密度 | 0.145 g/cm3 | ||||||||||||||||||||||||
融点 | (at 2.5 MPa) 0.95 K, −272.20 °C | ||||||||||||||||||||||||
沸点 | 4.22 K, −268.93 °C | ||||||||||||||||||||||||
臨界点 | 5.19 K, 0.227 MPa | ||||||||||||||||||||||||
融解熱 | 0.0138 kJ/mol | ||||||||||||||||||||||||
蒸発熱 | 0.0829 kJ/mol | ||||||||||||||||||||||||
熱容量 | (25 °C) 20.786 J/(mol·K) | ||||||||||||||||||||||||
蒸気圧(defined by ITS-90) | |||||||||||||||||||||||||
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原子特性 | |||||||||||||||||||||||||
イオン化エネルギー | 第1: 2372.3 kJ/mol | ||||||||||||||||||||||||
第2: 5250.5 kJ/mol | |||||||||||||||||||||||||
共有結合半径 | 28 pm | ||||||||||||||||||||||||
ファンデルワールス半径 | 140 pm | ||||||||||||||||||||||||
その他 | |||||||||||||||||||||||||
結晶構造 | 六方晶系 | ||||||||||||||||||||||||
磁性 | 反磁性[1] | ||||||||||||||||||||||||
熱伝導率 | (300 K) 0.1513 W/(m⋅K) | ||||||||||||||||||||||||
音の伝わる速さ | 972 m/s | ||||||||||||||||||||||||
CAS登録番号 | 7440-59-7 | ||||||||||||||||||||||||
主な同位体 | |||||||||||||||||||||||||
詳細はヘリウムの同位体を参照 | |||||||||||||||||||||||||
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ヘリウム (新ラテン語[2]: helium, 英: helium [ˈhiːliəm])は、原子番号2の元素である。元素記号はHe。原子量は4.00260。
名称
ノーマン・ロッキャーとエドワード・フランクランドが名づけた。「ヘリウム」とは、ギリシア語で太陽(ἥλιος)を意味する。当時、太陽を構成する元素だと考えられたためである[3][4][5]。
特徴
無色、無臭、無味、無毒(酸欠を除く)でもっとも軽い貴ガス元素である。すべての元素の中でもっとも沸点が低く、加圧下でしか固体にならない。ヘリウムは不活性の単原子ガスとして存在する。また、存在量は水素に次いで宇宙で2番目に多い。ヘリウムは地球の大気の0.0005パーセントを占め、鉱物やミネラルウォーターの中にも溶け込んでいる。天然ガスとともにごく微量に産出し、気球や小型飛行船の浮揚ガスとして用いられたり、液体ヘリウムを超伝導用の低温素材としたり、大深度へ潜る際の呼吸ガスとして用いられている。
標準状態において、ヘリウムは単原子ガスとして存在する。ヘリウムを固化するには非常に特殊な条件下に置かなければならない。元素の中で沸点がもっとも低く、標準圧力下では温度を下げて絶対零度になっても不確定性原理のため液体のままであり、固化するにはさらに高い圧力をかける必要がある。臨界温度は5.19Kと非常に低い。固体ヘリウムはヘリウム3とヘリウム4で必要な圧力が異なり、圧力を調節して体積の30パーセントをコントロールすることができる。ヘリウムは比熱容量が非常に高く、密度の高い蒸気となり、部屋の温度が上昇すると素早く膨張する。
固体ヘリウムは1.5K、2.5 - 3.5MPa という非常に低い温度と高い圧力の下でしか存在できない。この程度の温度以上になると、相転移を起こしてしまう。これ以下の温度ではそれぞれ立方体型の分子を作っている。
ヘリウム4の2つの液体状態、ヘリウムIとヘリウムIIは、量子力学の研究(超流動現象)において重要で、物質が超伝導を帯びるような絶対零度に近い超低温で発現する。
用途
以下に挙げるようなさまざまな用途に使用されている[6]。
- ヘリウムガス
- ヘリウムは水素の92.64パーセントもの浮揚力があり、燃えないため、水素よりも安全なガスとして風船などの浮揚用ガスとして利用され、広告用バルーンや天体観測用気球、軍事用偵察気球などに使用されている。また、ヘリウム中では音速が空気中よりずっと速い(純粋ヘリウム中では秒速約1,000メートル)ため[注 1]、ヘリウムを吸入してから発声すると、甲高い音色の奇妙な声が出る(ドナルドダック効果)。これに着目して、いわゆるパーティグッズとしても利用される。このような市販の「変声」用ガスには、酸欠などになるのを防ぐために酸素が20パーセントほど含まれているが、風船用ガスとの誤用による事故[7]や吸い過ぎによって嘔吐や意識を失う事故がたびたび発生[7][注 2]しており、その大半は12歳以下の子どもによるものである[8]。ヘリウムに薬理作用はないが、酸素を混合していないガスの吸引による自殺に使用された例も報告されている[9]。
- 低温工学
- ヘリウムは沸点、融点ともにもっとも低い元素である。液体ヘリウムはほかの超低温物質よりも低温となり、超伝導や低温学など、絶対零度に近い環境での研究が必要な分野で冷媒として使用されている。また、ヘリウム3とヘリウム4を使った希釈冷凍法がある。
- 労働産業
- ヘリウムと酸素などとの混合ガスはテクニカルダイビングなど、大深度潜水用の呼吸ガスとして用いられる[10][11]。ヘリウムは窒素よりも麻酔作用が少ないため、窒素中毒などの中毒症状を起こしにくい。さらにヘリウムは粘度が低いため、高圧下でも呼吸抵抗が小さく、身体からの排泄速度が速い[12]とされている。しかし特定の条件下では気泡が生じやすく、いったん血管内に気泡が生じた場合は消失しにくいとの報告がある[13]。欠点として熱伝導率が高いため、体温調節が難しくなり低体温症になる危険がある[14]こと、また空気と比較してはるかに高価であることがある。ヘリウムと酸素の混合ガスであるヘリオックスと、ヘリウム、酸素、窒素を混合したトライミックスがある。
- 医療
- その他
- 能美防災の民生用蓄圧式消火器には、窒素の代わりに圧力源として使われている。
- ガスクロマトグラフィーなどのキャリヤーガスとしても使用される。
- 液体ヘリウムはロケットの噴射口を守る冷却剤、シリコンやゲルマニウム結晶の保護材、あるいは原子炉の冷却材、超音速風洞実験での充満ガス、タンデム加速器の超伝導ブースター[15]などに用いられている。
- ヘリウムの同位体のひとつであるヘリウム3は核融合発電の燃料としての利用が考えられている。しかし、現在熱核融合炉で想定されている温度の領域では、トリチウム燃料の場合に比べて核融合反応が起こりにくいうえ、地球上で天然に採取することはほとんど不可能である。太陽から噴出した太陽風が月面に堆積したものを採取する、木星などの木星型惑星で採取するなどの方法が検討されている[要出典]。
- ヘリウムは分子が小さく、きわめて微小な孔にも浸入可能であるため(ヘリウムを詰めた風船が時間が経つと小さくしぼみ、浮力が落ちるのはこのためである)、配管のリーク(漏れ)を高精度で非破壊検査するのに用いられることがある(配管に気体のヘリウムを流してヘリウムリークディテクタで漏れを検知する)。前述の特徴のほか、化学的に安定で人畜に無害、また大気中にほとんど存在しないため誤検出の心配がないなど、この用途には理想的な物質であるとされている。しかしわずかな隙間にも侵入するため、潜水艦や減圧室などヘリウムの混合ガスを使用する状態において、防水として設計された時計などの隙間にも侵入し、圧力変化によって腕時計のガラスを吹き飛ばしてしまうことがある。このため、一部のダイバーズ・ウォッチにはヘリウム・エスケープ・バルブがついており、この機構で内部のヘリウムを自動的に外へ逃がすことができる。水素に次いで軽い気体であるため、ポンプなどを使って移動させるときに少ないエネルギーで素早く移動させることができる。
歴史
発見
ヘリウム原子の存在を示す最初の証拠は、1868年8月18日に太陽の彩層部分を分光スペクトル観測した際の波長587.49ナノメートルの黄色い輝線だった。これを発見したのは、インドのグントゥールで皆既日食を観察していたフランス人天文学者のピエール・ジャンサンだった[16]。彼は当初、この線はナトリウムを示すと考えたが、同年10月20日にイギリス人天文学者ノーマン・ロッキャーがやはり太陽光を分析して黄線を観測し、ナトリウムのフラウンホーファー線記号D1やD2に近かったことから、D3と名づけた[17]。
1882年、イタリアの物理学者ルイージ・パルミエーリは、ヴェスヴィオ山の溶岩を分析していた際に、スペクトルD3線を見つけた。これが地球上で初めてヘリウムの存在を示唆する証拠となった[18]。
1895年3月26日、イギリスの化学者ウィリアム・ラムゼー卿がクレーベ石(10パーセント以上の希土類元素を含む閃ウラン鉱)と無機酸を反応させる実験を通じてヘリウムの分離に成功し、地球上で初めて生成した。ラムゼーはアルゴンを探していたが、硫酸で発生させたガスから窒素や酸素を取り除いた残りをスペクトル分光して調べたところ、太陽光と同じD3線を発見した[17][19][20][21]。そしてこれが、ロッキャーやウィリアム・クルックスが名づけた「ヘリウム」であると同定した。実はアメリカの地球科学者ウィリアム・フランシス・ヒレブランドがラムゼーに先立ち閃ウラン鉱標本の試験を行っている際に変わったスペクトルを見つけていたが、彼はこれを窒素のスペクトルと思い込んでいた。ヒレブランドはラムゼーに祝辞の手紙を送っている[22]。
原子量を計測できる程度の量は、スウェーデンウプサラ市でペール・テオドール・クレーベとアブラハム・ラングレが抽出に成功した[23][24]。
1907年(1903年との説もある)にアーネスト・ラザフォードとトーマス・ロイズは、新しく見つかったガスをガラス管に詰めてスペクトルを調べようとした際に、粒子が薄いガラス壁を通り抜けることを見つけ、アルファ粒子がヘリウムの原子核であることを突き止めた。1908年にはオランダのヘイケ・カメルリング・オネスがガスを1K以下まで冷却し、液化に初めて成功した[25]。彼はさらに温度を下げて固体を得ようとしたが、常圧のヘリウムは三重点を持たないため、これには失敗した。しかし、1926年に、オネスの教えを受けたウィレム・ヘンドリック・ケーソンが1平方センチメートルのヘリウム固体化に初めて成功した[26]。
1938年、ロシアのピョートル・カピッツァは絶対零度近くまで冷却したヘリウム4がほとんど粘性を持っていないことを発見し、これは超流動と呼ばれた[27]。1972年には、アメリカのダグラス・D・オシェロフ、デビッド・リー、ロバート・リチャードソンによって、絶対零度に近い温度域でヘリウム3でも同じ現象が発見された[28]。
産出と利用
1903年、アメリカ・カンザス州デクスターで石油掘削のボーリングが行われたところ、不燃性のガスが湧き出た。カンザス在住の地質学者エラスムス・ハワースがこれを収集し、ローレンス市のカンザス大学で化学者ハミルトン・キャディとデイヴィッド・マクファーランドの協力を得て成分解析を行った。その結果、ガスは質量比で窒素72パーセント、メタン15パーセント(酸素がなかったため燃焼しなかった)、水素1パーセントと、残り12パーセントの成分は解明できなかった[29]。さらに解析を進めた結果、キャディとマクファーランドは、1.84パーセントはヘリウムであることを突き止めた[30][31]。これによって、地球全体では希少であるヘリウムがアメリカのグレートプレーンズ地下に大量に存在しており、天然ガスの副産物として入手可能だということが判明した[32]。
ただし化石燃料とは生成の経緯が異なり、長い年月をかけてウランとトリウムが放射性崩壊することによりヘリウムができる。アメリカのおもなヘリウム含有ガス田は、ほとんどがカンザス州、オクラホマ州、テキサス州西部の地域にある[33]。
この発見によって、アメリカ合衆国は一大ヘリウム供給国となった。第一次世界大戦時、リチャード・スレルホール卿の助言を受けて、アメリカ海軍は3基の実験的な小規模ヘリウム製造設備に投資した。これは、空気よりも軽く不燃性のガスを阻塞気球に使う目的があった。これ以前、ヘリウムガスは通算で1平方メートルも得られていなかったが、この計画で生産されたガスは純度92パーセントで5,700平方メートルにのぼり[17]、1921年12月1日に処女航行を行った世界初のヘリウム飛行船C-7(アメリカ海軍)にも使われた[34]。
第一次世界大戦中、抽出方法は低温によるガスの液化法からそれほど改良されなかったが、生産は続けられた。当初は飛行船などの浮揚ガス需要が中心だったが、第二次世界大戦中にはそれに加えアーク溶接用の需要が拡大した。ヘリウム質量分析計も原子爆弾を製造するマンハッタン計画で用いられた[35]。
1925年、テキサス州アマリロでアメリカ合衆国連邦政府は「ヘリウム国家備蓄」を開始した。これは、民間の商用や戦時の軍用目的の飛行船へ供給体制を備えることを目的とした「連邦によるヘリウムの国家戦略的備蓄」である[17]。アメリカ軍はドイツへのヘリウム輸出を制限したが、これが水素を用いざるをえなくなったヒンデンブルク号の爆発事故の遠因となった。大戦後にヘリウム需要は縮小したが、1950年代に入ると、宇宙開発競争や冷戦を背景としたロケットエンジンの推進剤用などへ酸素や水素の冷却用として、ヘリウムの用途は広がった。1965年、アメリカのヘリウム消費量は戦時中の最大量の8倍にもなった[36]。「ヘリウム条例1960修正条項(Public Law 86–777)」発布後、アメリカ合衆国鉱山局(USBM)は、カンザス州ブシュトン市にある複数の民間所有ガス精製工場から天然ガス中のヘリウム回収を始め、これを延長684キロのパイプラインでテキサス州アマリロ近郊のクリフサイドにある国家備蓄基地へ集約した[33]。これらのヘリウム-窒素混合ガスはクリフサイド周辺のガス田に再注入され、純度向上と貯蔵を両立させた[37]。
1995年段階で、アメリカのヘリウム備蓄量は10億平方メートル[33](14億ドル相当)に達し、翌年に議会は貯蔵増の停止と[38]、「ヘリウム民営化条例1996(Public Law 104–273)」を採決して、2005年までに備蓄ヘリウムをすべて販売することを内務省に命じた[33][39]。ただし、備蓄分の売り切りは2015年と予想される[33]。
1930年から1945年にかけて生産され、飛行船に使われたヘリウムの純度は98.3パーセントであった。1945年には純度99.9パーセントのヘリウムが溶接用に少々製造された。1949年までにヘリウムはグレードA(99.95パーセント)まで商用生産が実現した[40]。
長い間、アメリカは全世界の商用ヘリウム生産量90パーセント以上を担ってきた。そのほかにはカナダ、ポーランド、ロシアなどでも生産された。1990年代中ごろ、アルジェリアのアルゼウにて、全ヨーロッパの需要量をまかなう1,700万平方メートルの新工場が稼動を開始した。2000年までにアメリカのヘリウム総需要は年間1,500万キロまで増加したが[41]、2004年から2006年にかけてカタールのラス・ラファンとアルジェリアのスキクダでそれぞれ新工場の建設が行われた。2007年段階で、ラス・ラファンは稼動率50パーセント、スキクダは未稼働の状態にある。しかし、アルジェリアはスキクダでの生産が始まれば、世界2位の供給国となる[42]。その一方で、世界的なヘリウム需要は価格とともに上昇し[43]、2007年の消費量は2002年比倍増となった[44]。需給バランスの変動により、将来は深刻なヘリウム不足と価格高騰が予測される[45][46]。
2012年には、世界的なヘリウム供給不足が発生した。原因は、アメリカでの設備トラブル、新興国での需要増などが考えられている[47][48]。このため、東京ディズニーリゾートでは2012年11月21日からパーク内でのヘリウム風船の販売を休止した[49]。
2013年12月、カタールのラスガスが世界最大級の年産3,680万立方メートルの生産設備を稼動させた[50]。
日本は全量を輸入に頼っているが、財務省の貿易統計では近年の日本の輸入量は年間2,000トン前後。2012年、2013年にはアメリカの生産減で品不足となったが、これを補うためにカタールほかからの輸入が増えている。2013年は全輸入量1,902トン中、米国からが1,747トン(シェア91.8パーセント)、カタールからが121トン(6.4パーセント)、その他からが34トン(2.8パーセント)であったが、2014年に入りカタールのシェアが急増している[51]。
2016年 タンザニアで大規模なヘリウムガス田が発見されたと報道された[52][53]。
同位体
天然に存在するヘリウムの同位体には、陽子2つと中性子1つからなるヘリウム3と、陽子2つと中性子2つからなるヘリウム4の2種類がある。ヘリウム3は、地球の大気中においてはヘリウム4に対して100万分の1の量しか存在しないため[54]、原子炉で生成されたものが利用される。原子炉内でリチウム6に中性子を照射すると三重水素とヘリウム4ができ、この三重水素がベータ崩壊(半減期12.5年)してヘリウム3となる。そのほか、人工的に作られた同位体としては、ヘリウム6、ヘリウム8、ヘリウム10などがある。
ヘリウムの同位体を用いた地球化学的な応用は大きく分けて2つある。まず、ヘリウム3をトレーサーとして用い、地球物質の循環を探ることである。もうひとつは岩石中に天然に存在する放射性同位体であるウランやトリウムのアルファ崩壊にともなって放出されるヘリウム4の蓄積量から、その岩石の生成年代を求めること(U, Th/He 放射年代測定)である。
脚注
注釈
- ^ 共鳴の起こる波長(喉頭腔の大きさに依存)を一定とすると、周波数はその媒質を伝わる波の速さに比例する。周波数#定義を参照。
- ^ 2015年1月には12歳の児童がテレビ番組の収録中にこのガスを一気に吸引したことによって意識不明となり、このようなケースでは日本で初めて「脳空気塞栓症」と診断された事故が起きている(後に回復した)。テレビ朝日#不祥事・事件・トラブル、児童労働#児童労働の例、3B juniorの星くず商事も参照されたい。
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関連項目
外部リンク
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2 | Li | Be | B | C | N | O | F | Ne | |||||||||||||||||||||||||
3 | Na | Mg | Al | Si | P | S | Cl | Ar | |||||||||||||||||||||||||
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