相 (物質)

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(そう、: phase)とは、物質科学において、熱力学的な全体にわたって組成物性が均一な物理的状態を表す。

ある系からnm3オーダーの2つの部分を取り出したときに、この2つの部分が同一の組成、物性を示す場合、同一の相であるという。

例えば完全に溶解した食塩水はどの部分を取り出しても同一の組成、物性を示すので1つの相だけからなる。氷水はどの部分を取り出しても分子だけからなる同一の組成を持つが、固体液体という異なる物性を示す2つの部分があるので2つの相からなる。牛乳のようなコロイド溶液は肉眼ではどの部分も同じように見えるが、限外顕微鏡でみると乳脂肪からなる油滴の部分と水の部分に分かれているので2つの相からなる。

もっとも分かりやすい相の分類は固相液相気相であろう。多くの純物質は温度や圧力を変化させた場合、固体、液体、気体の3つの状態をとる。これらそれぞれの状態に対応する相が固相、液相、気相である。ただし、多くの物質は複数の固相を持つ。たとえば[1]

ヘリウムは複数の液相を持つ。も2つの液相があると言われている[1]。気相を複数持つ物質はない。また、液晶など、別の相を持つ物質もある。

飽和した砂糖水を冷却すると、溶けきれなくなった砂糖が固体として析出する。このように1つの相が複数の相に分離することを相分離という。

液体の水を冷却すると1気圧下では0℃で氷(固体の水)となり、加熱すると100℃で水蒸気(気体の水)となる。このように1つの相の温度や圧力を変化させた場合、2つの相の共存状態を経て別の1つの相へと変化することがある。これを相転移という。

ある系の組成や圧力、温度(状態変数)を指定したときに熱力学的平衡状態でどのような相を取るかを示した図を相図という。また、平衡状態にある系内の相の数と変化できる状態変数の数(自由度)と成分の数の間には相律という関係が成立する。

脚注[編集]

  1. ^ a b Peter Atkins; Julio de Paula; 千原秀昭, 稲葉章訳 『アトキンス物理化学要論』 (4版) 東京化学同人、2007年、58頁。ISBN 978-4-8079-0649-9 

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