標準状態

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標準状態(ひょうじゅんじょうたい)とは、物理学化学工学などの分野で、測定する平衡状態に依存する熱力学的な状態量を比較するときに基準とする状態である。一般的には気体の標準状態のことを指すことが多い。

標準状態は、温度と圧力を指定することによって示されるが、科学の分野により、また学会、国際規格団体によって、その定義は様々であり、混乱が見られる。このため、日本熱測定学会は、統一した値として、101.325 kPa を用いるべきであると主張し啓蒙活動を展開している[1]

圧力[編集]

指定される圧力は、標準状態圧力standard-state pressure, SSP)と呼ばれる。その数値は主に2種類があり、統一されていない。

  • NIST、ISOなど[2]

1\ \text{atm} =101\ 325\ \text{Pa}

p^\circ =100\ 000\ \text{Pa}

この数値には、しばしば標準状態圧力における量であることを表す為に°を付けて表される[3]。この値は、IUPACが1982年に推奨したものであるが、30年以上を経過しても、この推奨はしばしば無視されている[4][5]

温度[編集]

基準とする温度には、SATPSTPがある。温度は右下の添え字で示される[3]

  • SATP

基準の温度をセルシウス度25°C(298.15ケルビン)とするものをSATP(標準環境温度と圧力、standard ambient temperature and pressure)と定義。気体の標準状態としては、現在は主にSATPが使われる。

  • STP

基準の温度をセルシウス度0°C(273.15ケルビン)とするものをSTP(標準温度と圧力、standard temperature and pressure)と定義

体積[編集]

1モル理想気体体積は、SATPでは24.8リットル、STPでは22.7リットル(1997年より前は22.4リットル)である。

体積を標準状態において測った場合、そのことを明示するために単位を m3Nノルマル立米)とすることがある[6]

脚注[編集]

  1. ^ Borderless Science Seeks for Seamless Standards: Standard State Pressure Should Be 101.325 kPa ICCT2008で発表したポスター、日本熱測定学会、標準状態圧力適正化ワーキンググループ、2008年
  2. ^ CODATA Value
  3. ^ a b バーロー
  4. ^ 標準状態圧力の成立過程 長野八久、大阪大学大学院理学研究科附属分子熱力学研究センター・標準状態圧力等検討WG
  5. ^ 標準状態圧力の成立過程長野八久、 Netsu Sokutei 31(3)146-150、2004年
  6. ^ 大気汚染対策の基礎知識 p.49

参考文献[編集]

  • G. M. Barrow 『物理化学』 藤代亮一訳、東京化学同人、1968年
  • 田中一義、田中庸裕 『物理化学』 丸善、2010年、98頁。ISBN 978-4-621-08302-4
  • 『二訂・大気汚染対策の基礎知識』 環境保全対策研究会、社団法人産業環境管理協会、2005年、3。ISBN 4-914953-69-2

関連項目[編集]

外部リンク[編集]