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「豆」の版間の差分

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{{Otheruses|マメ科の植物の文化的側面|生物学、植物学的な解説|マメ科|古代の食器である「豆(とう)」|豆 (青銅器)}}
{{Otheruses|マメ科の植物の文化的側面|生物学、植物学的な解説|マメ科|古代の食器である「豆(とう)」|豆 (青銅器)}}
[[画像:Phaseolus vulgaris seed.jpg|thumb|300px|様々な豆]]
[[画像:Phaseolus vulgaris seed.jpg|thumb|生産量の多いインゲン豆]]
'''豆'''(まめ、''{{lang-en-short|Bean, Legume}}'')とは、[[マメ科]][[植物]]の[[種子]]のことで、特に食用・加工用に利用される[[大豆]]、[[隠元豆]]、[[ひよこ豆]]などの総称である<ref name=kotoDaijisen>kotobank - デジタル大辞泉 [http://kotobank.jp/word/%E8%B1%86 「豆」] </ref>。豆は菽穀類(しゅこくるい、''{{lang-en-short|Pulses, Pulse crops}}'')と言われ広義の[[穀物]]に含まれる。また小さいものや形の似たものを豆と表現する。([[#表現|後述]])
'''豆'''(まめ)とは、[[マメ科]]の[[植物]]、特にその[[種子]]または[[果実]]のこと。マメ科以外のものでも、[[コーヒー豆]]などその形状から豆と称するものもある。


== 概要 ==
豆はマメ科植物の種子ないし果実として[[栄養]]を蓄え、これら植物が繁殖するためのものであるが、栄養豊富であることから豆は[[人間]]を含む多くの[[動物]]にとって重要な[[食料]]となっている。
{{Multiple image|width=200|direction=vertical
|image1=Doperwt rijserwt peulen Pisum sativum.jpg
|caption1=[[エンドウ|エンドウマメ]]
|image2=NCI peas in pod.jpg
|caption2=莢に詰まった豆}}
マメ科植物の果実は、[[豆果]]であり、[[雌蕊]]の[[子房]]の[[心皮]]が成長して形成された鞘の中に種子がある。種子は[[胚乳]]が発達せず、[[子葉]]が発達して栄養を蓄える<ref name=kotoDaijisen/>。対して、[[イネ科]]の植物は栄養を胚乳に蓄える<ref>写真でわかる園芸用語集 [http://engei-dict.882u.net/archives/2169 「胚乳」] </ref>。鞘を形成する莢果(きょうか)で<ref>写真でわかる園芸用語集 [http://engei-dict.882u.net/archives/2476 「莢果(きょうか)」] </ref>、果皮が乾燥した[[果実#果実の分類|乾果]]である。完熟すると鞘がさける裂開果(れっかいか)や<ref>写真でわかる園芸用語集 [http://engei-dict.882u.net/archives/2415 「裂開果(れっかいか)」] </ref>、鞘が種子毎に仕切られ完熟すると仕切り毎に別れる節果(せつか)などがある<ref>写真でわかる園芸用語集 [http://engei-dict.882u.net/archives/2509 「節果(せつか)」] </ref>。


豆はマメ科植物の種子であるが、他の植物の種子より大きく栄養豊富であることから、[[人間]]を含む多くの[[動物]]にとって重要な[[食料]]となっている。
人間の社会では古くから栽培され、[[穀物]]の中でも比較的豊富に[[蛋白質]]を含み、また他の穀物ほど水を必要としない(→[[仮想水]])など[[農業]]用作物として、あるいは食料として優れた性質を持つ。また比較的丈夫な皮を持つことから収穫後に乾燥させても粒割れを起こさず[[カビ]]や[[昆虫]]よりの食害も避け易いなど保存・貯蔵面の利点がある。


様々なマメが古代より世界各地で栽培されてきた。他の穀物ほど水を必要としない(→[[仮想水]])為、栽培適応地も広範囲であり、比較的丈夫な皮を持つことから収穫後に乾燥させても粒割れを起こさず[[カビ]]や[[昆虫]]による食害も受け難いなど保存・貯蔵面の利点がある。現在にいたるまで、各国で豆料理や豆の[[加工食品]]が利用されている。反面、殆どが[[炭水化物]]である[[コメ]]、[[小麦]]、[[トウモロコシ]]や[[イモ類]]などと比べ、味などの面で癖が強い(味がある)、単位面積あたりの収量が劣り、調理にも長時間かかる事などから、豆を[[主食]]とする民族は少ないが、高栄養価でもあり、[[主食]]の[[穀物]]や[[イモ類]]につぐ重要な食材となっている。
反面、味などの面で癖が強く、これを[[主食]]とする民族は限られ、専ら濃い味付けをする[[料理]]の材料や、主食に混ぜて消費する、[[加工食品]]原料として用いるなどされている。


== 食料としての豆 ==
== 歴史 ==
[[File:Annibale Carracci The Beaneater.jpg|thumb|200px|「豆を食べる男」(16世紀後半) [[アンニーバレ・カラッチ]]作]]
[[画像:Colourful bean salad.jpg|thumb|right|150px|色とりどりの豆のサラダ]]
食用の豆類の3分の1を占める[[インゲン豆]]は、[[メキシコ]]で紀元前4000年頃のものが見つかっており、[[メソアメリカ]]が原産と考えられている。2012年に[[ゲノム]]分析からメソアメリカが原産とする報告があった<ref>[[BBC]] Mundo [http://www.bbc.co.uk/mundo/noticias/2012/03/120307_frijol_mesoamericano_am.shtml (西語)El frihol se origino en Mesoamerica] </ref>。その後、南北アメリカ大陸へ広まり、[[スペイン]]人のアメリカ大陸への進出後は世界に広まった。[[南米]]原産のラッカセイもスペインおよび[[ポルトガル]]により世界へ広まった。[[エンドウマメ]]、[[レンズ豆]]、[[ソラマメ]]は[[メソポタミア]]周辺の[[西アジア]]が原産で、陸路で古くから各地へ広まった<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/syurui/michi.html 「豆の通ってきた道」] </ref>。[[大豆]]は[[中国]]が原産で、[[古代]]より[[日本]]を含め[[東アジア]]・[[東南アジア]]へ広まったが、[[ヨーロッパ]]へは18世紀に、[[アメリカ州]]へは19世紀に伝わった。現在、[[米国]]や[[ブラジル]]・[[アルゼンチン]]は大豆の大生産国であるが、大豆の生産は20世紀に入り[[飼料作物]]として栽培され始めたものである<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/syurui/michi_06.html 「大豆」] </ref>。
豆は「渋味」や「苦味」といった味覚的な物を含む[[化学防衛]](→[[有毒植物]])を行っているものも多く、[[煮る]]・[[炊く]]・[[蒸す]]など味付けしない簡単な[[調理法]]では大量には食べ難い。このため主食として豆を主に消費する民族は[[ムギ|麦]]や[[米]]ないし[[芋]]に比べ少ないなど、食料資源としては利用し難い側面も存在する。しかし[[発酵]]させるなど様々に加工することで良質な食料資源として利用できることから、豆を原料とする様々な加工食品が存在しており、また豆の使われる料理も多岐に渡る。


[[日本]]へは、中国原産の大豆が紀元前([[弥生時代]]初期)に伝来、[[小豆]]は3世紀頃にはすでに利用されていた。小豆は中国が原産と考えられているが、小豆の祖先と考えられる野生種[[ヤブツルアズキ]](V.angularis var. nipponensis(Ohwi) Ohwi & Ohashi)が日本から[[ヒマラヤ]]までの地域で見つかっており、小豆の原産地の再検討が必要となっている<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/syurui/michi_05.html 「豆の通ってきた道」] </ref>。西アジア原産のソラマメとエンドウマメは中国経由で8世紀頃、[[ササゲ]]が9世紀頃、[[アメリカ大陸]]原産の作物は16世紀半ばに始まった[[南蛮貿易]]で日本へ紹介された可能性はあるが、インゲンマメ(隠元豆)は中国経由で17世紀に、ラッカセイ(南京豆)は[[フィリッピン]]・中国経由で18世紀頃に伝来したというのが通説となっている<ref>豆類協会 {{PDFlink |[http://www.mame.or.jp/library/pdf_s/siryou_sch02_04.pdf 「豆の日本への伝来の歴史」] }} </ref>。
経済的な理由から動物性蛋白質を得ることが難しい人々や、[[ベジタリアニズム|ベジタリアン]]など信条的に動物性蛋白の摂取を避けている人々にとっては、非常に重要な蛋白源である。特に豆由来の蛋白質は低[[コレステロール]]で[[必須アミノ酸]]をバランス良く含んでいるため、健康上の理由などで高蛋白・低コレステロール食を求める向きには[[健康食品]]の範疇で豆を原料としたものも多く出回っている。この中には[[トーファーキー]]や[[台湾素食]]のように、食べ応えにも配慮された加工食品もみられる。

== 種類 ==
豆は[[植物分類学]]上はマメ科に属する植物の種子であり、マメ科には650属、18,000種があるが、ヒトが利用しているのはその一部である<ref name=NorinMame>農林水産省 [http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1012/spe1_01.html 「いろんな豆」] </ref>。マメ科の植物は[[熱帯]]から[[亜寒帯]]、[[乾燥地帯]]から[[湿潤地帯]]、海抜ゼロメートル地帯から高山までと広い地域に分布している。形態も[[1年生]][[草本植物]]から[[多年生]]の[[木|木本植物]]まである<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/common/QandA.html 「Q&A 豆の種類について」] </ref>。

作物の豆は国内外の食料の生産集計などで二つに分類されている。多くの豆は重量の約60%が[[炭水化物]]で、[[タンパク質]]を約25%含み、[[脂質]]の含有率は僅かで、主に食用にされる<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/eiyou/eiyou.html 「豆の主な栄養素」] </ref>。これらが「食用豆」である。もう一つの分類は、[[植物油#含油率|含油率]]が高い豆で搾油用の作物であり、「油糧作物」に含まれる。大豆はタンパク質を36%、炭水化物を30%、脂質を20%含んでおり、ラッカセイは50%が脂質、タンパク質が26%、炭水化物は16%で、この二つは油糧作物に分類されている。以下の記述では、「豆類」と大豆およびラッカセイは分けて記述する。

; インゲンマメ属・インゲンマメ種(''Phaseolus vulgaris'')
: 純食用の豆類の中の最大生産品種で、多くの栽培種が有り、大きさも大小、色も単色の白、黒、赤ほか、斑紋入りのものなど様々である<ref>weblio - 日本豆類基金協会 [http://www.weblio.jp/content/%E3%81%84%E3%82%93%E3%81%92%E3%82%93%E3%81%BE%E3%82%81 「いんげんまめ」] </ref>。原産地は[[ラテンアメリカ]]であり、スペイン語で''Frijol''(フリホル)と呼ばれるが、フリホルは現地語起源ではなく、[[学名]]になっている[[ラテン語]]の''Phaseolus''が起源で、古代西アジア原産の豆を示していた。インゲン豆は英語では''Common Bean''(一般の豆)とも呼ばれ、[[国際連合食糧農業機関]](FAO)の集計では単に''Beans, dry''と表示されている<ref>国際連合食糧農業機関(FAO) [http://faostat3.fao.org/home/index.html#METADATA_CLASSIFICATION Classifications] Production/Crops/ item code=176 Beans, dry</ref>。
;; キドニービーン(英''[[:en:Kidney bean]]'')
: 代表的な豆の一つで大粒の[[腎臓]]型で[[あずき色]]である。金時豆に似ているが異なる栽培種であり日本では生産されていない<ref name=NorinMame/>。
;; [[金時豆]] 
: 赤インゲンとも
;; 白いんげん
: [[大福豆]](おおふくまめ)、[[手亡]](てぼう)、白金時
;; ブラック・ビーン(''{{lang-en-short|Black bean}}'')、フリホル・ネグロ(''{{lang-es-short|Frijol Negro}}'')
: ブラック・タートル・ビーン(英''[[:en:Black turtle bean]]'')とも、小粒の黒い豆でメキシコや[[中米]]で[[フリホレス]]、[[ブラジル]]で[[フェジョアーダ]]に使われる。日本の[[黒豆]](黒大豆)に似ているが属も種も異なる。
;; [[うずら豆]](''{{lang-en-short|pinto bean}}'')
: 代表的な豆の一つ。斑紋入り
;; [[とら豆]]
: 斑紋入り
;; [[ライマメ]] (''{{lang-en-short|lima bean, butter bean}}'')
; インゲンマメ属・ベニバナインゲン種
: [[ベニバナインゲン]]、白花豆、紫花豆
; エンドウ属
: [[えんどう豆]](''{{lang-en-short|Pea, dry}}'')、青えんどう、赤えんどう
; キマメ属
: [[キマメ]] ([[:en:pigeon pea|(英)Pigeon Pea]]) - 熱帯の豆でインドでダールに使われる。
; ササゲ属・ササゲ種
: [[緑豆]]、[[ささげ]](''{{lang-en-short|Cow pea, black-eyed pea}}'')、赤いササゲは小豆によく似ている。関東以南で栽培されており、沖縄で作られている「黒小豆」は「ささげ」である<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/syurui/syurui_03.html 「ささげ」] </ref>。
; ササゲ属・アズキ種
: [[あずき]]、大納言、竹小豆(ツルアズキ)はアズキによく似たササゲ属の豆でタイ、ミャンマーなどから輸入されている<ref name=Yunyu>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/seisan/seisan_yunyuu_01.html 「海外からの輸入」] </ref>。
; ソラマメ属
: [[そら豆]](''{{lang-en-short|Broad bean}}'')
; ダイズ属
: [[大豆]]、[[青大豆]]、黒大豆([[黒豆]])
; ヒヨコマメ属
: [[ひよこ豆]](''{{lang-en-short|Chick pea}}'')、ガルバンソ(''{{lang-es-short|Garbanzo}}'')日本での生産は殆ど無く、輸入も950トンと少ない<ref name=Yunyu/>。
; ヒラマメ属
: [[レンズ豆]]、ヒラ豆、レンティル(''{{lang-en-short|Lentil}}'')
; ラッカセイ属
: [[落花生]]
; [[ルピナス属]]
: ルピナス豆({{lang-en-short|lupin bean}}) - 大豆と同様にタンパク質の含有率が高い(36%)が、脂質は大豆の半分の9.7%である。


マメ科以外の植物の種子で通常豆と呼ばれるもの。[[コーヒー豆]]([[アカネ科]])、[[カカオ豆]]([[アオイ科]])、[[メキシコトビマメ]]([[トウダイグサ科]])
2R,5R-ビス(ジヒドロキシメチル)-3R,4R-ジヒドロキシピロリジンを含む[[マメ科]]植物には、[[血糖値]]を抑制する効果のある[[α-グルコシダーゼ]]阻害作用を有するものがあり<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/40/3/40_3_172/_pdf 薬用食物の糖尿病予防成分]、吉川雅之、化学と生物Vol.40、No.3、2002</ref>、[[アズキ]]、[[インゲンマメ]]、[[コクリョクトウ]]、[[リョクトウ]]、黒ダイズの順でその活性が高かった。[[エンドウ]]及び[[ダイズ]]ではほとんどその活性を示さなかった<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/54/12/54_12_563/_pdf 豆類ポリフェノールの抗酸化活性ならびにα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ阻害活性]、齋藤優介ほか、日本食品科学工学会誌、Vol.54(2007) No.12</ref>。


== 作物としての豆 ==
== 生産 ==
[[画像:Doperwt rijserwt peulen Pisum sativum.jpg|thumb|150px|豆は莢に収まって育つ<br />([[エンドウ|エンドウマメ]])]]
[[画像:NCI peas in pod.jpg|thumb|150px|莢に詰まった豆(同上)]]
豆は他の栽培植物と比較して、寒さに強く[[雨]]など成長に必要な水分を多く必要としない。このため[[コメ]]や[[コムギ|小麦]]などを栽培することができない[[乾燥帯]]や[[冷帯]]([[亜寒帯]])の地域で栽培が盛んである。
豆は他の栽培植物と比較して、寒さに強く[[雨]]など成長に必要な水分を多く必要としない。このため[[コメ]]や[[コムギ|小麦]]などを栽培することができない[[乾燥帯]]や[[冷帯]]([[亜寒帯]])の地域で栽培が盛んである。


28行目: 75行目:
豆は良質な食料資源であり、また水資源をそれほど必要としないことから、[[穀倉地帯]]での作付面積も主食穀物や[[綿]]など繊維原料と並んで広い傾向がある。
豆は良質な食料資源であり、また水資源をそれほど必要としないことから、[[穀倉地帯]]での作付面積も主食穀物や[[綿]]など繊維原料と並んで広い傾向がある。


豆はヒトにとって古代より主食である穀類を補完する重要な食料であったが、近年の食の多様化、飽食化により、殆どの食材の一人あたりの消費量が増加している中で、[[ジャガイモ]]、[[キャッサバ]]などの[[根菜]]類とともに豆類の消費量は減少傾向にある。国際連合食糧農業機関(FAO)の集計では、1961年から2009年にかけて、植物性食料の1人1日あたりの供給量は1035グラムから1391グラムへと34%増加したが、根菜類は212gから167gへと21%減少、豆類(大豆、ラッカセイを含まない)は26gから18gへと31%減少した。なお油糧作物として集計されている大豆の直食用は4gで変動なし、ラッカセイは2gから4gへ増加した<ref name=FAOSTAT>国際連合食糧農業機関(FAO) [http://faostat3.fao.org/home/index.html#DOWNLOAD FAOSTAT]</ref>。
== 言葉 ==
[[接頭語]]的な用法としては、主に規模が小さく小型であるさま(豆[[電球]]や[[豆台風]]など)や、子供であること(豆剣士や豆記者など)の意を表す。[[昆虫]]などの和名([[チビクワガタ属#種類|マメクワガタ]]など)にもしばしば用いられる。


豆類の生産は1961年の作付面積6401万ヘクタール、収穫量4078万トンから、2011年には7807万ヘクタール、6784万トンへと増加した。ただしこの間に世界人口は約2.3倍になっており一人あたりの生産量は減少したことになる。2011年の生産量の多い豆はインゲン豆属(Phaseolus)2325万トン、ヒヨコ豆1162万トン、乾燥エンドウマメ956万トン、ササゲ493万トン、レンズ豆441万トン、キマメ441万トン、ソラマメ403万トンなどであった。
また、気が小さいことや、繊細などの性格を現すこともある。ただし「まめ」と書くと勤勉であるとか根気強いなどの意味があり、「豆」という語で表されるものとはやや異なる。


油糧作物である大豆とラッカセイは味噌や醤油などへの加工用を含む直食用の消費もあるが<ref>国際連合食糧農業機関(FAO) [http://faostat3.fao.org/home/index.html#METADATA_CLASSIFICATION Classifications] Food Supply/Crops Primary Equivalent/ item code=2555 Soybeans</ref>、搾油用途に比べ少ない。2009年の大豆の生産量は豆類とは桁違いの2億2318万トンであったが約2億トンは主に搾油用の加工用で、直食用は4.9%の1083万トンでしかなく、大豆油の食用2251万トンを含めても3334万トンで総生産量の14%でしかない。大豆は油糧作物の中では含油率が約2割と低く、大量の搾りかす([[脱脂大豆]])が発生するが、「かす」と呼ぶには相応しくないほど、大量のタンパク質と炭水化物を含んでおり、飼料用に使われる。飼料として消費された大豆は1億5838万トンで総生産量の68%を占めており、重量の点から見れば、大豆は油糧作物というより飼料作物である<ref name=FAOSTAT/>。
[[落花生]]を[[寒梅粉]]の生地で包み焼いた豆菓子は、中年の男性からは「豆」と呼ばれることが多い。


ラッカセイの場合はヒトの食用の率が大豆より高く、総供給量(むき身換算)2563万トンのうち、搾油用は1341万トン(52%)直食用は916万トン(36%)で、ラッカセイ油の食用433万トンを含めると1348万トン(53%)が食用となっている。対して飼料用は681万トン(27%)であった<ref name=FAOSTAT/>。大豆とラッカセイは大半が搾油用であるため、他の豆類と別集計されているが、大豆の直食用はインゲン豆、ひよこ豆に次ぐ量であり、ラッカセイもえんどう豆に次ぐ量である。
[[肉刺]]も「マメ」と読むが、大きさや形状的に豆に似ている。また豆は比較的ありふれた食材であることから、一般的なサイズ比較や形状の形容詞にもつかわれる。例えば[[軟膏剤|軟膏]]の使用適量を表す際に「小豆大」(あずきだい)と表現したり、[[腎臓]]の形状を指してソラマメ型などという。


{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
=== 単語 ===
|+ 豆の種類別の総生産量(千トン)
* [[豆知識]]
! 作物 || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 || 備考
* [[豆炭]]
|-
! 豆類合計 || 40,783 || 40,805 || 55,601 || 68,829 || 67,839 || 増加率は人口増より小さい。
|-
| インゲンマメ || 11,228 || 13,712 || 17,659 || 23,136 || 23,250 ||
|-
| ヒヨコマメ || 7,682 || 4,854 || 8,009 || 10,964 || 11,624 ||
|-
| エンドウマメ || 7,346 || 9,382 || 10,716 || 9,778 || 9,558 ||
|-
| レンズマメ || 855 || 1,241 || 3,369 || 4,766 || 4,411 || 50年で約5倍、唯一人口増を上回る。
|-
| キマメ || 2,228 || 1,966 || 3,259 || 3,852 || 4,406 ||
|-
| ソラマメ || 4,843 || 4,494 || 3,722 || 4,086 || 4,032 ||
|-
| ルピナス || 631 || 333 || 1,226 || 1,033 || 1,107 ||
|-
| その他 || 5,970 || 4,822 || 7,639 || 11,215 || 9,450 ||
|-
! colspan="7" | 油糧作物(大半が搾油用である)
|-
| 大豆 || 26,883 || 81,040 || 161,290 || 264,973 || 260,916 || 総生産量
|-
| (大豆食用) || 4,203 || 6,521 || 9,595 || 10,831<sup>注</sup> || - || 注)2009年の値
|-
| (大豆油) ||2,633||11,035||19,389||22,509<sup>注</sup>||-|| 注)2009年の値
|-
| ラッカセイ || 14,134 || 16,891 || 34,728 || 41,894 || 38,614 || 殻付<ref>ラッカセイの豆の正味重量は約7割である。</ref>、総生産量
|-
| (食用、むき身)|| 2,455 || 3,735 || 8,300 || 9,157<sup>注</sup> ||-|| 注)2009年の値
|-
| (ピーナッツオイル) ||2,124||2,898||4,524||4,326<sup>注</sup>||-|| 注)2009年の値
|-
! colspan="7" | 穀物
|-
| トウモロコシ || 205,028 || 396,623 || 592,479 || 850,445 || 883,460 || 生産量の比較用。
|}


=== 慣用句 ===
=== 主な生産国 ===
豆類は世界の171の国または地域で生産されている。豆の生産量が特に多い国はインドで豆類の総生産量の26%(1779万トン)はインドで、2番目がミャンマーの8%(531万トン)、3番目が中国の7%(461万トン)であった。21世紀に入り、[[カナダ]]・[[オーストラリア]]・[[ニジェール]]などの生産が拡大している。なお[[ロシア]]および[[エチオピア]]は政変により国土が変わった為、過去の数値が計上されていない<ref name=FAOSTAT/>。
*豆を植えて稗を得る
*鳩が豆鉄砲を食らったよう
*鳩を憎み豆を作らぬ
*女の中の豆炒り
*戸板に豆
*陰裏の豆もはじけ時
*日陰の豆も時が来れば爆ぜる
*陰裏豆
*寸馬豆人
*立て板に豆
*豆を煮るにまめがらを焚く
*炒り豆に花が咲く


{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
== 代表的な豆 ==
|+ 豆類の生産量(千トン)
=== マメ科 ===
|-
*[[ダイズ]]
! || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 ||
*[[アズキ]]
|-
*[[インゲンマメ]]
| 合計 || 40,783 || 40,805 || 55,601 || 68,829 || 67,839 || 100%
*[[ライマメ]]
|-
*[[エンドウ]]
| [[インド]] || 12,860 || 9,167 || 13,713 || 17,236 || 17,787 || 26%
*[[ベニバナインゲン]]
|-
*[[ソラマメ]]
| [[ミャンマー]] || 222 || 355 || 1,658 || 4,492 || 5,311 || 8%
*[[ササゲ]]
|-
*[[ヒヨコマメ]]
| [[中国]] || 8,521 || 6,752 || 4,696 || 3,891 || 4,610 || 7%
*[[リョクトウ]]
|-
*[[レンズマメ]]
| [[カナダ]] || 61 || 188 || 4,443 || 5,347 || 3,883 || 6%
*[[イナゴマメ]]
|-
*[[ラッカセイ]]
| [[ブラジル]] || 1,801 || 2,005 || 3,058 || 3,172 || 3,456 || 5%
*[[クラスタマメ]]
|-
*[[ナタマメ]]
| [[オーストラリア]] || 23 || 174 || 2,171 || 1,955 || 2,527 || 4%
*[[キマメ]]
|-
| [[ロシア]] || 0 || 0 || 1,178 || 1,401 || 2,507 || 4%
|-
| [[エチオピア]] || 0 || 0 || 996 || 1,888 || 1,969 || 3%
|-
| [[ナイジェリア]] || 472 || 563 || 2,237 || 3,422 || 1,916 || 3%
|-
| [[ニジェール]] || 68 || 276 || 293 || 1,832 || 1,565 || 2%
|-
| 他161ヶ国 || 16,756 || 21,323 || 21,158 || 24,194 || 22,309 || 33%
|-
| (日本) || 373 || 95 || 104 || 78 || 71 ||
|}
2011年には米国は第11位で、このリストに入っていないが、2011年の米国の生産量が例年に比べ極端に少ない為で、米国は豆の大生産国であり2010年度は7番目であった。日本の生産量はその他に含む。


日本の1961年の生産量37万3千トンは世界で15番目であった。その大半はインゲン豆であったが、近年はインゲン豆の生産は2万トン前後で、小豆が最大の生産品種であり6-9万トンで推移している。小豆は4分の3、インゲン豆は9割が北海道で生産されている<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/seisan/seisan_yunyuu.html 「国内生産」] </ref>。
=== マメ科以外 ===
* [[コーヒー豆]]([[アカネ科]])
* [[カカオ|カカオ豆]]([[アオギリ科]]、[[APG植物分類体系]]では[[アオイ科]])
* [[メキシコトビマメ]]([[トウダイグサ科]])


=== 主な豆の生産量 ===
== 料理と加工食品 ==
[[画像:Phaseolus vulgaris seed.jpg|thumb|インゲン豆]]
=== [[大豆]] ===
{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
大豆および豆腐を使ったおもなレシピを以下に挙げる。より食材に近いものについては、[[ダイズ#さまざまな大豆加工食品]]を参照されたい。
|+ インゲンマメの生産量(千トン)
* [[冷奴]]
|-
* [[味噌田楽]]
! || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 ||
* [[湯豆腐]]
|-
** [[南禅寺豆腐]]
| 合計 || 11,228 || 13,712 || 17,659 || 23,136 || 23,250 || 100%
* [[半助豆腐]]
|-
* [[どじょう豆腐]]
| インド || 1,686 || 2,752 || 2,847 || 4,890 || 4,470 || 19%
* [[麻婆豆腐]]
|-
| ミャンマー || 137 || 275 || 1,285 || 3,000 || 3,722 || 16%
|-
| ブラジル || 1,745 || 1,968 || 3,038 || 3,159 || 3,435 || 15%
|-
| 中国 || 2,151 || 1,752 || 1,658 || 1,339 || 1,583 || 7%
|-
| [[米国]] || 896 || 1,212 || 1,204 || 1,442 || 900 || 4%
|-
| [[タンザニア]] || 80 || 250 || 540 || 868 || 676 || 3%
|-
| [[ケニヤ]] || 55 || 230 || 331 || 391 || 578 || 2%
|-
| [[メキシコ]] || 723 || 935 || 888 || 1,156 || 568 || 2%
|-
| [[ウガンダ]] || 100 || 133 || 420 || 455 || 464 || 2%
|-
| [[カメルーン]] || 42 || 98 || 175 || 354 || 380 || 2%
|-
| 他110ヶ国 || 3,614 || 4,106 || 5,272 || 6,083 || 6,474 || 28%
|}
: インゲン豆科は栽培種の数が多いこともあり、広い地域で栽培されている。2011年に米国とメキシコの生産量が激減していた。野菜と集計される生のインゲン豆は、2011年に20,394千トン生産されたが、これは完熟果である乾豆の23,250千トンに匹敵する量であるが、生(鞘も含まれ水分が大部分である。)と乾豆であり直接の比較は出来ない。作付面積は乾豆の2921万ヘクタールに対し、生用は約20分の1の154万ヘクタールであった<ref name=FAOSTAT/>。


[[画像:Sa-whitegreen-chickpea.jpg|thumb|ひよこ豆]]
=== [[ラッカセイ]] ===
{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
* [[ジーマーミ豆腐]]
|+ ヒヨコマメの生産量(千トン)
* [[ピーナツバター]]
|-
! || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 ||
|-
| 合計 || 7,682 || 4,854 || 8,009 || 10,964 || 11,624 || 100%
|-
| インド || 6,250 || 3,356 || 5,118 || 7,480 || 8,220 || 71%
|-
| オーストラリア || 0 || 0 || 162 || 602 || 513 || 4%
|-
| [[パキスタン]] || 610 || 313 || 565 || 562 || 496 || 4%
|-
| [[トルコ]] || 90 || 275 || 548 || 531 || 487 || 4%
|-
| ミャンマー || 36 || 38 || 84 || 441 || 467 || 4%
|-
| エチオピア || 0 || 0 || 165 || 285 || 323 || 3%
|-
| [[イラン]] || 60 || 84 || 242 || 268 || 290 || 2%
|-
| 米国 || 0 || 0 || 61 || 88 || 97 || 1%
|-
| カナダ || 0 || 0 || 388 || 128 || 91 || 1%
|-
| メキシコ || 135 || 153 || 234 || 132 || 72 || 1%
|-
| 他43ヶ国 || 501 || 634 || 443 || 448 || 567 || 5%
|}
: インドが飛び抜けた大生産国であり、世界生産量の7割を占める。


[[画像:Split pea.jpg|thumb|えんどう豆]]
=== [[リョクトウ]] ===
{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
* [[春雨 (料理)|春雨]]
|+ エンドウマメの生産量(千トン)
* [[モヤシ]](大豆も)
|-
! || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 ||
|-
| 合計 || 7,346 || 9,382 || 10,716 || 9,778 || 9,558 || 100%
|-
| カナダ || 29 || 76 || 2,864 || 3,018 || 2,116 || 22%
|-
| ロシア || 0 || 0 || 815 || 1,218 || 2,021 || 21%
|-
| 中国 || 2,970 || 2,300 || 1,020 || 911 || 1,190 || 12%
|-
| インド || 1,050 || 229 || 815 || 675 || 593 || 6%
|-
| [[フランス]] || 23 || 249 || 1,937 || 553 || 550 || 6%
|-
| オーストラリア || 21 || 66 || 456 || 280 || 395 || 4%
|-
| [[ウクライナ]] || 0 || 0 || 499 || 452 || 364 || 4%
|-
| エチオピア || 0 || 0 || 118 || 236 || 257 || 3%
|-
| 米国 || 161 || 194 || 158 || 645 || 255 || 3%
|-
| [[スペイン]] || 29 || 5 || 58 || 194 || 194 || 2%
|-
| 他86ヶ国 || 3,063 || 6,263 || 1,976 || 1,597 || 1,623 || 17%
|}
: ウクライナの1961・1980年の生産は旧[[ソ連]]で集計されている為にゼロ値となっている。野菜と集計される未熟果で生で流通するグリーンピースは含まれない。グリーンピースの2011年の生産量は16,974千トンと乾豆の倍近いが、作付面積は乾豆の621万ヘクタールの約3分の1の224万ヘクタールであった<ref name=FAOSTAT/>。


[[画像:BlackEyedPeas.JPG|thumb|ササゲ]]
=== [[インゲンマメ]] ===
{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
* [[フリホレス]]
|+ ササゲの生産量(千トン)
* [[フェジョアーダ]](ライマメ、ササゲも)
|-
* [[カスレ]]
! || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 ||
* [[チリコンカーン]]
|-
| 合計 || 870 || 1,188 || 3,271 || 6,879 || 4,928 || 100%
|-
| ナイジェリア || 431 || 510 || 2,150 || 3,368 || 1,861 || 38%
|-
| ニジェール || 50 || 266 || 269 || 1,774 || 1,517 || 31%
|-
| [[ブルキナファソ]] || 74 || 107 || 128 || 626 || 441 || 9%
|-
| ミャンマー || 10 || 8 || 77 || 215 || 218 || 4%
|-
| タンザニア || 16 || 39 || 110 || 152 || 173 || 4%
|-
| カメルーン || 0 || 0 || 70 || 146 || 152 || 3%
|-
| [[マリ]] || 20 || 20 || 100 || 129 || 133 || 3%
|-
| ウガンダ || 45 || 16 || 64 || 85 || 87 || 2%
|-
| ケニヤ || 0 || 0 || 38 || 72 || 82 || 2%
|-
| [[コンゴ民主共和国|DRコンゴ]] || 29 || 46 || 48 || 60 || 73 || 1%
|-
| 他23ヶ国 || 195 || 175 || 218 || 251 || 193 || 4%
|}
: ササゲの生産国の数は少なく、暑さに強い事から主に熱帯地域で生産されている。


[[画像:3 types of lentil.jpg|thumb|レンズ豆]]
=== [[ヒヨコマメ]] ===
{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
* [[ファラフェル]](ソラマメも)
|+ レンズマメの生産量(千トン)
* [[フムス]]
|-
! || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 ||
|-
| 合計 || 855 || 1,241 || 3,369 || 4,766 || 4,411 || 100%
|-
| カナダ || 0 || 26 || 914 || 1,947 || 1,532 || 35%
|-
| インド || 359 || 320 || 1,079 || 1,032 || 944 || 21%
|-
| トルコ || 84 || 195 || 353 || 447 || 406 || 9%
|-
| オーストラリア || 0 || 0 || 163 || 140 || 380 || 9%
|-
| 米国 || 10 || 98 || 137 || 393 || 215 || 5%
|-
| [[ネパール]] || 31 || 49 || 137 || 152 || 207 || 5%
|-
| 中国 || 0 || 0 || 116 || 125 || 150 || 3%
|-
| [[シリア]] || 34 || 83 || 73 || 77 || 112 || 3%
|-
| イラン || 29 || 41 || 78 || 100 || 99 || 2%
|-
| エチオピア || 0 || 0 || 59 || 124 || 81 || 2%
|-
| 他41ヶ国 || 308 || 430 || 259 || 229 || 286 || 6%
|}
: レンズマメは他の豆と比較して植物繊維・タンパク質の含有量が多く、脂質は約1%で、菜食のインドではキマメと共にダルの材料である。豆類の中で唯一1人あたりの供給量が増えている作物である。2000年以降生産量が急増しており、特にカナダの生産拡大が大きい。


[[File:Cajanus cajan Steve Hurst 1.jpg|thumb|キマメ]]
=== [[レンズマメ]] ===
{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
* [[コシャリ]]
|+ キマメの生産量(千トン)
|-
! || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 ||
|-
| 合計 || 2,228 || 1,966 || 3,259 || 3,852 || 4,406 || 100%
|-
| インド || 2,066 || 1,757 || 2,694 || 2,460 || 2,860 || 65%
|-
| ミャンマー || 32 || 21 || 182 || 773 || 837 || 19%
|-
| タンザニア || 10 || 23 || 84 || 166 || 273 || 6%
|-
| [[マラウイ]] || 52 || 76 || 99 || 193 || 196 || 4%
|-
| ウガンダ || 17 || 26 || 78 || 93 || 95 || 2%
|-
| ケニヤ || 0 || 0 || 66 || 103 || 84 || 2%
|-
| [[ドミニカ共和国|ドミニカ]] || 21 || 17 || 13 || 25 || 25 || 1%
|-
| ネパール || 6 || 10 || 22 || 19 || 14 || 0%
|-
| DRコンゴ || 3 || 4 || 6 || 6 || 7 || 0%
|-
| [[ハイチ]] || 3 || 4 || 2 || 2 || 3 || 0%
|-
| 他11ヶ国 || 19 || 29 || 12 || 12 || 12 || 0%
|}
: 熱帯の限られた国でしか生産されていない。ひよこ豆同様、インドが飛び抜けた大生産国である。


[[File:Vicia faba seeds 20101107.jpg|thumb|そら豆]]
=== [[キマメ]] ([[w:Pigeon pea|Pigeon pea]]) ===
{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
* [[サンバール]]
|+ ソラマメの生産量(千トン)
* [[ラッサム]]
|-
! || 1961 || 1980 || 2000 || 2010 || 2011 ||
|-
| 合計 || 4,843 || 4,494 || 3,722 || 4,086 || 4,032 || 100%
|-
| 中国 || 3,400 || 2,700 || 1,788 || 1,400 || 1,550 || 38%
|-
| エチオピア || 0 || 0 || 389 || 611 || 698 || 17%
|-
| オーストラリア || 0 || 9 || 253 || 250 || 350 || 9%
|-
| フランス || 55 || 65 || 70 || 483 || 345 || 9%
|-
| エジプト || 161 || 213 || 354 || 234 || 175 || 4%
|-
| 英国 || 2 || 69 || 180 || 160 || 134 || 3%
|-
| [[モロッコ]] || 60 || 104 || 33 || 149 || 134 || 3%
|-
| [[イタリア]] || 388 || 214 || 72 || 104 || 84 || 2%
|-
| [[チュニジア]] || 7 || 51 || 27 || 48 || 73 || 2%
|-
| [[ペルー]] || 24 || 22 || 49 || 67 || 65 || 2%
|-
| 他47ヶ国 || 747 || 1,047 || 508 || 580 || 427 || 11%
|}


; 油糧作物である大豆およびラッカセイ
=== その他 ===
: 搾油用や飼料用他に大量生産される大豆およびラッカセイの生産量は「豆類」とは別格である<ref name=FAOSTAT/>。
* [[餡]]
; 大豆の生産(2011年)
* [[甘納豆]]
: 大豆の生産量は全豆類の総生産量の約4倍の2億6千万トンで、主な生産国は米国(8317万トン)、ブラジル(7482万トン)、アルゼンチン(4888万トン)、中国(1449万トン)、インド(1228万トン)で、これら5ヶ国で世界の総生産量の9割を占める。
* [[ダルバート]](豆[[スープ]]のついた[[ネパール]]の定食)
; ラッカセイの生産(2011年)
* [[チョレント]]
: ラッカセイも豆類のなかでは最大生産品種であるインゲン豆の生産量の約1.4倍の3861万トンである。主な生産国は中国(1611万トン)、インド(693万トン)、ナイジェリア(296万トン)、米国(165万トン)、ミャンマー(139万トン)で、これら5ヶ国で世界の総生産量の4分の3を占める。
{{see also|植物油#油糧作物の生産量}}

=== 日本の豆の自給率 ===
'''大豆'''が最大の国内供給量の豆である。2009年の国内供給量は366万トンで国内生産量は23万トンで、自給率は6.3%であるが、大豆や僅かではあるが大豆油の他に192万トンの脱脂大豆を飼料用に輸入している。脱脂大豆の輸入も考慮すると自給率は4.1%まで下がる<ref name=FAOSTAT/>。

日本の大豆やラッカセイ以外の'''豆類'''の輸入量は約10万トンであり、日本の豆類の食料自給率は約4割である。主な輸入先はインゲンマメ類(約4万トン)がアメリカ(1万3千)中国(1万1千)カナダ(9千)ミャンマー(8千)から、小豆(約3万トン)が中国(2万5千)他から、エンドウマメ(1万6千トン)がカナダ(9千)イギリス(4千)などから、ソラマメ(約8千トン)が中国(7千)他からとなっている<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/seisan/seisan_yunyuu_01.html 「海外からの輸入」] </ref>。

'''アズキ'''は2004年の国産9万1千トンに対し、アズキの輸入3万3千トン(中国から2万5千トン)<ref name=yunyu>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/seisan/seisan_yunyuu_01.html 「海外からの輸入」] </ref>のほか約5千トンのアズキに似た竹小豆の輸入があり自給率は68%である。

'''インゲン豆'''は国産2万7千トンに対し、輸入は4万1千トンで、国内自給率は31%である<ref name=yunyu/>。

'''えんどう豆'''は輸入1万6千トンで自給率は4%、カナダから8.6千トン、イギリスから3.8千トン、中国から1.3千トンなどであった<ref name=yunyu/>。

'''そら豆'''は輸入7882トンで自給率は1%である。大半が中国から(6658トン)の輸入であった<ref name=yunyu/>。

その他の豆は国内生産・輸入とも僅かである。

== 利用 ==
[[ファイル:Kathmandu Durbar Square beans.jpg|thumb| [[カトマンズ]]で売られている様々な[[豆]]類]]
豆の大半は完熟したものが生産・加工・消費されているが、さやいんげん、グリーンピースや枝豆のように未熟果の状態で消費されるものや、モヤシのように発芽させたもの(スプラウト)を消費するものもある。未熟果やスプラウトは豆類ではなく、野菜として集計されるが、それらは作物の生産量のごく一部である。各国に豆料理があるが、多くは塩味であり、甘い煮豆は少ない。

豆は「渋味」や「苦味」といった味覚的な物を含む[[化学防衛]](→[[有毒植物]])を行っているものも多く、[[煮る]]・[[炊く]]・[[蒸す]]など味付けしない簡単な[[調理法]]では大量には食べ難い。このため主食として豆を主に消費する民族は[[ムギ|麦]]や[[米]]ないし[[芋]]に比べ少ないなど、食料資源としては利用し難い側面も存在する。しかし[[発酵]]させるなど様々に加工することで良質な食料資源として利用できることから、豆を原料とする様々な加工食品が存在しており、また豆の使われる料理も多岐に渡る。

経済的な理由から動物性蛋白質を得ることが難しい人々や、[[ベジタリアニズム|ベジタリアン]]など信条的に動物性蛋白の摂取を避けている人々にとっては、非常に重要な蛋白源である。特に豆由来の蛋白質は低[[コレステロール]]で[[必須アミノ酸]]をバランス良く含んでいるため、健康上の理由などで高蛋白・低コレステロール食を求める向きには[[健康食品]]の範疇で豆を原料としたものも多く出回っている。この中には[[トーファーキー]]や[[台湾素食]]のように、食べ応えにも配慮された加工食品もみられる。

2R,5R-ビス(ジヒドロキシメチル)-3R,4R-ジヒドロキシピロリジンを含む[[マメ科]]植物には、[[血糖値]]の上昇を抑制する効果のある[[α-グルコシダーゼ]]阻害作用を有するものがあり<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/40/3/40_3_172/_pdf 薬用食物の糖尿病予防成分]、吉川雅之、化学と生物Vol.40、No.3、2002</ref>、[[アズキ]]、[[インゲンマメ]]、[[コクリョクトウ]]、[[リョクトウ]]、[[黒大豆]]の順でその活性が高かった。[[エンドウ]]及び[[ダイズ]]ではほとんどその活性を示さなかった<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/54/12/54_12_563/_pdf 豆類ポリフェノールの抗酸化活性ならびにα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ阻害活性]、齋藤優介ほか、日本食品科学工学会誌、Vol.54(2007) No.12</ref>。

=== 1人あたりの消費量 ===
正確には食料供給量であるが、豆類(大豆、ラッカセイを含まず)は165ヶ国で食用にされており、1人1日あたりの豆供給量世界平均は1961年には26gであったが、1960年代・70年代と徐々に減少し1974年に18gになって以降は横ばいである。日本の場合は1960年代は10g前後であったが、70年代に減り始め(食文化の変化)、1977年に5gとなってからは4-6gで推移している。日本の5g/人/日は世界で131番目である。豆の消費の多い国では1人1日数十グラムであり、日本の10倍近い消費がある<ref name=FAOSTAT/>。

2009年実績で豆消費の多い国は、[[ニジェール]]・[[ルワンダ]]の88g/人/日、[[ブルンジ]]86g/人/日、[[キューバ]]85g/人/日のほか、[[ブラジル]]46g/人/日、[[カナダ]]22g/人/日、[[北朝鮮]]34g/人/日、[[エチオピア]]54g/人/日、[[インド]]34g/人/日、[[ケニヤ]]42g/人/日、[[メキシコ]]34g/人/日、[[ペルー]]23g/人/日、[[トルコ]]31g/人/日などがある。

日本のように豆消費の少ない国には、[[中国]]3g/人/日(1961年は30g/人/日)、[[フランス]]5g/人/日、[[ドイツ]]2g/人/日、[[インドネシア]]3g/人/日、[[韓国]]4g/人/日(昔から少ない)、[[ロシア]]5g/人/日などがある。

意外に日本より多い国に、チェコ8g/人/日、イタリア16g/人/日、スペイン18g/人/日、英国8g/人/日、米国12g/人/日、オーストラリア10g/人/日などがあった。

大豆を搾油以外で食用(加工用も含め)にしている国は59ヶ国で、世界平均が4g/人/日で、多い国はトルコ23g/人/日、日本と韓国が21g/人/日、ルワンダが14g/人/日、北朝鮮が11g/人/日、中国とボツワナが10g/人/日、ブラジルが9g/人/日であった<ref name=FAOSTAT/>。

ラッカセイは145ヶ国で食用にされており、世界平均が4g/人/日で、多い国は[[チャド]]39g/人/日、[[ブルキナファソ]]34g/人/日、[[ガボン]]21g/人/日で、他のアフリカの国で10g/人/日前後のほか、米国9g/人/日、中国・インドネシア・ミャンマー・カナダ他が7g/人/日であった。日本は2g/人/日であった<ref name=FAOSTAT/>。

日本や中国、韓国の特色は大豆の大量食用消費国であるが他の豆類(小豆を含む)の消費は少ないという点である。
主な生産国の節で日本の豆類の自給率が約4割と記述したが、これは消費の少ない「豆類」についてであり、大豆に関しては、総需要(内訳油糧用71%・食用24%)に対する自給率は5-6%でしかなく、食用の用途別の大豆自給率で見ても[[豆腐]]25%、[[納豆]]19%、[[味噌]]・[[醤油]]は9%でしかない。[[煮豆]]や[[惣菜]]に関しては国産使用率が高く84%、6粒に5粒は国産大豆である<ref>農林水産省 [http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/pdf/daizu_doukou.pdf 「大豆をめぐる最近の動向について H22-1」] </ref>。

=== 栄養価 ===
豆は[[炭水化物]]、[[植物繊維]]、[[タンパク質]]を豊富に含み、主に炭水化物である主食(穀物)を良く補完する食材である。食肉の消費が少ない地域では貴重なタンパク源である。多くの豆は[[脂質]]の含有量は多くはないが、ラッカセイと大豆は含油率が高く、主に搾油用に生産されている。

{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto;"
|+ 豆の栄養価(100gあたりのグラム数)
! rowspan="2" | 作物 || colspan="2" | 炭水化物 || rowspan="2" | タンパク質 || rowspan="2" | 脂質
|-
! 合計 || 植物繊維

|-
| インゲンマメ || 61.29 || 15.20 || 22.53 || 1.06
|-
| ヒヨコマメ || 60.65 || 17.40 || 19.30 || 6.04
|-
| エンドウマメ || 60.37 || 25.50 || 24.55 || 1.16
|-
| ササゲ || 60.03 || 10.60 || 23.52 || 10.60
|-
| レンズマメ || 60.08 || 30.50 || 25.80 || 1.06
|-
| キマメ || 62.78 || 15.00 || 21.70 || 1.49
|-
| ソラマメ || 58.29 || 25.00 || 26.12 || 1.53
|-
| ルピナス || 40.37 || 18.90 || 36.17 || 9.74
|-
! colspan="5" | 油糧作物
|-
| 大豆 || 30.16 || 9.30 || 36.49 || 19.94
|-
| ラッカセイ || 16.13 || 8.50 || 25.80 || 49.24
|-
! colspan="5" | 穀物
|-
| 精白米 || 79.95 || 1.30 || 7.13 || 0.66
|-
| 小麦粉 || 76.31 || 2.70 || 10.33 || 0.98
|-
| トーモロコシ || 74.26 || 7.30 || 9.42 || 4.74
|-
! colspan="5" | イモ類
|-
| ジャガイモ(生、皮付) || 18.07 || 1.30 || 2.14 || 0.08
|}
ジャガイモは生で水分が約8割であり他の数値と直接は比較できないが、4倍した値が他の穀物と近い値になる。

== 料理と加工食品 ==
{{Multiple image|width=200|direction=vertical
|image1=Tadka Dal.jpg
|caption1=ダール(インドのレンズ豆料理)
|image2=Blackbeanstew.jpg
|caption2=フリホレス(メキシコのインゲンマメの煮豆)
|image3=BakedBeansAndEggOnToast.jpg
|caption3=ベイクドビーンズとトースト、英・米のインゲン豆料理
|image4=Couscous-1.jpg
|caption4=クスクスとひよこ豆
|image5=Choleindia.jpg
|caption5=[[:en:Chana masala]]インド・プンジャブの料理(ひよこ豆)}}

; 大豆
大豆は世界レベルでは油糧作物であるが、東アジアにおいては重要な食用豆でもある。未熟果([[枝豆]])や完熟果が食用にされ、[[味噌]]、[[醤油]]、[[豆腐]]、[[納豆]]など様々な食品へ加工もされる。詳細は[[ダイズ#さまざまな大豆加工食品]]および[[豆腐#豆腐料理]]を参照。

; ラッカセイ
: [[ジーマーミ豆腐]] - [[沖縄料理]]
: [[ピーナツバター]]

; リョクトウ
: [[春雨 (料理)|春雨]]
: [[モヤシ]](大豆も)

; インゲンマメ
: [[フリホレス]] - [[ラテンアメリカ]]の料理
: [[フェジョアーダ]](ライマメ、ササゲも) - [[ブラジル料理|ブラジル]]など[[ポルトガル]]語圏の料理
: [[チリコンカーン]] - [[テクス・メクス料理]]
: [[ファバーダ]] - [[スペイン料理]]
: [[カスレ]] - [[フランス料理]]
: [[ベイクドビーンズ]] - [[イギリス料理]]・[[アメリカ料理]]、甘めの味付けであるが、日本の煮豆の豆1カップと[[砂糖]]0.83カップほど甘くはなく<ref>楽天レシピ [http://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1500004721/ 「金時豆の甘煮」] </ref>、豆1カップと砂糖1/8カップ、塩茶さじ1杯の甘辛い味付けである<ref>allrecipes.com [http://allrecipes.comhttp://allrecipes.com/recipe/boston-baked-beans/ Boston Baked Beans] </ref>。
: アトーレ(''[[:es:Atole|(西)Atole]]'')、メキシコから中米にかけてのトウモロコシや豆から作られた[[汁粉]]のような甘い飲み物。

; ヒヨコマメ
: [[ファラフェル]](ソラマメも) - 西アジアの料理
: [[フムス]] - 西アジアから東地中海沿岸の料理
: [[パコラ]] - [[インド料理]]

; ソラマメ
: [[豆板醤]] - 四川料理
: [[ファラフェル]] - 西アジア料理 
: [[フール]](''[[:en:Ful_medames]]'') - [[エジプト料理|エジプト]]<ref>エジプト大使館 [http://www.egypt.or.jp/basic/food.html 「エジプト料理」] </ref>・スーダン料理
: ''[[:en:Judd_mat_Gaardebounen]]'' - ルクセンブルク料理

; レンズマメ
豆の平たい形から水に浸して戻す必要がなく<ref>豆類協会 [http://www.mame.or.jp/cooking/kotsu_01.html 「豆の戻し方」] </ref>、ゆで時間も35-40分と短い。唯一ひとりあたりの生産量が増大している豆で、1961年から2009年にかけて一人あたりの供給量が倍になった。
: [[コシャリ]] - [[エジプト料理]]
: [[ダール]](キマメも) - インド料理
: [[パーパド]](ひよこ豆も) - インドの平パンの一つ

; キマメ
: [[サンバール]] - インド料理
: [[ラッサム]] - インド料理

; その他
: [[餡]]
: [[甘納豆]]
: [[ダルバート]](豆[[スープ]]のついた[[ネパール]]の定食)
: [[チョレント]]

== 表現 ==
[[接頭語]]的な用法としては、主に規模が小さく小型であるさま(豆[[電球]]、[[豆台風]]、豆[[機関車]]、[[豆戦車]]など)や、子供であること(豆剣士や豆記者など)の意を表す。[[昆虫]]などの和名([[チビクワガタ属#種類|マメクワガタ]]など)にもしばしば用いられる。

また、気が小さいことや、繊細などの性格を現すこともある。ただし「まめ」と書くと勤勉であるとか根気強いなどの意味があり、「豆」という語で表されるものとはやや異なる。

[[落花生]]を[[寒梅粉]]の生地で包み焼いた豆菓子は、中年の男性からは「豆」と呼ばれることが多い。

[[肉刺]]も「マメ」と読むが、大きさや形状的に豆に似ている。また豆は比較的ありふれた食材であることから、一般的なサイズ比較や形状の形容詞にもつかわれる。例えば[[軟膏剤|軟膏]]の使用適量を表す際に「小豆大」(あずきだい)と表現したり、[[腎臓]]の形状を指してソラマメ型などという。英語には直訳すると腎臓豆となる''[[:en:Kidney Bean|Kidney Bean]]''という単語がある。

=== 単語 ===
* [[豆知識]]
* [[豆炭]]
* [[豆単]] - [[赤尾好夫]]の「英語基本単語集」(ISBNコード:9784010312223)の俗称。

=== 慣用句 ===
* 「煎り豆に花が咲く」 - 衰えていたものが復活する事、あり得ないことが起きるたとえ。
* 「豆を植えて稗を得る」 - 期待した結果が得られないこと
* 「豆を煮るにまめがらを焚く」 - [[魏]]の[[曹植]](そうしょく)が兄の[[曹丕]](そうひ)([[文帝]])からの難題をおしつけられた[[故事]]から、兄弟や仲間どうしで傷つけあう様。
* 「鳩を憎み豆を作らぬ」 - 些細なことにこだわり、大事なことをしないこと。
* 「鳩が豆鉄砲を食らったよう」 - 突然の出来事に驚き、あっけに取られる様。
* 「戸板に豆」 - 思い通りにならないたとえ。
* 「寸馬豆人(すんば・とうじん)」 - [[山水画]]で遠景の小さな人馬のこと。

* 「女の中の豆炒り」 - [[紅一点]]またはその逆
* 「陰裏の豆もはじけ時」・「日陰の豆も時が来れば爆ぜる」 - どんな娘も年頃になると色気づく
* 「陰裏豆」 - 街頭で客引きをする女。街娼


==脚注==
==脚注==
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* [http://www.mame.or.jp/ 豆類協会]
* [http://www.mame.or.jp/ 豆類協会]


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2013年7月29日 (月) 05:24時点における版

生産量の多いインゲン豆

(まめ、: Bean, Legume)とは、マメ科植物種子のことで、特に食用・加工用に利用される大豆隠元豆ひよこ豆などの総称である[1]。豆は菽穀類(しゅこくるい、: Pulses, Pulse crops)と言われ広義の穀物に含まれる。また小さいものや形の似たものを豆と表現する。(後述

概要

莢に詰まった豆

マメ科植物の果実は、豆果であり、雌蕊子房心皮が成長して形成された鞘の中に種子がある。種子は胚乳が発達せず、子葉が発達して栄養を蓄える[1]。対して、イネ科の植物は栄養を胚乳に蓄える[2]。鞘を形成する莢果(きょうか)で[3]、果皮が乾燥した乾果である。完熟すると鞘がさける裂開果(れっかいか)や[4]、鞘が種子毎に仕切られ完熟すると仕切り毎に別れる節果(せつか)などがある[5]

豆はマメ科植物の種子であるが、他の植物の種子より大きく栄養豊富であることから、人間を含む多くの動物にとって重要な食料となっている。

様々なマメが古代より世界各地で栽培されてきた。他の穀物ほど水を必要としない(→仮想水)為、栽培適応地も広範囲であり、比較的丈夫な皮を持つことから収穫後に乾燥させても粒割れを起こさずカビ昆虫による食害も受け難いなど保存・貯蔵面の利点がある。現在にいたるまで、各国で豆料理や豆の加工食品が利用されている。反面、殆どが炭水化物であるコメ小麦トウモロコシイモ類などと比べ、味などの面で癖が強い(味がある)、単位面積あたりの収量が劣り、調理にも長時間かかる事などから、豆を主食とする民族は少ないが、高栄養価でもあり、主食穀物イモ類につぐ重要な食材となっている。

歴史

「豆を食べる男」(16世紀後半) アンニーバレ・カラッチ

食用の豆類の3分の1を占めるインゲン豆は、メキシコで紀元前4000年頃のものが見つかっており、メソアメリカが原産と考えられている。2012年にゲノム分析からメソアメリカが原産とする報告があった[6]。その後、南北アメリカ大陸へ広まり、スペイン人のアメリカ大陸への進出後は世界に広まった。南米原産のラッカセイもスペインおよびポルトガルにより世界へ広まった。エンドウマメレンズ豆ソラマメメソポタミア周辺の西アジアが原産で、陸路で古くから各地へ広まった[7]大豆中国が原産で、古代より日本を含め東アジア東南アジアへ広まったが、ヨーロッパへは18世紀に、アメリカ州へは19世紀に伝わった。現在、米国ブラジルアルゼンチンは大豆の大生産国であるが、大豆の生産は20世紀に入り飼料作物として栽培され始めたものである[8]

日本へは、中国原産の大豆が紀元前(弥生時代初期)に伝来、小豆は3世紀頃にはすでに利用されていた。小豆は中国が原産と考えられているが、小豆の祖先と考えられる野生種ヤブツルアズキ(V.angularis var. nipponensis(Ohwi) Ohwi & Ohashi)が日本からヒマラヤまでの地域で見つかっており、小豆の原産地の再検討が必要となっている[9]。西アジア原産のソラマメとエンドウマメは中国経由で8世紀頃、ササゲが9世紀頃、アメリカ大陸原産の作物は16世紀半ばに始まった南蛮貿易で日本へ紹介された可能性はあるが、インゲンマメ(隠元豆)は中国経由で17世紀に、ラッカセイ(南京豆)はフィリッピン・中国経由で18世紀頃に伝来したというのが通説となっている[10]

種類

豆は植物分類学上はマメ科に属する植物の種子であり、マメ科には650属、18,000種があるが、ヒトが利用しているのはその一部である[11]。マメ科の植物は熱帯から亜寒帯乾燥地帯から湿潤地帯、海抜ゼロメートル地帯から高山までと広い地域に分布している。形態も1年生草本植物から多年生木本植物まである[12]

作物の豆は国内外の食料の生産集計などで二つに分類されている。多くの豆は重量の約60%が炭水化物で、タンパク質を約25%含み、脂質の含有率は僅かで、主に食用にされる[13]。これらが「食用豆」である。もう一つの分類は、含油率が高い豆で搾油用の作物であり、「油糧作物」に含まれる。大豆はタンパク質を36%、炭水化物を30%、脂質を20%含んでおり、ラッカセイは50%が脂質、タンパク質が26%、炭水化物は16%で、この二つは油糧作物に分類されている。以下の記述では、「豆類」と大豆およびラッカセイは分けて記述する。

インゲンマメ属・インゲンマメ種(Phaseolus vulgaris
純食用の豆類の中の最大生産品種で、多くの栽培種が有り、大きさも大小、色も単色の白、黒、赤ほか、斑紋入りのものなど様々である[14]。原産地はラテンアメリカであり、スペイン語でFrijol(フリホル)と呼ばれるが、フリホルは現地語起源ではなく、学名になっているラテン語Phaseolusが起源で、古代西アジア原産の豆を示していた。インゲン豆は英語ではCommon Bean(一般の豆)とも呼ばれ、国際連合食糧農業機関(FAO)の集計では単にBeans, dryと表示されている[15]
キドニービーン(英en:Kidney bean
代表的な豆の一つで大粒の腎臓型であずき色である。金時豆に似ているが異なる栽培種であり日本では生産されていない[11]
金時豆 
赤インゲンとも
白いんげん
大福豆(おおふくまめ)、手亡(てぼう)、白金時
ブラック・ビーン(: Black bean)、フリホル・ネグロ(西: Frijol Negro
ブラック・タートル・ビーン(英en:Black turtle bean)とも、小粒の黒い豆でメキシコや中米フリホレスブラジルフェジョアーダに使われる。日本の黒豆(黒大豆)に似ているが属も種も異なる。
うずら豆: pinto bean
代表的な豆の一つ。斑紋入り
とら豆
斑紋入り
ライマメ: lima bean, butter bean
インゲンマメ属・ベニバナインゲン種
ベニバナインゲン、白花豆、紫花豆
エンドウ属
えんどう豆: Pea, dry)、青えんどう、赤えんどう
キマメ属
キマメ(英)Pigeon Pea) - 熱帯の豆でインドでダールに使われる。
ササゲ属・ササゲ種
緑豆ささげ: Cow pea, black-eyed pea)、赤いササゲは小豆によく似ている。関東以南で栽培されており、沖縄で作られている「黒小豆」は「ささげ」である[16]
ササゲ属・アズキ種
あずき、大納言、竹小豆(ツルアズキ)はアズキによく似たササゲ属の豆でタイ、ミャンマーなどから輸入されている[17]
ソラマメ属
そら豆: Broad bean
ダイズ属
大豆青大豆、黒大豆(黒豆
ヒヨコマメ属
ひよこ豆: Chick pea)、ガルバンソ(西: Garbanzo)日本での生産は殆ど無く、輸入も950トンと少ない[17]
ヒラマメ属
レンズ豆、ヒラ豆、レンティル(: Lentil
ラッカセイ属
落花生
ルピナス属
ルピナス豆(: lupin bean) - 大豆と同様にタンパク質の含有率が高い(36%)が、脂質は大豆の半分の9.7%である。

マメ科以外の植物の種子で通常豆と呼ばれるもの。コーヒー豆アカネ科)、カカオ豆アオイ科)、メキシコトビマメトウダイグサ科

生産

豆は他の栽培植物と比較して、寒さに強くなど成長に必要な水分を多く必要としない。このためコメ小麦などを栽培することができない乾燥帯冷帯亜寒帯)の地域で栽培が盛んである。

マメ科の植物は根に窒素固定を行う根粒菌が共生しているため、マメ科以外の作物を栽培した後に土壌から失われた窒素分を補充する目的で豆を輪作することも多く、化学肥料を用いない有機農業では特に重要である。

マメ科の豆は球形または球が潰れた形をした種子と、それを複数個を個々に包んだ莢(果皮にあたる)からなり、種類によって種子部分のみを食べる作物と莢ごと食べる作物がある。なお、マメ科以外の豆はそれぞれの植物の種子部分である。

豆は良質な食料資源であり、また水資源をそれほど必要としないことから、穀倉地帯での作付面積も主食穀物や綿など繊維原料と並んで広い傾向がある。

豆はヒトにとって古代より主食である穀類を補完する重要な食料であったが、近年の食の多様化、飽食化により、殆どの食材の一人あたりの消費量が増加している中で、ジャガイモキャッサバなどの根菜類とともに豆類の消費量は減少傾向にある。国際連合食糧農業機関(FAO)の集計では、1961年から2009年にかけて、植物性食料の1人1日あたりの供給量は1035グラムから1391グラムへと34%増加したが、根菜類は212gから167gへと21%減少、豆類(大豆、ラッカセイを含まない)は26gから18gへと31%減少した。なお油糧作物として集計されている大豆の直食用は4gで変動なし、ラッカセイは2gから4gへ増加した[18]

豆類の生産は1961年の作付面積6401万ヘクタール、収穫量4078万トンから、2011年には7807万ヘクタール、6784万トンへと増加した。ただしこの間に世界人口は約2.3倍になっており一人あたりの生産量は減少したことになる。2011年の生産量の多い豆はインゲン豆属(Phaseolus)2325万トン、ヒヨコ豆1162万トン、乾燥エンドウマメ956万トン、ササゲ493万トン、レンズ豆441万トン、キマメ441万トン、ソラマメ403万トンなどであった。

油糧作物である大豆とラッカセイは味噌や醤油などへの加工用を含む直食用の消費もあるが[19]、搾油用途に比べ少ない。2009年の大豆の生産量は豆類とは桁違いの2億2318万トンであったが約2億トンは主に搾油用の加工用で、直食用は4.9%の1083万トンでしかなく、大豆油の食用2251万トンを含めても3334万トンで総生産量の14%でしかない。大豆は油糧作物の中では含油率が約2割と低く、大量の搾りかす(脱脂大豆)が発生するが、「かす」と呼ぶには相応しくないほど、大量のタンパク質と炭水化物を含んでおり、飼料用に使われる。飼料として消費された大豆は1億5838万トンで総生産量の68%を占めており、重量の点から見れば、大豆は油糧作物というより飼料作物である[18]

ラッカセイの場合はヒトの食用の率が大豆より高く、総供給量(むき身換算)2563万トンのうち、搾油用は1341万トン(52%)直食用は916万トン(36%)で、ラッカセイ油の食用433万トンを含めると1348万トン(53%)が食用となっている。対して飼料用は681万トン(27%)であった[18]。大豆とラッカセイは大半が搾油用であるため、他の豆類と別集計されているが、大豆の直食用はインゲン豆、ひよこ豆に次ぐ量であり、ラッカセイもえんどう豆に次ぐ量である。

豆の種類別の総生産量(千トン)
作物 1961 1980 2000 2010 2011 備考
豆類合計 40,783 40,805 55,601 68,829 67,839 増加率は人口増より小さい。
インゲンマメ 11,228 13,712 17,659 23,136 23,250
ヒヨコマメ 7,682 4,854 8,009 10,964 11,624
エンドウマメ 7,346 9,382 10,716 9,778 9,558
レンズマメ 855 1,241 3,369 4,766 4,411 50年で約5倍、唯一人口増を上回る。
キマメ 2,228 1,966 3,259 3,852 4,406
ソラマメ 4,843 4,494 3,722 4,086 4,032
ルピナス 631 333 1,226 1,033 1,107
その他 5,970 4,822 7,639 11,215 9,450
油糧作物(大半が搾油用である)
大豆 26,883 81,040 161,290 264,973 260,916 総生産量
(大豆食用) 4,203 6,521 9,595 10,831 - 注)2009年の値
(大豆油) 2,633 11,035 19,389 22,509 - 注)2009年の値
ラッカセイ 14,134 16,891 34,728 41,894 38,614 殻付[20]、総生産量
(食用、むき身) 2,455 3,735 8,300 9,157 - 注)2009年の値
(ピーナッツオイル) 2,124 2,898 4,524 4,326 - 注)2009年の値
穀物
トウモロコシ 205,028 396,623 592,479 850,445 883,460 生産量の比較用。

主な生産国

豆類は世界の171の国または地域で生産されている。豆の生産量が特に多い国はインドで豆類の総生産量の26%(1779万トン)はインドで、2番目がミャンマーの8%(531万トン)、3番目が中国の7%(461万トン)であった。21世紀に入り、カナダオーストラリアニジェールなどの生産が拡大している。なおロシアおよびエチオピアは政変により国土が変わった為、過去の数値が計上されていない[18]

豆類の生産量(千トン)
1961 1980 2000 2010 2011
合計 40,783 40,805 55,601 68,829 67,839 100%
インド 12,860 9,167 13,713 17,236 17,787 26%
ミャンマー 222 355 1,658 4,492 5,311 8%
中国 8,521 6,752 4,696 3,891 4,610 7%
カナダ 61 188 4,443 5,347 3,883 6%
ブラジル 1,801 2,005 3,058 3,172 3,456 5%
オーストラリア 23 174 2,171 1,955 2,527 4%
ロシア 0 0 1,178 1,401 2,507 4%
エチオピア 0 0 996 1,888 1,969 3%
ナイジェリア 472 563 2,237 3,422 1,916 3%
ニジェール 68 276 293 1,832 1,565 2%
他161ヶ国 16,756 21,323 21,158 24,194 22,309 33%
(日本) 373 95 104 78 71

2011年には米国は第11位で、このリストに入っていないが、2011年の米国の生産量が例年に比べ極端に少ない為で、米国は豆の大生産国であり2010年度は7番目であった。日本の生産量はその他に含む。

日本の1961年の生産量37万3千トンは世界で15番目であった。その大半はインゲン豆であったが、近年はインゲン豆の生産は2万トン前後で、小豆が最大の生産品種であり6-9万トンで推移している。小豆は4分の3、インゲン豆は9割が北海道で生産されている[21]

主な豆の生産量

インゲン豆
インゲンマメの生産量(千トン)
1961 1980 2000 2010 2011
合計 11,228 13,712 17,659 23,136 23,250 100%
インド 1,686 2,752 2,847 4,890 4,470 19%
ミャンマー 137 275 1,285 3,000 3,722 16%
ブラジル 1,745 1,968 3,038 3,159 3,435 15%
中国 2,151 1,752 1,658 1,339 1,583 7%
米国 896 1,212 1,204 1,442 900 4%
タンザニア 80 250 540 868 676 3%
ケニヤ 55 230 331 391 578 2%
メキシコ 723 935 888 1,156 568 2%
ウガンダ 100 133 420 455 464 2%
カメルーン 42 98 175 354 380 2%
他110ヶ国 3,614 4,106 5,272 6,083 6,474 28%
インゲン豆科は栽培種の数が多いこともあり、広い地域で栽培されている。2011年に米国とメキシコの生産量が激減していた。野菜と集計される生のインゲン豆は、2011年に20,394千トン生産されたが、これは完熟果である乾豆の23,250千トンに匹敵する量であるが、生(鞘も含まれ水分が大部分である。)と乾豆であり直接の比較は出来ない。作付面積は乾豆の2921万ヘクタールに対し、生用は約20分の1の154万ヘクタールであった[18]
ひよこ豆
ヒヨコマメの生産量(千トン)
1961 1980 2000 2010 2011
合計 7,682 4,854 8,009 10,964 11,624 100%
インド 6,250 3,356 5,118 7,480 8,220 71%
オーストラリア 0 0 162 602 513 4%
パキスタン 610 313 565 562 496 4%
トルコ 90 275 548 531 487 4%
ミャンマー 36 38 84 441 467 4%
エチオピア 0 0 165 285 323 3%
イラン 60 84 242 268 290 2%
米国 0 0 61 88 97 1%
カナダ 0 0 388 128 91 1%
メキシコ 135 153 234 132 72 1%
他43ヶ国 501 634 443 448 567 5%
インドが飛び抜けた大生産国であり、世界生産量の7割を占める。
えんどう豆
エンドウマメの生産量(千トン)
1961 1980 2000 2010 2011
合計 7,346 9,382 10,716 9,778 9,558 100%
カナダ 29 76 2,864 3,018 2,116 22%
ロシア 0 0 815 1,218 2,021 21%
中国 2,970 2,300 1,020 911 1,190 12%
インド 1,050 229 815 675 593 6%
フランス 23 249 1,937 553 550 6%
オーストラリア 21 66 456 280 395 4%
ウクライナ 0 0 499 452 364 4%
エチオピア 0 0 118 236 257 3%
米国 161 194 158 645 255 3%
スペイン 29 5 58 194 194 2%
他86ヶ国 3,063 6,263 1,976 1,597 1,623 17%
ウクライナの1961・1980年の生産は旧ソ連で集計されている為にゼロ値となっている。野菜と集計される未熟果で生で流通するグリーンピースは含まれない。グリーンピースの2011年の生産量は16,974千トンと乾豆の倍近いが、作付面積は乾豆の621万ヘクタールの約3分の1の224万ヘクタールであった[18]
ササゲ
ササゲの生産量(千トン)
1961 1980 2000 2010 2011
合計 870 1,188 3,271 6,879 4,928 100%
ナイジェリア 431 510 2,150 3,368 1,861 38%
ニジェール 50 266 269 1,774 1,517 31%
ブルキナファソ 74 107 128 626 441 9%
ミャンマー 10 8 77 215 218 4%
タンザニア 16 39 110 152 173 4%
カメルーン 0 0 70 146 152 3%
マリ 20 20 100 129 133 3%
ウガンダ 45 16 64 85 87 2%
ケニヤ 0 0 38 72 82 2%
DRコンゴ 29 46 48 60 73 1%
他23ヶ国 195 175 218 251 193 4%
ササゲの生産国の数は少なく、暑さに強い事から主に熱帯地域で生産されている。
レンズ豆
レンズマメの生産量(千トン)
1961 1980 2000 2010 2011
合計 855 1,241 3,369 4,766 4,411 100%
カナダ 0 26 914 1,947 1,532 35%
インド 359 320 1,079 1,032 944 21%
トルコ 84 195 353 447 406 9%
オーストラリア 0 0 163 140 380 9%
米国 10 98 137 393 215 5%
ネパール 31 49 137 152 207 5%
中国 0 0 116 125 150 3%
シリア 34 83 73 77 112 3%
イラン 29 41 78 100 99 2%
エチオピア 0 0 59 124 81 2%
他41ヶ国 308 430 259 229 286 6%
レンズマメは他の豆と比較して植物繊維・タンパク質の含有量が多く、脂質は約1%で、菜食のインドではキマメと共にダルの材料である。豆類の中で唯一1人あたりの供給量が増えている作物である。2000年以降生産量が急増しており、特にカナダの生産拡大が大きい。
キマメ
キマメの生産量(千トン)
1961 1980 2000 2010 2011
合計 2,228 1,966 3,259 3,852 4,406 100%
インド 2,066 1,757 2,694 2,460 2,860 65%
ミャンマー 32 21 182 773 837 19%
タンザニア 10 23 84 166 273 6%
マラウイ 52 76 99 193 196 4%
ウガンダ 17 26 78 93 95 2%
ケニヤ 0 0 66 103 84 2%
ドミニカ 21 17 13 25 25 1%
ネパール 6 10 22 19 14 0%
DRコンゴ 3 4 6 6 7 0%
ハイチ 3 4 2 2 3 0%
他11ヶ国 19 29 12 12 12 0%
熱帯の限られた国でしか生産されていない。ひよこ豆同様、インドが飛び抜けた大生産国である。
そら豆
ソラマメの生産量(千トン)
1961 1980 2000 2010 2011
合計 4,843 4,494 3,722 4,086 4,032 100%
中国 3,400 2,700 1,788 1,400 1,550 38%
エチオピア 0 0 389 611 698 17%
オーストラリア 0 9 253 250 350 9%
フランス 55 65 70 483 345 9%
エジプト 161 213 354 234 175 4%
英国 2 69 180 160 134 3%
モロッコ 60 104 33 149 134 3%
イタリア 388 214 72 104 84 2%
チュニジア 7 51 27 48 73 2%
ペルー 24 22 49 67 65 2%
他47ヶ国 747 1,047 508 580 427 11%
油糧作物である大豆およびラッカセイ
搾油用や飼料用他に大量生産される大豆およびラッカセイの生産量は「豆類」とは別格である[18]
大豆の生産(2011年)
大豆の生産量は全豆類の総生産量の約4倍の2億6千万トンで、主な生産国は米国(8317万トン)、ブラジル(7482万トン)、アルゼンチン(4888万トン)、中国(1449万トン)、インド(1228万トン)で、これら5ヶ国で世界の総生産量の9割を占める。
ラッカセイの生産(2011年)
ラッカセイも豆類のなかでは最大生産品種であるインゲン豆の生産量の約1.4倍の3861万トンである。主な生産国は中国(1611万トン)、インド(693万トン)、ナイジェリア(296万トン)、米国(165万トン)、ミャンマー(139万トン)で、これら5ヶ国で世界の総生産量の4分の3を占める。

日本の豆の自給率

大豆が最大の国内供給量の豆である。2009年の国内供給量は366万トンで国内生産量は23万トンで、自給率は6.3%であるが、大豆や僅かではあるが大豆油の他に192万トンの脱脂大豆を飼料用に輸入している。脱脂大豆の輸入も考慮すると自給率は4.1%まで下がる[18]

日本の大豆やラッカセイ以外の豆類の輸入量は約10万トンであり、日本の豆類の食料自給率は約4割である。主な輸入先はインゲンマメ類(約4万トン)がアメリカ(1万3千)中国(1万1千)カナダ(9千)ミャンマー(8千)から、小豆(約3万トン)が中国(2万5千)他から、エンドウマメ(1万6千トン)がカナダ(9千)イギリス(4千)などから、ソラマメ(約8千トン)が中国(7千)他からとなっている[22]

アズキは2004年の国産9万1千トンに対し、アズキの輸入3万3千トン(中国から2万5千トン)[23]のほか約5千トンのアズキに似た竹小豆の輸入があり自給率は68%である。

インゲン豆は国産2万7千トンに対し、輸入は4万1千トンで、国内自給率は31%である[23]

えんどう豆は輸入1万6千トンで自給率は4%、カナダから8.6千トン、イギリスから3.8千トン、中国から1.3千トンなどであった[23]

そら豆は輸入7882トンで自給率は1%である。大半が中国から(6658トン)の輸入であった[23]

その他の豆は国内生産・輸入とも僅かである。

利用

カトマンズで売られている様々な

豆の大半は完熟したものが生産・加工・消費されているが、さやいんげん、グリーンピースや枝豆のように未熟果の状態で消費されるものや、モヤシのように発芽させたもの(スプラウト)を消費するものもある。未熟果やスプラウトは豆類ではなく、野菜として集計されるが、それらは作物の生産量のごく一部である。各国に豆料理があるが、多くは塩味であり、甘い煮豆は少ない。

豆は「渋味」や「苦味」といった味覚的な物を含む化学防衛(→有毒植物)を行っているものも多く、煮る炊く蒸すなど味付けしない簡単な調理法では大量には食べ難い。このため主食として豆を主に消費する民族はないしに比べ少ないなど、食料資源としては利用し難い側面も存在する。しかし発酵させるなど様々に加工することで良質な食料資源として利用できることから、豆を原料とする様々な加工食品が存在しており、また豆の使われる料理も多岐に渡る。

経済的な理由から動物性蛋白質を得ることが難しい人々や、ベジタリアンなど信条的に動物性蛋白の摂取を避けている人々にとっては、非常に重要な蛋白源である。特に豆由来の蛋白質は低コレステロール必須アミノ酸をバランス良く含んでいるため、健康上の理由などで高蛋白・低コレステロール食を求める向きには健康食品の範疇で豆を原料としたものも多く出回っている。この中にはトーファーキー台湾素食のように、食べ応えにも配慮された加工食品もみられる。

2R,5R-ビス(ジヒドロキシメチル)-3R,4R-ジヒドロキシピロリジンを含むマメ科植物には、血糖値の上昇を抑制する効果のあるα-グルコシダーゼ阻害作用を有するものがあり[24]アズキインゲンマメコクリョクトウリョクトウ黒大豆の順でその活性が高かった。エンドウ及びダイズではほとんどその活性を示さなかった[25]

1人あたりの消費量

正確には食料供給量であるが、豆類(大豆、ラッカセイを含まず)は165ヶ国で食用にされており、1人1日あたりの豆供給量世界平均は1961年には26gであったが、1960年代・70年代と徐々に減少し1974年に18gになって以降は横ばいである。日本の場合は1960年代は10g前後であったが、70年代に減り始め(食文化の変化)、1977年に5gとなってからは4-6gで推移している。日本の5g/人/日は世界で131番目である。豆の消費の多い国では1人1日数十グラムであり、日本の10倍近い消費がある[18]

2009年実績で豆消費の多い国は、ニジェールルワンダの88g/人/日、ブルンジ86g/人/日、キューバ85g/人/日のほか、ブラジル46g/人/日、カナダ22g/人/日、北朝鮮34g/人/日、エチオピア54g/人/日、インド34g/人/日、ケニヤ42g/人/日、メキシコ34g/人/日、ペルー23g/人/日、トルコ31g/人/日などがある。

日本のように豆消費の少ない国には、中国3g/人/日(1961年は30g/人/日)、フランス5g/人/日、ドイツ2g/人/日、インドネシア3g/人/日、韓国4g/人/日(昔から少ない)、ロシア5g/人/日などがある。

意外に日本より多い国に、チェコ8g/人/日、イタリア16g/人/日、スペイン18g/人/日、英国8g/人/日、米国12g/人/日、オーストラリア10g/人/日などがあった。

大豆を搾油以外で食用(加工用も含め)にしている国は59ヶ国で、世界平均が4g/人/日で、多い国はトルコ23g/人/日、日本と韓国が21g/人/日、ルワンダが14g/人/日、北朝鮮が11g/人/日、中国とボツワナが10g/人/日、ブラジルが9g/人/日であった[18]

ラッカセイは145ヶ国で食用にされており、世界平均が4g/人/日で、多い国はチャド39g/人/日、ブルキナファソ34g/人/日、ガボン21g/人/日で、他のアフリカの国で10g/人/日前後のほか、米国9g/人/日、中国・インドネシア・ミャンマー・カナダ他が7g/人/日であった。日本は2g/人/日であった[18]

日本や中国、韓国の特色は大豆の大量食用消費国であるが他の豆類(小豆を含む)の消費は少ないという点である。 主な生産国の節で日本の豆類の自給率が約4割と記述したが、これは消費の少ない「豆類」についてであり、大豆に関しては、総需要(内訳油糧用71%・食用24%)に対する自給率は5-6%でしかなく、食用の用途別の大豆自給率で見ても豆腐25%、納豆19%、味噌醤油は9%でしかない。煮豆惣菜に関しては国産使用率が高く84%、6粒に5粒は国産大豆である[26]

栄養価

豆は炭水化物植物繊維タンパク質を豊富に含み、主に炭水化物である主食(穀物)を良く補完する食材である。食肉の消費が少ない地域では貴重なタンパク源である。多くの豆は脂質の含有量は多くはないが、ラッカセイと大豆は含油率が高く、主に搾油用に生産されている。

豆の栄養価(100gあたりのグラム数)
作物 炭水化物 タンパク質 脂質
合計 植物繊維
インゲンマメ 61.29 15.20 22.53 1.06
ヒヨコマメ 60.65 17.40 19.30 6.04
エンドウマメ 60.37 25.50 24.55 1.16
ササゲ 60.03 10.60 23.52 10.60
レンズマメ 60.08 30.50 25.80 1.06
キマメ 62.78 15.00 21.70 1.49
ソラマメ 58.29 25.00 26.12 1.53
ルピナス 40.37 18.90 36.17 9.74
油糧作物
大豆 30.16 9.30 36.49 19.94
ラッカセイ 16.13 8.50 25.80 49.24
穀物
精白米 79.95 1.30 7.13 0.66
小麦粉 76.31 2.70 10.33 0.98
トーモロコシ 74.26 7.30 9.42 4.74
イモ類
ジャガイモ(生、皮付) 18.07 1.30 2.14 0.08

ジャガイモは生で水分が約8割であり他の数値と直接は比較できないが、4倍した値が他の穀物と近い値になる。

料理と加工食品

ダール(インドのレンズ豆料理)
フリホレス(メキシコのインゲンマメの煮豆)
ベイクドビーンズとトースト、英・米のインゲン豆料理
クスクスとひよこ豆
en:Chana masalaインド・プンジャブの料理(ひよこ豆)
大豆

大豆は世界レベルでは油糧作物であるが、東アジアにおいては重要な食用豆でもある。未熟果(枝豆)や完熟果が食用にされ、味噌醤油豆腐納豆など様々な食品へ加工もされる。詳細はダイズ#さまざまな大豆加工食品および豆腐#豆腐料理を参照。

ラッカセイ
ジーマーミ豆腐 - 沖縄料理
ピーナツバター
リョクトウ
春雨
モヤシ(大豆も)
インゲンマメ
フリホレス - ラテンアメリカの料理
フェジョアーダ(ライマメ、ササゲも) - ブラジルなどポルトガル語圏の料理
チリコンカーン - テクス・メクス料理
ファバーダ - スペイン料理
カスレ - フランス料理
ベイクドビーンズ - イギリス料理アメリカ料理、甘めの味付けであるが、日本の煮豆の豆1カップと砂糖0.83カップほど甘くはなく[27]、豆1カップと砂糖1/8カップ、塩茶さじ1杯の甘辛い味付けである[28]
アトーレ((西)Atole)、メキシコから中米にかけてのトウモロコシや豆から作られた汁粉のような甘い飲み物。
ヒヨコマメ
ファラフェル(ソラマメも) - 西アジアの料理
フムス - 西アジアから東地中海沿岸の料理
パコラ - インド料理
ソラマメ
豆板醤 - 四川料理
ファラフェル - 西アジア料理 
フールen:Ful_medames) - エジプト[29]・スーダン料理
en:Judd_mat_Gaardebounen - ルクセンブルク料理
レンズマメ

豆の平たい形から水に浸して戻す必要がなく[30]、ゆで時間も35-40分と短い。唯一ひとりあたりの生産量が増大している豆で、1961年から2009年にかけて一人あたりの供給量が倍になった。

コシャリ - エジプト料理
ダール(キマメも) - インド料理
パーパド(ひよこ豆も) - インドの平パンの一つ
キマメ
サンバール - インド料理
ラッサム - インド料理
その他
甘納豆
ダルバート(豆スープのついたネパールの定食)
チョレント

表現

接頭語的な用法としては、主に規模が小さく小型であるさま(豆電球豆台風、豆機関車豆戦車など)や、子供であること(豆剣士や豆記者など)の意を表す。昆虫などの和名(マメクワガタなど)にもしばしば用いられる。

また、気が小さいことや、繊細などの性格を現すこともある。ただし「まめ」と書くと勤勉であるとか根気強いなどの意味があり、「豆」という語で表されるものとはやや異なる。

落花生寒梅粉の生地で包み焼いた豆菓子は、中年の男性からは「豆」と呼ばれることが多い。

肉刺も「マメ」と読むが、大きさや形状的に豆に似ている。また豆は比較的ありふれた食材であることから、一般的なサイズ比較や形状の形容詞にもつかわれる。例えば軟膏の使用適量を表す際に「小豆大」(あずきだい)と表現したり、腎臓の形状を指してソラマメ型などという。英語には直訳すると腎臓豆となるKidney Beanという単語がある。

単語

慣用句

  • 「煎り豆に花が咲く」 - 衰えていたものが復活する事、あり得ないことが起きるたとえ。
  • 「豆を植えて稗を得る」 - 期待した結果が得られないこと
  • 「豆を煮るにまめがらを焚く」 - 曹植(そうしょく)が兄の曹丕(そうひ)(文帝)からの難題をおしつけられた故事から、兄弟や仲間どうしで傷つけあう様。
  • 「鳩を憎み豆を作らぬ」 - 些細なことにこだわり、大事なことをしないこと。
  • 「鳩が豆鉄砲を食らったよう」 - 突然の出来事に驚き、あっけに取られる様。
  • 「戸板に豆」 - 思い通りにならないたとえ。
  • 「寸馬豆人(すんば・とうじん)」 - 山水画で遠景の小さな人馬のこと。
  • 「女の中の豆炒り」 - 紅一点またはその逆
  • 「陰裏の豆もはじけ時」・「日陰の豆も時が来れば爆ぜる」 - どんな娘も年頃になると色気づく
  • 「陰裏豆」 - 街頭で客引きをする女。街娼

脚注

  1. ^ a b kotobank - デジタル大辞泉 「豆」
  2. ^ 写真でわかる園芸用語集 「胚乳」
  3. ^ 写真でわかる園芸用語集 「莢果(きょうか)」
  4. ^ 写真でわかる園芸用語集 「裂開果(れっかいか)」
  5. ^ 写真でわかる園芸用語集 「節果(せつか)」
  6. ^ BBC Mundo (西語)El frihol se origino en Mesoamerica
  7. ^ 豆類協会 「豆の通ってきた道」
  8. ^ 豆類協会 「大豆」
  9. ^ 豆類協会 「豆の通ってきた道」
  10. ^ 豆類協会 「豆の日本への伝来の歴史」 (PDF)
  11. ^ a b 農林水産省 「いろんな豆」
  12. ^ 豆類協会 「Q&A 豆の種類について」
  13. ^ 豆類協会 「豆の主な栄養素」
  14. ^ weblio - 日本豆類基金協会 「いんげんまめ」
  15. ^ 国際連合食糧農業機関(FAO) Classifications Production/Crops/ item code=176 Beans, dry
  16. ^ 豆類協会 「ささげ」
  17. ^ a b 豆類協会 「海外からの輸入」
  18. ^ a b c d e f g h i j k 国際連合食糧農業機関(FAO) FAOSTAT
  19. ^ 国際連合食糧農業機関(FAO) Classifications Food Supply/Crops Primary Equivalent/ item code=2555 Soybeans
  20. ^ ラッカセイの豆の正味重量は約7割である。
  21. ^ 豆類協会 「国内生産」
  22. ^ 豆類協会 「海外からの輸入」
  23. ^ a b c d 豆類協会 「海外からの輸入」
  24. ^ 薬用食物の糖尿病予防成分、吉川雅之、化学と生物Vol.40、No.3、2002
  25. ^ 豆類ポリフェノールの抗酸化活性ならびにα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ阻害活性、齋藤優介ほか、日本食品科学工学会誌、Vol.54(2007) No.12
  26. ^ 農林水産省 「大豆をめぐる最近の動向について H22-1」
  27. ^ 楽天レシピ 「金時豆の甘煮」
  28. ^ allrecipes.com Boston Baked Beans
  29. ^ エジプト大使館 「エジプト料理」
  30. ^ 豆類協会 「豆の戻し方」

関連項目

外部リンク