フムス

フムス、あるいはホンモス、フンムス、フムス(アラビア語:حُمُّص ḥummuṣ)は、ゆでたヒヨコマメに、ニンニク、練り胡麻、オリーブオイル、レモン汁などを加えてすりつぶし、塩で調味したペースト状の料理。
概要[編集]
レバント地方発祥の伝統的なアラブ料理であるフムスは、パレスチナ、レバノン、ヨルダン、シリア、イラク、ギリシア、キプロス、イスラエルなど中東の広い地域で食べられている。アラビア語の表記では母音のウとオが区別されない上、もともと西欧の料理ではないため、アルファベット表記は統一されていない。日本でも2004年現在、一般的な料理とはなっていないので、呼び名は混乱しており、ホンモス、フンムス、フムス、ハモスなど様々な名称で呼ばれている。アラビア語で単にホンモスまたはフンムスというと、ヒヨコマメのことを指す。アラビア語の正式名称は、フンムス・ビッ=タヒーナ(حُمُّص بالطحينة 直訳すれば、タヒーナ入りのヒヨコマメ)。
アラブ人は、オリーブ油をフンムスに混ぜる代わりに、フンムスを平たい皿に盛りつけて、円形または環形のくぼみをつくって、そこにエクストラバージンオリーブ油を注ぐことが多い(写真上)。それから、ヒヨコマメ、柘榴の実の粒、刻みパセリ、クミン、スンマーク(سماق 、Rhus spp.)の実の粉末などで美しく飾り付ける。なお、温かいフンムスを平皿に盛り、挽肉や松の実をバターで炒めてかけることもある。
フンムスは、ひよこ豆で作った一種のサラダといえる。見た目はマッシュポテトに似ていないこともない。中東では前菜を複数並べた食卓「メゼ(マザ)مزة」の一品として、伝統的なピタというパンにつけて食べるのが一般的である他、副菜にもなる。アメリカ合衆国やイギリスではライ麦パンにつけて食べられる事が多い。野菜やトルティーヤにつけるディップ、ピタサンドイッチやラップサンドイッチの具としても用いられる。
豆とゴマを原料としているので、たんぱく質や食物繊維に富み、ミネラル分を多く含む。また、オリーブオイルに由来する単価の不飽和脂肪酸も豊富で、かつ純植物性の料理なので、世界中のベジタリアンに好んで食べられている。
本来はタヒーナ (طحينة ṭaḥīna、英: Tehina) というゴマのペーストを利用するが、日本では入手困難なので、ほとんどの場合、練りゴマで代用される。ゴマの替りにピーナツバターを用いる事もある。
本家争い[編集]
レバノンとイスラエル領のアラブ人の村では、フムスの本家争いが起きたことがある。
- 2009年10月24日に、レバノンの首都ベイルートで重さ2トンのフムスを作りギネス・ワールド・レコーズに世界一の巨大フムスと認定された。この催しは、フムスがレバノンのものであることを再確認するために行われた。
- 2010年1月8日に、イスラエルでレバノンの巨大フムスに対抗してエルサレム郊外のアラブ系住民の村アブ・ゴーシュで、重さ4トンのフムスが作られ、ギネス記録を更新した[1]。
- 2010年5月8日に、レバノン側はベイルートで重さ10トンのフムスを作り直ちにギネス記録を更新し世界一の座を奪回した。[2]