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東京女子医科大学病院

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学校法人東京女子医科大学 > 東京女子医科大学病院
東京女子医科大学病院

中央病棟

中央病棟
情報
英語名称 Tokyo Women's Medical University Hospital
前身 東京女医学校附属病院
東京女子医学専門学校病院
標榜診療科 内科
血液内科
リウマチ科
外科
心療内科
精神科
神経内科
脳神経外科
呼吸器内科
呼吸器外科
消化器外科
消化器内科
腎臓内科
循環器内科
心臓血管外科
小児科
小児外科
整形外科
形成外科
皮膚科
泌尿器科
産婦人科
内分泌内科
糖尿病内科
眼科
耳鼻咽喉科
リハビリテーション科
放射線科
歯科口腔外科
麻酔科
ペインクリニック内科
乳腺外科
許可病床数 1193床
一般病床:1147床
精神病床:46床
職員数 2,464名(令和4年4月現在)
開設者 学校法人東京女子医科大学
管理者 肥塚 直美(病院長)
開設年月日 1908年
所在地
162-8666
位置 北緯35度41分50秒 東経139度43分11秒 / 北緯35.69722度 東経139.71972度 / 35.69722; 139.71972
二次医療圏 区西部
PJ 医療機関
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東京女子医科大学病院 (とうきょうじょしいかだいがくびょういん)は、東京都新宿区河田町にある大学病院である。略称:女子医大病院、TWMUH。東京女子医科大学河田町キャンパスに併設されている。

歴史

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  • 1908年(明治41年) - 牛込区市ヶ谷河田町に東京女医学校附属病院を設置。
  • 1912年(大正元年) - 東京女子医学専門学校病院となる。
  • 1952年(昭和27年) - 東京女子医科大学病院となる。
  • 1994年(平成6年) - 厚生省より特定機能病院の承認を受ける。
  • 2001年(平成13年) - 東京女子医大事件が発生。
  • 2002年(平成14年) - 前年の事件により、特定機能病院の承認を取り消される。
  • 2003年(平成15年) - 総合外来センターが竣工。
  • 2007年(平成19年) - 特定機能病院に再承認される。
  • 2009年(平成21年) - 第1病棟が竣工。
  • 2010年(平成22年) - 東京DMATの指定を受ける。
  • 2014年(平成26年) - プロポフォール過量投与事件が発生(東京女子医大事件を参照)。
  • 2015年(平成27年)6月1日 - 前年の事件により、厚生労働大臣から「特定機能病院」の承認を再度取り消される[1][2][3][4][注釈 1]。厚生労働省が地域がん診療連携拠点病院の指定不更新を決定[5]
  • 2016年(平成28年)- ラモトリギン過量投与事件が判明(東京女子医大事件を参照)。

診療部門

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医療機関の指定等

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交通アクセス

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電車
路線名 最寄り駅 出口 徒歩所要時間
都営地下鉄大江戸線 若松河田駅 若松口 5分
牛込柳町駅 西口 8分
都営地下鉄新宿線 曙橋駅 A2 12分
バス
その他
  • 正面玄関に日本交通の専用タクシー乗り場あり。

医療事故・不祥事

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東京女子医大事件

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2020年の労働問題

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ボーナスゼロ回答と看護師400人退職意向

2020年6月11日、東京女子医科大学団体交渉に臨んだ東京女子医科大学労働組合に対して、全職種の「今期の上半期賞与は支給しない」と回答した。今回のボーナスゼロ回答を受けて、全看護師(3病院合計)の5分の1にあたる約400人が退職の意向を示した。日本医療労働組合連合会の調査によると、夏季ボーナスについて回答した全国の医療機関338のうち、約3割が去年より支給額が下がったが「ボーナスゼロ」回答は東京女子医科大学のみであった[6]

同年7月31日付で病院側が教職員向けに通知した文書によると、理事会で夏季賞与は基本給の0.9カ月分でいったん決定。「コロナ感染症拡大に伴う様々な心労・負荷に対する慰労を込めて」0.1カ月分を上乗せし、合計1カ月分として賞与を支給する方針に転換した[7][8]

海外旅行した看護師の解雇

2020年4月に入職した女性看護師(21歳)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大していた2月末から3月始めに海外への卒業旅行をした3週間後、病院から無給での自宅待機や自費でのPCR検査を求められた[9]。こうした対応の詳しい理由を説明してほしいと伝えたところ「勤務態度が芳しくない」などとみなされ、6月末に解雇された[9]

女性看護師は、東京女子医科大学看護専門学校を卒業して看護師国家試験を終え、卒業を待つだけだった2月27日、ロサンゼルスに卒業旅行に出かけた[9]。専門学校からは在学中の2月中旬に海外渡航は控えるよう言われていたが、3カ月前から計画していたこともあり出発し、現地の友人宅に滞在し3月5日に帰国した[9]。海外へ渡航したことは3月下旬にあった病院からのアンケートに回答して伝えた[9]

病院の寮に転居し初出勤に備えていた3月31日夜、病院から電話で3週間の自宅待機を言い渡された[9]。さらに自費(5万5千円)でPCR検査を受けるよう指示された[9]。PCR検査の結果は陰性で、自宅待機は解除され、女性看護師は4月23日から病院で働き始めた[9]

5月に入って病院側から(1)海外渡航についての弁明書または始末書の提出(2)PCR検査の自費負担(3)自宅待機中は無給とする、という3点を自宅待機解除の要件として同意するという内容の書面の提出を求められた[9]。女性看護師によると、就職前に海外渡航した新人看護師は30人以上おり、病院側に対応を糺す質問が相次いでいたという[9]

女性看護師は5月末に同意書を提出。同時に法的根拠などを丁寧に説明してほしいと病院側に伝えたところ、3日後の6月30日に雇用契約を終了するとの通知書が届いた[9]。通知書には「海外渡航したことやPCR検査代金の自己負担にかかわる同意書の提出までの経緯などに鑑み、勤務態度が芳しくないものと判断した」などと書かれていた[9]。寮からの退去も命じられ、4年働けば免除されることになっていた看護専門学校在籍中の奨学金計108万円の返却も求められた[9]

東京女子医大広報室は朝日新聞の取材に対し「双方の弁護士間で折衝中の事案であり、コメントは控えさせていただく」としている[9]

2021年の労働問題

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薄給を更に薄くさせ、医師100人超が退職

東京女子医科大学は医師給与が最低級にもかかわらず、多くの勤務医たちは国内最上級の医療経験を積むため、薄給を覚悟でこの病院を選ぶ。がそれでは生活できないため、外部の病院での勤務=外勤=アルバイトが週1回認められてきた。これが長年の慣行だったが経営陣はこれを一方的に破り、外勤をやめなければ給与を下げるという通告を、2021年2月に勤務医へ打ち出した。医師たちには衝撃が走り、他院へ移るか我慢するかを迫られた。それが前代未聞の大量退職の原因になった[10]

元理事長による背任事件

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2025年1月13日、警視庁は元理事長Iについて、2018年7月から2020年2月までの21回にわたり、新宿区にあるキャンパスの施設の建設をめぐり、大学の非常勤職員の肩書きをもつ一級建築士の口座に実態のないアドバイザー業務への報酬として大学から資金を振り込ませ、大学に1億1700万円の損害を与えたとして、背任容疑で逮捕した。警視庁捜査二課は建築士の口座を通じて報酬の一部をI自身に還流したとみて調べている[11]。その後、同年2月3日に新病棟の建設工事を巡り大学に約1億7000万円の損害を与えたとして、Iを背任容疑で再逮捕した[12]。一連の関係者宅などへの家宅捜索では、帯封が付いた状態の1万円札の束や金塊2キロを含め、警視庁が捜索で押収した現金は約2億円で、金塊も約2億円相当に上っている[13]

I元理事長については、2018年以降は学内のすべての稟議がIの承認もしくは経営統括部の審査を受けることになるなど、Iと自身直轄の部署である「経営統括部」を通じ、人事や経理、施設の建設設計にまつわる決裁権など幅広い権限権力が集中する構図が集中していたとされる。このことから理事会についてもIの大学の私物化に対し物申せず、「機能不全」に陥っていたと第三者委員会により指摘された。また、Iは2019年以降より不正な支出が疑われており、大学関係者が刑事告発を行い、告発状を受理した警視庁が2024年3月、Iの側近の一人とされている職員に対し、勤務の実態がないにも関わらず、大学の同窓会組織から不正に給与が支払われた疑いでIの自宅や大学を家宅捜索しており、それから約10か月後に逮捕に至った。なお、Iは家宅捜索後の2024年8月7日に大学理事長を解任されている[14][15]

なお、一連の事件を受けて、日本私立学校振興・共済事業団が、東京女子医科大に対する2024年度の経常費補助金(私学助成金)を全額不交付とする決定をした[16][17]

その他

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ドキュメンタリー

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  • NHKスペシャル「看護師たちの限界線〜密着 新型コロナ集中治療室〜」(2021年4月17日、NHK[18]

関連施設

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  • 東京女子医科大学 東京都新宿区河田町8番1号
  • 東京女子医科大学病院 河田町キャンパスに併設
  • 東京女子医科大学 東洋医学研究所クリニック 河田町キャンパスに併設
  • 東京女子医科大学附属足立医療センター 東京都足立区江北4-33-1
  • 東京女子医科大学附属成人医学センター 東京都渋谷区渋谷2-15-1
  • 東京女子医科大学八千代医療センター 千葉県八千代市大和田新田477-96

脚注

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注釈

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  1. ^ 4月30日に「特定機能病院」の承認取り消しを事実上決定していたが[2][3]、正式な処分決定は5月27日で6月1日付で取消しとなった[1]

出典

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  1. ^ a b “特定機能病院、取り消し決定 東京女子医大・群馬大”. 朝日新聞(朝日新聞社). (2015年5月28日)
  2. ^ a b 田内康介、上田雅文、井上怜(2015年5月1日). “特定機能病院、取り消し 東京女子医大と群馬大 厚労省、月内に”. 朝日新聞(朝日新聞社)
  3. ^ a b “事故続発 群馬大と東京女子医大 特定機能病院、取り消し”. 東京新聞 (中日新聞社). (2015年5月1日)
  4. ^ 群大と東京女子医大、「特定機能病院」取り消し 読売新聞 2015年5月27日
  5. ^ “がん拠点の指定更新せず 厚労省”. 朝日新聞(朝日新聞社). (2015年6月2日)
  6. ^ 岩澤 倫彦 (2020年7月16日). “東京女子医大病院「400人退職」の裏にある混沌 医療スタッフのボーナスをカットした本当の訳”. 東洋経済オンライン (東洋経済新報社). https://toyokeizai.net/articles/-/363372 2020年9月4日閲覧。 
  7. ^ 東京女子医大、一転してボーナス支給へ 基本給1カ月分”. 朝日新聞 2020年8月1日 16時15分. 2020年8月4日閲覧。
  8. ^ 「文春オンライン」特集班 (2020年8月1日). “東京女子医大「夏の賞与1カ月分」支給決定 コロナ担当看護師「嬉しさはない」【内部文書を入手】”. 文春オンライン (文藝春秋). https://bunshun.jp/articles/-/39441 2020年9月4日閲覧。 
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n 渡航後に無給待機→説明求めた看護師解雇 東京女子医大”. 朝日新聞 2020年7月18日 10時49分. 2020年8月4日閲覧。
  10. ^ [1]、2021年4月20日閲覧。
  11. ^ 東京女子医大のI元理事長を逮捕、新校舎工事で不正支出疑い 費用の一部還流か - 産経ニュース 2025年1月13日
  12. ^ 東京女子医大の元理事長を背任容疑で再逮捕 1.7億円不正支出か - 毎日新聞 2025年2月3日
  13. ^ 4億円相当の現金や金塊 東京女子医科大学元理事長の関係先から押収 - 毎日新聞 2025年1月14日
  14. ^ 東京女子医科大学の元理事長逮捕 施設建設めぐる背任の疑い - NHK NEWS WEB 2025年1月13日
  15. ^ 「女性版ゴーン」異名、女子医大・I元理事長 ワンマン経営、大学私物化か - 産経ニュース 2025年1月13日
  16. ^ 経常費補助金(私学助成金)の全額不交付について - 東京女子医科大学 2025年1月30日
  17. ^ 女子医大、2024年度の私学助成金は全額不交付 - m3.com 2025年1月30日
  18. ^ 看護師たちの限界線〜密着 新型コロナ集中治療室〜”. NHK (2021年4月17日). 2021年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月24日閲覧。

外部リンク

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