尻屋埼灯台

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尻屋埼灯台
尻屋埼灯台
尻屋埼灯台の位置(青森県内)
尻屋埼灯台
航路標識番号
[国際標識番号]
1601 [M6630]
位置 北緯41度25分49.27秒 東経141度27分43.9秒 / 北緯41.4303528度 東経141.462194度 / 41.4303528; 141.462194座標: 北緯41度25分49.27秒 東経141度27分43.9秒 / 北緯41.4303528度 東経141.462194度 / 41.4303528; 141.462194
所在地 青森県下北郡東通村尻屋字尻屋崎1-1
塗色・構造 白色 塔形 レンガ造
レンズ 第2等フレネル
灯質 単閃白光 毎10秒に1閃光
実効光度 530,000 cd
光達距離 18.5海里(約 34 km
明弧 52度から3度まで
塔高 32.82 m (地上 - 塔頂)
灯火標高 45.70 m (平均海面 - 灯火)
初点灯 1876年明治9年)10月20日
管轄 海上保安庁
第二管区海上保安本部
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尻屋埼灯台(しりやざきとうだい)は、青森県下北郡東通村尻屋崎の突端に立つ白亜の灯台。国の重要文化財に指定され、日本の灯台50選に選ばれている。

「日本の灯台の父」と称されるブラントンによって設計された、二重のレンガ壁による複層構造の灯台となっている[1]。周辺には寒立馬(かんだちめ)と呼ばれる放牧されており、一帯は景勝地となっている。

歴史[編集]

付属施設[編集]

  • 無線方位信号所
  • ディファレンシャルGPS局(2019年廃止)
    • GPS補正・テキストメッセージ方式の気象通報を実施していた。
  • 船舶気象通報施設(灯台放送)
    • 1670.5kHz(H3E)で龍飛埼灯台、尻屋埼灯台、松前ディファレンシャルGPS局、大間埼灯台、恵山岬灯台の気象通報業務を行っていた。

一般公開[編集]

4月下旬から11月上旬までの期間に限り一般公開され、上まで登ることができる(寄付金として、中学生以上の参観者から300円を原則徴収している)[31]

まぼろしの灯台[編集]

第二次世界大戦末期の1945年昭和20年)に米軍機の機銃掃射を受けて、当時勤務していた村尾常人標識技手が殉職した。翌1946年(昭和21年)、攻撃を受け破壊しつくされたはずの灯台が光を放ち、その目撃が相次いだ。謎の光のおかげで付近を航行中の漁船が遭難を免れたということもあった。人々は米軍の攻撃時に殉職した村尾標識技手の霊なのではないかと噂した。当時の灯台長が公文書「灯台の怪火について」を灯台局に報告した[32]。同年8月に霧信号舎屋上に仮の灯りを点灯すると同時にこの現象は消えた[33]。なお、灯台には銃撃の跡が今でも残る。

アクセス[編集]

  • むつバスターミナルより75分、1日3 - 6往復、1270円(11月 - 4月は見学施設閉鎖により徒歩で約30分手前の「尻屋」まで)
  • むつ市中心部より青森県道6号むつ尻屋崎線から東通村道尻屋灯台線に入る。

その他[編集]

  • 尻屋崎沖は海洋交通の難所で、実際遭難事故も数多く起こっている。
  • 霧信号所が日本で初めて設置された場所でもある。
  • かつて使われていた霧鐘は犬吠埼灯台の敷地内に保存されている。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 灯台敷地内にあるレンガの展示(写真)にあった説明の看板による
  2. ^ a b 『青森県史 第7巻』青森県、1926年、pp.420-428.
  3. ^ 明治9年10月2日工部省布達第17号(『法令全書 明治9年』内閣官報局、pp.1343-1345.
  4. ^ 法令全書. 明治10年”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  5. ^ 法令全書. 明治12年”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  6. ^ 火球状ノモノ灯台ニ衝突ノ儀ニ付灯台局ヨリ気象台ヘ質問回答. 官報. 1883年11月21日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月25日閲覧。
  7. ^ 逓信省告示第55号. 官報. 1889年03月15日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  8. ^ 逓信省告示第90号. 官報. 1889年04月18日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  9. ^ 尻矢崎灯台電気灯器装置. 官報. 1902年01月04日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  10. ^ 逓信省告示第373号. 官報. 1901年09月21日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  11. ^ 逓信省告示第433号. 官報. 1901年10月30日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  12. ^ 逓信省告示第505号. 官報. 1901年12月09日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  13. ^ 逓信省告示第868号. 官報. 1907年12月24日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  14. ^ 逓信省告示第1146号. 官報. 1923年07月05日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  15. ^ 逓信省告示第273/274号. 官報. 1932年02月16日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  16. ^ 運輸省告示第246号. 官報. 1946年09月21日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月18日閲覧。
  17. ^ 運輸省告示第14号. 官報. 1947年01月25日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月25日閲覧。
  18. ^ 水路告示第4号. 官報. 1947年02月01日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月27日閲覧。
  19. ^ 水路告示第8号. 官報. 1947年03月01日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月27日閲覧。
  20. ^ 水路告示第12号. 官報. 1947年03月29日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月27日閲覧。
  21. ^ 水路告示第18号. 官報. 1947年05月10日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月27日閲覧。
  22. ^ 水路告示第26号. 官報. 1949年07月02日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月25日閲覧。
  23. ^ 海上保安庁告示(航)第10号. 官報. 1949年10月08日”. dl.ndl.go.jp. 国立国会図書館. 2021年11月27日閲覧。
  24. ^ 土木学会 平成18年度選奨土木遺産 尻屋埼灯台”. www.jsce.or.jp. 2022年6月8日閲覧。
  25. ^ 無線方位信号所(レーマークビーコン)廃止計画 (PDF) ”(海上保安庁)2021年11月20日閲覧。
  26. ^ 海上保安庁が実施する情報提供業務の一部終了について(PDF) Archived 2016年8月17日, at the Wayback Machine. - 海上保安庁交通部 (2016年5月) ※茨城県水産試験場漁業無線局ホームページでの掲載(2016年7月12日閲覧) 
  27. ^ 尻屋埼灯台 - 国指定文化財等データベース(文化庁)、2021年1月7日閲覧。
  28. ^ “青森の「尻屋崎灯台」が全国16カ所目の参観灯台に”. 海上保安新聞. (2018年6月6日). https://blog.canpan.info/kaiho-shinbun/archive/380 2021年1月7日閲覧。 
  29. ^ ディファレンシャルGPSの廃止について” (PDF). 海上保安庁 (2017年6月30日). 2019年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月7日閲覧。
  30. ^ 令和4年12月12日文部科学省告示第155号。
  31. ^ 尻屋埼灯台(しりやさき)”. 公益社団法人燈光会. 2021年1月7日閲覧。
  32. ^ 尻屋埼灯台日本の近代遺産50選、2016年10月9日閲覧。
  33. ^ 第2管区海上保安本部、2016年10月9日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]