ランボルギーニ・ムルシエラゴ

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ランボルギーニ・ムルシエラゴ
6.2
SC06 Lamborghini Murciélago.jpg
LP640
LamborghiniMurcielagoLP640Versace2.JPG
販売期間 2001年2010年
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドア クーペ
2ドア ロードスター
エンジン 6.2: 6.2L V12 DOHC
LP640: 6.5L V12 DOHC
駆動方式 4WDミッドシップ
最高出力 6.2L:580HP(≒588PS)/7,500rpm
6.5L:640HP(≒649PS)/8,000rpm
変速機 6速MT
6速セミAT(e-gear)
全長 4,580mm
全幅 6.2: 2,045mm
LP640: 2,058mm
全高 クーペ: 1,135mm
ロードスター: 1,068mm
ホイールベース 2,665mm
車両重量 1,650kg
タイヤ 前・245/35ZR18
後・335/30ZR18
先代 ディアブロ
後継 アヴェンタドール
-自動車のスペック表-

ムルシエラゴMurciélago )は、イタリアの自動車メーカーランボルギーニが2001年から2010年にかけて製造したスーパーカー。「ムルシエラゴ」はスペイン語で「コウモリ」の意味。イタリア語での発音は「ムルチェラゴ」に近いが、稀に「ムルシエラゴ(ムルスィェラゴに近い)」と発音されることもある[1]

概要[編集]

ムルシエラゴは、ランボルギーニがアウディ傘下に入った後に発売された最初の新車種であり、ディアブロの後継車種となるフラッグシップ・スポーツカーである。2001年のフランクフルトモーターショーで一般向けに発表され、同年9月から市販された。車名は、過去のランボルギーニ車の伝統にならって19世紀に実在した伝説的な闘牛の名前に由来する。スタイリングは当時ランボルギーニのデザイン部長であったルク・ドンカーヴォルケが担当した。

後に発表された「ガヤルド」に比べ、親会社であるアウディ社の影響が少ないモデルとの評価がある。例えばガヤルドはアルミ製スペースフレームに、アウディの設備を利用して設計されたエンジンを搭載する仕様であるが、本車種はアウディに買収される以前に設計したディアブロの構造的特徴の多くを受け継いでいる。

ボディは角断面を持つ鋼管スペースフレームによって組まれ、外部からの応力をほぼすべてシャシーによって負担する構造をもっている。シャシーの大部分はスチール製であるが、フロアパネルと一部の補強用補助構造体などはカーボンファイバーが使用されている。また、ボディパネルにもカーボンファイバーを用いられているが、ルーフと左右のドアにはスチール素材を使っている。これらの最先端素材を多用したことで、ディアブロより全長が約100mm延長されているにも関わらず、乾燥重量はほぼ同水準の1,650kgとなっている[2]

ディアブロには後輪駆動四輪駆動の両系統のモデルが用意されていたが、ムルシエラゴには四輪駆動のみとされている。ムルシエラゴの四輪駆動は比較的簡易な構造を持つビスカス式センターデフをもつものであり、動作制御もディアブロが姿勢を崩した時に効果を発揮する仕様に対し、通常でも前輪にも積極的に駆動力を配分するものに変更されている。

車名をあらわすエンブレムが装着されていない代わりに、ドアのサイドシル部分に"MURCIELAGO"のロゴが刻まれている。ドアの開口部はシザードアの上昇量が増やされ、開口部も広く取られたことにより、ディアブロに比べ乗降性が向上している。

搭載エンジンは新規設計されたものではなく、ディアブロから引継ぎとなるアルミダイキャスト、60°バンクを持つ水冷V型12気筒DOHCエンジンの発展型を搭載する。このエンジンはカウンタックからディアブロを経てムルシエラゴまで基本構造を受け継ぐ設計であり[3]、ディアブロの最終生産型である「6.0」のものに基本ストロークを延長し、排気量は6.2Lとしている。またディアブロのエンジンと比較して、素材見直しによるムービングパーツの軽量化も行われている。出力は580hp(約588PS)、トルク66.3kg·mとされている。このエンジンの感触について福野礼一郎は「古典的なエンジン」「いかにも内燃機らしい豪快な回り方」と評している[3]

パワートレインの配置もカウンタックからディアブロを経て受け継いだもので、運転席と助手席の後ろに置かれたエンジンの出力は、運転席と助手席の間のセンタートンネルに置かれたトランスミッションを経由した上で後輪に伝えられている。しかし、ディアブロ以前にはオイルパンを貫通していたドライブシャフトをディファレンシャルギアごと車体右側にずらして設置し、潤滑方式をドライサンプにすることによって、エンジンの搭載位置を50mm下げている。また、トランスミッションも従来の5速から6速に変更され、後に「eギア(e-gear)」と呼ばれるセミオートマチックトランスミッションが追加された。

アメリカ環境保護局とエネルギー省が毎年発表する燃費ワースト・ランキング2010年では、本車種のMT仕様が市街地燃費3.4km/L、高速燃費5.53km/Lとワースト1位に選ばれている。またセミオートマチック仕様も3位に選ばれている[4]。なお、ランボルギーニは4年連続1位となった。

歴史[編集]

2001年フランクフルトモーターショーで発表。

2004年3月、ジュネーヴモーターショーにてムルシエラゴ・ロードスターを発表[5]

2006年3月、ジュネーヴモーターショーにてムルシエラゴ LP640を発表し[6]、翌月から予約を開始[7]。また、同月に生産2,000台を達成[8]。同年11月のロサンゼルス・オートショーにはLP640のロードスターバージョンも発表[9]

2010年2月に生産4,000台を達成[10]。同年11月に生産終了[11]。総生産台数は4,099台。後継車種はアヴェンタドール

モデルとバリエーション[編集]

6.2(2001年~2006年)

2001年のフランクフルトモーターショーにおいて発表されたベースグレード・モデル。排気量は6,193cc。当初は6速マニュアルトランスミッションのみ。
2004年、6速セミオートマチックトランスミッション(e-gear)が追加された。ガヤルドのものとは異なり、オートマチック・モードは存在しない。
40th アニバーサリー・エディション(2003年)
カラーはブルー系(アルテミスグリーン)のみで50台限定で生産された[12]。主にヨーロッパ、アメリカ合衆国、日本で販売された。日本への割り当ては5台であった。

ロードスター(2004年~2006年)

コンセプトは2003年のデトロイト・オートショーにおいて「バルケッタ」として発表され、量産車は2004年3月のジュネーブ・モーターショーにおいて発表された。「ロードスター」の名称は「ディアブロ・ロードスター」から継承された。オープンボディ化に際してボディが補強されたのみならず、ウィンド・シールドの傾斜が寝かされ、その高さも低められた。また、サスペンションは専用設計であり、ブレーキ・ディスクも大径化された[13]。ソフトトップ使用時の速度制限が設定されている。

LP640(2006年~2010年)

2006年3月、ジュネーヴモーターショーにおいて発表された。6,496ccエンジンを搭載し、エクステリア、ギヤボックス、トランスミッション、電子系にも改良が施されたモデル。LP640における「LP」はエンジンの後方搭載を意味する「Longitudinale Posteriore (後方縦置き)」の略で、「640」は最高出力(640PS)と発表されている。
LP640 ヴェルサーチ
2006年10月、ジャンニ・ヴェルサーチとのコラボレーション企画として発表された限定版[14]

LP640 ロードスター(2006年~2010年)

2006年秋にはロードスターも6,496ccエンジンに換装された。
LP650-4 ロードスター(2009年)
10psパワー・アップされて専用色(グリジオ・テレスト)に塗装された10台の限定版。

レヴェントン(2007年~2009年)

LP640をベースに20台が生産された限定モデル。

LP670-4 スーパーヴェローチェ(2009年~2010年)

LP 670–4スーパーヴェローチェ
2009年3月に発表された仕様で350台限定モデル[15]。LP640をベースにさらに改良したものであり、公開スペックはレヴェントンを上回る。LP640よりも約100kg軽量化され、車重は1,565kg。エンジンは6.5L V型12気筒で、670PSを発生する。0-100km/h加速は3.2秒、パワーウエイトレシオは2.3kg/PSと発表されている。ブレーキには標準でカーボンセラミックディスクブレーキが採用され、さらにボディ全体の空力の見直しが図られた。ノーマルサイズのリアウイング装着車の最高速度は342km/hと発表された。
LP670-4 スーパーヴェローチェ中国限定エディション(2010年)
2010年に北京モーターショーにおいて発表された10台の限定版。ボディカラーは専用色のグレーで、車体中央にオレンジのストライプが入る[16]

レース用車両[編集]

R-GT
R-GT
2003年9月9日、フランクフルト・モーターショーにおいて発表され、2004年にデビューしたレース仕様車両であり、FIA GT選手権へ参戦するためにライター・エンジニアリングとアウディ・スポーツの共同体制で製作された[17]。レギュレーションにより構造体そのものを大幅に改修するような改造は施されておらず、基本的には市販車の仕様に準拠している。顕著な相違点として、6.0LにサイズダウンしたV12エンジン、オールカーボンのボディ、強力なダウンフォースを生む前後の長大なスポイラー、サイド・スカート前方のエア・アウトレット、固定式の後部エア・インターク、センターロック式のホイールが挙げられる。
FIA GT選手権では、デビューレースの第1戦(バレンシア)で表彰台に上るなどの戦績を残している。その一方、全日本GT選手権への参戦時は、目立った活躍はなくシーズン途中で撤退した。
RG-1
RG-1(2005年)
RG-1LM(2007年)
ランボルギーニが全日本GT選手権(現・SUPER GT)に参戦するJLOCのために製作した車両。R-GTをベースとしているが、多くの特注部品で構成されており、フロント・スポイラーやサイド・スカート、ディフューザーなどの形状は異なる。
2004年の第2戦から登場したが苦戦。最終戦でようやく完走することができた[18]。2005年途中からGT300クラスに移り、2006年の第1戦で優勝。JLOCにとってはこれが初優勝であり、ムルシエラゴにとっも世界中のレース活動における初優勝であった。その後も毎年表彰台に上がり、コンスタントな成績を残した。
RG-1LM
2006年、ルマン24時間レースのLM-GT1クラスに出走したライター・エンジニアリング製の耐久性強化バージョン。完走することはできなかった[19]。2007年、2008年にも出走した。
R-SV
2010年、2011年にFIA GT1世界選手権に投入した車両。2010年の第5戦スパで初優勝、2011年は第2戦ベルギー(ゾルダー)と第6戦スペイン(ナバラ)での2勝を挙げた。

脚注[編集]

  1. ^ http://ja.forvo.com/word/lamborghini_murci%C3%A9lago/#it
  2. ^ 乾燥重量とはオイル、冷却水、ガソリンなどを一切入れない状態での重量のこと。日本国で登録されたムルシエラゴの車検証記載車重は1,870kg。(福野礼一郎『福野礼一郎スーパーカーファイル』双葉社、2008年、p.40-41)
  3. ^ a b 福野前掲書、46-47ページ
  4. ^ 2位はブガッティ・ヴェイロン。こちらは市街地燃費3.4km/L、高速燃費5.95km/Lとなっている。
  5. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2004年8月10日). “プレスリリース「ランボルギーニ ムルシエラゴ・ロードスターの詳細を発表」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  6. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2004年8月10日). “プレスリリース「新型 「ランボルギーニ ムルシエラゴ LP640」発表」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  7. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2006年4月3日). “プレスリリース「ランボルギーニ ルシエラゴ LP640 予約受付開始」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  8. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2006年4月17日). “プレスリリース「ランボルギーニムルシエラゴ、生産2000台に到達」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  9. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2006年11月21日). “プレスリリース「ムルシエラゴLP640 ロードスターを発表」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  10. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2010年2月15日). “プレスリリース「ランボルギーニ、記念すべきムルシエラゴ生産4,000台を達成」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  11. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2010年11月5日). “プレスリリース「大成功を収めたスーパー・スポーツカー、ムルシエラゴの最後の生産番号は4,099」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  12. ^ 「40th アニバーサリーモデル」『MURCIELAGO』 ネコ・パブリッシング〈SUPERCAR ARCHIVES〉、2009年、78-81頁。
  13. ^ 桜井健一 「Roadster」『MURCIELAGO』 ネコ・パブリッシング〈SUPERCAR ARCHIVES〉、2009年、70-77頁。
  14. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2006年10月3日). “プレスリリース「ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ヴェルサーチ」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  15. ^ アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン (2009年3月4日). “プレスリリース「ランボルギーニ・ムルシエラゴLP670-4スーパーヴェローチェ発表」” (日本語). 2010年11月12日閲覧。
  16. ^ 森脇稔 (2010年4月24日). “【北京モーターショー10】中国限定10台、ランボルギーニ ムルシエラゴ”. Response. 2018年10月20日閲覧。
  17. ^ 「R-GT ランボ史上最高の、コンペティションモデル」『MURCIELAGO』 ネコ・パブリッシング〈SUPERCAR ARCHIVES〉、2009年、84頁。
  18. ^ ティームの歴史”. JLOC. 2018年10月12日閲覧。
  19. ^ 「JLOC ル・マンへの挑戦」『MURCIELAGO』 ネコ・パブリッシング〈SUPERCAR ARCHIVES〉、2009年、86-89頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]


ランボルギーニ S.p.A. ロードカータイムライン 1962-
タイプ 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8
MR(含ミッドシップ4駆) V12 ミウラ カウンタック ディアブロ ムルシエラゴ アヴェンタドール アヴェンタドールS
イオタ レヴェントン ヴェネーノ チェンテナリオ


V8/V10 シルエット ジャルパ ガヤルド ウラカン
2+2 ウラッコ
FR GT 350GT
2+2 400GT イスレロ ハラマ


エスパーダ


クロスカントリー4WD
SUV
LM002 ウルス


オーナー
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試作レーシングカー: ランボルギーニ・イオタ(1969)、ランボルギーニ・ハラマRS(1973)、ランボルギーニ・ウラッコ・ラリー(1973)
コンセプトカー: ランボルギーニ・エストーケ(2008)、ランボルギーニ・エゴイスタ(2013)、ランボルギーニ・アステリオン(2014)、ランボルギーニ・テルツォ ミッレニオ(2017)
人物: フェルッチオ・ランボルギーニジャンパオロ・ダラーラマルチェロ・ガンディーニパオロ・スタンツァーニ
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