ポテトサラダ

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日本のポテトサラダ(調理例)

ポテトサラダ: Potato salad)は、茹でたジャガイモを主材料としたサラダのことである。ポテサラと略される場合もある[1]が、この言葉はケンコーマヨネーズの商標登録である。

概要[編集]

作り方が簡単なうえ、安価にも出来、他のサラダ類よりも冷蔵庫で日持ちがすることから、世界各地に様々なポテトサラダが存在しており、コールスローなどと並ぶサラダの代名詞的存在となっている。家庭料理としてはもとより、肉屋惣菜店や弁当屋の定番メニュー、給食の献立としても出される料理である。日本ではサンドイッチの具にされることもある。

南ドイツ、シュヴァーベンのポテトサラダ。
マヨネーズを使わず、酢、油、スープで味を整える。具材も少ない。

火を通したジャガイモをマヨネーズで和えることが多い。この場合、少量の植物油を混ぜると水っぽさが抜け、風味が増すが、ここにマヨネーズの代わりにを加えたドレッシングで料理を完成させることもある。ジャガイモをマッシュポテト状に潰す調理法もある。アメリカ合衆国では、マスタードを加えることもある。また、様々な副材を入れることで個性を持たせることができる。たとえば、野菜ではニンジンキュウリトウモロコシスライスオニオンなどが副材の代表格であり、他にも、肉類ではハムツナ、酢漬けのサケゆで卵リンゴミカンなどの果物を入れる場合もある。

変種[編集]

  • 上海サラダ(上海沙拉、拼音: Shànghǎi shālā シャンハイシャーラー
    中国で一般的な料理。元は、上海ロシア料理店で、生の野菜を食べ慣れていない中国人向けに考案して出されたもの。ゆでて角切りにしたジャガイモソーセージグリーンピースニンジンなどと、リンゴの角切りに塩、胡椒、マヨネーズを加えて和えて作る。
  • 繊切りサラダ
    マヨネーズのカロリーを気にする人向け。繊切りにしたジャガイモをさっと茹で、好みのドレッシングをかける。合わせる具材も好みで。ジャガイモは男爵よりメークインが向く。
  • オリヴィエ・サラダ
    ジャガイモ、ライチョウの胸肉、固ゆで卵、グリーンピースなどをマヨネーズで和えたロシア料理。イランでも人気がある。
    ポテトサラダの起源とも言われている。現在はライチョウの代わりに、鶏肉を用いることが多い。
  • ロシア風サラダ(西: Ensalada rusa: Rus salatası
    オリヴィエ・サラダが世界に広まって、名を替えたもの。スペインイタリアラテンアメリカトルコでよく見られるサラダ。鶏肉が入らないことがあり、テーブルビートが入ることがある。

ポテトサラダ論争[編集]

2020年夏頃、総菜コーナーでポテトサラダを買おうとした幼児連れの女性が、高齢男性から「母親ならポテトサラダくらいつくったらどうだ」と言われるのを目撃した、という内容がTwitterに投稿された。投稿内容の真偽は不明であるが、この投稿内容について「母親像の押しつけである」、「ポテトサラダは一見簡単そうに見えるが作るのには手間がかかるから惣菜を買ったほうが良い」、逆に「手作りすべきだ」、といった多数の意見がSNS上を席捲し、特に日本の高齢男性の家事見識のなさへの批判など日本の社会構造にまで問題を波及させた議論が行われた。この論争がポテトサラダ論争ポテサラ論争と呼ばれた[2][3][4]

上述のような問題はさておき、こういった論争が日本で活発化した理由としてポテトサラダが日本人に身近なものであったためではないかと推測されている[2]

また、ポテトサラダに限らず、惣菜を購入することを問題視する風潮は1976年発行の『日本の民俗2 日本人の衣食住』(瀬川清子河出書房新社)にも見られている(ただし、『日本人の衣食住』では仕事帰りの男性がデパートで惣菜を購入する姿を批判的に記している)[5]小林カツ代は『働く女性のキッチンライフ』(1981年、大和書房)で、「たまにはお総菜を買っても良い」と女性を応援する記事を書いているが、当時、惣菜を購入する女性が増え始め、批判されるようになっていたことへの反論でもある[5]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]