ボクスティ
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ボクスティ | |
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![]() ボクスティの盛り付け例。ボクスティに牛肉とズッキーニを添えた物。 | |
別名 | Poundy, poundies, potato bread |
種類 | ポテトパンケーキ |
発祥地 | アイルランド |
主な材料 | ジャガイモ、穀粉、ベーキングソーダ、バターミルク(卵を使う場合もあり) |
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ボクスティ(英語: Boxty、アイルランド語: bacstaí)とは、主にアイルランドの北部地方であるアルスター地方において伝統的に作られてきた、主食材としてジャガイモを用いる料理の1つである。ただし、実際に食べる際には、ボクスティ単独ではなく、他の食品が添えられる場合もある。
概要[編集]
調理例[編集]
- ボクスティは、まずジャガイモの皮を剥き、芽の部分を除去する[注釈 1]。
- ジャガイモの半分は茹でることにより柔らかくしておく。その間に、残りの半分のジャガイモを、すりおろしておく。
- 茹でて柔らかくなったジャガイモを、潰してバターを適量混ぜ、そこに、すりおろした残りのジャガイモを水気を切らずに投入して混ぜ込む。
- さらに、少量の小麦粉も加え、また、適量の食塩とコショウも混ぜ込む。
- 少量の牛乳を少しずつ入れることで生地の硬さを調整し、滑らかな生地になるようにする。
- 何らかの油脂[注釈 2]を引いた鉄板、または、フライパンなどの上で、薄く広げた生地の両面を焼くことで、完全に生地の内部まで火を通す。
以上で、ボクスティとしては完成である。なお、焼き上がったボクスティは皿に盛り付けるわけだが、この時に、場合によっては他の食材も一緒に添えて供する[1]。
食べ時[編集]
アイルランドにおいてボクスティは、ハロウィンの際に供されるジャガイモ料理の1つとして知られている[1]。
ただし、ハロウィンの際にアイルランドで供されるジャガイモ料理としては、他にコルカノンがあるように[2]、あくまでボクスティはハロウィンの際に供されることのある料理の1つである。
また、アイルランドの特に北部において、ボクスティはハロウィンに限らず食べることもある料理の1つでもあり、例えば、アルスターフライの一部として、ベーコンの脂で焼いたボクスティが添えられることもあるように[1]、普段の朝食などとして供される場合もある。さらに、朝食に限らず、夕食に供される場合まである[1]。
要するに、特にアイルランドの北部において、ボクスティは定番の料理の1つである[1]。
歴史[編集]
背景[編集]
アイルランドでは1586年にジャガイモの栽培が始まって以来[3]、伝統的にジャガイモが食べられてきた歴史があり、ジャガイモの不作などが原因で、19世紀半ばにはジャガイモ飢饉すら発生した程、アイルランドにおいてジャガイモは普及した食材であった。なお、21世紀に入った2009年時点においても、アイルランドにおいてジャガイモは主要な農産物の1つであり、2009年には約36万トンの収穫があった[4]。
スタンピィ[編集]
ボクスティはアルスター地方の伝統的なジャガイモ料理として知られている[5]。ただし、古来の呼称はボクスティではなく、スタンピィであった[1]。
アイルランドの調理器具であるグリドルと呼ばれる鉄板で焼き上げて作られてきた[1]。
ただ、2013年現在のアイルランドでは、バターなどの油脂と共にフライパンなどで焼き上げるだけで食べられるようになっている既製品のボクスティも販売されている[1]。この半完成状態のボクスティ製品は、やはりアイルランド北西部において、多く見られるという[1]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ ジャガイモの芽の部分は、ヒトにとって有害なので、確実に除去することが望ましい。
- ^ バターだったり、ナタネ油であったり、ベーコンの脂であったりと、色々な場合がある。ただし、当然ながら食用の油脂でなければならない。
出典[編集]
- ^ a b c d e f g h i 松井 ゆみ子 『家庭で作れるアイルランド料理』 p.30 河出書房新社 2013年1月30日発行 ISBN 978-4-309-28357-9
- ^ 松井 ゆみ子 『家庭で作れるアイルランド料理』 p.27 河出書房新社 2013年1月30日発行 ISBN 978-4-309-28357-9
- ^ 松井 ゆみ子 『家庭で作れるアイルランド料理』 p.24 河出書房新社 2013年1月30日発行 ISBN 978-4-309-28357-9
- ^ 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2012年版)』 p.325 二宮書店 2012年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0358-6
- ^ 松井 ゆみ子 『家庭で作れるアイルランド料理』 p.26、p.30 河出書房新社 2013年1月30日発行 ISBN 978-4-309-28357-9