クリスタルエクスプレス トマム & サホロ

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国鉄キハ183系気動車 > クリスタルエクスプレス トマム & サホロ
クリスタルエクスプレストマム・サホロ(1992年)
クリスタルエクスプレストマム・サホロ 3両編成(1990年9月 新得駅付近)
クリスタルエクスプレス
(2008年3月 南千歳駅)
(根室本線新得 - 石勝線トマム間、1990年9月3日)

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クリスタルエクスプレス トマム&サホロ[1] (Crystal Express TOMAMU & SAHORO) は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が1989年平成元年)12月[2]から2019年令和元年)9月まで運用していた鉄道車両気動車)で、ジョイフルトレインと呼ばれる車両の一種である。機能的にはキハ183系に属し、5100番台を称する。

概要[編集]

JR北海道が団体臨時列車用として企画した「リゾート列車」のひとつで、石勝線方面への観光輸送を主目的として、自社の苗穂工場で設計、製作された[3]。同社保有の気動車ジョイフルトレインとしては5番目の編成である。

走行装置は「ニセコエクスプレス」と同様にNN183系に準じた仕様で、最高速度は 120 km/h である[3]。走行用機関(DMF13HZ・330PS/2,000rpm)をキハ183形に2基、キハ182形に走行用機関1基と電源用機関(DMF13HS-G・180kVA)1基を搭載する。台車も同様のボルスタレス式で、動力台車は一軸駆動のDT53、付随台車はTR239である。ブレーキ装置は自動空気ブレーキであるが、運転席が2階に移ったことにより空気配管を省略するため、ブレーキハンドルは縦軸式の設定器となっている。

1990年度の通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)に選定されている。

運用開始から30年が経過し、車両の老朽化が目立ってきたことから[4]、2019年9月29日の札幌駅 - 富良野駅函館本線根室本線経由)間の往復運行をもって引退となった[2][4]

車種別詳説[編集]

「全面展望」を設計コンセプトの主軸とし、内装はハイデッカー構造や展望車が中心となっている。座席はバケットタイプのリクライニングシートで、シートピッチは960mmである。

当初は3両編成で登場したが、翌1990年(平成2年)12月にダブルデッカー車両キサロハ182-5101を増結し、4両編成となった。

  • キハ182形 (5101)
    2号車として使用される中間車。定員は56人。
    車体断面はキハ183形よりさらに大きくとり、屋根肩部に天窓を設けるとともに妻部にも窓を設けた「ドームカー」として360度の展望を確保している。各席にシート液晶モニターが設置されていたが、2003年(平成15年)に撤去され、その後は各車車端部と展望室ならびにグリーン個室に大型液晶モニターが設置されている。
  • キサロハ182形 (5101)
    3号車として使用される2階建て車両で、1990年12月に増備された。気動車列車では日本初の2階建て車両である。台車間に1階部分を落とし込む構造で、走行用機関を搭載しない付随車となっている。
    台車は廃車発生品の電車TR69D形を装着する。これは、JR北海道が日本国有鉄道(国鉄)から継承しながら、一度も営業運転に就かずに廃車になったサハネ581-15から流用したものであり、以下の改造が実施された[6]
  • 冬期での走行中に車体下部に氷雪が当たらないように、車端側に雪かき装置を装備。レール面上から145mmの位置に設置しており、台車枠に溶接で取り付けられているが、その際にひずみや熱が台車枠に加わるため、その処理技術を持つ車両製造メーカーの日立製作所委託契約して取り付けが実施された。
  • ブレーキシリンダとブレーキテコを785系と同じタイプに取替え。
  • ブレーキ管装置と空気ばねの取替え。
  • 踏面清掃装置の取り付けと同配管の設置、781系を参考にしている。
  • 車軸速度発電機の取り付け。
  • その他の付属機器の改造
2階客席は4人用のボックスシート(普通席)を7組配置し、1階には4人用のグリーン個室を3室設置する。シートはソファタイプである。2階部分と平屋部分車端部の2か所にラウンジを設け、平屋部に設けられたラウンジには、妻面にかかる曲面ガラスを設けて斜め方向の展望を確保している。
なお、2010年時点ではグリーン個室は普通個室扱いとなっており、山陽新幹線700系E編成「ひかりレールスター」で運行される列車と同様な利用制度になっているが、形式はキサロハのままで個室はフルムーン夫婦グリーンパスでも利用可能である。
登場当時の車内にはオーディオサービス・TVモニター・大型テーブル・デラックスソファーなどを備えていた。


車内の設備[編集]

登場当時、車内には荷物室、スキー室、インフォメーションボード、マルチチャンネルAV(25インチ液晶モニター)などの設備を備えていた。


運用の変遷[編集]

運行開始時より季節ごとの臨時列車に使用されている。臨時特急「トマムサホロスキーエクスプレス」(札幌 - 新得間)の運用を主とし、2000年代以降は「フラノラベンダーエクスプレス」(札幌 - 富良野間)、その他多客期の臨時特急「とかち」(札幌 - 帯広間)などにも用いられた。2013年(平成25年)冬から2014年(平成26年)7月末まで、エンジントラブルにより「北斗 (列車)」のキハ183系が長期に運休となっていたため代替車両として運転された。


主な列車[編集]

  • クリスタルエクスプレストマムサホロ(1989年12月)
  • マリンクリスタル

1990年代の夏季、札幌 - 小樽間で夕方から夜間に1往復運転された臨時特急列車。全車指定席。途中停車駅は琴似・手稲・南小樽。

  • クリスタルエクスプレス

かつては、トマム・サホロへ向かう臨時特急列車として運転された。2019年のラストランでは、札幌 - 富良野間で運転された。

  • 1990年12月 - 1991年4月:札幌 → トマム → 千歳空港 → 新得 → 札幌間
  • 1992年12月 - 1994年3月:札幌 - 帯広間
  • 1995年12月 - 1997年3月:富良野 - 新得 - 札幌間
  • 2019年9月28・29日:札幌 - 富良野間
  • リゾート北海道

1994年6 - 9月、リゾート北海道北見号として新千歳空港 - 北見間、リゾート北海道釧路号として留辺蘂 - 釧路間、リゾート北海道札幌号として釧路 - 札幌間を走行した。停車駅は以下のとおり。なお、一部の日ではニセコエクスプレス車両で運用された。

リゾート北海道北見:新千歳空港駅 - 南千歳駅 - 札幌駅 - 岩見沢駅 - 滝川駅 - 旭川駅 - 上川駅 - 遠軽駅 - 留辺蘂駅- 北見駅

リゾート北海道釧路:留辺蘂駅 - 北見駅 - 網走駅 - 原生花園駅 - 斜里駅 - 川湯温泉駅 - 摩周駅 - 釧路湿原駅 - 釧路駅

リゾート北海道札幌:釧路駅 - 池田駅 - 帯広駅 - 新得駅 - 南千歳駅 - 札幌駅

  • 秋色探訪(1994年10 - 11月)
  • ごちバラオホーツク(2002年9 - 11月)
  • フラノエクスプレス(1995年8月 - 1997年3月)
  • フラノラベンダーエクスプレス
  • フラノ紅葉エクスプレス
  • フラノスキーエクスプレス
  • トマムサホロスキーエクスプレス(2003年2月 - 2013年3月)
  • リゾートみなみふらの号

2011年・2012年7 - 8月の土日祝、新緑のかなやま湖、映画「鉄道員」の舞台を訪ねる列車として富良野 - 新得間を1日1往復運行した快速列車。全車自由席。途中停車駅は幾寅

脚注[編集]

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  1. ^ 弘済出版社鉄道ダイヤ情報」1990年5月号 No.73 p.76
  2. ^ a b “リゾート列車・クリスタルエクスプレスがラストラン JR北海道”. 産経ニュース. 産業経済新聞社. (2019年9月29日). https://www.sankei.com/life/news/190929/lif1909290043-n1.html 2019年9月30日閲覧。 
  3. ^ a b 弘済出版社鉄道ダイヤ情報」1990年5月号 No.73 p.78
  4. ^ a b “クリスタルエクスプレスが最終運行 多くのファン見送る”. どうしん電子版. 北海道新聞社. (2019年9月29日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/349611 2019年9月30日閲覧。 
  5. ^ 鉄道ジャーナル』通巻526号(2010年8月号)p.147
  6. ^ 交友社鉄道ファン」2016年10月号 No.666 p.43

参考文献[編集]

  • 交友社鉄道ファン
    • 柿沼博彦・中村和弘「新車ガイド・JR北海道リゾートトレイン Part5」1990年2月号 No.346 pp.10 - 14
  • 電気車研究会鉄道ピクトリアル
    • 佐藤 巌 「キサロハ182形 (5101) クリスタルエクスプレス増備車」1991年10月号臨時増刊『新車年鑑』 No.550 p.26

関連項目[編集]

外部リンク[編集]