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北海道旅客鉄道苗穂工場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
苗穂工場
JR北海道苗穂工場
基本情報
鉄道事業者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
帰属組織 本社鉄道事業本部
整備済み車両略号 苗穂工、NH
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苗穂工場(なえぼこうじょう、Naebo Workshop)は、北海道札幌市東区北5条東13丁目にある北海道旅客鉄道(JR北海道)の車両工場。鉄道車両に記入される記号は「NH」、「苗穂工」。工場構内には日本貨物鉄道(JR貨物)苗穂車両所も併設されている。

隣接して苗穂運転所(札ナホ)と苗穂駅が設置されている。

本項目では、日本貨物鉄道苗穂車両所(JR貨物苗穂車両所)・日本貨物鉄道輪西車両所(JR貨物輪西車両所)・北海道鉄道技術館についても記述する。

組織

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苗穂工場

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駅名標を模した看板

日本国有鉄道(国鉄)時代から各種車両の製造、改造、整備、廃車解体を行っている。北海道内で車両の製造ができる工場は苗穂工場と釧路工場の2箇所だけであった。また、鋳鉄制輪子銘板などの鋳物も製造しており、特に摩擦係数の高い特殊鋳鉄制輪子(ブレーキシュー)は冬季間の降雪およびレール凍結時において、最高速度の130km/hから600m以内の制動距離で停止させることが可能で[1]、これを使用しなければ十分な制動力を得られない[2]。なお、JRの車両工場で鋳物を製造する部門が現存するのは当工場と東日本旅客鉄道(JR東日本)長野総合車両センターのみである。

JR北海道に在籍する機関車蒸気ディーゼル電気)と電車全車、7割以上の気動車を受け持つ。なお、函館運輸所に配置されている電車と電気機関車は途中に非電化区間があり自力での回送が不可能なため、ディーゼル機関車で牽引されて当工場まで回送される。

年に1回(例年10月)、工場内を一般公開している。ただし、2013年は事故や車両トラブルが相次いだことによるメンテナンス強化の面で、2018年は北海道胆振東部地震の影響で、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった。

実績

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1980年代から1990年代初頭にかけては「アルファコンチネンタルエクスプレス」「ニセコエクスプレス」など、北海道内を走る一連のリゾート列車の改造や製作を担当した。そのうち「フラノエクスプレス」は1987年ブルーリボン賞を受賞した。

1991年には721系電車の全般検査の実施を控え、組み付けなどの実習教材として同形式を車両メーカーから半完成品の状態で受領し、当工場で完成させている。このほか、1996年には283系気動車の試作中間車(キハ283-2001、のちにキハ282-2001に改番)を制作し、2006年から2007年にかけては261系気動車の構体と台車川崎重工業から購入の上、内装の艤装を行い落成させている[注釈 1]

変わったケースでは、国鉄時代に余剰となった貨車および客車を売却する際に、内装まで含めた店舗としての整備を行ったり[3]、当時自社直営であったバス事業において使用するボンネットバスの修復整備なども行っている[4]

苗穂車両所

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苗穂車両所
基本情報
鉄道事業者 日本貨物鉄道(JR貨物)
帰属組織 北海道支社
整備済み車両略号 苗穂車、NH
配置両数
内燃機関車 3両
合計 3両
備考 2021年3月現在
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苗穂工場構内には日本貨物鉄道(JR貨物)苗穂車両所も併設されており、主にJR貨物北海道支社管内に配置されている機関車の全般検査などを行っている。このため、札幌貨物ターミナル - 苗穂車両所間における機関車の工場入出場回送や、函館本線苗穂 - 幌向間における試運転も行われている。

当所は主に車体・台車関係の整備を直営で行っており、検査時に取り外した電装品やエンジンの整備については、メーカーへ委託(DF200形ディーゼル機関車など)またはJR北海道苗穂工場に委託して実施している。また、機関車関係の業務についてはJR北海道苗穂工場側からの受託もある。

2014年8月の鷲別機関区の廃止により、輪西派出が苗穂車両所に統合されたが、2019年に輪西車両所として再び独立した。

所属車両

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2021年3月現在[5]

HD300形ハイブリッド機関車
  • 3両(501 - 503号機)が所属。

輪西車両所

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輪西車両所
基本情報
鉄道事業者 日本貨物鉄道(JR貨物)
帰属組織 北海道支社
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輪西車両所(わにししゃりょうじょ)は、北海道室蘭市にあるJR貨物の車両工場である。旧鷲別機関区輪西派出苗穂車両所輪西派出

JR貨物が保有するコンテナ車有蓋車、JR北海道が保有する貨車の全般検査・交番検査を担当する。

1998年(平成10年)4月から2000年(平成12年)3月にかけて、ワム80000形貨車のチップ輸送専用化(480000番台)改造を行った。

所在地

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北海道室蘭市仲町0(室蘭線東室蘭 - 輪西間に隣接)

歴史

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1976年の苗穂工場客貨車輪西職場(当時)と周囲約750m範囲。左下が輪西駅方。右上が東室蘭駅方。本線は右上から一番下側を左下へ走る複線。中央から右上にかけてが当派出。左側と上側は新日鉄室蘭製鉄所。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
  • 1912年(大正元年)12月 - 岩見沢工場室蘭派出として発足。
  • 1915年(大正4年)3月 - 苗穂工場輪西派出に改称。
  • 1923年(大正12年)8月 - 現在地に移転。
  • 1936年(昭和11年)9月 - 苗穂工場輪西貨車職場となる。
  • 1949年(昭和24年)2月 - 苗穂工機部客貨車(輪西)職場となる。
  • 1959年(昭和34年)2月 - 苗穂工場客貨車(輪西)職場となる。
  • 1987年(昭和62年)
    • 3月 - 輪西車両所となる。
    • 4月 - 国鉄分割民営化により、JR貨物北海道支社輪西車両所となる。
  • 1998年(平成10年)10月 - 貨車の交番検査を鷲別機関区本区から移管。
  • 1999年(平成11年)4月 - 鷲別機関区輪西派出となる。
  • 2014年(平成26年)9月 - 苗穂車両所輪西派出となる[6]
  • 2019年(平成31年/令和元年) - 輪西車両所となる。

北海道鉄道技術館

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北海道鉄道技術館(英称:Hokkaido Railway Technology Museum)とはJR北海道苗穂工場内に存在する鉄道の展示資料館である[7]。 「さっぽろ・ふるさと文化百選」、北海道遺産[8]「札幌苗穂地区の工場・記念館群」の一施設として選定されている。

交通アクセス

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JR苗穂駅北口より徒歩15分。北海道中央バス札幌東営業所)「苗穂工場」停留所より徒歩5分[9]

沿革

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1991年2月に苗穂工場で落成した721系電車の製造銘板(2次車・F-17編成→F-3017編成)
721系電車の車内銘板(2次車・F-17編成→F-3017編成)

脚注

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注釈

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  1. ^ なお、JR他社での同種の事例としてはJR東日本秋田総合車両センター(←土崎工場)701系電車等の艤装が、JR西日本後藤工場221系電車207系電車の艤装が、JR東海浜松工場新幹線100系電車の艤装が行われている。

出典

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  1. ^ 鉄道ジャーナル』通巻332号(1994年6月号)p.18「HEAT281 熱き疾走」
  2. ^ 『鉄道ジャーナル』通巻332号(1994年6月号)p.44「183系特急気動車のラインナップ」
  3. ^ レイルマガジン通巻14号(1985年3月号)p.24「単なる『貨車売却』の時代からオーダーメイドのお店の販売へ!?」
  4. ^ 『鉄道ジャーナル』通巻287号(1990年9月号)p.136「Bus Corner」
  5. ^ 「2021貨物時刻表」 公益社団法人鉄道貨物協会発行
  6. ^ “登別・鷲別72年最終便 JR貨物の整備拠点機関区、五稜郭に集約へ”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2014年8月31日). http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/560101.html 
  7. ^ 北海道鉄道技術館/北海道文化資源DB(archive版)
  8. ^ a b c 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '05年版』ジェー・アール・アール、2005年7月1日、181頁。ISBN 4-88283-126-0 
  9. ^ 北海道鉄道技術館 事業紹介
  10. ^ 北海道新聞文化賞”. 北海道新聞社. 2023年12月13日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯43度4分14.3秒 東経141度22分38.3秒 / 北緯43.070639度 東経141.377306度 / 43.070639; 141.377306