アホ・バカ分布図

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探偵!ナイトスクープ > アホ・バカ分布図

アホ・バカ分布図(アホ・バカぶんぷず)は、1991年平成3年)に朝日放送ABCテレビ)のバラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』の企画の一つとして放送された、日本列島上における日本語の「アホバカの境界線」を探る企画。あるいは、その分布や境界線を示した地図そのものを指す場合もある。

発端[ソースを編集]

1990年(平成2年)1月、関東人の妻がよく「バカ」という言葉を使うのに疑問を持ったという関西人のサラリーマンの男性 (自身は「アホ」を使うという)からの「アホとバカの境界線はどこか調べて欲しい」といった内容の依頼が『探偵!ナイトスクープ』で紹介された。この依頼を担当した北野誠が、アホとバカの境界線を調べるべく東京駅から調査に乗り出したものの、名古屋駅前での調査では「アホ」でも「バカ」でもない第三の言葉として「タワケ」が使われていたため、急遽「アホ」と「タワケ」の境界線を探ることに変更。岐阜県不破郡関ケ原町の住宅街で「アホ」と「タワケ」の境界線と思われる地域を発見したため、岐阜県不破郡関ケ原町が「アホ」と「タワケ」の境界である、といった結論を出した。

ところが、当時局長だった上岡龍太郎は、「では、バカとタワケの境界線はどこなんですか?」と問いかけた。更に当時の秘書である岡部まり長崎県出身で福岡県短期大学を卒業)が、「私の地元ではバカって使っていました」という、新たな証言まで飛び出した。

その結果、他の探偵からも「大阪の西の境界線はどうなっているのか」などの質問が相次いだため、上岡は「今年一杯かかっても、きちっと地図に境界線を入れてください。」と北野に継続調査を行うことを命令。こうして、本格的なアホとバカの境界線の調査に探偵局は乗り出したが、視聴者からの情報投稿を元に第一次、第二次の分布図を作成した後、しばらくこの件に関する調査は休止状態となった。

視聴者からは本件について継続調査を望む声が強かったというが、番組の制作予算の都合や、その他の企画の進行状況との兼ね合いで、調査再開は約1年後を待つことになる。

アホ・バカ分布図の完成[ソースを編集]

1991年(平成3年)に入ると、朝日放送の上層部が「今年は『探偵!ナイトスクープ』で民放祭(日本民間放送連盟賞)を狙う」として、番組プロデューサーの松本修に「民放祭を取れるような企画はないか」という相談を持ちかけた。当初松本はあまり乗り気ではなかったというが、「賞のためなら通常の番組制作費とは別枠の特別予算が組める」ことを聞いた松本は「アホ・バカ分布図」の企画再開を決意した。

追加予算を得た番組スタッフは、言語学者の徳川宗賢のアドバイスを受けつつ、それまでの予算規模では困難だった地方自治体教育委員会への大規模なアンケート調査を行い、1991年(平成3年)5月に「日本全国アホ・バカ分布図」が完成。アンケート結果に基づく追加ロケを行ったうえで特番として放送された。

実際に詳しく全国の地域を行脚、調査をしてみると、京都を中心とした、同心円状に離れた同じ距離の違う地方で同一の方言が使われていたことが判明するなど、方言周圏論の検証例として「日本語学上大変貴重な」[1]調査結果を出すことができた。この放送内容は後に日本方言研究会でも取り上げられるなど、大きな反響を呼んだ。

分布図の完成、その後[ソースを編集]

投稿から調査・研究がなされ、発表されるまでの過程は、その結果とともに、松本修プロデューサーによって『全国アホ・バカ分布考 はるかなる言葉の旅路』(太田出版[2]新潮文庫[3])に余すところなく収められ、この特番はビデオ化までされた[4]

そして、1991年(平成3年)日本民間放送連盟賞テレビ娯楽部門最優秀賞受賞・第29回ギャラクシー賞選奨・第9回ATP賞グランプリを受賞した。

この「アホ・バカ分布図」は、1991年(平成3年)から1992年(平成4年)ごろまでスタジオ観覧のプレゼントになっていた。かなり大量に印刷したため、上岡は探偵の立原啓裕に「イベントでアホ・バカ分布図を配れ。もう、大量に余っていて困る」と言っていた。

備考[ソースを編集]

  • 『全国アホ・バカ分布考』ではアイヌ語の、wen peが収録されているが、萱野茂の『アイヌ語辞典』には、「アイヌチェイヤンヌプ」「エオハプ」「エパタイ」「ハイタクル」「ラムィサム」「ワヤサプ」と言うアホ・バカ表現はあるものの、「ウェンペー」は「悪人」と言う意味でしか掲載されていない。
  • 受賞作であるため特番はテレビ朝日でも放送され、これがナイトスクープのテレビ朝日初の放送となった。

脚注[ソースを編集]

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  1. ^ 松本修『全国アホバカ分布考』における徳川宗賢の言葉
  2. ^ 松本(1993)
  3. ^ 松本(1996)
  4. ^ 上岡ほか(1995)

参考文献[ソースを編集]

書籍[ソースを編集]

ビデオ[ソースを編集]

関連項目[ソースを編集]