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「Iceweasel」の版間の差分

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== 背景 ==
== 背景 ==
発端は、[[2006年]][[2月]]に[[Mozilla Corporation]]のMike Connor氏がDebian Projectに登録したバグ<ref>[http://bugs.debian.org/cgi-bin/bugreport.cgi?bug=354622]</ref>。その中でMike Connor氏が通達してきたのはおおよそ次のようなことである。
Iceweasel が Firefox から独立した経緯は、Firefox の[[ロゴタイプ|ロゴ]]や[[アイコン]]などのアートワークに適用されている[[ライセンス]]が Debian の方針に合致しなかったことによる。
* Firefoxの商標を使うのであれば、Firefoxの公式の[[ロゴタイプ|ロゴ]]とアートワークを使用しなければならない
* Firefoxのビルドオプションを変更するには[[Mozilla Faundation]]から承認を得なければならない
* Firefoxのソースコードに変更を加えるなら、その差分パッチを必要な理由と共にMozilla Faundationに提出しなければならない
* 古いFirefoxに新しいFirefoxのソースコードを移植するDebian Projectのメンテナンス手法は受け入れられない


それまでDebian ProjectはFirefoxのロゴを、非公式のロゴに差し替えた上で提供していた。これは公式のロゴのライセンスがDebian Projectの方針と合致しなかったためである。また、Debian OSはリリース後に提供ソフトウェアのバージョンを上げず、問題が発覚した場合はソースコードに最小限の修正を加える形のメンテナンスが行われる。Debian Projectが提供していたFirefoxに対しても同様のメンテナンスが行なわれていた。
Firefox の開発を行っている [[Mozilla Foundation]] は Firefox の[[ブランド|ブランド戦略]]を精力的に推し進めており、非公式な Firefox に対しては商標の利用を拒否する権利を行使することを方針としている。彼らの方針によれば、''Mozilla Firefox'' の名称を使用できるのは、[[Mozilla Corporation]] から提供された[[バイナリ]]をそのまま配布する<!--Debian Projectが受けた要請とは違うようです。-->場合のみであり、それ以外は特別な許諾を得るか、名称を別の名前に変更した[[ソースコード]]を使って[[コンパイル]]するとともに、公式の[[ロゴタイプ|ロゴ]]などを使用しないことが求められる<ref>[http://www.mozilla.org/foundation/trademarks/policy.html Mozilla Trademark Policy] - Mozilla.org</ref>。


討論の結果、Firefoxの商標を使用しないという選択し、'''Iceweasel'''という名称を新しく作成した。Debian Projectとしては、Firefoxの商標を使用し、「non-free」と呼ばれる非公式サービスの中でFirefoxを提供するという選択肢もあった。しかしnon-freeサービスはセキュリティサポートの対象外<ref>http://www.debian.org/security/faq#contrib</ref>であり、[[エンドユーザー]]にとって大きなデメリットが発生することになる。
この方針を受けた Debian Project は、討議の結果、'''Iceweasel'''という名称を新しく作成した。


Iceweasel という名称は、この件以前にも同様の問題が浮上し、Mozilla FoundationとDebian Projectの間で話し合いをした結果、Mozilla Trademark Policyに追加されることとなった項目名から取られたものである。なお、同項目名は草案の段階で消えてしまったので、現在のMozilla Trademark Policyには存在しない。
Iceweaselという名称は、[[2004年]]にも同様の問題が浮上し、Mozilla FoundationとDebian Projectの間で話し合いをした結果、Mozilla Trademark Policyに追加されることとなった項目名から取られたものである<ref>http://web.archive.org/web/20040618061030/http://www.mozilla.org/foundation/trademarks/policy.html</ref>。なお、同項目名は草案の段階で消えてしまったので、正式なMozilla Trademark Policyの中には存在しない。


Debian 4.0(etch)からFirefoxの代替としてIceweaselの提供を開始した。なお、同様の問題は、[[Mozilla Thunderbird]]、[[Mozilla Sunbird]] にもあるため、それぞれ「Icedove(アイス ダブ = 氷の鳩)」「Iceowl(アイス アウル = 氷の梟)」という別名が新たに作成された。、Mozilla Foundation と直接関係はないが [[SeaMonkey]] にも Iceape(アイス エイプ = 氷の猿)という別名が用意された。
[[2005年]][[8月]]、GNU Projectがこの名称を採用し、ロゴなども[[フリーソフトウェア]]に合致するものを使用した。[[2006年]][[2月]]、Mozilla Foundationの要請によりDebian ProjectでMozilla Firefoxの名称が使えなくなった。Debian EtchではMozilla Firefoxの別名としてIceweaselが使われている。


[[2010年]][[2月]]にIceweaselのメンテナーであり、Firefoxの[[コミッター]]でもあるMike Hommey氏が自身のBlogの中で、Firefoxの公式のロゴがDebian Projectの方針と合致するライセンスに変更されていることを見つけた<ref>http://glandium.org/blog/?p=933</ref>。しかし依然として商標による制限が残っているため、Mike Hommey氏はそれを解決するための要望書をMozilla Foundationに提出した<ref>http://glandium.org/blog/?p=1650</ref>。
なお、同様の問題は、[[Mozilla Thunderbird]]、[[Mozilla Sunbird]] にもあるため、それぞれ「Icedove(アイス ダブ = 氷の鳩)」「Iceowl(アイス アウル = 氷の梟)」という別名が新たに作成された。

[[SeaMonkey]]は、Mozilla Foundation と直接関係はないが Iceape(アイス エイプ = 氷の猿)という別名が用意された。

[[2007年]][[9月]]、GNU Project は同名称使用による混乱を避ける目的で、GNU IceWeasel から GNU IceCat に名称を変更した。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2011年5月25日 (水) 09:45時点における版

Iceweasel
開発元 Debian Project
最新版
4.0.1 / 2011年4月29日 (13年前) (2011-04-29)
最新評価版 44.0.2-1 - 2016年2月14日 (8年前) (2016-02-14) [1] [±]
リポジトリ ウィキデータを編集
対応OS Linux / Unix
種別 ウェブブラウザ
ライセンス MPL/GPL/LGPLトリプルライセンス
公式サイト tracker.debian.org/pkg/iceweasel ウィキデータを編集
テンプレートを表示

Iceweasel(アイスウィーズル)とは、ウェブブラウザ。またはその開発プロジェクトMozilla Firefox とほぼ同一のものであるが、商標の関係により同プロジェクトから独立したもの。

Debian によるものと、GNU によるもの(GNU IceWeasel)が存在したが、現在では GNU IceWeasel は GNU IceCat に名称変更されている。

Iceweasel は、英語で「氷のイタチ」を意味する。

背景

発端は、2006年2月Mozilla CorporationのMike Connor氏がDebian Projectに登録したバグ[2]。その中でMike Connor氏が通達してきたのはおおよそ次のようなことである。

  • Firefoxの商標を使うのであれば、Firefoxの公式のロゴとアートワークを使用しなければならない
  • Firefoxのビルドオプションを変更するにはMozilla Faundationから承認を得なければならない
  • Firefoxのソースコードに変更を加えるなら、その差分パッチを必要な理由と共にMozilla Faundationに提出しなければならない
  • 古いFirefoxに新しいFirefoxのソースコードを移植するDebian Projectのメンテナンス手法は受け入れられない

それまでDebian ProjectはFirefoxのロゴを、非公式のロゴに差し替えた上で提供していた。これは公式のロゴのライセンスがDebian Projectの方針と合致しなかったためである。また、Debian OSはリリース後に提供ソフトウェアのバージョンを上げず、問題が発覚した場合はソースコードに最小限の修正を加える形のメンテナンスが行われる。Debian Projectが提供していたFirefoxに対しても同様のメンテナンスが行なわれていた。

討論の結果、Firefoxの商標を使用しないという選択し、Iceweaselという名称を新しく作成した。Debian Projectとしては、Firefoxの商標を使用し、「non-free」と呼ばれる非公式サービスの中でFirefoxを提供するという選択肢もあった。しかしnon-freeサービスはセキュリティサポートの対象外[3]であり、エンドユーザーにとって大きなデメリットが発生することになる。

Iceweaselという名称は、2004年にも同様の問題が浮上し、Mozilla FoundationとDebian Projectの間で話し合いをした結果、Mozilla Trademark Policyに追加されることとなった項目名から取られたものである[4]。なお、同項目名は草案の段階で消えてしまったので、正式なMozilla Trademark Policyの中には存在しない。

Debian 4.0(etch)からFirefoxの代替としてIceweaselの提供を開始した。なお、同様の問題は、Mozilla ThunderbirdMozilla Sunbird にもあるため、それぞれ「Icedove(アイス ダブ = 氷の鳩)」「Iceowl(アイス アウル = 氷の梟)」という別名が新たに作成された。、Mozilla Foundation と直接関係はないが SeaMonkey にも Iceape(アイス エイプ = 氷の猿)という別名が用意された。

2010年2月にIceweaselのメンテナーであり、FirefoxのコミッターでもあるMike Hommey氏が自身のBlogの中で、Firefoxの公式のロゴがDebian Projectの方針と合致するライセンスに変更されていることを見つけた[5]。しかし依然として商標による制限が残っているため、Mike Hommey氏はそれを解決するための要望書をMozilla Foundationに提出した[6]

脚注

  1. ^ Index of /debian/pool/main/i/iceweasel/”. 2016年2月27日閲覧。
  2. ^ [1]
  3. ^ http://www.debian.org/security/faq#contrib
  4. ^ http://web.archive.org/web/20040618061030/http://www.mozilla.org/foundation/trademarks/policy.html
  5. ^ http://glandium.org/blog/?p=933
  6. ^ http://glandium.org/blog/?p=1650

関連項目

外部リンク