インターネット広告
インターネット広告(インターネットこうこく、英語: Online advertising)とは、インターネットのウェブサイト(例:Google、Yahoo! JAPANなど)やメールを使用し、企業が製品やサービスのマーケティングのために行う宣伝活動のことである。携帯電話などのモバイル端末に表示される広告も含まれる。「ネット広告」と略されたり、「オンライン広告」「ウェブ広告」とも呼ばれる。
広義では、企業の自社ウェブサイトも広告活動として利用するため、自社ウェブサイトも含め「インターネット広告」とする考え方もあるが、インターネットを使った広告ビジネスが確立した現在では、広義の意味で使用されることは少ない[1]。
目次
特徴[編集]
インターネット広告の特徴は、ターゲティング性とインタラクティブ性の2点である。ターゲティング性とは、ユーザーの年齢・性別などの属性、行動履歴、地域などによって、配信する広告の内容を対象を細かく分けることができる点を指す。インタラクティブ性とは、単純に広告を表示するだけでなく、ユーザーが能動的にアクションすることによって従来のマスメディアではできなかった深いコミュニケーションが取れる点を指す。
クライアント側のリスク[編集]
インターネット広告が、出稿したクライアントの主義主張と相反するホームページ等に掲示されることがあり、社会的に疑念を持たれたり、時には反社会的集団等を支援してしまう可能性がある。2018年、シスコシステムズは、自社のインターネット広告がYouTube上の過激主義者のページに掲示され、結果的に過激主義者を資金面で支えた可能性があることを公表。YouTubeへの動画掲載は続けつつも、インターネット広告については引き上げることを発表している[2]。
種類[編集]
インターネット広告は、形状、配信方法、課金方法の3つの切り口で分類することができる。
形状による分類では、バナー広告、テキスト広告、メール広告、タイアップ広告、リッチメディア広告などに分かれる。リッチメディア広告は、フローティング広告、エキスパンド広告、インターネットCM、動画広告などを含む。
配信方法による分類では、性年齢などの属性情報によって配信対象を制限するデモグラフィックターゲティング広告、ユーザーの過去の閲覧ページの状況をみて関連性の高い広告を表示する行動ターゲティング広告、検索キーワードに連動する検索連動型広告、コンテンツの内容に連動するコンテンツ連動型広告、携帯電話の現在地に連動する位置連動型広告などに分けることができる。
課金方法による分類では、同じバナー広告でも、特定ページへの掲載期間を保証する期間保証型広告、表示回数によるインプレッション保証型広告、アフィリエイトによるアクション報酬型広告、クリックすることで課金が発生するクリック報酬型広告に分けることができる。
また、2011年より日本国内においても入札形式によるリアルタイムな広告枠の買い付け「リアルタイミング・ビッティング(RTB)」が開始された。
広告ブロック[編集]
インターネット広告を見たくないと思うユーザーは広告ブロック機能を使用し広告をブロックしている。[3]
メディアトップの市場規模と更に続く市場成長[編集]
インターネット広告が台頭するまでは、4大マスメディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)が広告市場の大半を占めていた。しかし、テレビ離れ、活字離れ、ラジオ離れによりこれらの旧来のマスメディアの広告市場はどんどん縮小しており、逆に多くの消費者が時間を費やすようになったインターネットの広告市場は急速に成長していくことになった。そして、2017年には世界的に、インターネット広告市場が、市場規模でそれまでトップだったテレビの広告市場を上回った[4]。
2017年の日本の広告費を見ると、「インターネット広告費(媒体費+制作費)」は1兆5,094億円(前年比115.2%)、「テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)」は1兆9,478億円(前年比99.1%)、「新聞広告費」は5,147億円(前年比94.8%)、「雑誌広告費」は2,023億円(前年比91.0%)、「ラジオ広告費」は1,290億円(前年比100.4%)である[5]。
世界的には、2017年の段階でインターネット広告市場がテレビメディア広告費を抜いて首位になっているが、日本では未だテレビメディア広告費が首位である。しかし、これも時間の問題で、2020年にはインターネット広告市場が首位になるという意見もある[6]。
主な企業[編集]
独立系[編集]
- 株式会社オプト・ホールディングス
- 株式会社サイバーエージェント
- 株式会社セプテーニ・ホールディングス
- 株式会社フリークアウト・ホールディングス
- 株式会社ファンコミュニケーションズ
- GMOインターネット株式会社
- 株式会社VOYAGE GROUP
広告代理店傘下[編集]
- 電通デジタル(電通グループ)
- 博報堂DYデジタル(博報堂DYホールディングス)
主な広告配信会社[編集]
- 株式会社サイバー・コミュニケーションズ - アドサーバー cci AdVantage Hybrid
- 株式会社ファンコミュニケーションズ - PC向けアフィリエイトプラットフォーム A8.net
- デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 - 広告配信プラットフォーム FlexOne
- 株式会社オプト - 広告配信システム ADPLAN DS
- Google - 次世代広告プラットフォーム DoubleClick for Publishers
- マイクロアド|株式会社マイクロアド - アドサーバー VASCO
- MediaMind Technologies株式会社 - キャンペーンマネージメントシステム MediaMind
参考文献[編集]
- 大山 忍 『オンライン・マーケティング&ネット広告 HANDBOOK』 株式会社翔泳社、2006年6月20日。ISBN 978-4798110868。
- 太駄健司 『図解インターネット広告』 株式会社翔泳社、2005年2月16日。ISBN 978-4798108339。
- 横山隆治 他 『DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門』 インプレスR&D、2012年5月25日。ISBN 978-4864780018。
脚注[編集]
- ^ デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社. “ネット広告の定義と種類”. 2009年12月27日閲覧。
- ^ “米シスコ、ユーチューブから広告撤退=幹部”. ロイター (2018年5月11日). 2018年5月19日閲覧。
- ^ ネット上の記事から広告を消すAdblockは合法であると裁判官が判断した理由
- ^ 世界広告費、ネットが初めてテレビを上回る
- ^ 電通『2017年 日本の広告費』
- ^ 2020年にもネット広告費がテレビ広告費を抜く