高速船

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高速船(こうそくせん)とは、通常の船舶より高速で航行できる船舶の一般的呼称で正式な定義はない。

いずれも運航経費がかかるので、平行して一般の旅客用船舶が運航されている場合、鉄道列車と同様に乗船券の他に特急料金急行料金が必要となる。かつての宇高航路急行便ホバークラフト、高速艇)も連絡船急行券を必要としていた。

一般的に30~50kt(約55~90km/h)で航行できる次のような船舶を指している[要出典]。なお、このうち大型化可能なタイプのものはカーフェリーとして建造されたものも有った。とりわけ、ホバークラフトについては、海外で現役で運航されている。2009年現在、日本の定期航路においては、この項でいう高速船に該当するカーフェリーはウォータージェット高速フェリーとしては熊本フェリーによる「オーシャンアロー」以外運航していない。

主な形態

双胴型(ラ・ベルメール

高速船の形態を左右するものは、次の3つの要素の組み合わせである。

船型
  • 単胴(モノハル)
    船型としては、丸形、ハードチャイン、ステップハイドロプレーン(ステップドハル)がある。丸形は船としてオーソドックスな船型、ステップハイドロプレーンは、中央部あたりから後部にかけ1段以上の段差が船底に設けられたもの、ハードチャインは船底外板と船側外板の接続部がナックルと呼ばれる角部をなす船型をいい、現在の旅客船航路に採用されているものとしてはハードチャインが一般的である。
    また、水面から船体を浮上させ抵抗を軽減することにより高速化を実現するものに、水中翼を持つ水中翼船や、浮上用ファンにより船体下面にエアクッション層を形成するホバークラフトがある。
  • 双胴(カタマラン)
    船体を細くすることで造波抵抗を減らし、甲板面積を確保するために双胴としたもの。波浪の影響も受けにくく、速度と直進性に優れる。
    • 波浪貫通型双胴船
      代表船型としてウェーブピアサーなどがある。意外に知られていないのはノルウェーで開発された470人乗り高速双胴船、Foilcat<最高時速50ノット>である。Foilcatの特性はジェットフォイルがボ―イング社の開発を基としているため、商業用航空機同様に整備間隔が頻繁なうえ複雑なので作業コストが高い。その点、Foilcatはノルウェーの造船所が開発したので、船主の意向を考慮した整備システムを採用、間接コストが低い。現在香港・マカオ間で就航中。
    • 小水線面積双胴船(SWATH)
      半没水型双胴船とも呼ばれ、従来の双胴船と比較して喫水線付近を絞り込む事によって造波抵抗を減らす設計になっている。船体が喫水線付近でくびれているので喫水線より下の区画の整備性においてやや難がある。
  • 三胴(トリマラン)
    カタマランの特徴をさらに伸ばしたもの。船体内の容積が確保できないこと、旋回半径が大きいことなどからレース用以外では普及していない。
推進装置
原動機

上記3要素の組み合わせで、近年運航されているものを分類すると、次のようになる。なお、組み合わせによりメーカの名称に従っているものが多いので注意のこと。

高速艇
ハードチャイン船型、ディーゼル機関、プロペラ又はウォータージェット
翼付双胴高速船
スーパージェット(ハイブリッド船型(双胴+全没水中翼)、ディーゼル機関、ウォータージェット)
水中翼船
ジェットフォイル(全没水中翼、ガスタービンエンジン、ウォータージェット)、スーパーシャトル(全没型水中翼船、ディーゼル機関、ウォータージェット)
ホバークラフト
ホバークラフト(スカート付き、ディーゼル機関、空中プロペラ)

船体の素材は、必要な強度、工作性などにより様々であるが、高張力鋼又は軽合金が一般的である。なお、水中翼船ほど船体浮揚力には寄与しないが、航走時の姿勢制御や乗り心地改善などを目的として小さな水中翼を取り付けてライドコントロールと称しているものもある。

なお、現在日本では就航していない(国内に導入されていないか廃止又は開発中)のものとしては半没型(水面貫通型)水中翼船(ディーゼル機関、プロペラ、代表船型:PT50)、ホバークラフト(ガスタービン、空中プロペラ、代表船型:PP5)、側壁型エアクッション艇(ガスタービン、ウォータージェット、代表船型:TSL A)などがある。

日本の運航航路

以下は、日本国内で高速船を運航している定期航路の一覧である。航路のあとに記述の括弧内は運航会社を、鍵括弧内は使用船舶を示す。 ※日本国内を起終点とする航路で、同国内の船社と共同運航している場合のみ日本国外のものも記述。

関連項目