雄琴温泉
雄琴温泉 | |
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温泉情報 | |
所在地 | 滋賀県大津市 |
座標 | 北緯35度5分49秒 東経135度53分41秒 / 北緯35.09694度 東経135.89472度座標: 北緯35度5分49秒 東経135度53分41秒 / 北緯35.09694度 東経135.89472度 |
交通 |
鉄道:JR湖西線おごと温泉駅下車 他の交通機関については#交通の項を参照 |
泉質 | 単純温泉 |
泉温(摂氏) | 30.0 °C |
pH | 8.58 |
液性の分類 | アルカリ性 |
浸透圧の分類 | 低張性 |
宿泊施設数 | 9軒 |
年間浴客数 | 489,487 |
統計年 | 2011年 |
外部リンク | おごと温泉観光協会 (日本語) |
雄琴温泉(おごとおんせん)は、滋賀県大津市(旧国・近江国)の琵琶湖西岸にある温泉。最澄によって開かれたと伝えられる約1200年の歴史を持つ由緒ある温泉。滋賀県下最大の温泉地であり、2000年以降、地元観光協会などでは平仮名表記の「おごと温泉」を使用している(後述)[1]。
近年、各旅館経営者の改善努力によって特に変化著しい温泉地の一つであり、着実に宿泊客が増えている[2][3]。2006年10月27日に第1回「地域ブランド」(地域団体商標)として認定されている(第5034857号)[4]。
泉質
- 源泉名 雄琴温泉 市第5号泉、市第4号泉
- アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性温泉)
- 源泉 30.1℃(気温15.6℃)、市第5号泉(35.9℃)、市第4号泉(25.9℃)
- 温泉成分 カリウム、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、アルミニウム、メタケイ酸、メタホウ酸、硝酸イオン、フッ素イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、マグネシウム、フェロイオン(鉄(II)イオン)、フェリイオン(鉄(III)イオン)、遊離炭酸など。
適応症
温泉街
1929年(昭和4年)創業の老舗湯元舘をはじめとして旅館・ホテルが10軒ほどが滋賀県道558号高島大津線(旧国道161号)を挟んで点在する。比叡山の山麓(堅田丘陵とも呼ぶ)沿いに建てられているため、琵琶湖など眺望に優れる。周辺には比叡山延暦寺とその門前町坂本、日吉大社、堅田の浮御堂、園城寺(三井寺)、紫式部で有名な石山寺など歴史ゆかりの文化財が多く、観光拠点として適している。名物料理として鴨料理や近江牛料理などがあり、特に鴨鍋は冬の琵琶湖を代表する味覚である。
その一方で歓楽温泉としても発展した背景があり、昭和40年代以降に温泉街の南側、
最寄り駅の雄琴駅は、地元の働きかけにより2008年3月15日、「おごと温泉駅」に改称された[2][5]。
2011年2月1日、観光施設として大津市立おごと温泉観光公園がオープンした[6]。
歴史
今から約1200年前に最澄が開いた湯といわれるが[1]、次のようなエピソードもある。昔はこの近くに八つの頭を持つ大蛇が棲んでいたといわれ、その大蛇の棲む谷には北国街道を少し西に入ったあたりの法光寺境内の北端、字蛇ヶ谷に念仏池(別名:蛇池)という池があった。この池は病気に効くというので、村人は念仏を唱えながら賽銭を投げ入れていたという。この池が雄琴温泉の由来だという[7]。雄琴という地名は、平安時代の貴族今雄宿禰の荘園があり、その邸からよく琴の音が聞こえたことから、姓の「雄」と「琴」をとって雄琴と呼ばれるようになった。
雄琴の南方の法光寺(天台宗)境内の念仏池には地下水が絶え間なく湧出し村人らが飲用するとたちまちに難病すらも癒え、池底の泥を皮膚に塗ったところ汗疹、皮膚病などが完治したとの言い伝えが残り、古来より霊泉として崇められてきた。大正時代には、霊泉がラジウム鉱泉であることが判明し、温泉開発に一気に弾みがついた[8]。その後、江若鉄道雄琴温泉駅が設けられ鉄道が開通すると、温泉地としての開発は進んだ[9]。
第二次世界大戦後、交通アクセスのよさから、関西地方の奥座敷として発展した。特に1970年代前半から、国鉄(当時)湖西線の開通もあって団体旅行客が増加した。1970年(昭和45年)には日本万国博覧会の特需に沸き、開催地から近隣の雄琴温泉は連日、満員御礼の盛況となった。
風俗街化と低迷
1971年(昭和46年)には、雄琴温泉から南に500m地帯の苗鹿三丁目に、雄琴初のトルコ風呂(ソープランド)「花影」を皮切りに、大規模な性風俗関連特殊営業が形成されていった[10](同業態は1971年3月に京都府で禁止されたことから、生き残りをかけて隣接県の当地に多数が流入したものと見られる[11][12])。
1980年代から1990年代の旅行ガイドブック、温泉ガイドブックには、雄琴温泉の名は記載から外されることもあり、1990年代に発行された、旅行読売出版社による全国の温泉地を網羅した『全国温泉大事典』にも、「戦後、歓楽温泉として発展」と書かれるのみで、温泉地として専門家からの評価も低下した。
イメージ改善と再生
前述のことから、雄琴温泉は風俗街のイメージが先行し家族層からは敬遠された[2]。また、バブル崩壊後は主な得意客であった職場団体客が激減し[2]、28軒あった旅館が10軒までに減少した[1]。生き残りを図るために旅館組合の8名が『雄琴青経塾』を立ち上げ、これまでの体制や慣習を抜本的に見直し、「雄琴=風俗街」というイメージの払拭を図るため改装に乗り出した。各々の旅館が全室露天風呂付きの客室の新館や別館を併設したり、趣向を凝らした露天風呂などを開設している。
それと並行して、接客やサービスの改善に努め、創作料理を提供するなど旅館同士でのハード面・ソフト面双方の改善の競争が起こった。地元のブランド牛である「近江牛」を提供する「認定近江牛指定店」に全10軒すべてが登録し[1][2]、食へのこだわりがある街としてのイメージを印象づけるとともに旅館名の変更も相次いだ。こうした旅館組合ぐるみによる旅館同士の競争が相乗効果を生み、着実にリピーターや新規顧客を増加させ、日帰り施設なども作られ、年間60万人超が利用する一大温泉地となった。
なお、雄琴温泉の表記は、おごと温泉観光協会などの団体や地方公共団体では「おごと温泉」[13][14](大津市の条例は漢字表記)[15]としている一方、マスメディアでの表記は「雄琴温泉」[1]「おごと温泉」[2]の両方が混在している。
交通
- 鉄道
- 路線バス
- 自動車
- 船(運航休止中)
- ※季節運航便(冬のびわこ縦走雪見船)などが寄港することもある。
周辺観光
- 琵琶湖クルーズ - 大津港は、琵琶湖汽船が運航する遊覧船「ミシガン」など琵琶湖を就航する航路の重要拠点である。
- 延暦寺 - 天台宗総本山。山号は比叡山。最澄開山。世界遺産。根本中堂などが国宝。
- 西教寺 - 伝聖徳太子創建。
- 満月寺浮御堂
脚注
出典
- ^ a b c d e f “「特殊浴場と共存」は昔の話、旅館2代目たちが「脱風俗」のイメージチェンジに奮闘する「おごと温泉」の“今””. 産経ニュース. (2014年7月11日) 2021年8月9日閲覧。
- ^ a b c d e f “おごと温泉 にぎわい復活 レジャー多彩、食事に近江牛”. 日本経済新聞. (2012年2月25日) 2021年8月9日閲覧。
- ^ 「温泉地」をアピール 客層拡大“不況知らず” - 読売新聞(2011年1月1日閲覧)[リンク切れ]
- ^ 商標登録第5034857号 雄琴温泉(おごとおんせん) - 特許庁
- ^ “データで見るJR西日本2020 駅” (PDF). 西日本旅客鉄道. p. 90 (2020年9月). 2020年11月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月9日閲覧。
- ^ “足湯気持ちいい~ おごと温泉観光公園が完成”. 中日新聞 (2011年1月29日). 2011年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月9日閲覧。
- ^ おごと温泉 湯元舘公式サイト (日本語)
- ^ 学芸員のノートから 第29回 開発当時の雄琴温泉絵葉書 - 大津市歴史博物館
- ^ 泉質と歴史 おごと温泉観光協会 2020年10月7日閲覧
- ^ 『戦後性風俗大系』p.245 -
- ^ おごと(雄琴)温泉(おごと温泉旅館協同組合) 92頁 公益財団法人 中部圏社会経済研究所
- ^ 【2013年9月1日に第1回セミナー(我が国観光の将来を探る)を開催しました。】 立命館大学経営学部校友会 2013年9月1日
- ^ おごと温泉観光公園 - 大津市産業観光部観光振興課
- ^ 滋賀県観光情報 おごと温泉 - びわこビジターズビューロー
- ^ 大津市雄琴温泉供給条例
- ^ a b 交通とお天気 - おごと温泉旅館協同組合・おごと温泉観光協会(2011年2月16日閲覧)
関連項目
外部リンク
- おごと温泉観光協会 公式サイト (日本語)
- おごと温泉 - 滋賀・びわ湖観光情報(日本語)
- おごとん【公式】 (@ogoton_ogoto) - X(旧Twitter)
- おごと温泉観光協会 (ogotoonsen) - Facebook