甲斐野央

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甲斐野 央
福岡ソフトバンクホークス #20
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 兵庫県西脇市
生年月日 (1996-11-16) 1996年11月16日(27歳)
身長
体重
188 cm
92 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 投手
プロ入り 2018年 ドラフト1位
初出場 2019年3月29日
年俸 3600万円(2022年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム 日本の旗 日本
プレミア12 2019年
獲得メダル
男子 野球
日本の旗 日本
WBSCプレミア12
2019

甲斐野 央(かいの ひろし、1996年11月16日 - )は、兵庫県西脇市出身のプロ野球選手投手)。右投左打。福岡ソフトバンクホークス所属。

経歴

プロ入り前

少年野球のコーチである実父の影響[2]で、西脇市立桜丘小学校3年時から、黒田庄少年野球団で投手としてプレー。西脇市立黒田庄中学校時代には、校内の軟式野球部で活動した[3]。3年時にはKボール全国秋季大会に兵庫県選抜で出場すると、選抜チームを優勝に導いた。

東洋大学附属姫路高校への進学を機に硬式野球を始めた。1年時の秋からベンチ入りを果たすと三塁手として対外試合に出場。2年時の夏には、背番号3の控え投手として先発のマウンドに立った。2年時の秋には、松本航などと共に兵庫県選抜チームの一員としてタイへの遠征に参加している。3年時には、背番号5を着用しながらエース格の投手として活躍する。クリーンアップの一角を担いながら、対外試合で三塁を守ることもあった。

東洋大学付属姫路高校在学中には、春夏とも阪神甲子園球場の全国大会へ出場できなかったが、地元球団の阪神タイガースをはじめ、NPB数球団のスカウトから投手として高く評価されていた。もっとも、甲斐野自身はプロ志望届日本学生野球協会へ提出せず、系列校の東洋大学へ進学。進学を機に投手へ専念した。

東洋大学進学後は、1年秋の東都大学野球2部リーグ戦から登板機会を得ると、2年時からストレートの球速が150km/h台に到達した。3年秋には、リーグ戦初勝利を挙げたことを皮切りに、救援投手として5勝1敗、防御率2.02を記録。リーグ最優秀投手とベストナインのタイトルを獲得した。このシーズンと、監督の交代(高橋昭雄杉本泰彦)を機にクローザーへ抜擢された4年春のリーグ戦では、2季連続で胴上げ投手になっている。

東洋大学在学中には、2部時代を含めてリーグ戦で通算38試合に登板。先発登板は2試合にとどまったものの、救援中心の登板で8勝4敗、防御率1.96という成績を残した。さらに、4年時の夏には第42回日米大学野球選手権大会ハーレムベースボールウィーク日本代表に選出されている。両大会とも主にクローザーとして起用されると、両大会通算7試合の登板(通算投球イニング13回1/3)で24奪三振、無失点と好投した。2018年8月29日に明治神宮野球場で開催されたU-18アジア選手権日本代表の壮行試合では、大学日本代表の7番手投手として9回表に登板すると、大阪桐蔭高等学校からU-18日本代表に選ばれていた根尾昂に投じたストレートで158km/hを記録した[4]。この記録は、神宮球場で開催された学生野球の試合中にスコアボードへ表示された投手の球速としては、最速記録とされている[5]。大学での同期生には、上茶谷大河梅津晃大中川圭太藤井聖末包昇大がいた。

以上の活躍に加えて、東洋大学が自身の3年春からリーグ3連覇を果たしていたことも背景に、2018年のNPBドラフト会議の直前には上茶谷や梅津とともに「東洋大三羽烏」と呼ばれ、1位指名候補に挙げられており[2]小園海斗への指名重複による抽選で独占交渉権を逃した福岡ソフトバンクホークスから1巡目で指名された。契約金1億円に出来高分の5000万円、年俸1500万円(金額は推定)という最高の条件で入団に至った[6]。背番号は20。この会議では、東洋大学から上茶谷が1巡目で横浜DeNAベイスターズ、梅津が2巡目で中日ドラゴンズ、中川が7巡目でオリックス・バファローズから指名され、入団している。

プロ入り後

2019年には、救援要員として開幕一軍入りを果たすと、3月29日に埼玉西武ライオンズとの開幕戦延長10回表から公式戦にデビュー。この回を3者連続奪三振で凌ぐなど、2イニングを1被安打5奪三振無失点に抑えた。さらに、11回裏にアルフレド・デスパイネのサヨナラ安打でチームが勝利したことによって、NPBの新人投手では最も早く一軍公式戦の初勝利を記録した[7]。以降は、セットアッパーとして8回を中心に登板。上記のデビュー戦から登板試合での無失点を続けた結果、4月25日の対オリックス・バファローズ戦(いずれも福岡ヤフオク!ドーム)で、新人投手による連続無失点試合数のNPB新記録(11試合)を樹立[8]。後に、この記録を13試合にまで更新[9][注 1]。6月中旬からは、故障で戦線を離脱した森唯斗に代わって、およそ1か月間にわたってクローザーを務めたこともあった[10]。最終的にはリーグ3位タイの65試合に登板し、2勝5敗8セーブ26ホールドを挙げ、防御率は4.14を記録。クライマックスシリーズと日本シリーズで計8試合に登板し、チームの日本一に貢献した。

オフの11月に開催された第2回WBSCプレミア12日本代表に選出された。同大会では5試合の5イニングを投げ無安打、無失点に抑えて日本の優勝に貢献した[11]。12月10日、3500万円増の推定年俸5000万円で契約を更改[12]。2018年のドラフト1位選手の中で最大年俸となった[13]

2020年は2月のキャンプで右肘の違和感を訴えると[14]、2月14日に「右肘内側側副靱帯一部損傷」と病院で診断されキャンプを離脱[15]。PRP治療[16]・リハビリを経て7月24日の二軍戦で実戦復帰[17]したが、二軍戦はその1試合のみの登板にとどまり、一軍登板もなかった。オフの12月4日に右肘関節鏡視下関節形成術を受けたことが発表された[18]。12月14日、1200万円減の推定年俸3800万円で契約を更改した[19]

2021年は5月8日の三軍戦で10か月ぶりに実戦復帰[20]。ブランクに加えてコンパクトな投球フォームに変更したこともあり、実戦感覚を取り戻すまでに時間がかかったが[21]、前半戦最終戦となった7月14日に一軍昇格[22]。この日の登板は無かったものの、後半戦の開幕も一軍で迎え、8月15日の対北海道日本ハムファイターズ戦で662日ぶりの一軍登板を果たした[23]。9月2日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦では774日ぶりのセーブも記録したが[24]、好不調の波が激しく[25][26]、この年は22試合の登板で0勝2敗1セーブ4ホールドを記録するも防御率4.35と安定感を欠いた。オフに200万円減となる推定年俸3600万円で契約を更改した[27]

2022年は交流戦明けの6月17日に初めて一軍登録され[28][29]、同日の楽天戦(福岡PayPayドーム)の9回表にシーズン初登板[29]。イニングの先頭打者・武藤敦貴への2球目に160km/hを記録した[29]

選手としての特徴・人物

オーバースロー[30]から最速160km/hの速球[29]と140km/h台のフォークボールを中心に投球を組み立てる[31][32][33]

大学時代に公称で最速158km/h(前述)のストレートについては、東洋大学4年時(2018年)の東都大学野球春季リーグ・対立正大学戦(神宮)での救援登板でストレートを投じたところ、甲斐野の投球を視察していたMLB球団スカウトのスピードガンで159km/hを計測した(神宮球場での球速表示では152km/h)[34]

東洋大学への入学後から投手へ専念したにもかかわらず、右投手としてNPBの数球団で活躍した玉井信博(3年時の2017年シーズンからコーチへ就任)の指導によって、4年時には大学球界を代表するクローザーにまで成長した。その一方で、球界関係者からは先発投手としての素養も見込まれている。現に、4年時に参加した大学日本代表選考合宿で甲斐野の投球動作を解析したところ、投じたボールの毎分回転数が2400回以上に達することが判明した。この回転数は合宿に参加した代表候補投手で最も多く、MLB投手の平均値(毎分2263回転)を上回るという[35]

2021年1月8日に一般女性と結婚したことを発表[36][37]

詳細情報

年度別投手成績





















































W
H
I
P
2019 ソフトバンク 65 0 0 0 0 2 5 8 26 .286 253 58.2 49 6 34 1 4 73 3 0 28 27 4.14 1.41
2021 22 0 0 0 0 0 2 1 4 .000 88 20.2 16 3 10 0 2 25 1 0 10 10 4.35 1.26
2022 27 0 0 0 0 2 0 0 3 1.000 106 25.0 19 0 14 1 0 27 0 0 7 7 2.52 1.32
通算:3年 114 0 0 0 0 4 7 9 33 .364 447 104.1 84 9 58 2 6 125 4 0 45 44 3.80 1.36
  • 2022年度シーズン終了時

WBSCプレミア12での投手成績










































2019 日本 5 0 2 0 0 15 5.0 0 0 0 0 0 7 0 0 0 0 0.00

年度別守備成績



投手












2019 ソフトバンク 65 3 11 0 1 1.000
2021 22 1 3 0 0 1.000
2022 27 0 4 1 0 .800
通算 114 4 18 1 1 .957
  • 2022年度シーズン終了時

記録

初記録

背番号

  • 20(2019年 - )

登場曲

[38]

代表歴

脚注

注釈

  1. ^ 2021年に栗林良吏広島)が22試合に更新した。パ・リーグ記録としても、同じく2021年に水上由伸西武)が17試合に更新している。

出典

  1. ^ ソフトバンク - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2021年12月5日閲覧。
  2. ^ a b 【ドラフト1位候補大解剖】東洋大“トリオ” 完成度抜群の“王様”上茶谷、最速159キロ!甲斐野、潜在能力高い187センチ右腕・梅津(1)”. ZAKZAK (2018年10月23日). 2021年5月9日閲覧。
  3. ^ 2018ドラフト指名選手 中学野球目線で見た指名選手の都道府県ランキング!”. ヤキュイク・powered by BASEBALL KING (2018年10月29日). 2019年3月23日閲覧。
  4. ^ 藤原&根尾を斬った!東洋大・甲斐野、出た158キロ「奇跡の1球かも」”. サンケイスポーツ (2018年8月29日). 2021年5月9日閲覧。
  5. ^ 大学侍・甲斐野、神宮自己最速の158キロで高校侍を圧倒!”. スポーツ報知 (2018年8月28日). 2021年5月9日閲覧。
  6. ^ ソフトバンク1位甲斐野が契約合意 将来は守護神に”. 日刊スポーツ (2018年11月27日). 2021年5月9日閲覧。
  7. ^ a b “ソフトバンク甲斐野「うれしい」新人初勝利一番乗り”. 日刊スポーツ. (2019年3月29日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201903290001303.html 2019年3月30日閲覧。 
  8. ^ “ソフトバンク甲斐野が日本新記録 新人開幕から11戦連続無失点”. スポーツニッポン. (2019年4月26日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/04/26/kiji/20190426s00001173040000c.html 2019年9月5日閲覧。 
  9. ^ ソフトバンク甲斐野「技術不足」無失点記録ストップ”. 日刊スポーツ (2019年5月3日). 2019年5月13日閲覧。
  10. ^ ソフトバンク甲斐野、抑え経験し1球の大切さ自覚”. 日刊スポーツ (2019年7月23日). 2019年9月5日閲覧。
  11. ^ 侍甲斐野「できすぎ」プレミア全5戦を無安打投球”. 日刊スポーツ (2019年11月18日). 2021年5月9日閲覧。
  12. ^ 3倍超5000万円更改の鷹ドラ1甲斐野、東京五輪は「僕はもうダメです」本心は…”. Full-Count (2019年12月11日). 2021年5月9日閲覧。
  13. ^ 甲斐野5000万円一番乗り/ドラ1の契約更改一覧”. 2019-12-10. 2021年5月9日閲覧。
  14. ^ 完璧なケガ防止は難しい 故障防止は最大のテーマ”. 日刊スポーツ (2020年2月16日). 2021年5月9日閲覧。
  15. ^ ソフトバンクに暗雲 甲斐野開幕絶望/故障者一覧”. 日刊スポーツ (2020年2月16日). 2021年5月9日閲覧。
  16. ^ ソフトバンク甲斐野「激痛でした」PRP治療受ける”. 日刊スポーツ (2020年2月19日). 2021年5月9日閲覧。
  17. ^ ソフトバンク甲斐野が初実戦、1回2安打2失点”. 日刊スポーツ (2019年11月18日). 2020年7月24日閲覧。
  18. ^ ソフトバンク甲斐野の手術が終了 復帰に約3カ月”. 日刊スポーツ (2020年12月4日). 2021年5月9日閲覧。
  19. ^ ソフトバンク甲斐野1200万減「悔しい思いした」”. 日刊スポーツ (2020年12月14日). 2021年5月9日閲覧。
  20. ^ 甲斐野「久しぶりの感覚」10カ月ぶり実戦で153キロ 先発で1回を無安打無失点”. 西日本スポーツ (2021年5月8日). 2021年12月6日閲覧。
  21. ^ 甲斐野2軍戦で154キロ「高望みをしすぎました」”. 西日本スポーツ (2021年6月6日). 2021年12月6日閲覧。
  22. ^ 甲斐野2年ぶり1軍昇格 工藤監督「苦しんだ分、楽しんで」 高橋礼も3カ月ぶり”. 西日本スポーツ (2021年7月14日). 2021年12月6日閲覧。
  23. ^ 662日ぶりの1軍登板 甲斐野央の復活が苦境の鷹リリーフ陣にもたらすもの”. Full-Count (2021年8月17日). 2021年12月6日閲覧。
  24. ^ 甲斐野774日ぶりにセーブ「自分一人の力は微々たるもの」 守護神不在に光”. 西日本スポーツ (2021年9月2日). 2021年12月6日閲覧。
  25. ^ 5点リード守れなかったソフトバンク 工藤監督は逆転負けも選手を責めず”. 西日本スポーツ (2021年8月22日). 2021年12月6日閲覧。
  26. ^ ソフトバンク自力V消滅 8回甲斐野が3失点で痛すぎ逆転負け 打線が天敵L高橋から5得点も”. 西日本スポーツ (2021年9月7日). 2021年12月6日閲覧。
  27. ^ ソフトバンク甲斐野200万円減の3600万円でサイン 右肘手術から2季ぶり1軍復帰で22試合登板”. 西日本スポーツ (2021年12月4日). 2021年12月6日閲覧。
  28. ^ 2022年6月17日の出場選手登録、登録抹消”. NPB.jp 日本野球機構. 2022年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月18日閲覧。
  29. ^ a b c d ソフトバンクにまた160キロ投手誕生 今季初1軍の甲斐野央が自己最速マーク”. 西日本スポーツ. 西日本新聞社 (2022年6月17日). 2022年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月18日閲覧。
  30. ^ 【東都】東洋大・甲斐野、158キロ出た「大魔神になれる」ドラ1候補をメジャースカウト絶賛”. スポーツ報知 (2018年4月28日). 2021年5月9日閲覧。
  31. ^ ソフトBドラ1甲斐野、スーパースター柳田と対戦熱望「三振取りたい」”. 西日本スポーツ (2018年11月28日). 2018年4月5日閲覧。
  32. ^ ドラ1候補東洋大・甲斐野155キロ、スカウト絶賛”. 日刊スポーツ (2018年4月24日). 2018年4月5日閲覧。
  33. ^ 速っ!ソフトバンク・甲斐野が2軍戦で自己最速159キロ「打者と勝負しての球速なのでうれしい」”. スポーツニッポン (2021年7月23日). 2021年7月25日閲覧。
  34. ^ 東洋大・甲斐野159キロ!メジャースカウトが計測”. 日刊スポーツ (2018年5月17日). 2021年5月9日閲覧。
  35. ^ 【ドラフト1位候補大解剖】東洋大“トリオ” 完成度抜群の“王様”上茶谷、最速159キロ!甲斐野、潜在能力高い187センチ右腕・梅津(2)”. ZAKZAK (2018年10月23日). 2021年5月9日閲覧。
  36. ^ “【ソフトバンク】甲斐野央が一般女性との結婚を公表”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2021年1月8日). https://hochi.news/articles/20210108-OHT1T50120.html?page=1 2021年1月8日閲覧。 
  37. ^ “ソフトバンク甲斐野が結婚”. 共同通信 (共同通信社). (2021年1月8日). https://this.kiji.is/720188387082764288 2021年1月8日閲覧。 
  38. ^ チーム情報 球場使用曲一覧”. 福岡ソフトバンクホークスオフィシャルサイト. 2019年4月5日閲覧。
  39. ^ 2018年 第42回 日米大学野球選手権大会”. 野球日本代表 オフィシャルサイト. 2020年12月18日閲覧。
  40. ^ 2018年 第29回 ハーレムベースボールウィーク”. 野球日本代表 オフィシャルサイト. 2020年12月18日閲覧。

関連項目

外部リンク