学生寮

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典型的なアメリカの学生寮

学生寮(がくせいりょう、英語:dormitory)とは、中学校高等学校大学などの学校に学ぶ生徒学生児童の住むのこと。寄宿舎とも呼ばれる事もある。本来は、学校との通学距離が長かったり、交通が不便などで通学困難な学生・生徒・児童のために作られたものである。また、学校や地域によってはこれらの理由とは無関係に寮での生活を義務づけることもある(全寮制)。

概要

学生向けの物件であるため、家賃は一般的なアパートより安めに設定されている所が多い。部屋以外の設備(風呂トイレなど)は共同使用の場合が多く、基本的に相部屋である(特に下級生)。

学校や寮、地域によっては外出門限を厳しく制限されたり、寮での日課(特に食事入浴就寝時間)が規則で決められている所が多く、私生活を束縛される理由から、深夜早朝アルバイトが不可能またはそれに近い状態であったりする。近年は減少傾向にあるが、朝夕の食事が提供される所もある。

大学

戦前旧制高等学校では、旧制高校といえば寮生活を思い浮かべる人が多いと言われるほど寮と関係が深く、寮歌が盛んに歌われていた。

大学寮はさまざまな学生の交流の場ともなっており、ホールラウンジなど、ちょっとした集まりが出来る共有スペースがあり、ユースホステルなどと同じく有料で外部学生が宿泊出来ることもある。東大駒場寮などを中心に学生運動の拠点ともなり、学生寮自治会の連合組織として「全日本学生寮自治会連合」(全寮連)も結成されていた(2006年3月解散)。

筑波大学の学生宿舎は、海外からの研究者なども多く、家族で住む事のできる部屋もあり、開学当時はそれが話題にもなった。ヨーロッパ北米の大学では、男女が同室に一緒に住む事もできる寮や、同一フロアに男女が混在して生活する寮も珍しくはない。

もともとは、キリスト教修道院の中の修道士の居住空間から着想を得ているものらしい[要出典]。dormitory自体は、本来の意味は「共同の寝室」。ドイツ語スラブ語で仲間、友達をいうder Kameradeも「方形の個室(Kamera)で生活を共にした友達」からくる。

中等教育

また、一部の中高一貫校では寮があり、遠隔地からの生徒受け入れが可能なため、都会から離れている立地の学校でも都会の学校と同じ土俵で競えるなどのメリットがある。

集団生活での責任感も養成する観点から、寮では原則として複数人で一部屋を使用する場合が殆どで、特待生として優遇されない限り、一人一部屋になる事はない(一人一部屋にすれば、寮の建設費や維持費が増大するという理由もある)。

トヨタ自動車JR東海中部電力など中部地方の有力企業がイギリスの名門イートン校をモデルにして、全寮制学校「海陽中等教育学校」を作った。

不登校経験者を対象にした学校でも、寮を設置している場合が多い(北星学園余市高等学校など)。

篤志家による設置

特定の学校に属さず、複数の学校から広く学生を受け入れる寮としては、山手学舎友愛学舎信愛学舎登戸学寮和敬塾大東会館などがある。山手・友愛・信愛の各学舎は兄弟寮であり、YMCAが運営に関わっている。他にも、自治体などによる県民寮があり、全国的に閉寮傾向にあるが千葉県の育英会館学生寮、富山県の青雲寮などが現存する。

全寮制

自治医科大学東京基督教大学防衛大学校松下政経塾などは全寮制であり、入学と同時に入寮の義務が課せられる。また、皇學館大学も全員が原則2年間、学生寮への入寮が義務付けられている。三重県の青山高等学校(旧・日生学園第二高等学校)(男女共学)と兵庫県の自由ヶ丘高等学校(旧・日生学園第三高等学校)(男子校)は全国でも有名な全寮制の高校である。

両国予備校などのように、全寮制を謳いつつも通学生も受け入れている学校もある。

また、旧制大学時代の千葉工業大学では学生だけではなく、教員も同じ寮に寄宿し、寝食を共にするという変わったスタイルの全寮制大学も存在した。

学生寮を扱った作品

学生寮の一覧

大学

         有朋寮(ゆうほうりょう)廃寮          日就寮(にっしゅうりょう)

慶應義塾大学
日吉寄宿舎

         熊野寮(くまのりょう)

高等専門学校

中学校・高等学校

各種学校

省庁大学校

予備校

  • 両国予備校 - 基本的に全寮制を宣伝していた。通学も可能。2005年廃校。

その他の学校

関連項目

脚注

  1. ^ もとは全寮制大学が前身で、時局に伴って何度か大学の所在地が移転しているため、複数の寮(名)が存在するが、その伝統は現在の寮にも受け継がれている。