四禅
四禅(しぜん)とは、初期仏教で説かれる禅定の4段階のこと。三界の内の色界に相当し、この言葉は、禅定の段階に応じてこの色界を4分割した「四禅天」の略称としても用いられる[1]。禅天の意味で用いる場合は、初禅天から三禅天まではそれぞれ三種の天をとり、四禅天については外道天などを含む九種の天をとって合計で十八禅天あるとする。ただし、四禅天には諸説あって合計で十六禅天とすることもある。
概要
- 初禅 --- 諸欲・諸不善(すなわち欲界)を離れ、尋・伺(すなわち覚・観)を伴いながらも、離による喜・楽と共にある状態。
- 第二禅 --- 尋・伺(すなわち覚・観)が止み、内清浄による喜・楽と共にある状態。
- 第三禅 --- 喜を捨し、正念・正見(すなわち念・慧)を得ながら、楽と共にある状態。
- 第四禅 --- 楽が止み、一切の受が捨てられた「不苦不楽」の状態。
位置付け
三界の概念からも分かるように、「欲界」から離れた「色界」における(「受」を徐々に捨てる「受滅」のプロセスである)この四禅(四静慮)に対して、この上に更に「無色界」を想定し、そこに対応する(「想」を徐々に捨てる「想滅」のプロセスである)「上位の四禅」としての「四無色定」や、更にその上に、それらの完成形としての(「受」「想」が滅した)「滅尽定」(想受滅)を想定する考え方もある。(以上「九次第定」)
(一方で、それらは四禅の中に含まれているという考え方もある。)
なお、パーリ語経典長部『沙門果経』においては、王に仏教の比丘(沙門)の果報を問われた釈迦が、まず戒律の果報を説き、次にこの四禅の果報を説き、最後に(この四禅の先に成立する「観行」(ヴィパッサナー瞑想)によってもたらされる)六神通を説くといった形で、比丘の修行の3段階の2番目に位置付けられている。
また、パーリ語経典長部『大般涅槃経』では、釈迦の入滅の様子が、「初禅から滅想受まで、「九次第定」を段々と上がって行き、そこから初禅まで段々と下って行き、そこから再び四禅まで上がったところで、入滅した」と、描写されている。