ファミール
ファミール (Famil) は、セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン&アイ・フードシステムズが運営していたファミリーレストランチェーンの店舗ブランドおよび、2007年8月31日までレストラン「ファミール」やイトーヨーカドー各店の社員食堂を運営していた株式会社ファミールの会社名である。
2007年9月1日にセブン&アイ・フードシステムズがデニーズジャパン、株式会社ファミール、ヨーク物産の3社を吸収合併したことに伴って同社の店舗網となった。レストランとしての「ファミール」は、2019年9月30日をもって全店舗が閉店した[1]。
概要
設立
イトーヨーカ堂グループの外食部門の一つとして、1972年11月21日にヨークフードサービスとして設立され、主にイトーヨーカ堂のフードコートやレストラン街、イトーヨーカ堂の社員食堂などの外食事業を運営した。当初は「ふぁみーる」というひらがな表記のロゴで、同グループのデニーズとの差別化のため、和食・和膳メニューに強みのあるレストランとしてよりファミリー客層にマッチしたメニューの充実などが図られた。
イトーヨーカ堂の勢力拡大と共に出店地域も増え、1980年代のファミリーレストラン全盛期には郊外型ロードサイド店舗も独自出店して勢力を拡大した。1981年に株式会社ファミールへ商号変更した。
デニーズとの競合
同グループのデニーズジャパンが1984年にアメリカ合衆国のデニーズ社からパテント・商標を買い取り、メニューの独自展開が開始された。これにより従来は控えられていた和食や日本風洋食分野のメニューが増加した。そのため、和洋の棲み分けによって同一商圏で展開していた首都圏における同グループの郊外型店舗同士が事実上競合することになった。
バブル崩壊後の1990年代前期にはファミリーレストラン業界全体が不振に見舞われたことから、ファミールは郊外型ロードサイド店舗運営からの撤退、本来のヨーカ堂内フードコート・コントラクトフード事業へ回帰する事業戦略を発表し、1994年に郊外型店舗を同グループ内のデニーズジャパンへ売却した。
新業態への参入
1994年からは新業態の取り組みを開始し、ラーメン店「芝のらーめん屋さん」を展開した。2000年代以降は食べ放題レストランの人気に合わせ、ビュッフェ形式の「ファミールダイニング」を始めるなど、消費者ニーズに合わせた業態展開を試みていた。
セブン&アイ・ホールディングスの外食事業統合
セブン&アイ・ホールディングスは、2007年1月9日に同グループの外食事業として新会社を設立することを発表し、同年1月10日にセブン&アイ・フードシステムズを設立。ロードサイド型レストランが主力のデニーズジャパン、コントラクトフード事業・イトーヨーカ堂内のフードコート内レストラン運営のファミール、イトーヨーカ堂内ファーストフード事業(ポッポ)を運営するヨーク物産の3社を同年3月1日に子会社化、同年9月1日に合併した[2]。会社統合後も「ファミール」の名称は店舗ブランドとして継続使用された。
ドリンクバーの導入
2007年時点では、レストランチェーン事業のファミールではドリンクバー、デザートバーなどを一部店舗で導入開始し、地域の需要・競合店の状況に合わせて順次導入。ヨーカ堂の集客に頼ったビジネス形態から、ファミールへのリピーター率をより向上させる対応を実施していた。
沿革
- 1972年11月21日 - イトーヨーカ堂100%出資により株式会社ヨークフードサービス設立。
- 1972年 - ファミール1号店を出店。
- 1981年 - 商号を株式会社ファミールへ変更。
- 2007年3月1日 - 株式会社セブン&アイ・フードシステムズの子会社となる。
- 2007年9月1日 - 株式会社セブン&アイ・フードシステムズが株式会社ファミールを吸収合併。
- 2019年9月30日 - 全店舗が閉店。
関連項目
脚注
- ^ イトーヨーカドー内のファミレス「ファミール」、2019年9月末に全店閉店 1990年代には約180店舗も Yahoo!ニュース、2019年8月30日
- ^ セブン&アイHD、デニーズなど外食3社を9月に統合 ロイター2007年1月9日
外部リンク
- 沿革|会社情報 - 株式会社セブン&アイ・フードシステムズ