青蔵鉄道

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ラサへ向かう正式開業前の貨物列車2005年10月
ラサへ向かう正式開業前の貨物列車
2005年10月
ラサ駅
ラサ駅

青蔵鉄道(せいぞうてつどう,中国語表記青藏铁路=読み:チンツァンティエルー=)は中華人民共和国西部の青海省西寧チベット自治区首府ラサ(拉薩)を結ぶ高原鉄道。総延長1,956km。青蔵線とも呼ばれる。日本のメディアでは、青海チベット鉄道と呼ばれることも多い。

西部大開発の代表的なプロジェクトとして、当初2007年の完成を目指していたが、1年ほど前倒しして2006年7月1日に全通した。建設費は4,500億円と伝えられている。

なお、外国人(香港台湾人を含む)がラサまで乗車する場合は、チベット入域許可書が必要であり、旅行代理店の主催するツアーに参加する必要がある。なお、時期によっては形式上ツアーに参加し、実際には個人旅行として乗車することも可能であるが、乗車券のほとんどは団体向けに確保されているため、この方法での乗車券の入手はかなり困難である。経済活動の発展が期待される一方、チベット亡命政府は、自治区内で暴動等が発生した際、中国人民解放軍の戦車部隊等の輸送が容易となることを警戒している。

目次

[編集] 1期工事

青海省都西寧と同省海西モンゴル族チベット族自治州ゴルムド(格爾木)を結ぶ第1期工事は1958年に着工し、1979年完成、1984年から営業運転されている。全長814km。この区間は海抜2,000m から3,000m ほどである。

路線図(ゴルムド-ラサ)

ゴルムド
南山口
甘隆
納赤台
小南川
玉珠峰
望昆
不凍泉
楚瑪爾河
五道梁
秀水河
江克棟
日阿曲尺
沱沱河
通天河
雁石坪
布強格
唐古拉
扎加藏布
托居
安多
錯那湖
底吾瑪
崗秀
那曲
妥如
古露
烏瑪塘
当雄
達瓊果
羊八井
馬郷
ラサ西
ラサ
2期区間(ゴルムド~ラサ)路線図
○:普通駅
:展望台設置駅
※灰色で示した駅は無人駅
※駅名にカーソルをあわせると標高を表示



[編集] 2期工事

2001年国務院は262億人民元の資金を投じてゴルムドとラサを結ぶチベット区間の建設を決定し、同年6月29日着工した。 この第2期工事区間は全長1,142キロに達する。

2005年10月に全線の基礎工事及び軌道敷設を完了し、貨物輸送が正式開業に先駆けて開始された。 2006年7月1日にゴルムド~ラサ間の旅客営業運転を開始した。

[編集] 旅客列車運行状況

  • 北京西西安~ラサ 毎日運行 所要48時間(硬座389元、軟臥1,262元)
    • T27次 北京西 21:30発 → ラサ 2日後20:58着
    • T28次 ラサ 8:00発 → 北京西 2日後8:00着
  • 成都~ラサ 隔日運行 所要49時間
    • T22/3次 成都 18:18発 → ラサ 2日後18:28着
    • T24/1次 ラサ 9:05発 → 成都 2日後9:55着
  • 重慶~ラサ 隔日運行 所要49時間
    • T222/3次 重慶 19:20発 → ラサ 2日後18:28着
    • T224/1次 ラサ 9:05発 → 重慶 2日後9:55着
  • 蘭州~ラサ 隔日運行 所要30時間
    • K917次 蘭州 16:45発 → ラサ 翌日22:30着
    • K918次 ラサ 9:32発 → 蘭州 翌日15:45着
  • 西寧~ラサ 隔日運行 所要27時間
    • N917次 西寧 20:07発 → ラサ 翌日22:30着
    • N918次 ラサ 9:32発 → 西寧 翌日12:19着
  • 上海~西安~ラサ 隔日運行
    • T164次 上海 16:11発 → ラサ 2日後19:50着
    • T165次 ラサ 8:32発 → 上海 2日後13:45着
  • 広州~西安~ラサ 隔日運行
    • T264/5次 広州 10:29発 → ラサ 2日後19:50着
    • T263/6次 ラサ 8:32発 → 広州 2日後19:37着

西寧とラサを結ぶ列車は一日おきに一往復運行される。ラサ行きは西寧を21時に発ち、ラサには翌日22時半に着く。列車が崑崙山脈チベット高原を日中に通過できるよう、時間を設定したという。列車はゴルムド駅で高地用のNJ2型ディーゼル機関車に交換し、唐古拉駅(タンクラ駅)で西寧行きとすれ違う。

実質的には鉄道利用よりも航空運賃のほうが安い。しかし車窓風景や食堂車での食事など、鉄道ならではの旅行が楽しめる。

列車の運転速度は、海抜5,000 m までの区間では最高160 km/h、それ以上の区間では 80 km/h となっている。また、医師看護師が同乗して高山病患者に対応している。

西寧~ゴルムド間には区間列車が多数設定されている。 (2006年現在)

このほか、貨物列車が運行され、ラサまでの物流コストが削減された。

[編集] 工事の困難

青蔵鉄道チベット区間は最高地点が海抜5,072 m の唐古拉峠Tanggula Pass = タンクラ)、その近くの唐古拉駅が海抜5,068mであり「世界一高い場所にある鉄道駅」となる。平均海抜は約4,500m、また海抜4,000m 以上の部分が960km もあり、このような高所に鉄道が建設されるのは世界でも例がない。まさに世界の屋根を走る鉄道といえる。ちなみに並行する青海・チベットハイウェイの唐古拉峠は海抜5,231mである。

格爾木(ゴルムド) - ラサ間には550 kmにも及ぶ凍土地帯が広がっており、それに適した工法の研究は、ロシアカナダでの先例も参考にしながら、40年以上にも及んでいる。実際の工事では低い気圧と酸欠による高山病に加え、昼夜の気温差、冬季の強風や厳寒が工事関係者を苦しめた。

季節ごとに凍上と融解を繰り返す地域では、地中深くまで基礎杭を打ち込み、高架として地表から浮かせる工法を採ったほか、線路が直接地表に敷設される永久凍土区間では、地中温度の上昇を防ぐため、冷媒としてアンモニアを封入した金属製の放熱杭が軌道に沿って多数建植されている。現時点での対策は万全であるものの、将来の地球温暖化により永久凍土の融解が進行した場合、更なる手当てが必要になる可能性がある。また、気候問題とは別に、放熱杭や、無人施設における列車運行を司る太陽電池パネルの盗難を危惧する声もある。

沿線となる「ホフシル自然保護区」では、当地特有のチベットカモシカをはじめ、多くの高山植物など、希少、かつ脆弱な生態系を維持するため、中国政府は、当初の予算の12億を上回る20億元を投じている。具体的には、保護動物の棲息地を避ける経路とする、25箇所の動物用通路を設ける、当地の石材には手をつけず、50 km ほど離れた植生の無い土地に採石場を作る、土をなるべく掘らない、残土を積み上げたままにしない、工事で生じた地下水を河川に流す場合は沈澱処理を行うなう、などとなっている。同政府の交通関係の建設工事で、生態系の保護に配慮した工事は始めての例となった。

[編集] 車両

[編集] 機関車

全線非電化のため、ディーゼル機関車が全列車の牽引にあたる。

開業用にアメリカより輸入されたゼネラル・エレクトリック製の、新鋭NJ2型が同線を代表する顔となっている。NJ2型は高地対策が施された当区間の専用機で、車体色は、白地に灰色と濃緑の帯が入ったものと、客車同様の濃緑地に黄色帯の2種類が有る。76両が投入予定となっている。 (中文:中國國鐵NJ2型柴油機車)。

2007年現在、NJ2型は所要両数を輸入しきれておらず、機関車の絶対数不足を補うため、中国の国産機、東風8B型 9000番台も配属されている。これも東風8B型に燃料噴射ポンプの高地補正制御などの対策や、NJ2型との総括制御機能を追加したもので、この区間の専用機である。NJ2との混結の他、当型式のみでの運用もある。(中文:東風柴油內燃機車

[編集] 客車

空気の希薄な地域を走行するため、航空機メーカーでもあるボンバルディアの技術を導入した、与圧設備を持つ25T型客車が投入されている。寝台車(軟臥、硬臥)には酸素吸引設備が用意され、吸入チューブが無料で配布される。軟臥には個人用液晶モニターが設置されている。

紫外線カット機能を持つ窓ガラスや、避雷器も装備される。

車内のトイレは身体障害者用も設置され、排水は与圧構造と環境保護の面から、垂れ流し式ではなく、タンク貯蔵式としている。

[編集] 展望

青蔵鉄道の開通により、チベット産業の主柱である観光業が飛躍的に発展することが予測されており、また、チベットと中国他省との物流が大きく改善することにより、チベットの産業開発全般にも寄与することが期待されている。軍用列車も運行され、軍事物資、人員を運搬する主要幹線としても使用されている。

一方、チベットへの漢族流入が促進されることで、チベットの「漢化」が一層進み、独自の文化が破壊されることが懸念されている。チベットに存在する豊富な天然資源の輸送路としても活用されている。

なお、今後は青蔵鉄道の支線がシガツェ市まで建設される予定であり、その路線は最終的にネパールとの国境、更にカトマンズまで延伸される計画となっている。

[編集] メディアによる紹介

2006年11月、NHKが外国メディアとして初めて青蔵鉄道を取材した。撮影クルーが西寧発ラサ行きの列車に同乗し、車窓風景や名所、沿線の人々などを追った。その成果は2007年1月2日21時からNHK総合テレビで「青海チベット鉄道」として特番として放映された(再放送同8日午前8時35分から)。

2006年12月28日、日本文化チャンネル桜において「天空を引き裂く青蔵鉄道-奪われゆくチベット-」が放送された。同年10月の成都発ラサ行きの列車を取材し、同化政策の手段であることなどが語られた。

2007年2月、モーリー・ロバートソン等がtibetronicaプロジェクトの一環として、運行中の青蔵鉄道車内より、携帯電話とインターネット技術を組み合わせ、日本へ向けたネットラジオの生放送を行った。

2007年4月、NHK・BS hi関口知宏の中国鉄道大紀行 ~最長片道ルート36000kmをゆく~では、「春編」の出発地がラサとなり、食堂車での朝食や車内の乗客、那曲(ナチェ)駅での途中下車の様子などが紹介された。BS 2での再放送のほか、同じ素材を元に、BS 1、BS 2、総合の「春編 総集編」や「春の旅 決定版」などでも紹介された。

2007年12月8日TBSで放送の世界ふしぎ発見で、諸岡なほ子が「青海チベット鉄道」として、寝台車食堂車での朝食、車内販売での弁当など、車中を紹介。また文成公主を紹介した。

[編集] 外部リンク