レッドドラゴン (TRPG)

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RED DRAGON』(レッドドラゴン)は、星海社が運営するウェブサイト最前線にて連載されている、TRPGリプレイの手法をとった創作物。

2012年1月31日から連載開始。 ストーリーを『夜』という区切りで分けており、第六夜(下)をもって完結。 また、星海社FICTIONSからイラストの追加及び加筆・修正を加えた書籍版が刊行されている。

概要[編集]

ウェブページ上に連載されている、TRPGリプレイの手法をとった創作物。公式サイトではこの創作物を「RPF(Role Playing Fiction)」という独自の用語で呼称している。

RED DRAGONには市販ルールブック等が存在せず、本作のために設計されたワンオフのルールシステムによって行われる。 システム設計を行ったのは、三田誠、および、三輪清宗小太刀右京。 なお、三田誠はフィクションマスター(一般的なTRPGにおけるゲームマスターの役割を受け持つ。以降FMと記述)を兼任している。 プレイヤーは虚淵玄奈須きのこ紅玉いづきしまどりる成田良悟 また、本作が掲載されているウェブページ上ではBGMが再生されており、作曲者は崎元仁。 作中におけるイラストはプレイヤーであるしまどりるの手によるものである。

ストーリー[編集]

二つの大国が冷戦状態にある世界。その両国の間に存在する島国、ニル・カムイが本作の舞台となっている。 拮抗状態にあるその世界には七匹の竜が存在し、その内の一匹である「赤の竜」がニル・カムイに存在した。 その「赤の竜」が原因不明ながら突如発狂し、複数の村を壊滅させる脅威と化した。 プレイヤーたちは「赤の竜」を討伐するための非公式部隊として集結することとなる。

世界観[編集]

剣と魔法、機械が存在するファンタジー的世界観である。 架空人種に対する差別や不安定な社会情勢などが描かれており、ダークファンタジー的な傾向が強い。

自動車や工場などの存在は、少なくとも物語の舞台となる島国、ニル・カムイにおいては描写されていない。 ただし、これは環境的に外海からの運輸が困難とされているニル・カムイ特有の描写である可能性もある。

主な移動手段は徒歩、船舶、カダナン(象に似た魔物)。第四夜では飛行船も登場している。 武器に関しては、剣や棍などの白兵武器や弩が作中において描写された他、黄爛がマスケット銃や大砲の製造技術を持つとされている。

キャラクター[編集]

PC[編集]

プレイヤーキャラクター。 記述順は公式PVでの登場順に準拠。

本名、婁震戒(ロー・チェンシー/ろう・しんかい)。26歳、男性。プレイヤーは虚淵玄
世界を二分する大国、黄爛(こうらん)の宗教組織・八爪会(はっそうかい)に所属する武装僧侶。
意志を持ち人語を解する妖剣・七殺天凌(チーシャーティェンリー)に魅入られ、剣の導きにより暗殺者として大成。
ありとあらゆる標的を確実に葬り去る凄腕をもって闇の世界に知れ渡るようになる。
他者評価の尺度は「殺せるか否か」のみであり、視野の隅を「凝視」する特技により他者を観察し、必殺の間合いを計っている。
黄爛も彼に首輪をかけられてはおらず、七殺天凌に捧げるための供物として赤の竜を狙う。その後にウルリーカを殺害し仲間たちと完全に決別、弔い合戦に際してシメオンと激突するが一刀の元に敗れ去る。しかし還り人として復活し、その際に得た能力でニル・カムイそのものを七殺天凌に捧げるために行動を開始。以後は仮面をかぶり天凌府君と名乗る。
スアロー
本名、スァロゥ・クラツヴァーリ。25歳、男性。プレイヤーは奈須きのこ
世界を二分する大国、ドナティア帝国が誇る最強兵団・黒竜騎士団に所属する若き門閥貴族。
自らが手にし、使用した物を例外なく破壊してしまう「粉砕」の呪いにかかっている。
黒竜騎士団に力を与えている「黒の竜」と契約し、従者・メリルと共に「赤の竜」を討伐する混成調査隊に加わることとなる。
「赤の竜」を討伐した際の報酬として「黒の竜」から呪いの解除を提示されており、これが個人的な動機となっている。
第五夜にて彼の呪いが「粉砕」ではなく、人間が生きて費やす概念を体現した「消費」の呪いである事が判明。この際、「黒の竜」から呪いの解除(正確には奪取)を望むか否かを問われるが、一旦保留としている(ただしこの直後のメリルとの会話で呪いを奪われる事を拒む発言が見られる)。
エィハ
声 - 沢城みゆき
10歳、女性。獣の耳を頭部から生やしている。プレイヤーは紅玉いづき
「つながれもの」という種族であり、蝙蝠の翼のような前足を持つ両目の潰れた白犬の魔物・ヴァルとその命を共有している。
獣同然の生活をしていたところを人間に捕らえられ、奴隷として貴族の元を転々としたため、人生に対し諦観を抱いている。
ある日、同じ「つながれもの」であるジュナと出会い、革命軍へ合流した。発狂した「赤の竜」と対面した数少ない人物でもある。
忌(い)ブキ
13歳(設定当初は15歳)、男性。プレイヤーはしまどりる
かつてニル・カムイを統治してきたとされる一族・皇統種の末裔として双子の妹とともに生まれる。
神託によって忌み子とされ、生まれた直後に処刑される運命にあったが母・華グヤにより秘密裏に誘拐され、祖父母の元で生活する。
狂う以前の「赤の竜」と出会い、世界に充ちた悲劇と無力な己に絶望するが、自身が皇統種と知り、世界を変えるため革命軍へ合流する。
自然現象に直接干渉する「現象魔術」のほか、皇統種としての様々な能力が行使可能。
禍(か)グラバ・雷鳳(らいほう)・グラムシュタール
年齢不明(150歳以上)、男性。全身を「五行躰」に置き換えているサイボーグ。プレイヤーは成田良悟
「不死商人」の二つ名を持ち、ニル・カムイの都市「ハイガ」を統べる大商人 。非常に聡明且つ豪胆。他人に何を考えているかを読ませない懐の深い男。
ニル・カムイ、黄欄、ドナティアの三国に対して中立であるという意思表示からか、三カ国それぞれの名前を持つ。

主要なNPC[編集]

妖剣・七殺天凌(チーシャーティェンリー)
虚淵玄のキャラクター、婁の所有する両刃の刀。
刀身は赤く、金色の鍔、黒の柄、赤い飾り紐で装飾されている。
意思を持ち、所有者である婁にのみ念話で語りかけることが可能。一人称は「わらわ」。
切った相手の魂を食らい味わう性質と、刃を見たものに所有欲を抱かせる魅了の力を有する。
メリル
本名、メリル・シャーベット。奈須きのこのキャラクター、スアローの従者。27歳、女性。黒髪碧眼。頬にそばかすがある。
従者の身でありながら全身に具足を纏い、並の騎士以上に武術に長けている。
基本的にスアローの命令には忠実だが、彼が失言を漏らした際には暴言や関節技などの仕打ちを行うこともある。
経営者としても有能で「シャーベット商会」を独力で立ち上げている。現在はスアローの資産全ての債権者となっている。
ヴァル
紅玉いづきのキャラクター、エィハとつながれた犬狼型の魔物。性別不明。
蝙蝠の翼のような前足を持つ、両目の潰れた白犬。
骨が浮き出る程度に痩せており、微かに毒が混じった吐息とその外見から他者からは忌避されている。
エィハの手によって潰れた目に包帯が巻かれており、季節の花を添えている。

[編集]

作中世界において七柱しか存在しない特異な生物。

赤の竜
名の如く赤い色の、最低でも40メルダ以上の体躯を有する巨大な竜。
本作においてプレイヤーキャラクターたちが討伐を命じられた目標。
かつては皇統種と同様にニル・カムイにおける崇拝対象だったが、突如発狂し脅威として認識されるようになった。
黒の竜
声 - 中田譲治
ドナティア帝国の黒竜騎士団と契約している黒い竜。
ドナティア王都の北に存在する山岳地域の洞窟に棲息している。
人語を解し、会話をすることが可能。国家魔術圏内ならば遠く離れた相手に思念を送ることもできる。
スアローと契約を交わし、黒竜騎士としての力を与えるとともに「赤の竜」討伐を条件に呪いの解除を約束した。

その他のNPC[編集]

ニル・カムイ[編集]

イズン
ニル・カムイの革命軍に所属する少年。14歳。黒髪黒目。
40メルダ(作中世界の長さ尺度。1メルダ=1メートル)の岩巨人との「つながれもの」。
革命軍指導者の阿ギトを崇拝しており、忌ブキを介して「赤の竜」に助力を求めようとした。
阿(あ)ギト・イスルギ
革命軍の第一指導者。男性。
七年戦争の最後で捕縛され牢獄で三年間過ごしていたが、恩赦により出所した。
ユーディナ・ロネ
革命軍の第二指導者。女性。
ドナティア人の考古学者で、現象魔術の使い手でもある。
忌ブキの「幻術の頭巾」を作成した人物。
阿ギトが獄中に居た間、革命軍をイズンと共に維持していた。
真(ま)シロ・サグラ
忌ブキの孤児院時代の幼馴染。女性。
桜の髪飾りが特徴。土地勘の無い忌ブキとエィハに、阿ギトが収容されていた留置所を教えた。
狗(く)ラマ・カズサ
ニル・カムイ議会議長。男性。
口髭が特徴的な壮年の男。非公式の混成調査隊が結成する際に立ち会った。
ジュナ
エィハと同じ「つながれもの」にして「まじりもの」の少女。エィハを革命軍に誘った。
ミスカ
獣師。女性。
狗ラマの手引きにより用意された案内人。
ニル・カムイを移動するための象に似た生物、カダナンを操る。

黄爛[編集]

栄(えい)
黄爛の宗教組織、八爪会に所属する僧。男性。
婁に騙され、体よく利用されたが失敗した。
甘慈(かんじ)
黄爛軍の軍師、男性。
兵站や情報操作、金銭方面での能力に長ける。
楽紹(がくしょう)
黄爛軍の千人長、女性。
一兵卒からの成り上がり者で、婁とも面識があった。
電撃戦を得意とし、特にマスケット銃を主体とした部隊運用に長ける。
祭燕(さいえん)
黄爛軍の千人長、男性。
「盲目の射手」の渾名を持つ老武人で、黄爛の三大魔術の一つ「混沌術」の達人。
瑞白(ずいはく)
旅路の最中に出会った商人。男性。

ドナティア[編集]

ウルリーカ・レデスマ
黒竜騎士団第三団・副団長。女性。
楽紹とは対照的に、堅実な指揮に定評がある。
シメオン・ツァリコフ
黒竜騎士団第三団・団長。男性。
エマヌエル・メシュヴィッツ
ドナティアの国教「教会」司祭、従軍教父。男性。
祝(い)ブキ
忌ブキの双子の妹。皇統種としてドナティアの庇護下にある。

その他[編集]

ソル
禍グラバの腹心の一人。15歳、男性。サソリの「まじりもの」。
シャディ
禍グラバの腹心の一人。12歳、女性。蛇の「つながれもの」。

国家・土地[編集]

ニル・カムイ[編集]

物語の舞台となる島。 未開の部分が多く、開拓地はドナティアと黄爛の植民地および、地元民たちが運営する独立都市に三分されている。 多数の「魔素流」が複雑に絡み合っているため、気候は異常なまでに極端。 魔物の数も極めて多く、都市とごく一部の街道を除いて人々は常時魔物の牙に怯えて生活している。 村落が魔物に壊滅させられることは珍しくなく、城壁を巡らせた都市でさえしばしば消滅する。 「皇統種」という種族を崇拝する、特殊な宗教形態を有している。

かつて島中を荒廃させたドナティアと黄爛の戦争――「七年戦争」を経て、今は緩衝国のような扱いだった。 しかし、ニル・カムイを縄張りとしている七竜の一柱「赤の竜」に異変が生じたことから、情勢は不安定になろうとしている。

ドナティア[編集]

ニル・カムイのはるか東方に位置する、アーデルバイド大陸の八割を支配下に収め巨大国家。 「黒の竜」に祝福され、優れた魔法と科学技術、勇猛な騎士団によって拡大路線を続けてきた世界最強の軍事国家でもある。 特に二百数十年前、「黒の竜」を含む三柱の竜と契約して以来は破竹の快進撃を続け、ニル・カムイのみならず海を隔てた黄爛の一部をも植民地にした。 唯一神を信じる「教会」を有し、正義のために人々を文明化し、正しく導かねばならないという信仰を有する。

黄爛の軍備整備、広大すぎる領土と非効率な大貴族制度、教会と軍部の対立や皇帝の後継者問題などによりこの数十年間、領土は縮小傾向にある。

黄爛(こうらん)[編集]

魂を輪廻転生させ、永遠に生きるという「黄爛霊母」の統べる多民族国家。 そのモットーは平等であり、現世利益を何よりも重視する。商業と哲学の国。 個人修養に特化した道(タオ)と呼ばれる魔術体系を持ち、西の大国として君臨。 集団戦に長けたドナティアに百年程度は苦渋を強いられたが「六傑」と呼ばれる万人長、および兵器による陸海軍が、失地回復を果たしつつある。 強大な千人長を中心としたニル・カムイへの軍事介入も、彼らにとってはその一環に過ぎない。 霊母による中央集権により貨幣統一を行ったことにより経済の発展が著しく、単純な経済力はドナティアの倍近くになっている。 国教はなく、霊母を崇拝する八爪会と、霊母を敬いつつも相互扶助を重視する天巫堂とが二大勢力となっている。

独自概念[編集]

まじりもの
魔物の身体特徴を発現している者の総称。
つながれもの
特殊な蔦の鎖によって凶暴な魔物と命を共有する者の総称。
ニル・カムイの特殊な魔素流を利用して赤子と魔物から作られる人工種族だが、偶然つながってしまった者もいる。
総じて短命であり、16歳以上生存した例は報告がない。
皇統種(こうとうしゅ)
島国ニル・カムイ固有の種族。
ニル・カムイ土着の信仰における崇拝対象であり、魔素という物質を操ることが出来る存在。
幼少時は普通の人と外見が変わらないが、成長すると額に角が生える。
還り人
ニル・カムイで死亡し、特殊な条件により蘇生した人物の総称。
肉体が復活しても、自我や意識を伴っていないという事例がほとんどである。
魔素
不可視の、皇統種にのみ知覚可能な存在。
魔素流によりニル・カムイの気候は極端であるという描写から、物理現象にある程度干渉することが判明している。
五行躰(ごぎょうたい)
「宝術士」と呼ばれる人間の魂を捧げることで作られる特殊なパーツを肉体と置き換える秘技。
最高水準のパーツであっても二十年に一度は交換が必要となる。

システム[編集]

ゲームプレイに使われているルールシステムは既成のTRPG製品のものではなく、本企画のためだけに新しく作られた完全オリジナルのものが使われている。

ルールシステムやゲームデータについては本編の物語が理解できる程度の断片的なものしか公開されておらず、一般読者が同じルールとデータで遊ぶことが可能な量の情報を提供するようなアナウンスもされていない。

判定[編集]

キャラクターの様々な行動の成否を判断する行為判定システムには、十面体ダイスを二つ使ったパーセンテージロールに類するものを実装している。

あらかじめ、十面体ダイスを十の位と一の位にそれぞれ分けておき、これを振る。

キャラクターには判定を行うためのステータスが%表記で設定されており、この数字よりも低い目を出した場合、成功。 ステータスを割り振ることにより、複数回の判定処理を行うことも可能(例:ステータス上で180%→60%の判定を三回)

判定用のステータスは100%を超えていることもあるが、96以上か00が出た場合は自動失敗となる。

一般的なTRPG同様、判定に使うための技能を選択することも可能。

達成度[編集]

判定に成功した後に、「どの程度成功したのか」を算出する処理が存在する。

技能ごとに存在する「効果値」とダイス一個を振って出た目を合計して算出する。これを「達成度」と呼び、この値が高ければ高いほど、より上手く行動を成功させたことになる。

攻撃の場合はここに、利用した武器固有の数値が加算される(ダイスの目により変化)。

戦闘以外の場合は、達成度を基にFMが数値表などを参照し処理を行う。

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書籍版[編集]

外部リンク[編集]