シティナイトライン

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マンハイム中央駅に停車中のCNLの寝台車
2007年の夜行列車再編以前のCNLの旧塗装

シティナイトライン(City Night Line)とは、ドイツを中心にヨーロッパで運行される寝台列車であり、また、それを運営していた鉄道会社の名称である。略称はCNL1998年末以降は列車の運行はドイツ鉄道グループのDB Autozugが行なっている[1]

2007年12月改正の夜行列車再編までは"CityNightLine"と表記されていた[注釈 1]

個室寝台車簡易寝台車(クシェット車)・食堂車等からなり、シティホテル並みの内装サービスを提供する列車である。個室寝台車には、個室内に洗面台のほかトイレシャワーも備えるデラックスと、洗面台は備えるがシャワー等がなくより安価なエコノミー(運行開始時はコンフォート(Comfort)[2])がある[3]

歴史[編集]

企業としてのシティナイトライン社の前身は1992年に設立されたDACH Hotelzug AG(DACHホテル列車株式会社)である。ドイツ連邦鉄道(旧西ドイツ国鉄、1994年からはドイツ鉄道)、オーストリア連邦鉄道(オーストリア国鉄)、スイス連邦鉄道(スイス国鉄)の3社の出資で、本社はチューリッヒにおかれた。社名のDACHとはドイツ(Deutschland)、オーストリア(Austria)、スイス(Confoederatio Helvetica)の頭文字を合わせたものである[4]

1995年5月28日のダイヤ改正から、それまでユーロナイトであった「ドナウ・クリール」(Donau Kurier, ケルン - ウィーン)と「ウィーナー・ワルツァー」(チューリッヒ - ウィーン)の2往復がDACH社の運行するシティナイトラインとなった。このときのシティナイトラインは個室寝台車と"sleeperette"と呼ばれるリクライニングシートを備えた座席車、食堂車のみの編成で、簡易寝台(クシェット)車は連結されていなかった[5][6]

同年9月24日には「コメット」(Komet, チューリッヒ - ハンブルク)が加わり、その後もドイツとスイスを中心に多くの国際夜行列車がシティナイトラインとなった[4][7]

一方で、1996年にオーストリア連邦鉄道はDACH社への出資を取りやめ、同年9月29日からウィーナー・ワルツァーはユーロナイトに戻った。1997年には社名をシティナイトラインCNL株式会社(CityNightLine CNL AG)に変更した。1999年にはスイス連邦鉄道も出資を取りやめたため、シティナイトライン社はドイツ鉄道の100%子会社となった。ただし本社はチューリッヒにおかれたままであった[8][4]

1999年から一部の列車にドイツ鉄道から購入した簡易寝台車が連結されるようになった。2001年からは荷物車自転車を積み込むサービスを始めた[5]

2002年にはオランダアムステルダムへ乗り入れ、2006年にはデンマークコペンハーゲンへも乗り入れた。また2004年にはミュンヘン - ドレスデン間の「オリオン」(Orion)が国内列車としては初めてシティナイトラインとなっている[5]

2007年12月9日のダイヤ改正から、DB Autozugの運行していた夜行列車であるDBナハトツーク(NachtZug, NZ)と、季節夜行列車のUrlaubsExpress(UEx, 「休暇急行」の意)がシティナイトラインに統合された。これによりシティナイトラインの走る国はドイツ、スイス、オーストリア、オランダ、デンマークにフランスベルギーイタリアチェコ[注釈 2]を加えた9ヶ国となった[9]

2008年12月ダイヤ改正でいくつかのシティナイトラインが廃止され、また季節により週3往復に減便されるものも現れた。このときパリとドイツ各地を結んでいた列車が廃止または経路を変更したため、ベルギーを通る列車がなくなった[注釈 3][10]

2009年2010年の各12月のダイヤ改正でも列車の廃止や再開、経路変更が行なわれている[11][12]。2009年にはドイツ国内の系統で用いられていたタルゴ客車(元はナハトツークの車両[13])がほかの客車に置き換えられた[14]

車両[編集]

シティナイトラインに使用される客車は、個室寝台車、簡易寝台車(Liegewagen)、座席車(Ruhesessel)、食堂車に大別される。個室寝台車はすべて新製車だが、その他の形式については、予算の都合によりすべてドイツ鉄道で余剰となっていた車両の改造車である。1995年の運行開始時に存在したのは、個室寝台車と座席車、食堂車のみで、後に編成の中核を成すことになった簡易寝台車は後年になって増備されたものである。

なお新製客車については、製造当初より最高速度200km/hの性能を有しているが、CNL社メンテナンスコスト削減のため、運行時は120km/hに抑えられている。[要出典]以下、特記のない限り新製時(改造車については改造当初)の形式名を記載する。

車両はいずれも全面が濃いブルーに塗装されており、黄色文字で「CityNightLine」のロゴが施されている。 2007年12月におけるドイツ国内の夜行列車体系の再編にともない、車体塗装も赤と白のツートンカラーに順次変更されることになっている。

個室寝台車[編集]

  • WALBm
編成中で一際目立つ2階建て構造で、デラックス用一等個室寝台とエコノミー用二等個室寝台の合造車。のちに個室が一つつぶされて荷物室へ改造されたため、形式がDWALBmに変更されている。
  • WLBm
こちらもWALBm同様の2階建て車両で、エコノミー用二等個室のみを装備する。これまでに、WALBmも含めて数十両がドイツ鉄道に売却された。よってドイツ鉄道に存在する二階建て個室寝台車は、新製車ではなくすべてCNLからの移籍車両である。
  • WLABsm166.5
2002年に、DBNachtZug所属のT2Sタイプの車両をシティナイトライン用に改造編入したもの。外板塗色が変更された以外に設備面で大きな変更点はない。

簡易寝台車[編集]

  • Bvcmz248.5
DBNachtZug社から中古の簡易寝台車を購入し、全面的にリフォーム改造した車両。4人または6人分の寝台を備えた簡易個室を有する。なお購入に際し、CNL社が創業時より保有していた2階建て個室寝台車の一部を、DBNachtZug社へ売却(トレード)している。所属会社変更後もしばらくは形式変更されずに運用されていたが、近年Bvcmz028形へ変更されている。
  • Bvcmbz249
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  • Bcvmh
2002年に、オランダ国鉄より購入した簡易寝台車をリフォームした車両。元々は、ドイツ鉄道がツアー客輸送用に製造したTUI FerienExpress 用車両をオランダ国鉄が購入し簡易寝台車に改造していたものである。
  • Bcdvmz
ドイツ鉄道より購入した簡易寝台車をリフォームし、室内のおよそ2/3を簡易寝台に、1/3を荷物室(自転車搭載用スペース)に改造した車両。
  • BDcm
ドイツ鉄道より購入した簡易寝台車をリフォームし、室内のおよそ2/3を簡易寝台に、1/3を荷物室(自転車搭載用スペース)に改造した車両。荷物室内はカーペット敷きで夜間でも明るく、一般客の入室も可能であるため、実質的には深夜時間帯の談笑スペースとしても利用可能。

座席車[編集]

  • Bpm
ドイツ鉄道より購入した中古客車の内装をすべて撤去し、通路を挟んで2+2列配置のリクライニングシートを配置した車両。座席の背ずりの頭上には天蓋状のプラスチックの覆いがあり、乗客のプライバシーへの配慮がなされている。

食堂車[編集]

  • WRm
東ドイツ国鉄の食堂車を購入し、全面的にリフォーム改造した車両。車内の2/3はバーカウンターで、残りのスペースにTausend Sterne(千の星)の愛称で知られるレストランが設置されている。天井には光ファイバー天の川が表現されている。また車体側面には、をシンボライズしたマークが描かれている。
  • WRm
オランダ国鉄アレグレットを購入のうえ食堂車に改造したもの。サービス電源を維持するためにディーゼル発電機を搭載する。車内の3/5はバーカウンターとなっており2/5はレストランだが、内装に Tausend Sterne のような華やかさはなく、通路を挟んで左右に4人がけのテーブル席を配している。
なお食堂の営業は24:00頃には終了するが、バーの営業は終夜であるため夜中でも比較的賑わっている。ただしCNLは、複数の列車が途中まで(あるいは途中から)併結されて運行される多層建て列車が多いため、自分の目的地へ向かう列車に食堂車が連結されているのかどうか(どのまで連結されているのか)を事前に確認しておく必要がある。下手をすると、バーでお酒を楽しんでいる間に切り離されて別の方向へ向かう列車になってしまう危険もあるため、注意が必要。

荷物車[編集]

  • Dms905
自転車携行旅行者の需要に応えるために改造編入された、自転車搭載専用の荷物車。所属会社変更後しばらくして、Dmd038に形式変更された。

運転系統[編集]

2010年-11年ダイヤにおける系統

2010年12月12日のダイヤ改正後の列車は以下の通り。括弧内は冬期間のみ延長[15][16]

列車名 区間
Andromeda パリ東駅 - ハンブルク中央駅 - ハンブルク=アルトナ駅
Aurora コペンハーゲン中央駅バーゼルSBB駅
Borealis アムステルダム中央駅 – コペンハーゲン中央駅
Canopus チューリッヒ中央駅 - ドレスデン中央駅プラハ本駅
Capella ベルリン=リヒテンベルク駅ベルリン中央駅 - ミュンヘン中央駅 - ミュンヘン東駅
Cassiopeia パリ東駅 - ミュンヘン中央駅 ( - インスブルック中央駅)
Komet ハンブルク=アルトナ駅 - チューリッヒ中央駅 ( - ブリーク駅)
Kopernikus[注釈 4] アムステルダム中央駅 – プラハ本駅
Lupus ミュンヘン中央駅 – ローマ・テルミニ駅
Pegasus アムステルダム中央駅 – チューリッヒ中央駅 ( - ブリーク駅)
Perseus パリ東駅 - ベルリン中央駅 – ベルリン・ズュート・クロイツ駅
Pictor ミュンヘン中央駅 – ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅 
Pollux アムステルダム中央駅 – ミュンヘン中央駅 ( - インスブルック中央駅)
Pyxsis ハンブルク=アルトナ駅 – ミュンヘン中央駅 – ミュンヘン東駅
Sirius チューリッヒ中央駅 - ベルリン中央駅 – ベルリン=リヒテンベルク駅

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ Thomas Cook European Rail Timetableの列車種別の説明では、再編以前はCityNightLineと表記し、2007年12月号以降はCity Night Lineとされている。2007年12月号では"City Night Line"はCityNightLine, NachtZug, UrlaubsExpressを統合したブランドであると説明されている。ただし2007年以前でもCity Night Lineと表記されている例もある(Chessum 1995など)。
  2. ^ チェコ国内においてはユーロナイトとして扱われる(Thomas Cook European Rail Timetable December 2010, table 1100)。
  3. ^ これによりベルギーではシティナイトライン以外も含め全ての夜行列車が廃止された。
  4. ^ Thomas Cook European Rail timetableでは列車名はKopernikusとPhoenixを併記。一部の表ではPhoenixのみ。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 地球の歩き方」編集室, ed. (2010), ヨーロッパ鉄道の旅, 地球の歩き方 by Train (改訂第4 ed.), ダイヤモンド社, ISBN 978-4-478-05823-7 
  • Malaspina, Jean-Pierre (2006) (フランス語), Train d'Europe Tome 2, La Vie du Rail, ISBN 2-915034-49-4 
  • Chessum, Régis (1995-9), “Une nuit dans le « City Night Line »” (フランス語), Rail Passion (La Vie du Rail) 5: 20-21 
  • Meillasson, Sylvain (2003-5), “CityNightLine élargit son offre” (フランス語), Rail Passion (La Vie du Rail) 70: 14 
  • Thomas Cook European Timetable, Thomas Cook, ISSN 0952-620X  各号
  • Thomas Cook European Rail Timetable, Thomas Cook, ISSN 0952-620X  各号

外部リンク[編集]

関連項目[編集]